第2096話 観客席大歓声!〈3年1組〉VS西側同盟!
第2096話 観客席大歓声!〈3年1組〉VS西側同盟!
こちら実況席。
オルクが打ち上がったことで会場は爆発的な大歓声に包まれていた。
「す、すごい大歓声だーーーーー!?」
「あの勇者ゼフィルス氏を追い詰めていたオルク選手、なんとここで敗退です!」
「くふ、くひ……!」
「おおっとこっちでもお腹を抱えている方が1名! ユミキさん大丈夫かーーー!?」
「完全にツボに入ってますね。いえ、サターン氏に続き、見事な打ち上がり方でした。会場はこの通り、非常に大歓声に包まれております」
「もうスティーブン君の声もよく聞こえないよーーー!! サターン君たちが4人力を合わせて盛り上げた歓声がさらに盛り上がるーーー!! オルク君すごーい!!」
「ああっと! 〈2年10組〉陥落! ここで〈2年10組〉陥落です!」
「ああああああ!? 〈微笑みのセレスタン〉強いーーーー!? 結局止められなかったかーーーー!」
「しかし〈3年2組〉の〈見晴らしの黒猫カルア〉氏が〈3年1組〉の〈小さな賢王メルト〉氏を撃破! 大波乱です! ここでLV100の方が、初めて退場です!」
「ふぅふぅ、ようやく落ち着いてきたわ。私からも話させてもらうわね」
「さっきまでグロッキーだったユミキさん、本当に大丈夫かーーー!? 無理しなくてもこのキャスに任せてくれてもいいんだよ!?」
「キャスさんがこの機会に必死に席を取りに来てますね」
「大丈夫よ。輪で確認したのだけど、〈2年5組〉と〈3年2組〉は引き返す、と見せかけて引き返さない気だわ。ここで孤立した〈3年1組〉の残り9人をまとめて倒す気よ。レイドボスを連れてきているわ。それに〈3年2組〉はサチ、エミ、ユウカというLV100メンバーのアタッカーも全員が出撃したわよ」
「な、なあ、なああああああ!? ここでさらなる大波乱の予感!? 〈3年2組〉は召喚した2体のレイドボスの1体、〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉を投入! 〈2年5組〉も4体中2体のレイドボス、〈ヨウネル〉と〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉を投入したーーー!? ここで〈3年1組〉の各個撃破なるかー!?」
「会場はさらに熱を増しています。それとレイドボスだけではありません。〈2年5組〉は見慣れないアシストモンスターを連れています。ユミキさん、分かりますか?」
「あれは勇者君の報告書でも見たわ――えっと、あったわ。最上級ダンジョンのランク3、〈聖界ダン〉の85層守護型ボス――〈最高位級・メタトロン〉よ。報告書によれば、この〈メタトロン〉は最初の5層の守護型としても出てくるらしいけれど、それは弱体化したものであり。この最後の85層守護型ボスで完全体が登場した、とあるわね」
「ユミキさん報告書持ってきてるーーー!? ちょ、それ閲覧制限あって大図書館から持ち出しも禁止されてるやつじゃん! どうやって入手したの!?」
「私、〈攻略先生委員会〉と最上級ダンジョンに潜っているの」
「ああ!? またユミキさんの株が上がっていくのを感じるーーー!?」
「一瞬下がったかと思ったところ、見事に盛り返してきましたね。果たして僕の相方は今後どちらになってしまうのでしょうか。それはともかく、〈2年5組〉はさすがは〈エデン〉の下部 組織 ( ギルド ) が多く所属するクラス、〈エデン〉から貸与されたのでしょうか、とんでもない召喚盤を使ってきましたね」
「でも〈2年5組〉は〈メタトロン〉を攻撃に使うよりも、レイドボスの術者の護衛に使っているみたいね。なるほど、これならレイドボスが簡単に退場してしまう弱点をカバーできるわ」
「ガチガチのガチ攻めだーー! ああっと勇者部隊がもう打って出たーー! 狙いは、〈2年5組〉だーー!!」
「〈3年2組〉と合流される前に野戦で叩くということでしょうか!?」
「〈3年1組〉の拠点に近づこうとしているとも見えるわね。今は〈2年1組〉の牽制に遭っている〈3年1組〉の拠点だけど、あの防壁を突破できたクラスはほとんどいないわ。拠点からも打って出てくることは十分にありえ――いえ、出てきたわ!」
「おおっとーーーー!! 〈3年1組〉の拠点からこのタイミングで攻めの部隊が出撃ーー!? 次の狙いは〈2年5組〉だーーー!! 親ギルドと子ギルド対決に近いかーーー!?」
「ですが去年のような勢いはありません。やはり、今回からのクラス対抗戦の試み、レイドボスが効いているのでしょう。あの勇者ゼフィルス氏まで苦戦させるレイドボスは侮れません」
「〈3年1組〉の別動隊はそのまま〈2年5組〉の拠点を狙う気だわ。野戦に突入した〈2年5組〉の主力は勇者君に抑えられて戻れない。頼みの綱は〈2年1組〉だけど……、いえ、動いているわね。〈2年1組〉は〈2年5組〉を援護するため〈3年1組〉の拠点を攻める気よ!」
