第2124話 朗報!〈神界ダン〉の報酬は取り放題!?
第2124話 朗報!〈神界ダン〉の報酬は取り放題!?
「あ! ゼフィルスさん、外にショートカット転移陣が現れましたよ!」
「お! サンキューモナ。みんな、見に行こうぜ!」
5層のボスを倒し終わると出入り口が開かれるのは通常の最奥ボスのボス部屋と同じ。
少し違うのはボス部屋の前にショートカット転移陣が現れたことだろう。
これ、一回戻らないと発見できないのだ。ボス部屋の入り口付近に現れるものだから。先に進むと見逃しちゃって、帰り方が不明となることも多かった。
でも外で待機していたモナたちが見つけてくれたので、ここでは自然に発見できたな。ゲームの時のように彷徨わなくてよかったよ。
「確認した。これは他のダンジョンと同じように1層と繋がっているショートカット転移陣だな」
「うむ。魔法陣の形が他の5層のショートカット転移陣と同じだね。これでここまでは簡単に来られるというわけだ。それと、1層のボス部屋がどうなっているかも見てみたいのだが、勇者君、いいかい?」
「ちょうど俺もそれを提案しようとしていたところだ。調査報告書にも書きたいし、色々検証しないとな」
ということで午後は少しこの〈神界ダン〉を検証することにした。
ニーコが言っているのは、俺たちが1層のボス部屋を通過したあと、あのボス部屋は復活しているのか、素通りできるのか、という意味である。
これまでの最上級ダンジョンの30.5層や60.5層は、いわゆる守護型ボスの枠に存在していたため、1日1回リポップ。つまり1度倒せばその日は自然には復活しない類だった。
まあ守護型と違うのはレイドボスの場合、専用の〈竜笛〉を使えば日に何度もリポップさせられる点だな。守護型の〈笛〉は存在しないのだ。
もし守護型の〈笛〉が存在すれば、レイドボスも復活させられちゃうからな。
というか、基本ボスは1日1回ポップだ。
本来であればボスは1日経たないと復活はしないのが正解。
だが、ここはバトルタワー型ダンジョン。
バトルタワー型は同じ日にやり直すとリポップするのだ。いや、サーバーが違う場所に送られるというイメージが近いか。同じサーバーのバトルタワーに再度挑戦することは同じ日もできないという仕様になっている。
故にショートカット転移陣で戻ったら同じバトルタワーなのか? 一度ダンジョンを出て入りなおせば別のサーバーに送られるのか?
その辺の調査をしたいとニーコは言ってきたわけだ。
そうして調べた結果。
「うむ。やはりバトルタワーでズルはできないみたいだね!」
「一度ダンジョンから出て入りなおすと復活済み。これは〈笛〉要らずで助かるな!」
「ショートカット転移陣で1層に戻っただけだと同じバトルタワー内だけど、一度ダンジョンを出てしまえばリセットないし、別のさーばー? に送られるということだね」
つまり、俺たちがバトルタワーのボスを倒し、他の誰かに後ろを素通りさせることは不可、ということだ。モナたちみたいに同じレイドパーティに入っている数人の『ゲスト』なら通過だけは可能だが、他のレイドパーティは別のサーバーに送られてしまう模様だな。
また、一度でもダンジョンから出たらダンジョン内のみんなと合流できないので注意だ。別のサーバーに送られてしまうのだからさもありなん。
俺もニーコも一度出て入りなおしたところみんなと合流できなくなって、ニーコがちょっと焦っていたからな。
結局〈 学生手帳 ( スマホ ) 〉でみんなとやり取りして、もう一度ダンジョンを出てダンジョン門で合流。また〈神界ダン〉に入りなおしたのだ。
「さあ検証は終わったね。勇者君、次はどうするかね?」
「さて、どうしようかな~。周回いっちゃう?」
「良いわね! まだ時間はたっぷりあるんだし、ボスを周回してみましょ! 報酬も気になるわ!」
「さすがはラナ殿下だ、話が分かる!」
ということで、1層から5層をもう一度マラソンすることになりました!
ちなみにモナたちは、サーバーが変わったのを証明するかの如く採集ポイントが復活していたので採集に励んでもらっている。
〈神界ダン〉の凄いところは、ボス戦をしなくてもダンジョンから出て入りなおすだけで無限に素材が確保できることだろう。絶対将来的に値崩れするのでモナたちには今のうちに採集頑張ってもらわないとな。
モナたちが採集に励んでいる間に俺たちもボスを撃破だ!
