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第2154話 大魔王様は【大魔王】のスキルを使ってくる!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第2154話 大魔王様は【大魔王】のスキルを使ってくる!

「補給を済ませろ! 特に大強化フルバージョンをしたメンバーはMPの回復を忘れるな!」

ボスが形態変化に入った瞬間、俺たちも補給を済ませて回復する。

特に大活躍だったラクリッテや、リーナ、シズ、パメラはがっつり回復しないといけない。

あの超強力な『大強化フルバージョン』がノーコストで使用できるのか? 答えは否だ。めちゃくちゃMPを食うのである。

その消費MPは種類によって異なるが、大体2倍から5倍にもなるのだ。

消費MPが200の回復魔法とかだと、1000消費することもある。

効果もデカいがコストもデカい。そしてロマンもデカいのだ。

だが、そこが良い。

「ゾアアアアアアアアアアアア」

「形態変化、終わりますわ!」

「まずは定石通りいくぞ! タンクは前へ! 一塊だ!」

「初見殺しが来ても対処して見せるわ」

シエラが頼もしすぎるぜ。

形態変化が終わると、結構な確率で全体攻撃や初見殺しをぶっ放してくるのがレイドボスである。

故に形態変化が終わる時はなるべく全メンバーを一塊にさせ、タンクで守らせ、どんな攻撃が来ても対処できるようにするのがいつの間にか〈エデン〉の定石になっていた。まあ、広めたのは俺なんだけどな。

第二形態の〈大魔王・イビルゴッドドラゴン〉の姿は、先ほどよりもややスマートになった、半二足歩行、半四足歩行といった姿。基本後ろ足で立っているが、四足歩行のように前のめりになっている。特徴はその巨大で立派な2つの角だ。

真っ黒な翼はより開かれ、110メートル級。そんな姿じゃ俊敏に動くことなんてできないだろうと思いきや、スマートな体つきがそうは思わせない。

そう、第二形態の〈大魔王・イビルゴッドドラゴン〉は、俊敏形態なのだ。

ぐっと足に力を入れたのが分かる。来る!

「シャロン! ヴァン! 大強化フルバージョンだ!」

「『ゴッドオリハルコンランパート』大強化フルバージョンだよ!」

「『ロード・オブ・オリハルコン』大強化フルバージョンであります!」

ドゴーンドゴーンと二重の巨大なオリハルコンの城壁が並び立つ。

黄金と聖なる青の色に輝き、いつもよりも巨大。形まで変わり、堅牢な姿となって現れる。これが2人の大強化フルバージョンの城壁だ。

瞬間、ドガーンと爆発したような衝撃がオリハルコンの城壁から響いた。

「 突撃 ( ストライク ) 系! しかも衝角突撃ですわ! 続けて二撃目、来ます!」

「シエラ、右だ!」

「任せて! 『アブソープション・ワン・フォートレス』!」

「「「「きゃあ!?」」」」

大魔王がしてきたのは単純だ。

巨大で立派な角を使った衝角突撃である。つまりは体当たりだ。

ノーガードだったら50人全員が跳ね飛ばされていたことだろう。

なにせシャロンの作ったオリハルコンの城壁は半壊していたくらいだ。これ、大強化フルバージョンなんだけど!?

さらに大魔王は追撃。巨大な尻尾で薙ぎ払おうとしてきたのだ。

防御で受け止めようが追撃の尻尾で吹っ飛ばすという二段構えの攻撃である。

実際、突撃を受け止めたことに安堵して、尻尾による攻撃を受けて陣形がぶっ壊されたことはゲームでは何度もあった。

だが、リアルじゃもちろん好きにはさせないぜ。

シエラの召喚した城壁が尻尾攻撃を止める。大きなヒビが入るほどの衝撃だが、1人で耐えきった! さすがはシエラだ!

