第2116話 レイドボスバトルタワーにして進化タワー!
第2116話 レイドボスバトルタワーにして進化タワー!
―――〈ゴッド・ファースト・クマアリクイ〉。
つまり大きい大きい、レイドボス並に大きくなった――〈クマアリクイ〉である。
また〈クマアリクイ〉かよ!
最初のボスなのに〈クマアリクイ〉出すぎ!
「クマなの? アリクイなの? ゴッドなのー!?」
誰かが混乱して叫んだ。ありがとうございます!
ちなみにアリクイだ!
「グマーーーーー!!」
鳴き声「グマ」だけど!
「! 防ぐわ――『アブソープション・ワン・フォートレス』!」
初手は〈クマアリクイ〉から。
その振るわれる剛腕はとても懐かしい。
〈ゴッド・ファースト・クマアリクイ〉は、〈万界ダン〉に登場した〈クマアリクイ(最終形態)〉とは違い、姿も形も〈熱帯の森林ダンジョン〉の最奥ボスをしていたただの〈クマアリクイ〉と同じなのだ。ちょっと(?)大きくなっちゃった〈クマアリクイ〉なのである。
故にその攻撃も似ていて、というか全く同じで、振るわれた剛腕の動きが見事に過去の〈クマアリクイ〉と合致する。
だが、その威力と大きさは全く違う。シエラの巨大な防壁をぶっ叩き、そのまま連続攻撃の剛腕を叩き込む。その度にズドンズドンとすさまじい衝撃音が届いたのだ。
「アタッカー準備! タンクチェンジ! ラクリッテ!」
「バフ流すよ~『プリンセスアイドルライブ』♪」
「ポン! 今こそ現れるは最強無敵の盾狸王――『 幻獣霊最強 ( げんじゅうれいさいきょう ) ・ 狸王様完全盾 ( たぬきおうさまかんぜんたて ) 』!」
「グマーーーー!?」
ノエルの歌が響き、アタッカーがいつでも攻撃できる準備を整えたところでラクリッテの最強盾を顕現させ、シエラのスキルを解除する。
ラクリッテの盾狸王にはタゲ誘導効果があり、自分を攻撃するよう仕向ける特性を持つ優秀なサンドバッグだ。
〈クマアリクイ〉が見事に盾狸王に飛びかかったところで待ち構えていたアタッカーが攻撃開始。
「今だ! 『 天光勇者聖剣 ( あまのひかりのゆうしゃせいけん ) 』!」
「グマ!?」
「普通の〈クマアリクイ〉なら3000回は倒せる攻撃よ! ――『大聖光の無限宝剣』!」
「懐かしい相手ですが、手加減はしません――『 彗星槍 ( すいせいそう ) 』!」
「ん、隙だらけ――『512・ヘル』!」
「私も叩き込もう――『二刀斬・ 一念通天 ( いちねんつうてん ) 』!」
「ルルも行くのですー! もう負けないのです! 『ヒーロー・セイバー・モーメント』! 『神世界インフィニティ』なのです!」
「グマーーーー!!」
俺の『聖剣』系スキルで動きを一瞬止めた瞬間の一斉攻撃。
〈クマアリクイ〉のHPがガンガン削られていく。
だがそのHPは膨大。
普通の〈クマアリクイ〉なら俺の『 天光勇者聖剣 ( あまのひかりのゆうしゃせいけん ) 』で切られた時点でHPをゼロにしているはずが、ここでは僅かなダメージしか与えられない。アタッカーたち30人以上が余すことなく攻撃を当てても3本あるHPバーの内1本目を半分しか削れないアンビリーバボー。
いや、結構削れている方だけどな。
「ゼフィルス! 今気が付いたんだけど、この〈クマアリクイ〉、「グマ」って鳴いてるわ! ついにクマに転向したのかしら?」
「確かに! 〈クマアリクイ〉の鳴き声って「ガアァ」だったもんな!」
「2人ともそんなこと後にしなさい。そろそろ1本目のHPバーが消えるわよ!」
ラナから有益な情報を得て吟味していると、シエラから注意が届いた。
だって仕方なかったんだ! もうみんな知っているのだ、こいつがアリクイだってことを! なのにちょっとクマ要素を厚めにアピールしてきたらさ、気になっちゃうじゃん?
そんな視線でシエラを見てみたが、シエラからの答えはジト目だった。ありがとうございます!
