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第2164話 〈学園祭〉初日の朝からタバサ先生VSシエラ!?

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第2164話 〈学園祭〉初日の朝からタバサ先生VSシエラ!?

―――〈迷宮学園祭〉。通称〈学園祭〉。

11月の半ばに3日間かけて行なわれるお祭りイベント。

学園全体がお祭りムード一色になってわいわい騒ぐのだ!

ついに俺たちも3回目。学生で体験する最後の〈学園祭〉だ。

「ゼフィルス君~おはよう~」

「おはようハンナ! 今日も悪いな」

「大丈夫だよ! ゼフィルス君も早く起きられて偉いね」

「俺は子どもか?」

「違うの?」

「そうだった……!」

はい。今の俺は子どもです!

いつもの朝のハンナごはん。

朝6時をちょっと過ぎたくらいの時間なのにハンナが来てくれて朝ごはんをごちそうしてくれるんだ。

「〈学園祭〉は10時からだから、お腹すいちゃうもんね。しっかり食べてねゼフィルス君」

「ああ。ハンナの朝ごはんがお腹に染みる、そして身体に染みわたる……!」

今日のメニューは和風。ごはん、みそ汁の定番に、サバの塩焼き、海苔、ひじき煮という豪華さ。

まるでどこかの旅館の朝ごはんのようで、俺はちょっとした旅行気分を味わった気がした。非日常って感じがする!

「ふふ。良かった」

朝食を食べたら7時には出発だ。

ハンナが〈生徒会〉の生産隊長なので、今日も早めに行く必要があるのだ。

「ハンナ、頑張れよ」

「うん! ゼフィルス君も、頑張ってね!」

「おう!」

そう言っていつもの分かれ道でハンナと別れる。

俺は少しだけ時間があるので、朝早くから色々なところで準備を進めている方々の仕事ぶりを見て回った。

〈超巨大風船会場〉なる名前に一時的に改名された広場では、大量の巨大風船の膨らまし工程を見させてもらったりもした。

これが学園祭を飾る大きな彩になるのだ。去年も一昨年も、モンスター型の風船とかが空に浮かんでいたりしたもんだよ。

そういえばヘリウムガスとか、ブロアとか無いのにどうやってこれ作ってるんだろう? そんなことを考えてたら、なんか見たこともないアイテムを使って空気を注入していたんだよ。あれなに!? ということで、巨大風船を膨らましている業者っぽい方に聞いてみました!

「おん? あれか? あれはこの時期だけ外のなんとかってダンジョンでドロップするアイテムだよ。あれのおかげでこうしてこの時期は祭りを開くことができるってわけだ」

「な、なんだってー!?」

学園祭は11月半ば、学園祭をするなら普通そんくらいの時期だよね。

そんな思考停止で止まっていたが、考えてみれば学園祭をこの時期にやる理由があったのだ!

それが、外のダンジョンでこの時期にしかドロップしないアイテムに秘密があった!? ちょっと待って、それにこの時期にしかドロップしないってなに!? 時期によってドロップが変わるダンジョンがあんの!? どこそこ行ってみたい!

「ありがとうございます! 俺、ちょっと行ってきます!」

「いや、そこは国が管理しているダンジョンだから許可したもんじゃないと入れねぇよ? というか、学園祭はどうすんだ? あんちゃん学生だろ?」

「そうだった……!」

なんてこった! そういえばこの世界ってダンジョンへの入ダンは許可制だった!

学園ダンジョンなんかその筆頭で、一般人入れないし!

くぅ! 今は学園ダンジョンをたっぷりと楽しみ尽くす時期か……!

あと今日から学園祭だった! 一瞬頭から飛んでいってしまったが、何とか回収に成功して頭の中に詰め込む。

今日は学園祭です。よし、頭の調子も戻ったようだ。

「ありがとうございます! 貴重な話が聞けました!」

「いいってことよ学生。学園祭、楽しみな」

「はい!」

気持ちのいい業者のおやっさんにお礼を言って離れる。

まだ学生はちらほらだ。

基本的に作業しているのは業者さんだな。

「うお!? ダンジョン門が、作業場になってる!?」

続いて俺の目に留まったのは、いつもダンジョンに入る時に、その管理をしているダンジョン門。

そこが今、なんかすっごい作業場になってたんだ。あれは、パレードで使う車体か? ここで組み立ててるのか。

学園祭期間中、ダンジョンへの入ダンは禁止されている。

その理由がまさか、作業場になっているからだったとは……!