「左から回り込んで攻撃だ!」

「『ゼルワン・カイザーバスター』!」

「ゾアアアアアアアアアアアア!!」

「なに!? ぐお!」

「ラウ、角に気を付けろ! 盾として使ってくるぞ!」

驚いたことに、先陣を切って飛び込んだラウが左から強烈な〈六ツリ〉バスター系を叩き込まんとしたが、これを角を使って防御。しかも反撃で角による殴打によりラウが吹き飛んだのだ。ダメージ4割。

「回復します! 『ラファエルヒール』!」

すぐにマシロが回復を飛ばしてラウの危機を脱出。

タンクが挑発を、アタッカーが攻撃を噛まして、よし、ここから戦況の安定化を図るぞ、というところで大魔王が行動に出た。

「ゾアアアアアアアアアアアア!」

「なに!? この動きは!」

「〈ヨウネル〉のような跳躍移動!」

「ロゼッタ防御!」

「はい! 『 神守盾 ( しんしゅたて ) 』!」

「大技じゃない、小技の応酬か!」

体のスマートさを十全に生かした跳躍移動。それは、〈猫界ダン〉60.5層のボスの〈ヨウネル〉を思い出す俊敏な動きだった。

〈ヨウネル〉のようなスリップダメージは無いが、代わりに技の応酬がすさまじい。

メルトが叫んだように、腕による振り下ろし、尻尾による薙ぎ払い、着地の時の衝撃波、大量の小魔法攻撃など、大技と言うにはそこまでではない、まさに小技の攻撃の連打を見舞ってきたのだ。

普通に1人でも〈六ツリ〉で耐えられる攻撃。ぶっちゃけ実に大魔王らしくない。

大魔王と言えば大技を二回攻撃や三回攻撃で見舞ってきてこっちをボロボロにしてくるイメージ。なのにこの大魔王は動き回りながらちくちくと攻撃を敢行してくるだけだ。これならうちのヒーラーたちの回復の方が圧倒的に早い上に、ヒーラーが一撃でやられる心配が少ないため攻撃寄りに展開できる。

「! なら、動きを止めるぞ! 『グラビティフィールド』!」

「たは! 〈ヨウネル〉の時の策が通じるね! 『エクサ・バリア』!」

メルトやミサトが軸となり、動きを封じる形にシフトしていくな。

だが、そう上手くいかないのが大魔王というもの。

「ゾアアアアアアアアアアアア」

「なに? 角に光が集まってる!」

「パワーを溜めているの!?」

「角を狙うよ!」

「「「「おお!」」」」

動きを止められ、攻撃を受けるようになると、大魔王の角に徐々に赤い光が灯っていく。

「いや、これは力を溜めてるんじゃない、ダメージを蓄積しているんだ!」

「ゾアアアアアアアアアアアア!」

「な、なにぃ!?」

「この現象、見たことあるぞ! ダメージを受ければ受けるほど強くなる攻撃か!?」

「逆境系のスキルなのです!」

先ほどまで大魔王のパンチでは破壊されなかったバリアが、パンチ一発で破壊され、さっき耐えられた衝撃波で吹き飛ばされる者が出始めた。

「防御スキルが壊された!」

「1人じゃもう受け止められない!?」

二本目のHPバーが残り2割を切ると、大魔王の攻撃は手が付けられないものになっていた。

これはしょうがない。この第二形態は攻撃を角に溜めてどんどん力が増していくタイプ。

みんなに知られていないが、俺はこれを知っている。

【勇者】の上級職、高の上、【大魔王】のユニークスキル!

―――『 強大で無敵な大魔王 ( ジェネレート・カタストロフィ・大魔王 ) 』だ!!

そう、こいつは〈猫界ダン〉の最奥ボス、〈 巨神猫 ( ゴッドキャット ) ・ブレイブ・ベヒモス〉と同じく、【魔王】系統のスキルやユニークスキルを使うのである!

「ゾアアアアアアアアアアアア!」

「大魔法まで使い始めた!」

「でかいよ! 防御!」

「固まってくださいまし! 『大号令』!」

炎熱のビームを全体にバラまいたり、氷の雨を降らせたりと魔法まで使い始める大魔王。さすが大魔王。これでこそ大魔王だな。

〈ダン活〉の【大魔王】って、前衛で大魔法をぶちかます魔法職なんだよ。

なのに攻撃を受ければ受けるほどどんどん強くなって大魔王化していくとんでもない 職業 ( ジョブ ) なのである。

すさまじい大威力の応酬にさきほどまでの小技の応酬と言う者はもう誰も居なくなっていた。

さっき小技だったものが大技になっているのだ。

殴り合いで召喚盤のレイドボスを屠り、シヅキの大魔王は3体も魔法で吹き飛んでやられた。もう暴れまくりである。

だが、そう好き勝手にはさせない。

「ノーア、右から来るぞ! カウンターいけるか!?」

「任せてくださいまし!」

狙いはそう、カウンターだ。

今までのボスの動きから次の攻撃箇所を予想した風にしてノーアを誘導。

高速で動いた大魔王が次の攻撃目標に選んだのはキキョウで、その前にはノーアが待ち構えていた。ドンピシャ!

