第2147話 マリー先輩やってくれました!専用装備完成!
第2147話 マリー先輩やってくれました!専用装備完成!
ダンジョン週間も終わり、落ち着いた朝。
今日から学園再開だ。
俺は朝からパチッと目を覚まし、着替えを済ませ、いつもよりも早い時間に準備を終える。なんだか今日は、力が漲っているのだ!
「ゼフィルス君、起きてる~」
「おう。もう目が覚めてるぜ!」
「あ、今日はもうばっちりだね。ちょっと残念」
「んんん??」
でもハンナには不評の様子。
おかしい。俺が寝ていた方が嬉しいっぽい。最近世話焼きスキルにさらに磨きがかかっているハンナである。
このまま甘やかせられ続ければ、俺はどうなってしまうのか。
そのままハンナの手でどうにかなってしまうのも良いかもしれないと思ってしまうのが厄介なところである。(全然厄介じゃない)
「そうだハンナ。最近生産の調子はどうだ?」
「うん! すっごいよ! ゼフィルス君たちが30層で見つけてきてくれた各種〈ゴッドポーション〉! これ、絶対学園祭の目玉商品になるよ~!」
「学園祭で〈ゴッドポーション〉が売られちゃう!?」
oh。学園祭がとんでも祭りに早変わりしそうな予感なんだぜ。
もちろんそれを作製した本人は大変純粋なやる気を見せて「ふんす」と力を入れている。
お土産、喜んでもらえているということで良かったよ。
最初30層でハンナへのお土産〈ゴッドポーション〉系のレシピがドロップしたのでお土産に持ち帰ったら、すごく嬉しそうにしていたからな。良きかな(?)。
「ちなみに進捗状況は?」
「〈ゴッド 毒闇 ( どくやみ ) ポーション〉は3万本でしょ、あと〈ゴッド 眠気 ( ねむき ) ポーション〉と〈ゴッド 麻鈍 ( まどん ) ポーション〉は2万本ずつ、〈ゴッド 呪混 ( のろこん ) ポーション〉は1万本はできたよ~」
「1万本単位……!」
相変わらずハンナの大量生産の単位がとんでもないんだぜ。2桁、いや3桁くらい違う。
ちなみに〈ゴッド毒闇ポーション〉以外はあの後30層の周回で出た各種『無効』系のポーションだ。
〈ゴッド毒闇ポーション〉の効果は一定時間〈毒〉〈火傷〉〈盲目〉〈暗闇〉を 無効 ( ・・ ) にする。
〈ゴッド眠気ポーション〉なら〈睡眠〉〈氷結〉〈気絶〉〈石化〉を無効にするし、〈ゴッド麻鈍ポーション〉なら〈麻痺〉〈拘束〉〈鈍足〉〈束縛〉を無効、〈ゴッド呪混ポーション〉は〈呪い〉〈恐怖〉〈混乱〉〈魅了〉を無効にしてしまう。
〈神熊〉周回で全種類集められて良かったぜ。
「ねぇゼフィルス君。〈即死〉の『無効』は無いの?」
あ、ついにそれ聞かれちゃった。
「あ~、実は当たってる」
「頂戴!」
「いや、しかしだな~」
うん、実はハンナが作製していない状態異常があと1つだけある。
その名も〈即死〉無効。
〈ゴッド即死ポーション〉という、むしろ飲んだら〈即死〉するんじゃね? というネーミングのこのポーションのレシピだけはハンナに渡していなかった。
だってこれ飲んだら誰でも〈即死〉を無効にできちゃうんだもん。
エリサしかり、シズしかり、〈エデン〉には〈即死〉使いも多いのだ。
ぶっちゃけ『即死無効』はされると困るので、〈エデン〉としてはこれまで『即死無効』の効果がついた装備などは売らない方針を執ってきた。
先のクラス対抗戦でも『即死無効』付きの装備を持つ学生はほぼ居なかったのがその証拠である。
「うん。売らないんだったら作ってもいいぞ。――〈エデン〉と〈アークアルカディア〉と〈エースシャングリラ〉が使う分だけな」
「え~? でもいろんな人から〈生徒会〉に『即死無効』の何かを販売してほしいって要望がいっぱい来てるんだよ~」
おう。クラス対抗戦でエリサが猛威を振るったからな。
学生たちから〈生徒会〉に要望が出されているらしい。
分かる。分かるが……〈エデン〉のギルドマスターとしてはやはり不許可だな。
「悪いなハンナ。これは〈エデン〉の獲得したアイテムだから」
「うん。それなら仕方ないね」
あっさり流してくれるハンナが素敵。
それからハンナは、〈生徒会〉に今どんな要望が舞い込んでいるのかなどを語ったり、最終装備の素材作製の進捗状況を語ったりしてくれた。
今日は俺が朝からばっちり目を覚ましていた影響で、長くお話ができたな。
「そんな感じでね! 最終装備の真素材をいーっぱい作ってマリー先輩のところに持っていったんだ~。そしたらね、マリー先輩が悲鳴あげちゃって」
「マジか。俺もその場に居たかった……!」
ハンナがいーっぱいと言うほどの量か~。さぞかしマリー先輩は良い悲鳴を上げたに違いない。なんとなく、ごちそうを逃した気分になる。
「それがダンジョン週間の初日だったから、あれから10日近く経ってるし、結構最終装備もできてるんじゃないかな?」
「それは良いことを聞いたぜ。早速放課後マリー先輩のところに行ってみる。もしかすれば、装備お披露目祭りになるかもな」
「楽しみだね~」
そんな会話をしながらハンナとの朝食をとても楽しんだのだった。
そして、その日の放課後。
「マリー先輩はいるかー」
「いるで~」
俺は早速マリー先輩の工房にお邪魔していた。
どうやらマリー先輩も俺が来ることは想定済みだったようで、突然の訪問だったのにも関わらず、なんだか布をかぶされた商品らしきものがたくさん置いてある。
「いらっしゃいませゼフィルス様」
「ホーゼルさん。マリー先輩と一緒に作業を?」
「はい。ちょうど任されていた装備が完成しまして、品質を見てもらっていたところでした」
「兄さん、喜んでええで! ホーゼルはんの方も完璧な仕上がりやったんや! 兄さんタイミングバッチしやで!」
「な、なんだってー! マジか! すごいじゃないか!」
「恐縮です」
執事のように片手を胸に当てるポーズで一礼するホーゼルさんが素敵!