「おおっと! ここで〈3年18組〉の拠点跡地に潜伏していた1年生部隊が動き出したーーー!?」
「狙いは北、〈3年1組〉です。〈1年1組〉と〈1年3組〉は攻め込むタイミングを計るために〈3年18組〉跡地に潜伏していました。どうやら仕掛ける模様です! ここも〈2年5組〉の援護が目的の模様です!」
「盤面が〈2年10組〉の陥落と同時に一気に動き出したわね。果たして〈2年5組〉が陥落するのが先か、〈3年1組〉が陥落するのが先か」
◇
こちらは〈3年1組〉拠点。
「さすがはノーアさんですわ……! このタイミングでしっかり攻めてきましたわね。――みなさん、気力は戻りましたわね!?」
「いつでも行けますよ!」
「心配かけたけどもう大丈夫!」
リーナの声にカタリナとフラーミナを始めとしたメンバーからやる気の声が上がる。
現在〈2年10組〉に10人を派遣、そしてこれ以上ないというタイミングで〈2年5組〉に10人を派遣した〈3年1組〉の拠点には11人が残っていた。
残りのメンバーはラナ、エステル、シズ、パメラ、リーナ、ノエル、シャロン、カタリナ、フラーミナ、ルキア、アイシャ。
このメンバーで西側の〈2年1組〉と南側から迫る〈1年1組〉と〈1年3組〉を迎撃する。〈2年5組〉陥落まで粘れば勝ちだ。故に、分の悪い賭けではないとリーナは見ていた。
だが、それはノーア側も同じ。〈2年5組〉の陥落は時間の問題。なら、急いで〈3年1組〉を攻略しなければならない。
〈2年5組〉の攻略を諦めて戻ってくればそれもよし、というかそっちが本命だ。
ぶっちゃけこの戦力で勝てるとは思っていなかった。
〈2年1組〉がこのタイミングで〈3年1組〉に仕掛けたのは、〈2年5組〉を助け出すため。〈3年1組〉による拠点侵攻を牽制するためだ。
しかし、予期せぬ事態が発生。
〈1年1組〉と〈1年3組〉まで動き出してしまったのだ。しかも西側に合流するのではなく、南側からの進行である。
そのレイドボスは――合計8体。
すさまじい戦力だった。だから〈2年1組〉が仕掛けたタイミングで同時に動き、大きなダメージを与えようという手はずだったのだろう。
だが、1年生はまだ知らない。
〈エデン〉VSレイドボスを。
「ラナ殿下は西を!」
「任せなさい! エステル、シズ、パメラ、行くわよ!」
「ノエルさん、フラーミナさん、ルキアさん。南側、1年生をお願いしますわ!」
「オッケー!」
「うん!」
「あはは。後輩に本気出しちゃうのは気が引けるけど、せめて西側からくればよかったんだけどなぁ」
素早く指示を出すリーナ。
ラナたちは西側で宝剣をぶっ放したりして〈2年1組〉を迎撃。
そしてノエルやフラーミナ、ルキアの3人は南側、1年生を迎撃するために動いた。
ルキアの言う通り、1年生に本気を出すのはちょっと気が引ける。
これが西側であればキキョウの『羨ましいからそれ禁止』で抑えられたが、1年生たちはなぜか南側から別動隊で進撃してきた。
これでは禁止で防ぐことはできない。
フラーミナは【大罪】職。
【大罪】職の相手ができるのは、同格の【大罪】職だ。
フラーミナの【傲慢】は、とある環境において絶大にしてとんでもない能力が開花する。
そしてそれを、まだ1年生たちは知らなかったのだ。
◇
こちらは〈3年18組〉の拠点跡地に潜伏していた1年生たち。
『ノーアさんたちが動きました!』
「来ましたか! みなさん、聞きましたね? 〈2年5組〉がピンチな上に〈2年1組〉が動き出しました! 同盟として、私たちも二方向追撃します!」
「了解ですフェンラ!」
「二方向からなら1年生へできる迎撃の手段も少ないですよね」
ユナから伝令が入り、〈1年1組〉リーダーのフェンラが指揮を取る。
2番手のクラも賛同し、〈1年3組〉リーダーのエミメナも賛同したことで全員がちょっとビビりながらも立ち上がった。
こちらにはレイドボスが8体もいる。
そして、〈3年1組〉は〈2年10組〉と〈2年5組〉に攻め込んだので手薄。
〈2年1組〉と二方面攻撃を展開すれば、〈2年5組〉へ放った攻め手を戻すだけじゃない。ひょっとすれば〈3年1組〉という最強クラスを落とせるまであるのではないかと、そう思ってしまっても仕方なかった。
だって1年生だもん。今年がクラス対抗戦初めてだったんだもん。
これをノーアたちが聞いていれば即座に待ったするだろうが、残念ながら〈2年1組〉に通信手段はなかった。
故に進んでしまう。
〈 3年1組 ( 最強の拠点 ) 〉へ。
〈3年1組〉拠点へつながる南側通路は、防壁まで何もなかった。罠らしきものは無し。
何かがおかしいと思いつつも、ここで足を止めたらきっともう動けないので、このまま一気に行く。
そして、拠点の 亜隣接マス ( 2マス隣 ) 、シャロンが防壁を築き、侵入不可にしている 隣接マス ( 1マス隣 ) のすぐ側まで勢いよくやってきた。
「攻撃開始です!」
フェンラが攻撃宣言をして防壁へアタックを仕掛けようとしたところで。
「『 犬力 ( けんりょく ) の犬』!」
とあるユニークスキルの名前が防壁の上から聞こえた。