第2136話 アルルの最終装備完成!最初に作る戦闘装備は!?
第2136話 アルルの最終装備完成!最初に作る戦闘装備は!?
――〈ハンター委員会〉。
今最上級ダンジョンの入り口付近にも入ダンしている彼らだが、その結成された理念を鑑みると、ぶっちゃけ最上級ダンジョンに潜る理由は無かったりする。
何しろ〈ハンター委員会〉が結成、発足されたのは――〈上級転職チケット〉集めのためだったからだ。
ああ、思い出すなぁ。あれは〈転移水晶〉を手に入れたころのことだ。ちょうど俺とリーナがこうして学園長の下を訪れ、上級ダンジョンに入ることができる組織を作れれば〈上級転職チケット〉が集まりやすいですよ、という話をしたんだよ。
これをきっかけにユーリ先輩や学園長が発足したのが〈上級転職チケット〉を専門に確保するという組織。4つ目となる学園公式ギルド、〈ハンター委員会〉だった。
〈ハンター委員会〉がこうして階層を更新し、上級上位ダンジョンまで上がってきたのは、すべては〈上級転職チケット〉ゲットの狩場を確保するためだった。
なにせ今は上級下位ダンジョンなんか学生で溢れているからな。
〈上級転職チケット〉を確保するためにボス戦を譲ってくれと言って彼ら彼女らの成長の妨げになってはいけない。
故に一般の学生ではまず立ち入れないほど等級の高いダンジョンで〈上級転職チケット〉を集めていたわけだ。今では学生も含めて200人規模のギルドとなり、日々学園に〈上級転職チケット〉を供給してくれている。
そして最上級ダンジョンでは――〈上級転職チケット〉が出ない。
うん。全くドロップしないのだ。あ、〈下級転職チケット〉も同じく出ないぞ。
もう結構な期間最上級ダンジョンで慣らし、エリアボスが撃破できるようになったであろうアーロン先輩たちも、そろそろ気が付いたことだろう。最上級ダンジョンでは〈上級転職チケット〉が全くドロップしないことに。
つまり、アーロン先輩たち〈ハンター委員会〉はこれ以上最上級ダンジョンには潜らず、その行動範囲を上級上位ダンジョンまでにして、引き返してしまうことが予想された。
だがここで一石の情報が投げられた。
―――〈神界ダン〉では、採集物が取り放題だと。
誰かが採集物を確保しなければならない。
だがそれをどこがやるのか? 〈救護委員会〉?
いやいや、〈救護委員会〉は学生たちに万が一が起こった時に迅速に救助に行く救急組織。それが採集をしていて行けませんでした、となればどうなるかは火を見るよりも明らかだ。故に却下である。
ならば〈攻略先生委員会〉?
いやいや先生方は学生たちを教え導く存在。
普段は授業があるため、採集の仕事をさせるのは違うだろう。
となれば、〈ハンター委員会〉しかいないとなる。〈ハンター委員会〉は元々、上級ダンジョンの採集物の確保も仕事の内だったからな。適材適所だ。
というわけで「それじゃあ上級上位ダンジョンに戻るわぁ」となる〈ハンター委員会〉に「あ、ちょっと待ってくれんかのう」と肩ポンしながら学園長が待ったをして、〈ハンター委員会〉は晴れて〈神界ダン〉を目指すことになった模様だ。
なお、肩ポンの部分は俺の想像である。
「リーナには世話になるなぁ」
「ゼフィルスさんが居ればこそですわ。わたくしだけでは〈神界ダン〉になんて、とてもではないですがたどり着けなかったでしょう。全てはゼフィルスさんが指揮を取り、みなさんを引っ張ってきたからこそ今があるのですわ」
「おう。そう言ってもらえると、嬉しくなるぜ」
リーナから100点満点のべた褒めを受けてちょっとスキップしたくなる。
順調順調。
運よく〈エスケープドロリン♪〉も確保できたし、素材は〈神界ダン〉で〈採集無双〉が確保してくれるので今後も大量に供給できることだろう。
また学生の質が上がるな。ふはははははは!
学園長と一緒に高笑いしている光景が思い浮かんでしまったぜ。
きっと今頃学園長も高笑いをしていることだろう。ふはははははは!
◇ ◇ ◇
今日は10月10日土曜日。
〈エデン〉は〈神界ダン〉の25層まで攻略階層を進めることに成功していた。
さあ今日は丸1日攻略に使えるぞ! と気合を入れていたところ、ピロリン♪と電子音が鳴って 連絡 ( チャット ) が来たことを教えてくれる。
その内容は――アルルの装備が完成したという連絡だったんだ。
「マリー先輩いるかー!」
「いるで~」
「早かったなぁゼフィルス兄さん」
「アルルもいるじゃん!」
チャットを受けて俺はすぐに〈トップマリー〉へ急行。
例の受付さんから再び「コンコンコン」と口でのノックをしてもらい、即でマリー先輩の工房に通されると、いつものあいさつでお邪魔したんだ。
「マリー先輩、アルル! ついに、ついに出来たのか!」
「せやで! 聴いて驚きな兄さん! ――アルル、言ったりや!」
「サンキューマリー姉! ――それじゃあ言わせてもらうでゼフィルス兄さん、大発表や! ついにうちの最終装備が、完成したんやーーー!!」
「な、なんだってーーーーーー!!!!」
マリー先輩からバトンを受け取ったアルルが盛大にドヤしながら大発表!
