第2153話 登場するのは〈神界ダン〉60層ボス。大魔王!
第2153話 登場するのは〈神界ダン〉60層ボス。大魔王!
「大きいな……!」
「ん、危険。強そう」
「〈鉱ダン〉の〈ドラゴレム〉に近いですが、こっちは本物、受肉している竜ですか……!」
リカ、カルア、エステルが言うように、そのボスモンスターは巨大だった。
―――〈大魔王・イビルゴッドドラゴン〉。
大魔王であり邪神であり竜。
もう色々てんこ盛り過ぎて、名前からしてとんでもない相手というのがわかるだろう。
60層のボスは、大魔王だ。
RPGでは、ラスボスになっていても不思議ではない称号を持つボスである。
その大きさ、50メートル。翼を広げれば100メートルに達する超大型。
エステルの言うように〈ドラゴレム〉に似ているが、向こうはゴーレムだったのに対し、こっちはガチのドラゴンだ。迫力とオーラが桁違い。
ほぼ二足歩行で首の位置は高く、胴体も太めの竜。
暗黒のオーラを身に纏う邪竜でもあり、体色はどす黒い赤と黒。
相対しただけでもうめちゃくちゃ強そうだというのが分かる。
そんな存在が、ついに魔法陣から全身を現した。
「ジュオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
初手、大魔王竜、咆哮。
すさまじい衝撃波が発生する。
「咆哮だ! カイリ! ミュート!」
「う、うん! 『ミュート』!」
「普通の鳴き声になったわ!」
もろに直撃すれば吹っ飛ばされた上に〈気絶〉の状態異常にもなりかねない初見殺し。ここで自分と戦えるものを選別する最初の一撃。
だが、これはカイリの環境対策スキル、特に音などに強い『ミュート』によって緩和。衝撃波を起こす咆哮ではなく、ただの鳴き声として俺たちに届いた。
「今だ! タンク組は挑発! バフとデバフを積めい!!」
「『天使の敵』! 『宣戦布告』!」
「『シールドフォース』!」
「『プリンセスアイドルライブ』♪ エールいっくよー! 『エールベストパフォーマンス』♪ 『コングラチュレーション』♪ 『音速リズム』♪ 『オールナイト・カルテット』♪」
「『モチベーション・ゼロ』! 『エンド・オブ・バイタリティ』!」
「ジュオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
まずはサポート増し増し!
挑発とバフとデバフはボス戦には欠かせないサポート。
だが、相手は大魔王。
当然のようにあれをやってくる。ほら、大咆哮の後だっていうのに二撃目がバフデバフ打消し系、いてはが来る!
「ラナ、ユニーク!」
「!! 『光守られし聖なる奇跡』!」
「ジュオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「ああ!? あたいのデバフー!?」
闇のオーラが噴出。大魔王についていたデバフがかき消えた。
だが、俺たちには光が発生。闇のオーラを浴びてもバフは守られる。
「ゼルレカはじゃんじゃんデバフを掛けろ!」
「ええいやったらー!」
「攻撃開始だ!」
「「「「おおー!」」」」
ここまでは定石。
ボスと戦う時の通常パターン。
特にフィジカルが強いボスに突き刺さる定石だ。
強いボスと戦う時はバフを維持するのが大事。
だが初手で咆哮を放ってきたように、大魔王の手はフィジカルだけではない。
「ジュオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
「魔法!?」
「カタリナ、ミサト、バリア展開!」
「『絶界』ですわ!」
「『エクサ・バリア』!
なんと〈火属性〉〈氷属性〉の複合魔法をぶっ放してきた。
炎と氷が混ざって飛んでくる攻撃、ぶっちゃけめちゃくちゃかっこいい!
大魔王め、見せつけてきやがる!
「ジュオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「今度は物理! 尻尾来るぞ!」
「わ、私が止めます!」
「ラクリッテちゃん!? 1人じゃ無理だよ!」
「いや今の最終装備のラクリッテなら、いける!」
「ポン! 今こそ現れるは最強無敵の盾狸王――『 幻獣霊最強 ( げんじゅうれいさいきょう ) ・ 狸王様完全盾 ( たぬきおうさまかんぜんたて ) 』大強化フルバージョン!」
ズドーーーンと衝撃!
あの巨大な尻尾はかなり太く長い。あんなので薙ぎ払われたらそれだけで超広範囲攻撃になる。受け止められなければ戦闘不能者だって出かねない強力な攻撃。
だが、そんな尻尾の薙ぎ払いを、ラクリッテが1人と1匹で止めていた。
そこに居たのは30メートル級だった姿を変え、40メートル級にまで成長していた狸王様。その腹はさらに大きくなり、巨大な盾となって尻尾を完璧に防ぎきっていたのだ。
「ジュオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?」
「もう首がちょんぱされちゃう狸王様じゃないんですー!!」
バンと衝撃を放ち、なんと弾かれたのは――大魔王の方だった。
防御勝ちだ。
「ナイス! 『 天光勇者聖剣 ( あまのひかりのゆうしゃせいけん ) 』!」
「ジュオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「一斉攻撃だ!!」
「「「「「おおおおお!!」」」」」
ラクリッテが見事に稼いだ隙を突いて一斉攻撃!
ダウンこそさせられなかったが、大きなダメージを稼ぐことに成功する。
「ラクリッテちゃんすごーい!」
「や、やりました!」
これが最終装備の力よ!