「『ゴッドドラゴン・カンナカムイ』!」
「! 1本目のHPバーがゼロになったわ!」
「少なくとも、〈バトルウルフ(最終形態)〉よりも手ごたえは少ないかしら?」
「形態変化しますわ!」
手ごたえとしては〈樹界ダン〉最奥ボスでもあった〈バトルウルフ(最終形態)〉の方が手強かった感。まあ、こっちは1層だしな。シエラやラクリッテが単身で攻撃を防げるレベルだった。
実際のステータスはこっちの〈クマアリクイ〉の方が上だが、俺たちとボスの戦力差はむしろ縮んでいるのでそう感じるのだ。
1本目のHPバーがゼロになった〈クマアリクイ〉は、なんと体の色が大きく変化。
さらに背中にはアルマジロの 鱗甲板 ( りんこうばん ) が現れる。あれは。
「グマーーーー!!」
「これって、ゼフィルスを倒した〈ビビルクマジロー〉じゃないの!」
「「「「ええ!?」」」」
「よく覚えてたなラナ!?」
そう、あれは 中級下位 ( チュカ ) の1つ、〈 六森 ( ろくもり ) の 雷木 ( いかずちもく ) ダンジョン〉の徘徊型にして、俺をダウンさせたこともある、脅威のボス。
〈ビビルクマジロー〉のレイドバーションだったのだ。
なお、2年生たちがラナのセリフを聞いてむちゃくちゃびっくりした声を出してこっちを振り向いているのはご愛敬。
俺たちも1年生の時は若かったのさ。あのシエラだってダウンしたことがあるんだぞって言ったら、果たして2年生はどんな反応をすることやら。ちょっと楽しみである。
「シャロン!」
「『ゴッドオリハルコンランパート』!」
ビリビリ来る拳を叩きつけんとしてきた〈ビビルクマジロー〉だが、シャロンの防御に阻まれる。しかし、シャロンのオリハルコンの防壁には、盛大な亀裂と凹みが現れていたんだ。
「うひゃ!? 火力上がってるよ!」
「これ、〈クマアリクイ〉じゃないわ!」
「『看破』なのだよ! え、こりゃあ!? 〈ゴッド・ファースト・ビビルクマジロー〉!?」
「名前変わってるの!?」
第二形態の見た目は完全に〈ビビルクマジロー〉。
ニーコが機転を利かせて〈幼若竜〉で『看破』すると、そこに現れた名前はさっきの〈クマアリクイ〉とは別物。
そう、今回の形態変化は――進化なのだ。
「ヴァン! フォロー準備!」
「了解であります! 『防御に勝りし壱ノ城』! 『気合いで打ち勝つ弐ノ城』! 『最後の砦の参ノ城』!」
「遠距離アタッカー、攻撃開始ですわ! 『決戦兵砲・ノヴァブレイカー』!」
「グマーーーー!!」
「きゃああ!? 私の防壁が壊されたーー!?」
火力はかなり上がっており、さっきまでLV100が1人で防げていたのに、第二形態ではシャロンの『ゴッドオリハルコンランパート』が4発で壊された。もちろんヴァンが後ろで準備していたので問題ない。
すでに『六ノ城』まで建築したヴァンの城は早々全て破壊できないからな。
「グマーーーー!」
「この形態でも「グマー」なのね!」
「ああ、〈ビビルクマジロー〉の時は「ビビルー! ビビッテルー!」とかだったもんな! つまり見た目は〈クマアリクイ〉や〈ビビルクマジロー〉だが、中身は違う可能性があるぞ!」
「!!」
ラナは本当に良い着眼点をしてる。
考察しているように見せてヒントを出しまくりつつ、ボス撃破も進める。
防御力も結構増していて、2本目のHPバーがゼロになったとき、時間は1本目より1.5倍は掛かってたからな。
「次も進化? あれは!」
「ぼくに任せたまえ――『看破』! やっぱり、こいつは 上級下位 ( ジョーカー ) のランク8、〈雷庭の屋敷ダンジョン〉の徘徊型、〈ビリビルクマサブロー〉だよ! 〈クマアリクイ〉の進化系列ばかりさ! 名前は〈ゴッド・ファースト・ビリビルクマサブロー〉だ」
「段階的に進化し、別物になるボス、ということですの?」
「今度は上級のボスがレイド化していると考えろ! 中級ボスの比じゃない可能性が高いぞ!」
「「「!!」」」
「グマーーーー!」
「やっぱり鳴き声はグマーだわ!」
俺の声にみんなが気を引き締めたのを感じた。
その後のラナの指摘はお約束ということで1つ。
「ぬおおおお!? 我が城が耐えきれないというでありますか!」
「やっぱりかなりパワーアップしてるな! 2タンクで行くぞ! フィナ、トモヨ!」
「はい――『天域大結界』!」
「隣いっくよー『主の盾』!」
「グマーーーー!!」
ヴァンの六ノ城もガンガン破壊され、1タンクじゃ防げないほどにパワーアップしていることが判明すると、2タンクで耐える。
フィナとトモヨを並べてバリアを張らせると、攻撃をかなり耐えられることが判明する。
「よし、2タンクでいけるな! アタッカー攻撃開始! 次はナキキとモニカがスイッチだ!」
「はいっす!」
「了解でやがります!」
タンクが耐えられることを確認したら、アタッカーで攻撃開始。
レイドボスとはいえ、いつも戦ってきたレイドボスと比べると戦いやすい部類。
何せ、ボスの挙動が過去と変わらないからだ。
まあ、形態が変わると丸っと挙動も変わってしまうので慣れるのに時間が掛かる場合もあるだろう。そういう意味では厄介だが、今回は大きな攻撃の変化は無かったのでそこまで問題は起きず。
「グマーーーーー!?」
「! 今だ! 『インフィニティ・バニッシュセイバー』!」
「『スターソニック・レインエッジ』! 『256ジ・エンド』!」
「『必殺の太刀・六閃華』!」
「とう! 『ヒーロー・スターレイ』! 『大回転超切斬』なのです!」
怯んで大きくノックバックした隙を逃さずアタックすると、ダウンを取る前に〈クマアリクイ〉、いや〈ビリビルクマサブロー〉のHPがゼロになり、膨大なエフェクトの海に沈んで消えていったのだった。
「これが、〈神界ダン〉のバトルタワーなのね」
シエラの呟きが、今のみんなの共通の思いだな。
〈神界ダン〉は、レイドボスの力が格段に上がっていく、進化型バトルタワーなのだ。