「ニーコ! 『レシピドロップ率アップ』と『装備全集ドロップ率アップ』をオンだ!」
「任せたまえ! 今度こそレシピを当てるのだよ!」
早々に1層、2層と順調にボスを倒すが、ドロップは全て現物装備だった。
ニーコが『レシピドロップ率アップ』でレシピにドロップを偏らせているはずなのにである。
これにはニーコも非常に唸る。そして3層目。
「な、なぁんだってー! どれもこれも現物ドロップじゃないか! ひゃっほー!」
「ニコちゃん、喜んでる喜んでる!?」
「目的はレシピだったはずでしょー!」
「〈宝砲〉〈神剣〉〈王衣〉〈王靴〉、ドロップの名前がどれも強いね……」
「も~、ニーコ君は宝剣宝槍の類に慣れるまでだいぶかかりそうだね」
レシピが目的のはずだったのに、違うのが4つ出てはしゃぐニーコのテンションが迷子中。
すぐにサチたちやカイリがツッコんでいたな。良いものが見れた。
「3層連続現物ドロップ。これは、3層まではレシピはドロップしない可能性が出てきたか?」
「え? そんなことがあるの?」
俺の呟きに反応したのは戻ってきたカイリ。
ちょうどいい相槌だったので続ける。
「可能性の話だけどな。だが、3層までは 初級下位 ( ショッカー ) のボス、4層からは 初級中位 ( ショッチュー ) のボスが登場する。ドロップの中身がガラッと変わってもおかしくはない」
「言われてみれば、確かに?」
「次の4層でレシピがドロップすれば、可能性はかなり高くなるだろうぜ」
「聞いたニーコ君? はしゃいでないで次行くよー」
「ああ!? 待ちたまえ勇者君、カイリ君! ぼくより先に楽しむなんて許さないよ!」
相変わらずニーコが混乱している様子が実に良き。いつまでも混乱中のニーコを拝みたいものだ。
そんなことを心の中で思いながら4層の〈エンペラーゴブリン〉に「やぁ! さっきぶりだな!」とあいさつしながら挑戦し、撃破すると、ドロップの中からはしっかりとレシピが3枚出てくることになった。
「ふおおお! ひゃっほー!」
「今度は〈王剣〉に加えて【バーバリアン】【アイ・アム・ソードマン】【アイ・アム・ソードマン】のシリーズ装備全集レシピがツモった!?」
【アイ・アム・ソードマン】の専用装備が早くもダブったーーー!?
え? 〈エンペラーゴブリン〉よ! 【アイ・アム・ソードマン】推しなのか!? これを使えということなのか!?
俺の心の中の〈エンペラーゴブリン〉が親指を立てながら「強いぜ?」とニヤリとした決め顔を作っていたような幻影が思い浮かんだ気がした。いやきっと気のせいだろう。あのソードマン先輩の印象が強すぎたのがいけないのだ。
はしゃぐニーコを連れて5層再び。
しかし、ここでハプニング発生!
「ここ、もう一度やるの? あっちの方がいいんじゃないかしら?」
あ! シエラがショートカット転移陣の方を向きながら勧めてきてる!?
誰だあんな幽霊ボスの手前にショートカット転移陣なんか設置したのは!
「シエラ君、ど、どうかご一考をお願いするのだよ!」
「…………ゼフィルス。ちゃんと守ってよ?」
「!! もちろんだ! 俺がシエラを守る! 任せておけ!」
ニーコ、混乱から覚める。そして深々~とお願いしたことでなんとか許可が下りた!
やった! ニーコと俺は勝利したんだ!
「さあ! 〈デブブ〉の報酬を拝みに行くよ! なんか数少ないチャンスな気がするのだよ!」
「それは気のせいであってもらいたい!?」
なんかニーコが恐ろしいことを口走っている。俺の5層~10層を何度も周回する野望が危うい!? まさかの5層のガーディアンに俺もニーコも戦慄を隠せなかった。
撃破した〈デブブ〉は2本の〈宝杖〉と〈神杖〉、そして2枚の専用装備の全集レシピをドロップした。
内容は――【マジックキャスター】、それに――【賢王】だったのだ。
「うおっし!!!!!!」
「たはは~! メルト様が珍しく嬉しさを爆発させているよ!」
「あ、今の、ちょっと良かったかも」
おお! ここでメルトの【賢王】の専用装備キターーー!!
メルトの珍しい喜びの姿はミサトとシャロンにも中々に刺さった模様。
すまん、スクショは撮れなかったんだ。
メルトにもう一度……え? 無理? そっか~。
メルト、なんだかんだ言いつつ一昨日の〈クラス対抗戦・カイエン杯〉でカルアに負けたこと気にしてたな? 超喜んでるぜ。
「勇者君、ここは危険だ。6層に早々と向かうべきだと思うのだが、どうかね?」
「ああ。実は俺もそう思っていたところだ」
ニーコと打ち合わせ。5層は危ない。何度もやり直せないことが判明……!
ここは先に進むと言わなければシエラのツンが脇腹に炸裂してしまう気がする……!
時刻は16時ちょい。
ゆっくり進むと言ったが、ここで急遽方針転換、みんなにこう提案する。
「みんなどうだろう、レシピは1層から3層までは手に入らない可能性が高い。ここはもう少し先、6層へ向かってみないか?」