第2099話 〈3年1組〉VS〈3年2組〉LV100同士の戦い決着
第2099話 〈3年1組〉VS〈3年2組〉LV100同士の戦い決着
「姉ちゃん、こ、この盾抜けないんだけど――『インフィニティ・スラッシュ』!」
「ミツル君泣きごと言わないの! 『グラーバル・グロウ・スロウ』!」
ミツルが〈六ツリ〉の大量の斬撃技で斬り込み、ソアが相手全体に〈鈍足〉の状態異常を掛けて動きを制限しようとする。
だが、〈3年1組〉のメンバーにはそもそも状態異常がほとんど通じない。
「無駄よ」
ミツルが切り込んでいる相手は――宙に浮く小盾。
それがゼフィルスの背後に迫る〈2年5組〉のメンバー15人を止め、さらに〈2年5組〉が連れて来たレイドボスである〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉と〈太陽猫聖獣・ヨウネル〉の攻撃をも防いでいた。
その正体はシエラのカバー系スキル。
『 守陣形 ( しゅじんけい ) 四聖盾 ( しせいたて ) 』のおかげで永続化し、『シールド・テラ・クワトロ』によって巨大化した4つの小盾が、シエラの新装備〈国守盾姫シリーズ〉の『高速カバー』によって高速で動きまくり、周囲からの多くの攻撃をはじきまくっていたのだ。
「これが、シエラ先輩! 〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の火球の連射を、僕たちの攻撃を防ぎながら弾ききるってどういうこと!?」
「状態異常も全然効かない! 全種類撃ったんだけど!?」
何とか立ちはだかるシエラを突破しようと、〈2年5組〉のメンバーは色々頑張った。
でも突破できない。本当に突破できない。レイドボス2体の力を合わせても突破できない。
本当、これどうなってんのってくらいシエラが突破できなかったのだ。
その正体はシエラの新装備にある。
ゼフィルスがクラス対抗戦のために真っ先に仕上げた装備の1つで、ぶっちゃけこれは、レイドボスを想定した装備なのだ。
ボス補正ありのレイドボスの攻撃に耐えられる装備なのだから、そりゃLV100にもなっておらず、ボス補正の無いレイドボスが束になっても突破は難しいだろう。
もちろん〈3年2組〉はそれを知っていたので、サチ、エミ、ユウカがシエラを突破するカギになるはずだったのだが。
「どうしたサチさん、剣捌きはその程度か! 『エンペラーバスター』!」
「ちょーっと! 『神剣・ソードワルツ』! ラウと1対1は無理だってー! エミー! ユウカー!」
「こっちも手一杯だってサチっち! 『神本・永久凍土』!」
「【ウリエル】に〈氷属性〉なんて効かない。『神炎界』!」
「ユウカちゃんは私の魔王様を喰らえー!」
「『神宝弓・スピリチュアルハンディング』! 『神弓・ピンポイントボルト』! こっちも手一杯!」
サチ、エミ、ユウカを相手にしているのはそれぞれ、ラウ、エフィ、シヅキだ。
ラウは獣人最強、エフィは戦闘大好き、シヅキは魔王様降臨だ。
ぶっちゃけサチ、エミ、ユウカが分断され1対1を作らされた時点でかなり厳しい。
サチたちは3人揃うとラウたちでも勝つのは難しいため、まずはセレスタンの力も借りて3人を分断したのだ。
故に、今はマスを跨いで3人はそれぞれで戦っていた。
シエラの突破を援護する余裕なんてあるはずがない。
ぶっちゃけ囲まれてもシエラがレイドボス2体と〈2年5組〉をまとめて抑えられた時点で〈3年1組〉対〈3年2組〉の出来上がりだ。なら、LV100が多い〈3年1組〉が勝つのは自明の理だった。
なお、セレスタンはと言えば――〈3年2組〉の他のメンバーを抑えていた。
「ふはははははは! セレスタンよ! 我が筋肉と共に踊ろうではないか!」
「その首、刈り取らせてもらうよ! 『サクリファイス・デスカッター』!」
「5対1ならば、あるいは――『大仙術・百雷破轟撃』!」
