第2111話 学年対抗戦終了!クラスに帰って打ち上げだ!
第2111話 学年対抗戦終了!クラスに帰って打ち上げだ!
クラスを超えた学年対抗戦――通称:学年対抗戦、試合終了!
会場は大歓声に包まれた。
すさまじいスキル・魔法・ユニークスキルが飛び交い、人類初となるLV100という頂点に手が届いた選手たちが鎬を削って戦ったのだ。
しかも見たこともないレイドボスという存在が何種類も出てきて、度肝を抜かれた人も多かったようだ。
研究所の白衣たちは目を血走らせながら瞬きをするのも惜しむようにすべてを記録し、メモを書き、すさまじい収集データの価値と量に試合終了と共にちょっと狂った者が出たとかなんとか。
誰もが目を奪われ、誰もがその強さに惹かれ、誰もがこの学年対抗戦に心を奪われたのだ。
大歓声も当然だった。
ゼフィルスも観客席に向けて手を挙げてサービス。
するとさらに大絶叫とも言える歓声が響き、中には興奮のあまり昏倒する者も出てしまったようだ。混沌!
「ではこれより、表彰式に移るぞい!」
学園長が会場のど真ん中に転移してそうマイクを通して高らかに宣言するも、大歓声のせいでほとんど誰の耳にも届かなかった。もう少し落ち着いてからじゃないと話も通らない事態である。
なお、裏でカイエンやムカイ先生がしっかり動き始めてくれたので、表彰式の準備は恙無く進んだ。
ステージに色々用意されて20分ほどかけて準備が整う。
戦闘課全学年、全クラスの代表が会場に転移した。
「ではこれより、クラス対抗戦の表彰式を執り行うのじゃ!」
――――うおおおおおおおおおおおおお!
20分もすれば会場の熱は一度冷めたが、再燃するのも早かった。一瞬のヒートアップマックスである。
なんとか熱を下げるため、第一ブロックから順番に表彰していく。
さすがに各学年となると量も多いため、全ブロックが表彰されるのにかなりの時間が掛かる。その時間で熱も下がれば、いいなぁ。そんな心境で続くも、熱はなかなか下がらない。
なにせ今年の試合は波乱万丈にしてどんでん返しも多かった。
〈200組〉台すら台頭してくるのだ。そりゃ予想外も多かったさ。〈3年3組〉なんて初戦で〈200組〉台に負けてしまったのだからレイドボスが如何にすさまじかったのかが分かる。
特に企業系の方々にはこの新たな風は大いに新鮮だったようで、活躍したクラス、それを率いていた者たちなどは、たとえ〈200組〉台であってもオファーやスカウトの対象になっていた。すでに動いている者も多い。
学園長の新たな試みは大成功だったのである。
「それでは学年対抗戦、決勝戦の表彰を行なう!」
ざわざわ、ざわざわ。
ついにやってきた。この瞬間。
この時代で最も最先端、最も強い者にして、頂点。
「優勝、〈戦闘課3年1組〉代表、前へ」
「はい!」
ざわめきが大きくなる。
学園長の待つステージへ上るのはもちろんこの男! ゼフィルスだ!
