第2157話 大魔王様狩られる。今、専用装備を整える時!
第2157話 大魔王様狩られる。今、専用装備を整える時!
俺たちはそれからも60層のボスを安定して周回できるのか、例の戦法を確立すべく周回しながら色々試してみたんだ。結果。
「やっぱり、第一形態もやりやすいけど、第三形態の方が楽ね」
「お、おう……」
シエラからそんな評価をいただくまでになってしまったんだ!
大魔王様は変身してから、第二形態、第三形態になってからが本番!
なのに第三形態が……! あれから色々と工夫しまくって変身・覚醒系と溜め系、さらにゼルレカのデバフとアイテムを組み合わせることで一気に6割のHPを吹っ飛ばすことができる戦法を確立してしまったのだから空を仰ぐことしかできなかった。
運よくダウンが取れれば8割もいける……!
大魔王が俺たちのテリトリーまでやってくるまで1分も掛かるのがいけない。
色々準備が完了しちゃうんだよ!
大魔王が俺たちのところに到着する前にゼルレカ連れて少しでもデバフを盛っておくのがポイントです。
いやぁ、まさかこんな戦法があったなんてなぁ。
これ、溜め系スキルが使えるキャラでメンバーを揃えていたら、これだけで決着までいけるんじゃないの?
なんだか、アカン戦法を見つけてしまった気分。
「でも新たにいくつかの専用装備が出たのは嬉しいわね」
「おっとそれそれ。最初は魔王系に沿うような専用装備ばっかりだったけど、その後は魔法職、物理職問わずいろんなのが出たよな」
「タンク系があまり出なかったのが気になるけど」
「ああ。大魔王は盾なんて持たないだろうからなぁ」
なお、周回のおかげでかなりの専用装備がドロップしている。
セレスタンの〈 闘神執事 ( とうしんしつじ ) シリーズ〉が当たった時なんてざわめきがヤバかった。カルアとか、尻尾を股の間に挟んでたし。
あのセレスタンがこれ以上パワーアップする? どこに行くつもりなの?
みんなそんな心境だったようだ。
また、【大罪】系は全部ドロップしたぞ。
【憤怒】【傲慢】【怠惰】【色欲】【嫉妬】【強欲】【暴食】の7職全ての専用装備がドロップしている。やばぁい。でも素敵! さすが大魔王!
あとはノーアの〈 革命姫帝王 ( レボリューションエンプレス ) シリーズ〉もドロップが来たので、〈エデン〉では9人が新たに最終装備の専用装備レシピを得た形だ。
みんな超テンション高くなってたよ。
逆にテンションが低いのが盾職組……!
いや、キキョウとモニカは【大罪】職だったのでドロップがあったのだが、シエラやトモヨ、フィナの専用装備は未だドロップせず。
まあ、最強の盾職と【天使】職だもんね。そりゃでないわ。
あれらはもっと先。そう、もっと先でドロップするんだよ。
「あとドロップしてないのは、ゼフィルスやラナ殿下や姫騎士の4人、いえ、ロゼッタは出ていたわね。あとは私と【天使】職組は4人とも出てないかしら」
「アリスにサーシャ、シェリアにカグヤ、あとクラリスにシュミネも出てないな」
「ぼくの専用装備もドロップしないのだがどういうことだい?」
「ニーコは欲が強すぎるんじゃね?」
シエラが残りの最終装備をカウントしていくので俺も補足していると、後ろからウルウルと瞳を潤ませるニーコがひょっこりやってきた。
うむ。見事に妖怪に取り付かれているな。
「本当に全員分、集まりそうね。集まってもらわないと困るのだけど」
そ、そうだな。シエラからすればさっさと自分の専用装備をドロップせよということだろう。
シエラの視線が俺を射抜く。
「こほん。それじゃあ今日はここまでだ! 明日からは61層にチャレンジしてみようか。60層でドロップするものは、あらかた集まったと見ていいだろうしな!」
「賛成よ」
盾職の専用装備レシピをドロップしない大魔王に用はないわ。
そんな副音声が聞こえた気がしなくもなかったが、きっと気のせいに違いない。
さようなら大魔王!
俺は心の中で大魔王に敬礼し、その日は転移陣で帰還した。
「ということでマリー先輩! 専用装備のレシピ、またいっぱい持ってきたぜーー!」
「またこんなに持ってきてからに~~~!!」
例の専用装備の他にも〈エデン〉では使わないレシピも多数ドロップしていたので、お土産に持ってきたら、この通りだ。
マリー先輩の度肝は今日も抜かれてしまうのだー!