ラクリッテの両手盾、〈 幻想盾狸 ( ラクシル・ファントム ) 霊王両手盾 ( ・フルシールド ) 〉の武器スキルは『 幻獣霊最強 ( げんじゅうれいさいきょう ) ・ 狸王様完全盾 ( たぬきおうさまかんぜんたて ) :大強化フルバージョン』。
つまり狸王様が超強化される武器スキルが付いているのだ。
狸王様が生まれ変わっちゃう武器スキルが付いているのはこの両手盾だけである。
俺がどれだけ〈神界ダン〉の上級職専用装備を求めていたのかが分かるだろう。
〈万界ダン〉の専用装備では、所詮下級職のスキルがパワーアップするだけだった。だって下級職の専用装備だったからだ。
だが、上級職の専用装備は違う。
なんと上級職が持つ〈六ツリ〉、さらに上級ユニークスキルをピンポイントでパワーアップしてくれる。これこそ最終装備にふさわしい力なのだ!
その力は見た通り、いつもなら複数人で防御し攻撃を受け止めるだろう所を、1人で防御しさらに防御勝ち。防御勝ちはタイミングが重要なので偶然も大きいが、パワーアップした狸王様は防御勝ちしやすい特性を持っている。大きさも40メートル級になりさらに硬さが増したのだ。とっても強くなっている。
最近何かとレイドボスの攻撃を受け止めきれずに破壊されていた狸王様のパワーアップに、ラクリッテは非常に自信を漲らせているな。名誉挽回だ!
「ジュオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
「わたくしたちも負けてはいられませんわ! 『竜絶兵砲・ V ( ヴィクトリー ) ドラゴンバスター』大強化フルバージョンですわ!」
「ええ。行きますよパメラ! 動きを止めます! 『メイド・フォーシス・バルカン・グレート』大強化フルバージョンです!」
「承知デース! パワーアップしたこれを喰らうがいいデース! 『大忍法・ 激炎龍 ( げきえんりゅう ) 爆楼 ( ばくろう ) 』大強化フルバージョンデース!」
リーナ、シズ、パメラが並び、大強化フルバージョンスキルを発動する。
そう、さっき装備更新した3人だ。
その専用装備の武器には、強力な武器スキル――大強化フルバージョンが備わっている。
リーナの前にドカンと顕現したのは、なんと10メートルはあるのではないかという砲台。超長距離砲撃に加え、威力まで増し増しの増しになった『竜絶兵砲・ V ( ヴィクトリー ) ドラゴンバスター』だった。
シズの周りには通常自在銃が浮いている。
『バースト・フォース・ガン・メイデン』だ。
しかし、通常は2つの自在銃を召喚するスキルのはずだったが、今はなんと5つの自在銃が浮いていた。
パメラは〈六ツリ〉の火炎の龍をぶっ放す。だがその大きさはいつもよりも3割増し。大きくなるということはすなわち、強くなるということだ。
「光の竜砲よ、邪悪なる竜を撃ち抜くのですわー!」
「ファイア!」
「いっくデース!」
ドーン!
ズドドドドドドドドドドドド!!!!
リーナの大砲から一発の超強力な攻撃が放たれ、シズからは手に持つ両手銃と周囲の5つの自在銃から弾幕の連射が放たれ、解き放たれた火炎の龍が大魔王の喉元に食らいつく。
「すっげぇーー!」
もう思わず感激の声が出ちゃったよ!
ありゃリーナの専用装備の武器、〈 姫総帥 ( ひめそうすい ) の 戦強 ( せんきょう ) 光竜砲 ( こうりゅうほう ) 〉の武器スキル『竜絶兵砲・ V ( ヴィクトリー ) ドラゴンバスター:大強化フルバージョン』で強化されている強力な一撃だな。
シズのはアクセ装備〈 戦場冥王 ( せんじょうめいおう ) の 帯銃 ( たいじゅう ) ベルト〉の装備スキル『バースト・フォース・ガン・メイデン:+1』によって自在銃がまず+1している。これで3つ。
さらに両手武器〈 戦場冥王 ( せんじょうめいおう ) の 冥界直行 ( めいかいちょっこう ) ライフル〉の武器スキル『メイド・フォーシス・バルカン・グレート:大強化フルバージョン』で強化され、一時的に2つの自在銃を召喚し、自在銃5つと両手銃による飽和攻撃並の連射を撃ちまくっているのだ。
パメラは純粋に右手の忍刀〈 くノ一 ( くのいち ) 忍刀 ( にんとう ) ・ 竜滅ノ道 ( りゅうめつのみち ) 〉の武器スキル『大忍法・ 激炎龍 ( げきえんりゅう ) 爆楼 ( ばくろう ) :大強化フルバージョン』でパワーアップしている。
ちなみにパメラは二刀流だ。
左手の〈 くノ一 ( くのいち ) 忍刀 ( にんとう ) ・ 黄泉ノ道 ( よみのみち ) 〉はまだ温存中。実は、こっちでも大強化フルバージョンが使えたりする。
いやぁ、パナイ! パナすぎる!!
3人ともすげぇかっこいいんだけど!
見れば3人の攻撃でボスの動きはひるんで停止。行動を阻害しつつ大ダメージを与えていた。
そう、お判りいただけただろうか?
〈神界ダン〉で手に入る上級職の専用装備は、このようにスキルを大強化、バージョンアップさせてしまうスキルがすべての武器と盾に搭載されているのだ。
もうこれだけでも専用装備を集めたいって気にさせてくれるな!
あ、大魔王がダウンした!? マジか!
「ジュ、ジュオオオオオオ!?!?」
「今だーー! 総攻撃ーっ!!」
やはり大魔王戦の前にできる限り専用装備を揃えてきてよかった!
まず第一形態は問題なく突破できそうである。
だが、油断はできない。なにせ相手は大魔王。
大魔王は、第二形態や第三形態になってからが本番なのだから!