見る者が見れば――これは3回目。
そう、ゼフィルスは3年連続で優勝クラスのリーダーを務めたのだ。
ざわめきや歓声などが例年と比べ、かなり小さくなる。
落ち着いたわけじゃない。クールダウンしたわけじゃない。
共通するのは邪魔をしてはいけないという1点のみ。むしろ嵐の前の静けさ。
堂々とした歩みでステージを登り、学園長の前へ出るゼフィルスに、みんな声が出せないのだ。
みんな、歴史的瞬間という貴重なシーンの立ち合いに 慣れた ( くんれんされた ) とも言う。
「〈3年1組〉は学年対抗戦優勝を達成し、非常に優秀な成績で1位に輝いたことをここに表する! この成果はいつまでもみなの心と学園の歴史に残るじゃろう。国立ダンジョン探索支援学園・本校、学園長ヴァンダムド・ファグナーより心を込めて祝いの言葉を贈る、おめでとう、〈3年1組〉」
「! ありがとうございます!」
そう言って学園長からゼフィルスに表彰状が贈られ、受け取った瞬間だ。
会場が爆発したかのような大歓声が響き渡った。
我慢していた分、爆発の威力は大きかったようで大歓声以外なにも聞こえない。
ゼフィルスは表彰状を掲げ、右へ見せ、左へ見せと見せびらかし、最後に「やったぞー! 3年連続クラス対抗戦、優勝だーーー!!」と言ってさらに会場を盛り上げていた。
◇ ◇ ◇
表彰式が終わり、ようやく落ち着いてくると、選手は解散だ。
そして俺たち〈3年1組〉は、自分たちのクラスに集まって打ち上げを敢行していた。
「さあ! 恒例の打ち上げをするぞー! みんなジュースは持ったか? 持ってない者はすぐに持て! これよりクラス対抗戦、そして学年対抗戦の打ち上げを行なう! みんなよく頑張ってくれた! 優勝できたのはみんなが頑張ったおかげだ! 〈3年1組〉の優勝をここに祝うぞ! かんぱーーーい!!」
「「「「「かんぱーーーい!」」」」」
優勝を祝って乾杯だ。
教室からはカランカランとコップを合わせる音が響き、みんなで勝利のジュースを飲む。一瞬教室がシーンと静まり、そして。
「お、美味しいいいい!!?? なにこれ!? なにこれ!? なにこれーーー!?」
「舌が蕩け、ほっぺが落っこちたかと思うたわぁ。すさまじく濃厚なリンゴジュース? こ、これ用意したのは誰や?」
「もちろんミリアス先輩だ!」
「やっぱりかいな!」
アイシャが普段とは偉く違う様子で目を見開いて「ひゃー」して、ハクはよろけた。立っているのを忘れる美味さだ。
バランスを崩して初めて自分は今立っていたんだと思い出す。それほどの意識を全部持っていかれる美味さである。
当然そんなことができるジュースは、1つだけだ。
「これが〈エデン〉が最上級ダンジョンで見つけたリンゴジュースで作った最強リンゴジュース! カクテルのように3種類のリンゴジュースを合わせて作られた、究極にして濃厚! その名も――〈究極リンゴ特濃ジュース〉だ!」
「美味しいわね!」
じゃじゃんと俺はグラスごと掲げ、この3連続優勝のお祝いにふさわしいものとアピールする。
側で満面の笑顔のラナが素晴らしい。
王女様のお墨付きだぞ!
「また、とんでもないもんを作りよってからにぃ。いや、これ、ほんと美味しいなぁ」
「うん。びっくりしたよ! え? もしかしておかわりあったりする?」
「もちろんだ! と言いたいところだが、これは〈エデン〉でも希少なものだから乾杯の時限定だな」
「ええ!? もう飲んじゃったよー!?」
「く、気が付けばカラや。美味しすぎたわ!」
アイシャもハクも気に入ってくれて何より!
