第2104話 クイナダVSグラジオラ&テルニア戦!
第2104話 クイナダVSグラジオラ&テルニア戦!
まだカルアとルルが戦っている頃、クイナダVSグラジオラ&テルニア戦。
「悪いけど、後輩だからって手加減はできないよ! 『必殺・横薙ぎの 大山顎 ( たいざんあぎと ) 』!」
「『アジャスト・フル・ディフェンシル』!」
クイナダ〈五ツリ〉の必殺技。
文字通りドラゴンの顎の幻影が変身中のグラジオラを襲おうとするが、テルニアが〈六ツリ〉の巨大な盾を左手に構えて防御。
これは装備している盾を大幅に強化する防御スキル。
一度発動すると盾が巨大化し、防御スキル発動状態のまま動くことができる自由度の高いスキルだ。ゼフィルスの『ブレイブシールド・イグニッション』に似ている。
これはフィードバック無効と貫通無効というとんでも効果を持つ防御スキルだ。
つまり、格上であるクイナダの攻撃もノーダメージでやり過ごすことができるという意味である。
「グラジオラ君、一気に三段階まで行っちゃって! 余裕なんてないよ!」
「分かり申した! 続きますぞ! 『ラース』! 『我は怒りの権化也』!」
「みんな、攻撃集中! 時間稼いで!」
「「「「おおおおおおおおおお!」」」」
「わわわわ!?」
テルニアの言葉に『超進化』を終えたばかりのクマ状態グラジオラがさらにスキルを発動していく。『我は怒りの権化也』は『ラース』発動中に使える、効果を強化し時間を延長させるスキル。最大で2.8倍に迫るとんでもない効果をもたらすが、怒りに任せた本能の動きになってしまうデメリットも強化されてしまう諸刃の剣だ。
その間に〈1年2組〉と〈1年15組〉のクラスたちは変身時間を稼ぐためにクイナダへ一斉攻撃。レベル30以下、むしろ下級職すら結構混じっている攻撃とはいえ、クイナダもこれほどの大量の攻撃に狙われたことが無かったこともあり、かなり驚いて隙を生む。
その間にグラジオラのスキルは進行。
「いきますぞ! ――『ファイナル・シード・ザ・ドラゴン』!」
『ファイナル・シード・ザ・ドラゴン』は第二、あるいは第三の変身スキル。
『超進化』状態のグラジオラがさらに変身を遂げる。
今までユニークスキルで変身していた形態とは違い、今度のはかなりドラゴンに近い。クマ要素だった体を覆う剛毛が全部鱗になり、全長は2メートル半。
顔の周りにも小さな竜鱗がいくつも作られた姿へと変化していた。
これが〈六ツリ〉の最後の鍵。3回目の変身に必要な ドラゴンの種 ( ファイナルシード ) である。
そして、最後のユニークスキルが使われる。
「『ラース・ド・ドラゴン』!」
『超進化』から始まった進化は、ドラゴンの 種 ( たね ) を植え、最後は完全なドラゴンに至る。
グラジオラの体は以前のようなクマとドラゴンの中途半端な姿ではない。
正しく ドラゴンの種 ( ファイナルシード ) が開花し、3回目の変身を通して完全なドラゴンへと変身する。それが――【憤怒】の能力にして、真骨頂だ。
「テルニア、よく耐えたけど、ごめんね! 『狼仙斬・一の太刀』! 『狼仙斬・二の太刀』!」
「ああ!? 私の盾が壊されたー!?」
防御を崩し、防御スキルを破壊する。
相手がクイナダだったからこそ、相性が悪かった。
1年生の壁だったテルニアが崩されて大ピンチ!
「『 狼王剣 ( アルマーレイ・エスパーダ ) 』!」
「ぎゃーん!?」
「トドメ――っ!?」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「!? 『 瞬退相払 ( しゅんたいそうばら ) い』!」
テルニアの防御は、クイナダに破壊され、ユニークスキルの直撃がヒット。
次の一撃を防げなければ退場というところで、ドラゴンになったグラジオラがぎりぎり間に合った。クイナダは下がりながら斬る〈五ツリ〉で距離を取る。
「いや、強そうなんだよ」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「おっそいよグラジオラ君! 私たち、今倒される寸前だったんだけど! ぐびぐび」
「うおおお! グラジオラリーダー!」
「超かっこいいよー!!」
ドラゴンになったグラジオラに1年生たちから歓声が飛ぶ。〈1年2組〉の切り札だ。
テルニアは〈アルティメットエリクシール〉でHPを回復し、なんとか危機を脱する。
クイナダはレイドボスを相手にするときの警戒を持ってグラジオラを見た。
グラジオラは全長7メートル級から8メートル級に成長したドラゴンの姿。
3回も変身を重ね掛けし、バフがとんでもなく上昇、そこに怒り状態まで加算されているとあって、LV70以下なのにLV100のクイナダすら油断できないステータスを持っている。まさに【大罪】職のすさまじいパワフルさを持っていた。
それもそのはず、【憤怒】はあのソードマンや筋肉をも超える、〈ダン活〉で堂々トップのフィジカルを持つ罪深い 職業 ( ジョブ ) なのだ!
