第2106話 〈3年1組〉VS〈3年2組〉拠点攻略戦!決着!
第2106話 〈3年1組〉VS〈3年2組〉拠点攻略戦!決着!
「こ、ここで〈1年3組〉も敗退ーーーーー!」
「一気に〈1年1組〉〈1年2組〉〈2年2組〉〈1年15組〉〈1年3組〉の5クラスが退場です!」
「〈1年3組〉はレイドボスが復活するぎりぎりだったけど、復活する前にやられてしまったわね。あれ、多分復活時間を計算している子がいるわ」
実況席のコメントにまたも会場が盛り上がる。
均衡が一気に崩れ南側が全て退場したからだ。
「召喚盤モンスターの復活タイムは20分! その時間を計算していたってことーー!?」
「なるほど。本来ならレイドボス復活時間が迫る〈1年1組〉と〈1年3組〉を優先的に倒すのが吉のはずなのに、〈1年3組〉を飛ばして〈1年2組〉へ向かったのはそう言うわけでしたか。つまり、〈1年3組〉は最後に回してもレイドボスが復活してくるクールタイムまでには5クラスが落とせる、と計算したわけですね」
「ええ。そしてその計算はピタリと当たったわね。〈1年2組〉は1体のレイドボスと 上級上位 ( ジョウジョウ ) ボスを防衛に召喚していたようだけど、3年生の猛攻に耐え切れずに陥落。〈2年2組〉はそもそもレイドボスすら全部〈3年2組〉の応援に駆け付けさせていたから、無防備なところを突かれて即陥落してしまったわね」
「〈2年2組〉も頑張ったー! 全レイドボスを前線に送るなんて思い切ったことをしたのに、〈3年1組〉耐える! 強い、強いぞ〈3年1組〉ーー!!」
「〈2年2組〉は〈3年2組〉が緩衝地帯になることで〈3年1組〉に狙われないはずでしたので、全ての戦力を〈3年2組〉の援軍に回したのですが、それが裏目に出てしまいましたね」
「戻ろうとする〈2年2組〉も勇者君が逃がさないように回り込んでいたものね。あれが有名な〈勇者からは逃げられない〉ね。良いもの見られたわ」
「さあー! 1年生が全クラス退場してしまい、残るのは3つのクラスのみーーー! 〈3年1組〉の次の狙いは、〈3年2組〉だーー!」
「大詰めになってきました」
「…………」
「あれ!? どうしたのユミキさん!?」
「……いえ、〈2年1組〉なのだけど、どうやらこれは、もしかしたりするかもしれないわ」
◇ ◇ ◇
「〈3年1組〉が攻めてきたぞーー!」
「『プリーズフリズドキャッスルオール』! 『クリエイトフリズドウォール』! みんな迎撃準備よ!」
「任せろ! 我が 筋肉城 ( きんにくじょう ) ビームを振りまくぞ!」
「勝手に合体技にしちゃダメでしょー!? でも任せたわよ!」
〈3年2組〉は大忙し。
北の〈2年10組〉での戦い、西の〈3年2組〉防衛戦を経て、残りはわずか17人。
レイドボスはまだぴんぴんしているアケミが連れているコスト2500の〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉と、防衛戦力の要、コスト2000〈 巨神猫 ( ゴッドキャット ) ・ブレイブ・ベヒモス〉だ。
これが上限4500のコストを保持する〈3年2組〉の総戦力である。
さっきまで塀の外で戦っていたけれど、〈1年2組〉の退場を皮切りに、〈2年2組〉、そして〈1年15組〉が退場したことでこうしてアケミたちは撤退し、籠城戦の構えを見せていた。
セレスタンと筋肉祭りを踊ったアランもレイテルの城の天辺で輝いてる。
「カルアちゃん! まだいけそう!?」
「トモヨ、ん、まだいける」
また、〈3年2組〉の今の最大戦力はカルア、そしてトモヨだ。
トモヨは〈3年2組〉の最後の砦。レイテルだけでは〈SSランクギルドカップ〉の時の二の舞になるので、さらにトモヨが護衛していた。
というか試合開始直後に宝剣がぶっ飛んできたため、ラナの攻撃を警戒して拠点から動けなくなったという方が正しい。本当ならトモヨも〈2年10組〉戦で一緒に向かいたかったのだ。