アラン、キール、そしてゴウの攻撃が一斉にセレスタンに迫る。
「ふ、『カウンタースマッシュ』!」
「ぬう!」
「な!」
「ぐあっ!?」
セレスタンから放たれたのはカウンターの一撃。
アランとキールの攻撃を無視し、まずゴウを狙い撃ちしたカウンターだった。
アランの攻撃は回避され、キールのレベルアッパーされた〈即死〉攻撃は『カメ代わり』で無効化して対応。一撃でゴウをダウンに追い込むと、続いてセレスタンが飛び込んだのは、【レジェンドレイヴン】のナギ。
「隠れても無駄です。『執事に不可能はありません』!」
「んな! バレてる!?」
セレスタンの『執事に不可能はありません』は見破り系。
【レジェンドレイヴン】お得意のハイドで隠れていても、見破られてしまうのだ。
「ここまで〈3年2組〉が隠れて動けたのはナギさんの功績であると分かっておりましたので」
じゃなければ、あんな巨大な〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉を隠して〈エデン〉の進行方向に潜伏させておくなんてできるはずがない。
ナギが隠してここに連れてきていたことは明らかだった。
故に、セレスタンの最優先目標は、ナギの撃破である。
ナギを見つけられる人材は〈3年1組〉と言えどセレスタンとシズくらいなのだ。
絶対に今仕留めたいところ。
「やらせないよ! 『 大駆動 ( だいくどう ) ・ 槍牙氷竜 ( そうがひょうりゅう ) 』!」
護衛で【 大駆動 ( だいくどう ) 氷凜槍士 ( ひょうりんそうし ) 】のリャアナが死角から〈六ツリ〉でセレスタンを狙う。しかし。
「狙いは良いのですが、残念ながら、見えてます――『雷拳』!」
ナギの隠密で隠れながら素早く強力な不意の一撃を放つ戦法だったが、執事に不可能は無いのだ。当然隠れていたつもりのリャアナも見えていて、その巨大な氷の竜の槍も、雷を纏わせた拳で粉砕する。
「うっそー!?」
バリバリと雷を放つ執事の拳は大変絵になっていたが、リャアナとしてはパンチで大技を破壊されてぶったまげていた。だが、セレスタンの『雷拳』も〈六ツリ〉なので不可能ではないのだ。そして。
「ナギちゃん逃げて!」
「もう逃走中!」
「逃がしません――『 瞬拳 ( しゅんけん ) 』!」
「ぎゃーん!?」
「ナ、ナギちゃーん!?」
セレスタンの『 瞬拳 ( しゅんけん ) 』は、瞬動からのパンチ。
瞬きの間に追いついたセレスタンが一撃で紙装甲のナギを撃破していた。
「は、速い、強い! 一撃!?」
「では、続きといきましょう」
目的を果たしたセレスタンはその後、アランたちと筋肉祭りを踊った。(比喩)
「ヤバ! ナギちゃんもやられちゃった! エミ! ユウカ!」
「うん! やるよ!」
「オッケー!」
「む、何かする気だぞ! やらせるな! 『獣速牙狼』!」
ナギがセレスタンに仕留められたのを見たサチ、エミ、ユウカは覚悟を決めた。
このままだと全滅してしまいかねない。
だから、多少強引にでも合流しようと、賭けに出ることにしたのだ。
ラウがブリッツ系スキルを使い、瞬く間に駆けてきて拳を放つ。そこに。
「『ガードシールド』!」
サチは自ら小盾で防御スキルを発動しつつ、それを受ける。
『ガードシールド』は〈三ツリ〉のスキルだ。
当然、〈五ツリ〉の『獣速牙狼』を防ぎきれるわけもなく、サチは防御負けして吹っ飛んだ。
下手をすればダウンさせられかねない悪手。
だが、サチが吹っ飛ばされた方向には、エミが居た。
サチは敢えて吹き飛ぶことを選び、エミの方へ吹き飛ぶよう方向を調整したのだ。
「む! しまったか!」
「私がやる! ――『アルティメットノヴァ』!」
それに気が付きラウが叫ぶ。フォローするのはエミと戦っていたエフィ。
〈六ツリ〉魔法でサチを狙い撃つ。
「サチっちー! 『神本・シャインアウト』!」