「今日は50枚だぜ」
「いくらなんでも持ってきすぎやろ!?」
「俺じゃなくレイドボスに言ってくれ。俺は悪くない!」
「まとめて持ってくる時点でそんなわけないやろー!」
ふはははは! 心の中で高笑いしながらマリー先輩と攻防する。
マリー先輩の心の平穏のためにももっと少なく持ってきて欲しいという要望は、俺の独断で却下されてしまうのだ!
もちろん大量に持ってきた方がマリー先輩のリアクションが大きくなるからである。ふはははは!
「素材もたっぷり置いていくな!」
「相っ変わらず兄さんやわ~。つうかあと1週間ほどで学園祭期間やなかったっけ?」
「だな、今年は〈新・迷宮防衛大戦〉に参加するため、しっかり装備を更新しておかなければならないんだ! ということでマリー先輩、頼むぜ!」
「今の兄さんたちが出場したら、他の選手置いてきぼりにして自分らだけで撃破してまうんやないの?」
大丈夫だ。さすがに〈エデン〉とはいえ、それは難しい調整を組んでいる。
そう、カイエン先輩と話し合い、みんなで挑まないと突破できない戦力となっているのだ!
盛り上がるように、演出を凝らさないといけなかろう!
「お祭りなんだから、みんなで楽しまないとな!」
「みんな、楽しめるんかなぁ。うちは兄さんの独壇場によってみんなが度肝を抜かれる姿がありありと想像できるで」
「気のせいさ!」
うん。気のせい気のせい。
「それでマリー先輩。〈新・迷宮防衛大戦〉までにこれ全員分作れそうか? 〈エデン〉の分だけでも急ぎでお願いしたいんだが」
「ギリギリやなぁ。ハンナはんは……なんか頼んだらその日のうちに仕事終わらせてくるからええとして、問題はタネテはんやな。タネテはんはまだ学生、しかも【クラフトマン】系統の 職業 ( ジョブ ) やから学園祭の出しものとか飾りとか、作製依頼がてんこ盛りなんやって。それにアルルも同じこと言ってた気がするわぁ」
「む、むむむ!」
ギリギリとは、ギリギリ可能ということで良いのかな?
つまりタネテちゃんとアルルがデスマーチになるよってことか。
学園祭で忙しいのにさすがにそれは可哀想。
そう思った時だった。
「気にせんでええで!」
「はい。ゼフィルス先輩の仕事は最優先でとりかからせてもらいます!」
「アルル、タネテちゃん!?」
なんとマリー先輩の工房に、本人たちが来たのである。
「アルル、ノックくらいしぃや」
「うちらのこと話してたやろ? もういてもたってもいられなくてなぁ。許してやマリー姉。このタイミング、ノックなんて無粋や。突入せなあかんって分かるやろ?」
「分かる。無罪や!」
「やったでー!」
「えっと、ノックもせずに入ってしまい失礼いたしましたマリー先輩」
「あはは。冗談や。気にせんでええでタネテはん」
無断で入ってきて無罪放免。ノリで生きてる、でもそこが良い。
さすがはアルル。そしてマリー先輩。あのタイミング、突入する以外に選択肢はないな。ノックなんてしてたらせっかくの機会を逃していただろう。
俺も無罪判定だ。
「それでアルル、タネテちゃん、気にしなくていいというのは!?」
「またレシピをぎょうさんもってきたんやろ? うちに任せとき!」
「私もです。先ほども言いましたが、ゼフィルス先輩の依頼は最優先です。学園祭よりも優先です」
「そこまでしなくてもいいぞ?」
「いいやするで! ――な、タネテはん?」
「はい。ゼフィルス先輩は私たちがどれだけ感謝しているか分かってやがりません。こほん。ではなく、部下も育ってきましたし、余裕も出てきましたので受けられるのです。無理ではありません。安心してほしいです」
なんか今タネテちゃん本音出なかった? 最近はケンタロウが居なくてすまし顔ばかりしか見ないから忘れがちだけど、タネテちゃんの素は毒舌キャラなのだ。
「できるのか? 追加で9人分あるんだが?」
「……ま、任せとき!」
「できます。やってやります!」
「そっか。それじゃ任せる! だが無理だけはしないでくれよ?」
「「はい!」」
話はまとまった。
早速学生生産組の2人はマリー先輩と話を詰めつつレシピを拝見し、どっひゃーと驚きながらも工程スケジュールを組んでくれたんだ。
嬉しいところ!
なお、その過程で大魔王様の素材が全然足りないことが判明したので、今週は結構な回数大魔王様狩りに勤しむことになりそうだ。
ただいま大魔王様!