よく見れば、彼が着ているのは、最終装備!! 良く似合ってらっしゃる!!
これで最高峰の杖、本、弓を作ってくれたってことだ! 魔法使い系、遠距離攻撃使いの能力が爆発的に上がるぞ! いったい誰の装備が完成したのか、すげぇ気になる!
「まだ驚くのは早いで兄さん?」
「なぬ!?」
そう、含みを持たせた言葉で俺に振るマリー先輩。
見ればその顔はニヤニヤだった。
あ、あの顔は! 幾度となくドヤを繰り返してきたマリー先輩特有の得意げな顔!
これから良いことが待っているという予感を俺に感じさせてくるには十分なニヤニヤ顔だった。これは、期待できる……!
「さあ兄さん、お披露目の時間や! うちらがこの2週間ちょっと、苦労して作り上げた装備群を、今お披露目する時や!」
そう言ってバサッと取られたのは、何かを隠すためにかぶせられていた布!
「ぬああああああああ!?」
それがとっぱらわれた時、中からこんにちはしたのはまさに俺が夢想して止まなかった装備群たちである。
「どや! これがうちらの合同製作、素材のハンナはんを始め、作製にうち、アルル、タネテはん、ホーゼルはんが自分の最高の技術を叩き込んだ最高傑作の逸品!! 最終装備たちやーーーーーーー!!」
「うおおおおおおおおおおお!!!!」
俺はもう歓声を上げるしかなかったね。
出来ていたんだ、最終装備たちが!
俺たちがダンジョン週間に集中している間に、大量に!
その数、15種類!
あの大活躍だったルルと同じレベルの装備が――15種類!!
「完成したんはそれぞれ――カルアはん、リカはん、メルトはん、ラクリッテはん、シャロンはん、サチはん、ロゼッタはん、ヴァンはん、ミジュはん、ナキキはん、クイナダはん、それとミーアはん、ソフィはん、レンカはん、フラーラはんやな」
「おお! すげぇ……! すげぇよマリー先輩! これ、全部全集装備かよ!」
「せや! 武器から防具、アクセまで8点から9点全ての装備! 全て強化済みで真の最強装備済みや! うちらから見ても、間違いなく最終装備になる逸品やで!」
「うおおおおおおお!!」
〈エデン〉メンバー11種、あと生産職のミリアス先輩たちの装備も作られていて嬉しい!
特にタンク優先で作製してくれたのが超ありがたかった。
リカ、ラクリッテ、シャロン、ロゼッタ、ヴァン、ナキキの6人も最終装備のタンクが居れば、41層以降に入っても大丈夫だろう。
火力にしても、【賢王】メルトの装備完成嬉しい。
ようやくメルトにも良い報告ができそうだ!
また、サチはいるのにエミとユウカが居ないのはご愛敬。
レシピを手に入れる機会はきっとあると思うので、しばらくは我慢してもらおうと思う。
カルアとミジュとクイナダも嬉しいところだ。彼女たちはスピード型のアタッカー。もし何かの理由で急遽ギルドバトルをすることになってもこれで安心だな。
レイドボスへの火力も期待できるだろう。
ちなみにカルアには以前〈万界ダン〉の装備があるのだから後回しと告げていたが、今当たっている専用装備レシピは大体揃ってきたため順番が回ってきた形だ。
もう回ってきちゃった!
「最高だなマリー先輩! ホーゼルさん!」
「せやろ!」
「恐縮です」
「それと兄さんもはよレシピ持ってきてや! このままやと、あと2日で枯渇すんで!」
「任された! 俺に任せとけ! すぐにでも〈エデン〉メンバーで〈神界ダン〉の探索に乗り出すぜ!」
「レシピ、期待してるで! わはははは!」
「ふはははははは!」
ついに工房が軌道に乗った!
毎日1種の最終装備が完成すれば、1ヶ月後には全員分の最終装備がふははしていることだろう!
こうしちゃいられないぜ!
俺はマリー先輩と一緒に、早速みんなが集まるギルドハウスへと急いだんだ!
まずは装備をお披露目&換装しないとな!!