第2114話 ついにラストダンジョン。〈神界ダン〉入ダン
第2114話 ついにラストダンジョン。〈神界ダン〉入ダン
「お、おい見ろ、〈エデン〉と〈エースシャングリラ〉だ!」
「す、すげぇ大所帯じゃん……」
「フル装備だ……! クラス対抗戦が終わったばかりだってのに、もうダンジョンに行くのかよ」
「また〈エースシャングリラ〉の育成かなぁ?」
「すでに〈エースシャングリラ〉は十分すぎるほど育っているんだがそれは?」
「なにせSランクギルドを差し置いて公式ギルドに追いついちゃったものね」
「みんなすげぇ豪華で煌びやかな装備してるんだよな。あれ、俺も欲しい!」
「〈エデン店〉か〈トップマリー〉で売ってるよ」
「あの値段、買えるか!? いや、でもいつか買ってみたい」
「最上級ダンジョン装備か~」
「ん? おいちょっと待て! 〈エデン〉と〈エースシャングリラ〉が別れたぞ!」
「へ? どういうこと!?」
「混沌の香りがする!」
「Sランクギルドのギルドマスターが居るんだけど!?」
「〈エデン〉はそのまま〈最上ダン〉の方へ向かっていくが、〈エースシャングリラ〉の30人は〈上上ダン〉に向かっている?」
「やはり〈エースシャングリラ〉に最上級ダンジョンは早かったのか?」
「ちっげぇよ! 注目するところはそこじゃねぇ! 〈エデン〉がフルメンバーフル装備で〈最上ダン〉に向かったってことだよ! 〈エースシャングリラ〉の育成関係なしにな!」
「ちょ!? なんか俺の脳裏にすげぇことが過った気がするんだが、〈エデン〉どこ行くの!?」
「え? いや、そんなバカな?」
「そういえば、〈エデン〉はクラス対抗戦が終わって時間ができたら次のダンジョンに行く、的な宣言をしていたような……」
「やっぱりそうだよな! 確かめに行かねぇと!」
「まさか、そうなのか? 〈エデン〉は素材集めとかに攻略済みのダンジョンに行くんじゃなく、未知のダンジョンに入ろうとしているってことかよ!?」
「まだ、分からないわ。でも、もしそうならこれはビッグニュースね」
「あれ!? あなたは実況ゲストの……!」
ざわめく学生たちが見てくる視線を受けながら肩で風を切って歩く。
〈エースシャングリラ〉のみんなと別れてから、なんとなく勘が良い人たちが言い当ててきている気がするんだよなぁ。
俺たちの行動力が、よく見えているんだぜ。
あと気のせいかな? 視界の端に〈メビウスの輪〉っぽいものが見える気がする。もしかして、これも歴史に残っちゃう系?
いやぁ、参っちゃうなぁ。(全然参ってない)
そんなことをキリッとした顔を維持しながら考えつつ、俺たちはついに〈最上ダン〉に到着。
建物に入ると、ケルばあさんが受付に腰かけていた。すでにセレスタンがお願いして来てもらっていた様子だ。
「来たね〈エデン〉のみんな。元気そうだねぇ」
「ケルばあさん! 来ていただきありがとうございます!」
「今日も綺麗なもんさね。どこに行くんさね?」
「はい。本日は――〈神域の神界ダンジョン〉へ入ダンしたいです」
「ほう……」
恒例のケルばあチェック。
これは難なくクリアだった。よし、〈神域の神界ダンジョン〉に入ダンする予定でも、俺たちの運命に陰り無しだ!
地味にこのチェックは大きい。これで予定通り進めそうだな!