そこからは、1人ずつ労いに行く。
「リーナ、今回もお疲れ様。みんな手ごわかったなぁ」
「特に最後の〈猫津波〉に意表を突かれましたわ~。さすがに〈猫津波〉に隠れたナキキさんを抑えるとなると、厳しかったですわね」
最後、シャロンの防壁は【破壊王】のナキキにぶっ壊されたのだ。
だが、その後のリカバリーは最高。しっかりパメラがナキキを討ち取った。
しかし、中に入られたのは事実で、〈1組〉は、初めて拠点にダメージを受けたのだ。
「拠点のHP40%も削られてしまいましたからね。いくらシャロンさんの城回復という奥の手があるとはいえ、正直焦りましたわ。あれほど追い詰められたのは1年生のクラス対抗戦以来ですわね」
「その経験が、功を奏したっぽいな。あの状況で正しく指揮が執れたリーナを俺は誉めつくしてやりたいと思う」
「まあ!」
1年生のクラス対抗戦ではリーナは〈1組〉側ではなかったからな。追い詰められ、拠点を落とされた経験を持っているのだ。
シャロンの防壁すら壊されるなんてことがほとんどなかった俺たちである。
リーナも結構焦った様子だ。だが、あそこまで追い詰められた貴重な経験があるのもまたリーナしかいない。
だからだろう、追い詰められてなおリーナの指揮に陰り無し。焦っていたというが、慌てたり指揮にほころびなんて出たりしていなかった。素晴らしい指揮だったと俺は絶賛したよ。
「にゅ~。ルルは不覚を取ってしまったのです~」
「大丈夫です。ルルは頑張りました」
なお、こちらではシェリアがルルを慰めている最中だ。
まさかのルル撃破だったからな。カルアは大金星だ。
あとでカルアにも何か褒美をあげよう。
ちなみにシェリアは憤っているかとも思ったが、小さくなるルルを慰めることに忙しくてそれどころではないらしい。ルルが負けるなんて今後あるか分からない大チャンス! この機会に味わい尽くす気に違いないぜ。
「お疲れ様ゼフィルス、みんな大健闘だったわね」
「シエラ」
シエラが周りを見渡しながらジュースを片手に俺の側までやってくる。
しかしその表情に険しさはない。むしろみんなの勝利を褒めてあげたいような笑顔だった。
「おう。ほぼ全クラスが敵だったのに、退場したのはたったの6人だったからな! みんなが頑張ったからこそ、踏ん張ったからこその勝利だな!」
〈3年1組〉は31人中アイシャとハクを除いて29人のLV100がいる。なら、あと20人くらいは相手側だ。その約20人のLV100と戦い、退場者6人で勝ったのだから大健闘である。しかも〈2年1組〉とあれだけの乱戦をしたのに退場者は居なかったのだ。リーナの采配が如何に輝いていたのかが分かるな。俺はニコニコである。
まあ、これにはもちろん別の理由もある。
俺が最強を目指すにあたり、強い 職業 ( ジョブ ) からスカウトしていったためだ。
つまり、強い 職業 ( ジョブ ) が3年生に集中しているのだ。
もちろん【嫉妬】や【強欲】などは2年生に居るが、それでも3年生の 職業 ( ジョブ ) の方が強いと言われているものは多かった。
加えて相性が良い相手を選んで戦力を投入したので勝てる確率は高かったのだ。
もちろん、ルルのように予想外に討ち取られてしまった、ということもあったけどな。
「シエラには今回も助けられた。ぶっちゃけ〈3年2組〉との戦い、シエラが居なかったら全滅もあったぞ」
「ええ。あそこで立候補してよかったわ」
東側のクラスが全員集合した時、シエラがレイドボスを5体も受け持ってくれたからこそ少人数であそこまで善戦できたのだ。マジシエラに感謝!
あれなかったら、マジで全滅していた可能性、あったからな。
あれのおかげで優勝を掴んだようなものだろう。
俺はシエラにとても感謝を贈った。
「はぁ。だが、クラス対抗戦。終わっちゃった~」
「そうね。また1年生からやり直さない限り、これで最後ね」
「! その手があったか!」
「え? 受けるの?」
「いや、言ってみただけだ」
「もう……」
まあ、考えなかったわけじゃない。
〈転職制度〉を受けて1年生からやり直せば、あと2年遊べる。
だが、俺の心はなぜかそっちに惹かれなかったんだ。
故にクラス対抗戦はこれで最後。だが、3年連続優勝だ。悪くはない。
なら、やり直さなくても別にいいだろう。俺は、現状に満足しているのだ。
「シエラ」
「なに?」
「これからもよろしくな」
「ええ」
短い答えだったが、俺たちには十分だ。
盛り上がる教室を見ながら、再びシエラとグラスをカランと鳴らした。
クラス対抗戦、3年間、お疲れさまでした!
―第四十八章― ―完―
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あとがき失礼いたします!
作者の大好きなお ★ ( 星 ) 様、お待ちしております!