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「みんな、距離を取って!」
様子見は時間がもったいないとばかりに吠えるグラジオラが突撃。
その巨体で暴れまわるだけで相手に相当なダメージを与えられるのが【憤怒】である。
現在怒りで我をちょ~っと忘れかけているグラジオラが、格上のクイナダに挑む。
テルニアは1年生に指示を出し、距離を取ってもらうと、自分はグラジオラと合流しに走った。
「『 即離脱 ( そくりだつ ) 』!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」
対してクイナダは回避スキルを使って距離を取る。
クイナダはAGIが相当高い。パワーではグラジオラに負けていたとしてもスピードではまだクイナダが勝る。攻撃が当たる直前に避け、かなりの距離を稼いだために、怒りで視野が狭くなっているグラジオラはクイナダを見失った。今がチャンス。
「これは、私もしっかりバフ積んで挑まないとやられちゃうかも――『 狼眷属 ( おおかみけんぞく ) 召喚』!」
距離を取ったクイナダは狼を5頭召喚。
これが、クイナダのバフの起点だ。
クイナダの〈五ツリ〉スキル『 大軍一将宣戦 ( たいぐんいっしょうせんせん ) 』のおかげで狼を召喚している時、自身にパッシブでバフが掛かる。さらに。
「『 将軍魂 ( ジェネラルソウル ) 』!」
これは単純な自己バフだ。これでクイナダは今のグラジオラと同等クラスのパワーを得た。
「グラジオラ君、右! 右! そっちは左でしょうーーー!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」
ここでグラジオラがようやくクイナダに気が付く。
ちょっと我を忘れた影響で左右を間違えてしまったが些細なことだ。
クイナダにまた突撃を敢行する。
「『 狼軍 ( おおかみぐん ) ・ 覇者 ( はしゃ ) 突撃 ( とつげき ) 』!」
対してクイナダも突撃を選択。
これはなんと〈六ツリ〉。
3メートル級の狼たちを率いて一気に強力な攻撃を叩き込む軍団系の突撃スキルだ。
ドラゴンの巨体とクイナダの薙刀の先が激突。
互いに大きく弾かれた。
「うっそー!? あの巨体ドラゴンのグラジオラ君と互角~~~!?」
テルニアはツッコミに回った。
いや、ちょっと距離が離れすぎてしまったために追いつけていないのだ。
だが、クイナダとグラジオラが互角なら、自分の防御が戦況を分ける。
テルニアは、カバー系スキルを発動。
「『グランド・オブ・クイーン・カバー』!」
シエラと違い自在盾を持っていないテルニアは、カバー系を使えば自身が割り込む形で飛び込む。しかし。
「『必殺・ 急所に届く勝利の一撃 ( チェックメイトジャッジメント ) 』!」
対するクイナダの攻撃は、カバー無視。
「ぐおおおおおおおお!?」
「あ、あれーーー!? いつの間に背後にーー!?」
テルニアがかばったはずなのにクイナダはいつの間にかテルニアの背後でグラジオラを斬りつけていた。さらに。後ろに回られたということはテルニアも無防備。
「ヤバ! 『フル・フォートレス』!」
「『 神峰 ( しんほう ) の宝刀』!」
「だ、だから防御スキルをそんな簡単にぶった切らないでよーーー!!」
クイナダが選択したのは防御破壊。
せっかくの召喚された防壁もバターのように斬り飛ばし、防御破壊を受けて無防備なテルニアにクイナダがトドメの一撃を放とうとしたとき。
「『グランド・ラース・ゼロ・ブレス』!」
「きゃ! ――狼たちが!」
グラジオラが一瞬怒りを飲み込みスキルを発動。バフの源である狼眷属5体を強力なブレスの一撃で撃破したのだ。
「まだまだこれからですぞ! 『ドラゴニル・ラース・クロウ』!」
さらにブレスの衝撃でクイナダが怯んだところにグラジオラが強力な〈六ツリ〉スキルを発動する。ドラゴンの爪による強力な一撃だ。直撃すればクイナダでもHPの半分が吹っ飛んだだろう。
「『反撃・ 狼刀 ( ろうとう ) 連華 ( れんか ) 掃討 ( そうとう ) 』!」
だが、クイナダはカウンタースキルを発動してダメージゼロ。それどころかグラジオラに強力な 反撃 ( 攻撃 ) をヒットさせてノックバックまでさせた。
ノックバック中は、強力な攻撃を当てるとダウンする。クイナダが追撃を構えた。