とはいえ成果はあった。トモヨが〈3年2組〉の拠点を守っているからこそ、ゼフィルスもリーナも、下手に攻めに出られなかったのだ。
だが、それも他のクラスを軒並み退場させれば話は変わる。
今まではトモヨ攻略に時間をかけ過ぎたところを後ろからレイドボスたちが、という想定をしていたため〈3年2組〉拠点の攻略はできなかったが、後方の憂いを断てば正面に集中できるからだ。
ゼフィルスたち4人だけでは攻略は難しいが、援軍はいる。
当然ロゼッタの部隊だ。〈1年3組〉を落とし、すぐに〈3年2組〉の南側から攻め入らんとするロゼッタの意図を読み、ゼフィルスも西側から攻める。
「さあ、いよいよ〈3年2組〉攻略の時間だ! 二面戦線で突破するぞ!」
「「おおー!」」
「かしこまりました」
〈2年1組〉はリーナたちが確実に抑えてくれるので、後方を気にせずにレイテルの建てている氷の城壁へ攻撃を仕掛けんと踏み出すゼフィルスたち。
だが、すでにこの辺は罠だらけ。通路の左右が氷の壁でおおわれ、正面には氷の防壁が立ちふさがっている。そんな防壁の向こう側、氷で若干透けて見える向こうに、肌色の何かがいる。
「マッスルマッスル! 氷の煌めきに反射し、いつもよりも多くビームを出さん!」
「いっ!? まさか!」
ゼフィルス、ここでなんと『直感』さんが「ありゃやべぇぞ!」と囁いた。
あること以外で『直感』さんがこんな囁きをしてくるなんて超久しぶりだった。
「シエラ『聖四方盾』だ! みんなシエラの下に!」
「! 『聖四方盾』!」
「喰らうがいい! 『乱反射ビームアクセル』!」
「うわぁ……」
クイナダの口から「うわぁ」が出た。
氷の向こうに居たのはアラン。そのアランの体が光ると、ビームが放たれたのだ。
しかもただのビームではない。氷の城壁にぶつかるとそのまま透過。ビームがショットガンかよと思うほどの散弾となり、面となって襲ってきた。
これくらいならシエラのカバーでも防げる――が、横も氷の壁だったのが災いし、横の氷の壁に命中したビームは反射。
なんと大量のショットガンビームが跳弾し、三方向からゼフィルスたちを襲ったのだ。そりゃ『直感』さんもやべぇ指示出すわ! これはカバーでは防ぎきれない。
故に四方に巨大な盾を顕現する『聖四方盾』で全方位を守った。
「さすがゼフィルスたち、これを防ぐか!」
「アラン、〈氷の城塞〉と組んだことで、こんなコンボ技を編み出していたとか! すっげぇじゃねぇか!」
「まさかこうも完璧に防がれるとは思わなかったがな!」
ゼフィルスが感動のキラキラした目でいつの間にか防壁の上へ登ったアランを見る。
きっと新たな〈ダン活〉知識に心をやられたのだ。そりゃ『直感』さんもやべぇって言うわ!
瞬間シュパパパと防壁の上に防衛メンバーが4人並び、アランと並んでゼフィルスたちの前に立ちはだかる。
登場したのは【スーパータイフーン・ジェントルマン】のダノム、【ダークマターサイキッカー】のジェイ、【ヴィジョナリーシーフラビッツ】のキハ、【仙人】のゴウである。かなりかっこいい登場だった。――しかし。
「ここからは俺たちが相手に――」
「申し訳ないですがアラン。突破させてもらいますよ――『突貫』です」
「なに!?」
アランたちは気が付かなかった。すでにセレスタンが防壁の前で装備交換をしていることに。そして強力な特効攻撃が防壁に直撃。一撃でぶっ壊した。
「「「うおおおおおおおおおおお!?」」」
「うわあああああああ!?」
「華麗に筋肉着地ーー!!」
落っこちる5人のうち無事に着地できたのはアランだけだった模様。
「アランは僕に任せてください。先ほどはお互いに引くことになりましたが、ここで決着を付けましょう」
「乗った!」
「乗ったじゃないでしょうがバカアランーーー!!」
「アホバカマヌケーーー!」
あ、氷の城塞にコーティングされた拠点から悲鳴が!
あれは、間違いなくレイテル! あとアディの声に間違いない!
