第2143話 〈神界ダン〉40層まで突破で最終装備大量入手
第2143話 〈神界ダン〉40層まで突破で最終装備大量入手
〈神熊〉は強敵だった。
周回してもかなり危うい場面がいっぱいあったもん。特に第三形態。
だが、その度に活躍したのはルルだった。
ルル超かっこいい! まさにヒーローだよ~。
やはり最終装備の防御力はすさまじく、ルルの戦闘スタイルにも嵌って多くのぬいぐるみを蹴散らしたんだ。
「やっぱり私も最終装備が欲しいわ!」
「アリスも欲しいのー!」
「むむむ、装備交換したばかりだけど、私も欲しい」
「あ、カルアは装備交換したばかりだから後回しで」
「ガーン!?」
ルルが活躍するたびに、この通りだ。
みんな、最終装備の魅力に取りつかれて目をキラキラさせていたんだよ。
モチベーションアップに大貢献。
ルルのおかげで今日は丸一日〈神熊〉周回がはかどってしまった。
「エステル、今日は何体狩れた?」
「本日は実に20体も狩れましたね。かなり良いペースでしたよ」
「ってことは、〈金箱〉は80個分か……!」
ふはは!
おっと、また心の俺が高笑いを決めそうになってしまったんだぜ。
でも、〈金箱〉80個か~。
素晴らしいじゃないか! ふはははははは!(※我慢すんの無理)
「もー! なんで私の【大聖女】専用装備が出ないの!?」
「アリスの【雷神姫】も出ないの~!」
「ん。私のは出た。でも作るの後回し……」
ちなみに俺の横のラナ、アリス、カルアはちょっとテンション下げ下げ。
狙っていると出ない。それが〈妖怪:物欲センサー〉の恐ろしさというものだ。
いや、カルアの専用装備は出たけど。
だが、今回の周回で、なんと獣人系の上級高位職の専用装備が4割近く集まったのはかなり大きい。
【大罪】職系や【獣王】はまだ先だが、カルア、ラクリッテ、ミジュ、クイナダの専用装備は今回の周回で当たったのだ。
非常によろしい。
とりあえず、優先すべきはラクリッテだな。タンクは必須なのだ。
「ということで、マリー先輩! 出番だぜ!」
「出番だぜ、やないで! またこんな、こんなぎょうさんレシピを持ってきてからにーーー!」
「ふはははは!」
なにせ80のドロップの内、全集装備はなんと30種も当たっているのだ。
上級職の数は全部で612職、そのうち30職分も当たっていると言えばマリー先輩がおののくのも分かる。〈神熊〉は他のボスよりもたくさんの種類の専用装備をドロップするのだ! さすがはオリジナルレイドボス!
「ひやぁああああああ!?」
「な、なああ!? なんだこれ、こんな 職業 ( ジョブ ) があんのか!?」
「え? これって未発見なんじゃ……」
「待て、研究所にレシピを持っていかれてもいいのか!? 黙っていようぜ!?」
「おバカ! どのみち 職業 ( ジョブ ) に就いた人がいない専用装備なんか売れるわけないでしょ! このレシピはひとまず――期限付きで研究所に送りましょう!」
なお、〈トップマリー〉の従業員にも見せたところ、良い反応をしてくれたんだ。
さすがはマリー先輩の従業員たち、鍛えられている。
また、専用装備があるということは、逆にその 職業 ( ジョブ ) も存在するということで、未発見の 職業 ( ジョブ ) がおのずと判明するということでもある。
実はゲームでもこれで存在が分かった 職業 ( ジョブ ) は多かったんだ。
結局、未発見のものについては、 職業 ( ジョブ ) に就いた人がいないのに専用装備を作ってもしょうがないということで、一度研究所に送ることになった。
もちろん、期限付きでだ。そうじゃないとおそらく研究所は返してくれないだろう。いや、期限を付けても返してくれるかな?
「能力がほんますごいなぁ専用装備っちゅうんは。そんで兄さん、なにか頼みごとがあったんやないの?」
従業員の驚きっぷりに心の中でニヤニヤしていると、マリー先輩から聞かれたので振り返る。
「おっとそうだった。とりあえず〈エデン〉で使うものは最優先で仕上げてもらいたいって話をしようと思ったんだよ。これ、ラクリッテの装備優先で頼む。続いてミジュとクイナダの専用装備も頼む!」
「あいよ。カルアはんのはええの?」
「カルアは装備を替えたばかりなので後回し。多分どんどん新しいレシピは当たっていくだろうから、みんな大体装備が換装できたらカルアの番かな」
「そら、えらい先の話になりそうやな」
「なに、マリー先輩が1日1種全集装備を作れば50日もしないうちに自分の番に回ってくるだろうさ」
「いや、兄さんどんだけや。全員分の専用装備を集めてくる気かいな! それも50日で!」
「もちろんだ!」
「あ~、ほんまに達成してきそうでうち悲鳴もんやわ~」
「その悲鳴、是非俺が近くに居る時に……!」
「あげんわ!」
くっ! 交渉は失敗か!
