第2126話 バルフ周回!ここのレシピは俺に任せてくれ!
第2126話 バルフ周回!ここのレシピは俺に任せてくれ!
「さあバルフ! 私に良いものを落とすのよ! 『神の天誅』!」
「「「クゥーン」」」
そんなやり取りがあったりなかったりして、俺たちは無事6層も突破した。
お疲れさまだぜバルフ!
「ドロップは!?」
「レシピはキタかね!?」
「落ち着け2人とも、〈金箱〉は逃げないぜ!」
すでにバルフは記憶の向こう側に放りだされ、ラナもニーコも〈金箱〉に夢中だ。俺だけはバルフのことを覚えておくからな!
クジを引いて、いざ〈金箱〉オープンだー!
結果はレシピが2枚。現物装備が2つだった。
こいこい! マリー先輩の最終装備来い!
6層では【服飾師】上級職の最終装備が当たるんだ!
しかし結果は「狼人」系の上級中位職【ウルフハンター】と、テイマー系の上級高位職、【プライド】の最終装備だった。オーノー!!
しかも 狩られ ( ハントさ ) ている上にテイムされてる!?
バルフは大丈夫か!?
「やっぱりレシピは専用装備系が多く出るのが特徴みたいだね」
「そこに気が付くとはお目が高いじゃないかニーコ!」
現物ドロップは〈王拳〉と〈神拳〉だった。両方とも立派な拳だったよ~。
だが今まで当たった〈王〉〈神〉〈宝〉系は全て汎用装備。
現物ドロップの専用装備は当たっていない。
だがレシピの方は全てが専用装備だ。しかも最終装備だった!
まあ、これはニーコの働きが大きいのだが、浅層ではこれが普通だな。
最初は汎用装備の現物がドロップして、専用の最終装備レシピはレアなのだ。
「さあ時間はあるが、どうするニーコ?」
「決まっているじゃないか勇者君。そろそろ〈笛〉の検証もしたいと思っていたところだったからね」
「決まりだな。――みんな! 進むのは一旦止め! 今日はここで少し周回するぞ! なにせ、次に6層ボスに挑戦するには5層ボスを倒さなくてはいけないからな!」
「賛成よ」
俺たちの提案に真っ先に賛成したのはもちろんシエラだ。
非常に神妙な顔をしながらいつの間にか俺の斜め後ろに控えている!
さすがはサブマスター、きっと俺を立ててくれているのだろう。俺に気づかれずにいつでも脇腹を狙える位置だからではないはずだ。違うよね?
「良いわね! 実は私ももうちょっとバルフとやりたかったのよ! なんだかね、うずうずする気がするの。なんでかしら?」
「そりゃあ、今までバルフとやったら周回に移行していたからに決まってる! きっと体が、バルフとは何度も連戦するものだって認識してるんだよ!」
ラナが空の宝箱を見ながら小首をかしげるので俺は経験上の話をしてあげる。
その経験。俺も覚えがあるんだぜ。バルフと戦うと、なんか不思議と周回したくなるんだよな!
「ゼフィルス殿?」
「あ、待ってシズ。話せばきっとわかる!」
なんか従者が俺に銃を向けようとしてきた。
大事な王女様にいつの間にか変な癖を植え付けたのがお気に召さなかったらしい。な、何か言い訳を!
「シズー! なにしてんのー! 〈竜笛〉出してちょうだーい!」
「……ゼフィルス殿、この話はあとで詳しく」
「おう……」
一先ず助かったが、先送りだけな気がしないでもない。
何か助かる言い訳か貢物を用意しなければ。
「それじゃあラナ殿下にこの〈竜笛〉を吹いてもらうよ。これは実験さ。このダンジョンはバトルタワー型だからね。未だかつてバトルタワーの道中で〈笛〉の類が成功したことは無かった。もしこれで成功すれば――」
「それじゃあ吹くわね! 貸してニーコ!」
「ああ!? まだ説明の途中なのだよ!?」
シズからニーコへ、ニーコからラナへ。〈竜笛〉がバトンのように渡る。
ニーコが熱くこの〈竜笛〉の成功がどれほどの可能性を生むかを語ろうとしたところでラナがひょいっと攫っていったのだ。
うむ、みんなニーコの熱い演説よりそっちの方が興味深かったのでラナが正解。
ラナがまるで王女のように(いや、実際王女なんだけどたまに忘れそうになるんだ)優雅に笛を吹くと、空の宝箱が消え去り、大きな魔法陣が生まれる。
「やったわ! 成功よ! バルフが出るわ!」
「おお! おおおおお! やはりこのバトルタワーでは〈竜笛〉での周回が可能なのだね! これはすごい発見だよ!」
ラナとニーコがはしゃぐ。はしゃいでいる理由はまるで別物だけどな!
メタなことを言えば、ここはゲームのラストダンジョン、〈神界ダン〉なのだ。
ボス周回するのに〈竜笛〉が使えなかった場合、入りなおしてレイドボスを最初から倒しながら登らなくちゃいけない。うん、非常に面倒である。
故にお手軽に周回できるよう〈竜笛〉が使えるよう設定されているのだ。
これ秘密な?