ここまで100メートル近くあるのに相変わらず響くいいツッコミをお持ちだ。そんなことをゼフィルスは脳内で0.2秒ほど考える。
「一気に行くぞ! 相手はロゼッタの方に大きな戦力を回している! 今がチャンスだ!」
二面作戦の効果がここに出た。
ゼフィルスが見れば、南側の防壁は2体のレイドボスを回して守っているのが見て取れた。
〈スプールルート〉はでかいし、そっちの方が戦力が居るので優先するのは分かる。
「ん、やっぱりゼフィルスたちは突破してきた」
「ここで抑えるよ! キハたちは下がって!」
「カルアにトモヨか!」
カルアとトモヨも西側に回ってきた。さすがにアランたちでは足止めは不可能だと思ったのだろう。
2人はまさかこんなに早く防壁が破壊されるとは思って無かったが、破られたらもう、直接対決で止めるしか方法は無い。
「『128ビームダート』!」
「『 守陣形 ( しゅじんけい ) 四聖盾 ( しせいたて ) 』! 『クイーンオブカバー』!」
ついでに拠点の方からは援護攻撃までしてきた。ありゃ【ビームレーザー・アクセラレータ】のレミのビーム矢だな。
シエラがカバーシールドで止める。その間にカルアが動いた。
「俺がカルアを、クイナダはトモヨを崩せ!」
「了解!」
「カルアちゃん、連携!」
「ん!」
ゼフィルスの的確な指示でまずは分断をたくらむが、トモヨはタンクとしてそれを警戒。前に出てカルアを背にかばうことで阻止。
「『狼仙斬・一の太刀』!」
「! 『天使の破魔結界』!」
「『狼仙斬・二の太刀』! ダメか~」
「そう簡単にダウンは取らせてあげないよ!」
クイナダの崩しからの防御破壊、ダウンにつなげる戦法は見抜かれている。
さすがは〈エデン〉のタンクである。
「『クロスソニック』!」
「『ソニックソード』!」
後ろに回り込まんとしたカルアがゼフィルスを狙うが、ゼフィルスも同じくソニック系を使って迎撃。
「やっぱ、速度じゃカルアに敵わないな!」
「むう。でも防御力は圧倒的にそっちが上」
ゼフィルスのカルア攻略法は簡単だ。
――相打ち狙いである。
自身の耐久力の方がカルアより圧倒的に勝っているのだから、カルアが攻撃してきたスキルのタイミングに合わせてゼフィルスも攻撃し、相打ちにしていけば、最後に立っているのはゼフィルスだ。
これが、1対1ならルルがカルアに9割以上勝てるとゼフィルスが思っていた理由である。
いやこんな、相手がスキルを使ったタイミングに合わせて相打ちとかゼフィルスくらいしかできないけども、ルルはスキル回転率の上昇とノックバックの強力な耐性持ちだったので、頑張ればできたのだ。
カルアもそれが分かっているので、トモヨの防御力を活かして隙を作って攻撃しようとするが、ゼフィルスには通らない。
それどころか。
「『カウンターノヴァ』!」
「ぎゃあー!? なんでカウンターがここまで届くのよー!?」
シエラが飛んでくる攻撃に合わせてカウンターを拠点に叩き込んでいた。
タンクだけど、シエラが完全にフリーというのもまずい。マジでまずい。
シエラに同じ攻撃は通じないどころか、カウンターを取られてしまうのだ。レイテルの悲鳴ごちそうさま。
「ん……!」
「あ、ちょ! 南側の人たち、こっちに攻撃しちゃダメーーー!!」
拠点を攻撃されてビビった南側のロゼッタ部隊を攻撃していたメンバーが、シエラに攻撃を仕掛けてきたのはもっとまずかった。
シエラへの攻撃はマスの減退に引っかかるものの、届いた。届いてしまったのだ。
「『カウンター・レイ・ストリーム』!」
シエラの〈六ツリ〉カウンターが発動。
マスの減退の影響を受けたものの、カウンターの衝撃波は南側の人たちに大きな動揺を与えた。それがチャンス!
瞬間、ズドーンという音と共に〈スプールルート〉が南側の防壁を突破したのだ。
次々と入ってくる〈1組〉メンバーズ。
「ぎゃー! 私の城が落とされるーー!」
「〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉! フルパワーで薙ぎ払ってーー!」
「アケミはん、去年のリベンジといきまひょか! もう水場もあらへんよ! 『 八尾解放 ( はちびかいほう ) ・ 炎界 ( えんかい ) の終わらぬ 大火災害 ( だいかさいがい ) 』! 『九尾解放・大妖怪百鬼夜行』! 『九尾大妖狐グラ・シャ・クイーン』!」
「わ、わ、わ! 逃げ場無いーーーー!?」
「アケミはん、討ち取ったわー!」
最後はアケミが〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉をけしかけたが、なんとハクがあのアケミを撃破!
2年生のクラス対抗戦ではあと一歩というところまで追い詰めたのに最後は池に逃げられてしまったが、ここに池は無し。つまり逃げ場無し!
ハクは1年越しにリベンジで勝利をもぎ取ったのだった。
さすがはSランクギルド〈百鬼夜行〉のギルドマスターである!
「今です。『突貫』!」
「『暴走列車・ 特急城壁螺激槍 ( とっきゅうじょうへきらげきそう ) 』!」
「『 十氷槍砲 ( じゅっひょうそうほう ) 』! って止まらないー! きゃああああああ!?」
最後はレイテルの悲鳴が轟き、セレスタンとロゼッタの攻撃が拠点にドッカン。
HPがゼロになり、ついに〈3年2組〉も退場してしまったのだった。
「わ、私ほとんど活躍無かったんだけどー!?」
そんなトモヨの声が聞こえたとか聞こえなかったとか。
しかし、その直後。事態は大きく一変する。
「『ゼフィルスさん、リーナですわ!』」
「リーナから通信だ!」
「『〈2年1組〉にシャロンさんの防壁を、突破されましたわ!』」
それは、〈3年1組〉の強固な防壁が落ち、大ピンチという連絡だった。