「グラジオラ君! 『アブソリュート・ジャスト・フルカバー』!」
「『必殺・絶刀』!」
「ぎゃーん!? なんで私斬られたのーーー!? これ防御 破壊 ( ブレイク ) 無効なのにー!」
「必殺技は、相手を倒すから必殺技なんだよ? これ、防御スキルすり抜けスキルだから」
「そ、そんにゃ~~~」
「えい」
テルニアはグラジオラを守るために最強のカバースキルで割り込んできたのだが、相手が悪かった。
クイナダは必殺系のスキルを数多く持つ、タンクキラーである。
テルニアはHPが1残り、食いしばりスキルを成功させていたが、残念ながら最後は通常攻撃で退場してしまったのだった。
「あとはグラジオラだけだよ――ってグラジオラどこ行くの!?」
「うおおおおお! やらせはしませんですぞーーー!!」
ちょうどそちらを見れば、ゼフィルスとエリサが何かしていた。
人がたくさん集まっている場所で、エリサの『 万魔宮殿 ( パンデモニウム ) 』が発動する。
クイナダは通れるようになった〈3年2組〉の拠点への通路に目もくれず、グラジオラを追いかける。
◇ ◇ ◇
「『ダークハイヒール』!」
こちらエリサ。
ヒーラーをしながらゼフィルスとシエラに庇われつつもようやく1つのマスに多くの人材を追い込み、または誘い込むことに成功していた。
グラジオラが怒りモードになったために距離を取ってきた1年生たちがセレスタンに追い立てられてとあるマスに侵入した瞬間、作戦が実行される。
「ゼフィルス様、お待たせいたしました」
「ナイスセレスタン! 今だエリサ!」
「うん! 『ナイトメア・大睡吸』!」
「まだだ! やはり『睡眠無効』持ちは多いぞ! 封印だ!」
「『 万魔宮殿 ( パンデモニウム ) 』! 『睡魔女王・集団睡民』!」
「ぐあ!?」
「バカなぁ、眠……Zzz」
「『睡魔の砂時計』!」
〈3年2組〉〈2年2組〉〈1年2組〉〈1年15組〉は、今かなりの人数が1つのマスに集められていた。ゼフィルスやシエラ、セレスタンたちで集めたからだ。
〈1年2組〉〈1年15組〉なんかその半数以上を集めることに成功した。
『睡眠耐性』ではなく、『睡眠無効』という効果の高価なアイテムまで使ってきて対抗してきたが、エリサは「悪魔」である。せっかくの『睡眠無効』をも〈封印〉してしまい、砂時計も設置。『即死無効』持ちでもこれで3分間は眠ったままだ。
「トドメよ!」
エリサが最後のユニークスキルを発動せんとする。
発動されるのは今回で3回目。
おそらくクラス対抗戦で最も学生を敗者にした攻撃だ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「あれは、グラジオラか!」
だが、ここでドラゴンが乱入する。
それは、3回目の変身を遂げたグラジオラだった。
どうやらゼフィルスたちの狙いに気が付いて、クイナダを撒き、1人でも〈睡眠〉から起こそうと来たのだろう。
その手には〈睡眠〉状態を回復させるアイテムを持っていた。
さらに〈3年2組〉のメンバーも何人かが同じく接近。
「セレスタン、そっちは任せる! 『 英勇転移 ( ブレイブポート ) 』!」
「お任せください!」
ゼフィルスは転移スキルでグラジオラの前へ、セレスタンは〈3年2組〉へと突っ込む。
「うおおおおおお!? ゼフィルス先輩!?」
正面に立ったゼフィルスにさすがに正気に戻るグラジオラ。
あまりの衝撃に怒りが収まるインパクト、それがゼフィルスだ。
「押し通らせてもらいますぞ! 『オーバー・ソニック・ストライク』!」
「通らないぜ! 『ブレイブシールド・イグニッション』!」
グラジオラが使用したのは突撃。
対抗するゼフィルスは大きな盾を顕現。
ぶつかり、弾かれたのは、グラジオラだった。
防御勝ちである。
「ゼフィルス!」
「クイナダ、後は任せる! ――エリサ!」
「『必殺・ 大神抜閃 ( おおかみばっせん ) ・ 破邪銀狼華 ( はじゃぎんろうか ) 』!」
「『エンドレスエンド』!」
ここで防御負けして動けないグラジオラを追いかけて来たクイナダが一閃。
エリサが最後の即死ユニークスキルを発動する。
〈3年2組〉〈2年2組〉〈1年2組〉〈1年15組〉の連合は、大打撃を受けた。
だが、その直後である。
「――『 神速瞬動 ( しんそくしゅんどう ) 斬 ( ぎ ) り』!」
カルアが一直線に飛び込んできたのである。
「え? にゃーん!?」
そしてエリサが退場した。