だが、ギリギリのところでエミの防御魔法が間に合った。
進行方向に現れた光の球体に突き刺さった『アルティメットノヴァ』はそのままアウト、消えてしまう。相殺だ。
「キャーッチ!」
「エミちゃん、ナイスキャッチ!」
サチはそのまま落下すればダウンもあり得た状況で、なんとかエミが受け止めてセーフ。ダウンならず。
もちろん、これにはエフィも一気に飛び込み、合流したところを再び引き離そうとするが。
「『ジェットバーストフェニックス』!」
「『神宝剣・神の一太刀』!」
サチが迎撃。
剣と剣がぶつかり、強烈な衝撃波を放って相殺する。そこへ。
「『神宝弓・サジタリウスミサイル』!」
「! シヅキ!?」
「ごめーん! 抜かれたー!」
ユウカの矢が迫りエフィが慌てて翼で羽ばたいて距離を取る。見れば、シヅキのクロちゃんを撃破し、ユウカが合流を果たしていた。
その正体はユウカの〈六ツリ〉『神宝弓・アルテミス』。
これは「男」特効。相手が男だと『耐性』持ちでも〈即死〉させる凶悪なスキルだ。もちろん、ラウは『カメ代わり』があるので効かないが、魔王のクロちゃんに無効は無く、仕留められてしまったのだ。これにシヅキがびっくりした隙を突かれ、見事に3人は合流を果たしてしまう。
「『神宝剣・アマネタチ』!」
「『神宝本・セイクリッドレター』!」
「『神宝弓・サウザンドストリーム』!」
「「「――『女神化』!」」」
ここで大量の広範囲攻撃と全体攻撃を放って――変身スキル発動。
「『獣王に引き裂けぬ物は無し』!」
「私も覚醒する――『大天使フォーム』!」
「『悪魔の魂回収』! 『デーモン・ノヴァ・エクスプロージョン』!」
迎撃にラウが攻撃を引き裂き、それにシヅキも加わる。
契約悪魔がやられた時、その魂を使って強烈な最後の一撃をぶっ放す『デーモン・ノヴァ・エクスプロージョン』で爆撃の光線をぶっ放し、強力な神装スキルを粉砕する。
だがその時にはすでに『女神化』がほとんど終わっていた。
「変身を許してしまったか、だが、それでこそ倒し甲斐があるというもの! 『獣王無尽』!」
そこにラウが飛び込む。
縦横無尽に的を絞らせない変則的な動きで接近し、強烈な拳を叩き込むのだ。
「「「『神装武装』!」」」
サチたちが切れてしまった神装を補充した時には、すでにラウが近くに居た。
「「「きゃあ!」」」
ズドンと強烈な一撃がヒット。
3人が重なるように吹っ飛んだ。だが、それも織り込み済み。
HPが危険域になるのと引き換えに、距離を稼げた3人の武器がラウに向く。
「「「いっけー『 三柱神授神器 ( みはしらしんじゅじんぎ ) ・ジャストメイトジャッジメント』!」」」
3人の最強の攻撃が放たれた。
スキル発動後の硬直状態のラウは、この攻撃を避けられない。
「『簡易召喚・大魔王の全身様』!」
シヅキが大魔王様をラウの目の前で召喚する。
ラウの目の前に20メートル級の暑苦しい大魔王様が召喚され――ようとしたところで完全にでてくる前にサチたちの攻撃がぶっ刺さり貫通。
――大魔王様、貫通!!
「ぐおおおおおおおお!」
『女神化』もした、3人の最強攻撃は、〈エデン〉でもガチのトップに輝く威力のコンボスキル。
大魔王様でも受け止められず、ラウに直撃。それでも止まらず、後方のシヅキまで飲み込んだ。
「きゃああああああああ!!」
これにて、たったの一撃でラウとシヅキが退場してしまう。
「あ」
「やば」
「もうエネルギーゼロなのにー」
だが、もう1人忘れてはいないだろうか。
そう、大天使モードになったエフィである。
エフィは空に回避し、3人の攻撃を避けて接近していた。
サチ、エミ、ユウカの神装は残りゼロ。
スキルも魔法もガス欠で、クールタイムで新たに神装も纏えない状態。
「3人とも、お見事。――『エクストリーム・エルフォース』!」
「「「きゃーーーー!」」」
サチ、エミ、ユウカも大健闘の末、エフィにやられて退場してしまうのだった。