「ゾアアアアアアアアアアアア!」

「『ミョルニル』ですわ!!」

「ゾアアア!?」

ズドンと強烈なハンマーの一撃が大魔王の腹に直撃する。

これが思いっきり効いたようで攻撃がストップしたんだ。

ナイス、ノーア!

「今だ! 一斉攻撃ー!」

「「「おおー!」」」

ここにおびき寄せることは確定していたため全員で狙い撃ちだ。

さあ、第二形態のHPよ無くなれ! 無くなれ! 無くなれ!

「ゾアアアアアアアアアアアア!!」

しかし俺の願い届かず。

あと少しというところでボスが大きく大きく飛びのいた。かなりの距離を稼がれてしまい、超長距離砲でなければ射程外の距離。

「ラナ! リーナ!」

「『神の天誅』!」

「『竜絶兵砲・ V ( ヴィクトリー ) ドラゴンバスター』大強化フルバージョンですわ!」

だが、これでも削り切れない。ここで、俺は悟った。

やっばいな。あれがくる!

ダメージを角に蓄積させてパワーアップする大魔王。

なら、そのパワーはどうするの?

その答えがこれだ。今まで溜めに溜めたパワーを放出する。

第二形態の超大技。

【大魔王】第二のユニークスキル――『まだ見ぬ闇の景色』が来る!

全体攻撃にして強力な闇属性攻撃。

あまりにも強力すぎて、タンクを1人2人に集中させて犠牲にしながら他のメンバーを生かさないと突破できないような攻撃とも言われる超威力の攻撃!

しかも〈闇属性〉。シエラの装備で唯一カットできない魔法が〈闇属性〉のため、インダクションカバー系を使えば間違いなくシエラが戦闘不能になってしまうだろう。

故に、大魔王にはそれを使わせずに第二形態を突破するのが最善だった。これ、大魔王の残りHPが5%を切らないと使ってこないから。

あと2%。

だが、誰かを犠牲にするくらいなら、俺は賭けに出る!

「カイリ! 『レイドボスへ集まれ』を発動! 対象は俺の周囲の10人だ!」

「へ!? わ、分かった! 『レイドボスへ集まれ』!」

カイリの〈六ツリ〉スキル『レイドボスへ集まれ』は文字通り味方をレイドボスの下へ転移させるスキル。

LV10なので10人転移だ。

こうして俺やメルトたちアタッカー陣は、一瞬でエネルギーを放出する寸前のボスの目の前に転移していた。

「全員! 総攻撃だーー!」

「「「「おおー!」」」」

攻撃が来る前に、その第二形態のHPバーを削り切る!

「『 天光勇者聖剣 ( あまのひかりのゆうしゃせいけん ) 』!」

「『ジェネシス・ヘクサ・アポカリプス』大強化フルバージョン!」

ズドーンと聖剣が大魔王にヒット。

そのあとに続くように大量の攻撃が大魔王を貫き、エネルギーは霧散。

そう、大魔王第二形態のHPが、ゼロになっていた。

メルトの大強化フルバージョン、6つのアポカリプスがトドメだったな! ナイスメルト!

「おっしゃー!」

「『ゼフィルスさん、リーナですわ!』」

「リーナから通信だ!」

「『無茶しすぎです! 離れすぎですわ!』」

「必要なことだった! 呼び戻してくれるか?」

「『分かりましたわ。通信終わりますわ!』」

何かを言いたげだったがリーナはすぐに通信をやめ、俺たちは一瞬でリーナの近くまで転移していた。リーナが上級ユニークスキル『本拠地を守りなさい。全員集合ですわ』を使ってくれたおかげだな。

さあ、距離は稼げた。次はいよいよ、大魔王の最終形態だ。