「ウォーン!」
勇ましくご登場する〈ゴッド・シックスス・バトルウルフ・ワン〉。
だが遠吠えして4体の眷属を生み出しながら俺たちを見た瞬間、一瞬固まったのはきっと気のせいだろう。尻尾も半分くらい下がった気がするのも、きっと気のせいなのだ。
「さあトドメよ! 『神の天誅』!」
「「「クゥーン……」」」
デジャブを感じる。いや、これもきっと気のせいだな。
ドロップはレシピが2枚、現物2つ、だった。
レシピは「獣人」系の上級中位職【ビーストマスター】。
そしてもう1枚は「公爵」カテゴリーの上級高位職、【学園長】の専用装備レシピ!?
まさか〈バルフ〉、学園長に助けを求めたとでもいうのか!?
学園長を驚かせたかったらこれを持ってすぐに帰れ、というメッセージだとでもいうのか!?
なんちゃって。
「もう1回だー!」
「おおー!」
もちろん俺たちは帰らず、次の周回に移行したのだった。
「ゼフィルス先輩が燃えているですの!」
「なんか〈万界ダン〉でも同じようなことがあった気がするんだよ!?」
「ええ。多分、欲しかったものが出なかったのね」
「初めて来た場所なのに欲しいものが出ることを知っているってことでやがりますか!?」
「ゼ、ゼフィルスだもんね……!」
む! なんだかツッコミ組にシエラが混ざって談笑してる!?
ちょっと俺も混ぜてもらってもいいでしょうか!?
彼女たちの会話が、非常に気になるのだと『直感』さんが言っている気がするんだ!
「さあ! 〈竜笛〉を吹くわよー!」
しかしラナが〈竜笛〉を吹いてレイドボスをリポップしてしまったので中断。
3度目になる周回を敢行したのだった。
「「「クゥーン……」」」
今度こそー!
「ああ!? 現物が4つ!? レシピが無いわ!」
「なんだってー!?」
3度目の周回からすでに2時間弱。現在7周目。
だが、まずレシピ自体当たらないというアンビリーバボー。そんなー。
「くぅ、ここで引き下がるのは悔しい。シエラ、もう1回行けるか!?」
「そうね、時間はあと1戦分なら……みんなはどう?」
「良いわよ!」
「…………」
シエラの問いは多分ラナと俺とニーコ以外に向けたものである。
でも真っ先に答えたのはラナだった。うむ、ここは引き下がれない。
最後の正直だ!
「みんな、今日はこれでラストにしよう! 俺の勘がここで良いものが来そうだと言っている気がするんだ!」
「なんだかそう言われると、私も良いものが落ちそうな気がするわ!」
「ごくり。ゼフィルス先輩とラナ殿下が揃って良いものが来そうだと言っているんだけど!?」
「割といつものことですの!」
「でも、それいつも良いのがくるパターンなんだよね?」
カグヤ、サーシャ、クイナダのツッコミと観察眼が素晴らしい。
そうだ! 次こそ来る気がするんだ! ですよね〈幸猫様〉!?
最終的にみんなのOKを貰えたので実質本日最後の周回だ。
これで出なければ、マリー先輩の専用装備はしばらくお預けになりかねない。
お願いします〈幸猫様〉!
「「「クゥーン……」」」
バルフのレイドボス形態も数をこなせばだいぶ慣れてきて、今では15分ほどで倒せる。
ドロップしたのはいつも通り〈金箱〉4箱ビューティフォー!
クジで当てたのは、なんとニーコ! またかよ!?
「さあ、来てくれたまえ。何が来てほしいのかはさっぱりだけどね!」
そんなことを呟きながらニーコが開けると、レシピが1枚。他の3つはなんと現物ドロップだった。
ドキドキ。正真正銘、これがラス1?
お願いします〈幸猫様〉!
「『解読』です!」
エステルが『解読』し、レシピが読めるようになると、そこにはこう書かれていたんだ。
「これは――〈 魔錬服飾王 ( マギクロスアデプト ) シリーズ〉装備全集レシピだってー!?」
「マリー先輩専用装備キターーーーー!!」
俺たちの祈りが〈幸猫様〉に通じたんだーーーー!!
「マリー先輩の専用装備ですって!?」
「ええ!? なにそれ、すごいじゃないのゼフィルス!」
「そうだ! これはすごいことだぞ! なにせ生産職が今以上にパワーアップするってことだからな! そんな生産職から作られた 装備 ( ・・ ) がさらにパワーアップしてしまうってことになるんだ!」
「「「「「わあああああああ!!」」」」」
ハンナの専用装備で一度やっているので浸透は早かったんだぜ。
みんな、このレシピのすさまじい価値にひれ伏しかねない様子だ。俺もひれ伏したい。
よし、このレシピは俺に任せておけ!
しっかりとマリー先輩の度肝を抜いてきてやるからな!!
――――――――――――――――
あとがき失礼いたします!
昨日コミックス第32話が公開されました!
今回は〈エンペラーゴブリン〉との再戦!
ハンナとの朝食回から始まり、
ハンナの「ゼフィルス君 大好き!」のセリフもあって見どころ満載!
気になる方は是非「ダン活 コミック」で検索してみてください!