そう、ついにアルルの最終装備が完成したという発表だったんだ!
キタ、キタキタキタキタ! ついにキターーーーーーーーー!!!!
「さあアルル、魅せたり!」
「了解や! 刮目するんやゼフィルス兄さん、これがうちの、最終装備の姿やで! ――〈マイセット早着替え〉!」
「おおお!!」
キャピピピピンっと脳内で変身音っぽいのが流れたのを幻聴した気がしたんだぜ。
一瞬の早業。
アルルが手に着けた〈マイセット早着替え〉を起動すると、一瞬で姿が変わっていたんだ!
その装備は俺がよく知る姿――〈 神炎 ( しんえん ) の 鍛冶王 ( かじおう ) シリーズ〉!
大地 ( ガイア ) に愛されし鍛冶服。
赤をベースにしたつなぎの長ズボンが非常に特徴的だ。
工具差しや腰袋のようなものがたくさん装着されていてかっこいい。
上はつなぎではなくタンクトップに前掛け、そこにオリハルコン製のアーマーが着こまれていて大変鍛冶師っぽい。
頭にはゴーグル。非常によく似合うんだぜ。
そして一際目を引くのが、アルルが持つ巨大な改造ハンマー。いや、魔改造ハンマーか? 機械式っぽい見た目で、その長さはアルルと同じくらい、ハンマーの大きさはアルルの顔よりも大きい感じだ。色は赤と茶。
非っ常にロマンを掻き立てられる鍛冶ハンマーだったんだ。
これ全てが〈 神炎 ( しんえん ) の 鍛冶王 ( かじおう ) シリーズ〉の全集。
武器から防具、アクセまで8種類を全て兼ね備えた、上級職の最終装備全集レシピだ。
「おお、おおおお! アルルすげぇ! すっげぇかっこいいぞ! めちゃくちゃ鍛冶王っぽいぞ!」
「せやろ~」
パシャパシャ、パシャパシャ。
これはスクショが光る! 光りまくる!
アルルもハンマーを肩に掛けながらドヤのポーズなので大変映える!
あ、そうだ。
「マリー先輩! どうぞマリー先輩も最終装備姿で入ってくれ! これは記念に残さなくてはいけない! 歴史に残るツーショットだ!」
「うちもか!」
「確かに、これはマリー姉とうちの合作や! マリー姉も是非参加してほしいで!」
「そういうことやったらしゃあないな。うちも〈マイセット早着替え〉や!」
「おお!」
きっとアルルの装備を強調させるためだろう。マリー先輩は以前の装備姿だったんだ。
だが〈マイセット早着替え〉で最終装備に着替えたマリー先輩。
すぐにアルルの横に並んでポーズを取ってもらう。
これは、記念撮影であって記念撮影ではない! 歴史に残る、なんだろう? 歴史的瞬間? うん、きっとそんな感じの撮影だ! ハンナが居ないのが悔やまれる! あとで撮ろう!
パシャパシャパシャパシャシャシャ!!!!
「って、いつまで撮ってんねん!」
「はっ! 被写体が素晴らしすぎて時間を忘れてた!」
「ゼフィルス兄さんが素で照れるようなこと言ってくるわぁ」
「これが兄さんや。これが兄さんの素なんや、気ぃ付けなアルル」
「失敬な、俺に気を付ける部分なんて何一つないというのに」
「気ぃ付けんと、シエラはんを敵に回すねん」
「どういうこと?」
とりあえず歴史的撮影は終了だ。
ちょっと、撮りすぎてしまったが些細なことだろう。
最終装備、ようやくここまで来たんだなぁと思うと感慨深くて、ついシャッターを押す手が止まらなかったんだ。
「さあ、アルルの装備が完成したということは、だ」
「せやな。金属製の装備も、全て作れるで! 早速作るか!」
「腕が鳴るで! ようやく最強の武器を作る時が来たんや!」
おお! マリー先輩とアルルが燃えている!
特にアルルは武器が作れるからな。最強の武器を作れることに目が燃えていると幻視するほどのやる気を見せている。
最初に作る戦闘職の最終装備、いったい何を作るのか?
俺はもう決めていた! 今俺たちが持つレシピの中でも最強の専用装備。
〈上級姫職〉の専用装備に決まってる!!
「それじゃあまず作ってほしいのはこれだ――ルルの最終装備、〈 幼姫英雄 ( プリンセスヒーロー ) シリーズ〉全集から作ってくれ!!」
そう言って1枚のレシピをぺらりと出す。
「「任せな!」」
そう、マリー先輩とアルルは二つ返事で請け負ってくれたんだ。
これから、最終装備の作製ラッシュが始まる……!