「ランク5――最後のダンジョンかい。しかし、みんな綺麗なもんさ。〈エデン〉には十分その資格があるみたいさね」
「手続きお願いできますか?」
「もちろん構わんよ。頑張っておいで」
「はい!」
ケルばあさんに手続きをしてもらったら、そのまま〈神界ダン〉の入門口に向かう。
最後の入門口だ。その前に立ち、全員でダンジョン門を今一度見つめた。
なんだか、感慨深い思いだ。
やはり、最後のダンジョンだからだろう。
一度目を瞑り、ジーンと感動したのち、再びキリッと目を開けてみんなに向き直る。
「みんな、ケルばあさんの話を聞いたな? 俺たちはすでに〈神界ダン〉を進む地力を持っているってさ! 大丈夫だ。恐れることはない! いつも通り〈神界ダン〉の調査をしながら攻略の道筋を探っていくぞ!」
「「「「「おおー!」」」」」
「出発だー!」
こうして俺たちは最後のダンジョン、〈神界ダン〉へ入ダンした。
そこは〈聖界ダン〉で見た雲の上に近いが、また違う、空の上に浮かんだ島の聖域だった。
「ここ、〈空島ダン〉?」
「似ていますが、神々しさが段違いです」
「ええ。太陽の光とは違う、この柔らかく注ぐ光が原因かしらね」
早速〈神界ダン〉の様子を確認したラナの呟きはまさに的を射ていた。
これまで見て来たダンジョンの中で一番近いのは〈空島ダン〉だな。
だが、結界に覆われている。
外界から切り離された別世界にして、神様が住まう場所。
そこに空から神々しい光が降り注いでいた。太陽の光のように熱くない、上から下に降り注ぐのが見えるような光だ。幻想的で美しい。
「美しいですわ」
「きれいです~」
「うん! なんかここでライブしたらすっごく映えそう!」
「その発想はなかったな」
リーナとラクリッテが光の雨にうっとりしている横でノエルがこの光をスポットライトと勘違いしていた。
いや、確かに降り注ぐ光ってっぽいけどさ。どちらかというとノエルよりオリヒメさんの方が映えそうと思ったのは内緒なんだぜ。
「それで、あれは何かな?」
「赤い建物?」
「ダンジョンの中に建物があるなんて。もしかしてボス部屋?」
サチ、エミ、ユウカの言う通り、この空に浮かぶ島にはなんと建物が存在した。
赤をベースにした和風の神社のような建物だ。まさに神域に建つ建物という雰囲気。
そして、それ以外には森林と道しか見えなかった。つまり。
「ここ、もしかしなくてもバトルタワー型ダンジョンではありませんの?」
「お、ノーアもそう思うか」
ノーア当たり。
最後のダンジョンにして最上級ダンジョンのランク5、〈神界ダン〉のコンセプトは――バトルタワー。
これまでも中級、上級ダンジョンのランク10は全てバトルタワー型だったからな。
エクストラダンジョンも〈道場〉がバトルタワー型だし、想像しやすかったかもしれない。
〈ダン活〉では、そのダンジョンの等級の最後はほぼバトルタワー型で締められているのだ。
「えっと、つまりあの神域の建物へ行くと、何かと戦うことになる、と? あれ? これもしかして、私いらない!?」
「落ち着きたまえカイリ君。これだけ森林があるのだ。建物に行く前にやるべきことがあるはずだよ」
「あ! 確かにそうだった。ありがとうニーコ君! 採集物とか探してみる!」
おっとここで探索特化のカイリがなんだか気づいてはいけないことに気づいてしまったようにガビーンしていたが、ニーコがフォローして何とかセーフ。
まあ、バトルタワー型だとカイリの役目ってほとんどないもんな。探索する場所なんてほぼないし。
だが、この〈神界ダン〉ではバトルフィールドに向かう前に空島の探索ができるのでカイリも役立つことが可能だ。
「採集物があるなら僕たちの出番だね!」
「―――!」
「ここの樹って 樵 ( こ ) っちゃっていいのかい?」
「向こうに池っぽいのがあるんだけど、釣りもしちゃっていいのかな?」
なお、こんな神様が住まう場所の庭で採集活動とか本当にしちゃっていいのかと〈採集無双〉のみんなもビビっていたりするな。
大丈夫だ。天罰とか無いから。まあ、罠はあるけど。
それはカイリが張り切って見抜いたり解除したりして安全を確保していくので大丈夫っぽい。
「わ~。最上級ダンジョンで採れる採集物、みんな採れるっぽいよ~?」
「まさか、まさかまさか! 〈オリハルコン鉱石〉だと!? 1層で!? こんな露出した鉱床から!?」
「なんだいここ? 素材の採集がはかどるなんてもんじゃないよ!? この質、どうなってんだい!?」
「ちょ、これ〈ゴッドゴールデンカープ〉って、金色の 鯉 ( コイ ) なんだけど!? え? え? これ観賞魚!? 釣っちゃってよかったのか!?」
早速〈採集無双〉の方が慌ただしくなっているな。
森林には池もあって、そこでタイチがコイを釣り上げて足を震わせていた。
ばっちり観賞魚だな。きっとここに居る神様が池に放していたのだろう。
高く売れるよその換金アイテム。
そう、最後のダンジョンだからね。
レア度の高い採集物が当たり前に採れるのだ。
素材があっても金が足りないという時は換金アイテムをフィッシュすれば解決。
ここで装備、アイテムを充実させることができる、まさにラストダンジョンだ。
「あ、でも採れる量はそこまででもないみたいです」
「次の階層へ早く行くぞい!」
「ソドガガ、マジでオリハルコンが絡むと饒舌になるねぇ」
「池のコイ、全部釣っちゃった……」
こうして1層の採集物を全て取り終えると、俺たちも大体このダンジョン1層フィールドの全貌が分かってきたので、そろそろ出発だ。
いざ、最初のバトルタワーへ!