ノリでいけるかと思ったけど、ダメだった。
1週間というのは、結構早い。ワクワクしていたからだろう。瞬く間に過ぎていったんだ。
平日の放課後はダンジョン攻略。
俺たち〈エデン〉は〈神熊〉周回を存分にやったことで〈神界ダン〉の攻略階層更新に乗り出した。
30層では 中級上位 ( チュウジョウ ) のランク1ボスは登場しなかったが、これは31層で登場。31層から 中級上位 ( チュウジョウ ) ボスが順番に登場するようになり、40層でランク10のボスが登場するという流れになるのだ。
そして10月16日金曜日の時点で、俺たちは40層を攻略していた。
「明日からはいよいよ41層ね!」
ラナがウキウキだ。
〈神熊〉からは結局【大聖女】の専用装備は出ないと判断されたので、ならばもっと奥の方で落ちるのよ! と気合を入れていたからな。
その想像は大当たり。本来〈上級姫職〉の専用装備がドロップしやすいのは奥なのだ。浅層ではものすごくドロップ率が低く設定されていたりする。
ルルの専用装備が4層で当たったのは、相当運が良かったということだ。
「今まで上級ボスは第三形態で登場していましたが、今後の第三形態は何が登場するのでしょうね」
エステルは第三形態が心配な様子だ。
今まで中級では第二形態で中級レアボス、第三形態で 上級中位 ( ジョーチュー ) ボスや 上級上位 ( ジョウジョウ ) 級が登場していた。
なら 上級下位 ( ジョーカー ) 級の第三形態は 上級上位 ( ジョウジョウ ) 級? それとも一足飛びで最上級ボス? と、少し悩ましそうな表情で呟いている。
「それより、心配なのは第二形態よ。これまで通りなら、上級のレアボスが登場することになるわ」
「上級のレアボスがレイドボスになって登場する階層か、気を引き締めなければならないな」
シエラとリカは第三形態よりも第二形態の方が警戒度が高いようだ。
さすがはタンク組。そう、ボスの攻撃で最も警戒しなくちゃいけないのはユニークスキルだ。
第二形態は、マジで一発で形勢が逆転し、壊滅の危機すら起こりかねないデッドゾーン。しかも乗り越えてもまだ第三形態が待ち受けているのだからマジ難易度が高い。さすがは最後のダンジョンだ。
「しかも明日からはダンジョン週間だもの。ゼフィルス。当然〈神界ダン〉には潜るのでしょ?」
「もちろんだ! もっと進んでおきたいところだな。だが、シエラが懸念する通り、41層からはより難易度が上がってくる可能性が高い。そのため少しペースを落とそうとも思っている」
「え? そうなの?」
俺が頷いて答えれば、ラナが意外そうな顔で問うてきた。
まあ、いつもの俺ならばここで「ダンジョン週間中に攻略しようぜ!」とか言い出していたしな。
だが、相手は最後のダンジョン〈神界ダン〉。
特に41層からは上級以降のボスがガンガン登場するために気が抜けない。
というか、装備をもっと充実させたい。
「現状、最終装備を装備しているのはルルだけだからな。できればタンク全員――は難しいにしても、半数のタンクメンバーは最終装備にしておきたい。それで攻略の安定度はグッと増すだろう」
「いいじゃない!」
実はこの1週間で、新たにリカ、シャロン、ヴァン、ロゼッタ、ナキキの専用装備の全集レシピを手に入れていた。ラクリッテと合わせれば、6人分のタンク装備が完成する。
41層から先は、最低でもこの6人の装備が完成してからでも良いと、俺は考えているのだ。そうみんなに説明する。
「というわけで、41層以降はラクリッテ、リカ、シャロン、ヴァン、ロゼッタ、ナキキの専用装備ができてから入ダンするぞ!」
「ならゼフィルス、その間はどうするの? 今回のダンジョン週間は?」
「今回のダンジョン週間では〈エースシャングリラ〉の強化を考えている。クラス対抗戦以降、鍛えると言っていたのにまだ鍛えてあげられていなかったからな。また一気に攻略の手助けをしたいと思う」
「なるほどね。良いと思うわ」
「やった! 聞いたミツル君!? 私たちを強化してくれるって!」
「いや、僕はゼフィルス先輩の呟いた「一気に」の部分がすごく気になるんだけど!?」
〈エースシャングリラ〉の育成は、実は割と重要だ。
この間〈ハンター委員会〉には〈神界ダン〉まで向かってもらわないといけない、という話を学園長にしたのだが、〈ハンター委員会〉は現在、まだまだ育成が追いついていない。
この前アーロン先輩と最上級ダンジョンでばったり会った時、まだ 20 ( ・・ ) 人しか最上級ダンジョンに潜れない、と言っていたからね。
レイドボスを突破するには、あと 30 ( ・・ ) 人必要だ。
――30人。
どこかに最上級ダンジョンに潜れて、〈神界ダン〉を目指しているほど強くって、30人余っているところってないかな?
そう、〈ハンター委員会〉は、現在30人の戦士を募集中だ。
〈エースシャングリラ〉のメンバーって、ちょうど30人なんだよ。