なるほど、こういう大きなものを造る時の作業場が足りてないのか……。

俺たち学生にとって広場と言えば校庭や練習場、アリーナなんかが思い浮かぶが、もちろん校庭も練習場も学生の出し物をするためにそんなスペースは無いし、アリーナも出し物をする場所だから片付けないといけない。

3日間作業場として使用できる大きな広場となると確保が難しい。

その点、巨大施設であるダンジョン門はピッタリだったというわけだ。

「マジかよ、知らなかったぜ」

ゲームの時、学園祭はイベント進行だったのでダンジョン門に行くどころか、キャラを操作できる環境もあまりなかったし、行ける場所も限定的だった。

1年生の時や2年生の時も、警邏の仕事で担当区域以外に行かなかったからなぁ。

3年生になって初めて知る事実がいっぱい!?

やっべ、学園祭開始前の朝の散歩、大発見がいっぱいです!

俺の〈ダン活〉知識が満たされていく~!

そんなときだった。

「ゼフィルスさん?」

「え? タバサ先生!?」

「やっぱり。こんな朝からどうしたの?」

偶然にもばったりタバサ先生と遭遇してしまったのだ。

タバサ先生は、なんとスーツ姿。

白をベースとしたスーツ!? 下はタイトスカートで、上は黒系のワイシャツに白の上着を着ていて、上着のボタンは留めていないというややラフで、日常と先生を感じさせる。

ニコリととても嬉しそうな顔をしたタバサ先生が俺の側に歩いてくると、腕を取って、否、絡ませて横にピタッとくっついたんだ。タバサ先生が大変近いです!

これを自然な動作でやるからタバサ先生はすごーいのだ!

「1人なの? 他のメンバーは?」

「今は朝の散歩中で。1人だな」

「あら」

タバサ先生の目が輝く。

大抵、タバサ先生がこういうことをすると目を吊り上げたシエラが待ったしてくるのだが……、それがない。シエラが不在!

「時間は、頑張れば20分は確保できるかしら? うん――ゼフィルスさん、時間があるなら私とお散歩しましょ?」

「良いですね!」

「うふふ。今日は良い偶然があったわ。今年の学園祭でもゼフィルスさんとは会えず仕舞いなのかと思っていたけれど、こんな展開が待っていたなんて。ゼフィルスさん、これは運命じゃないかしら?」

タバサ先生が浮かれています! タバサ先生は以前「私、偶然に強いのよ」と言ってらっしゃったが、なるほど、納得である。

「運命だったら、タバサ先生はどうしますか?」

「そうね~。このままゼフィルスさんを独り占めしてしまいたいわ。早い者勝ちよ」

「俺も喜んでタバサ先生に独り占めされたいと思います!」

「うふふ」

冗談っぽい会話をしながらぶらぶら歩く。向かう先は〈S等地〉なので通勤だ。

俺的には学園祭の準備期間という非常に興味深い時間帯ではあるものの、タバサ先生とぶらぶら歩くことに否は無い。むしろ手が振りほどけないもん。

いつの間にか腕を絡ませられてる。タバサ先生の両腕で。むしろ抱き着かれている? 逃がすつもりはないという意思表示かな!?

学園祭が無ければこのまま時間を忘れてタバサ先生とぶらぶらデートをしたいという欲求に従っていたに違いない。

ん? なんだか『直感』さんが騒いでいる気がする。ちょっと待ってくれ、今いいところなんだ。

そんなことを思ったのがいけなかったのかもしれない。

「なにを、しているのかしら?」

「(びくぅ)!?」

「あら、シエラさん?」

今ね、ちょっと心臓が口から出かかった気がしたんだ。

むちゃくちゃびっくりドッキリした。その正体は、目を吊り上げたシエラだったんだ……! ジト目はどこ!? 『直感』さん!?

しかしさっきまで騒いでいたはずの『直感』さんは、無反応。

『直感』さん! 出番ですよ! ほら!

「タバサ先生。その手に持っているものは、何かしら?」

「ゼフィルスさんの腕よ?」

「そう。離してくれない? ゼフィルスはこれから〈秩序風紀委員会〉に行かなければならないの」

「(びくぅ)!?」

シエラの目が俺を射抜く。不意に、俺は両腕に不名誉なアクセサリーがガチャンと着いたのを幻視した。

ち、違うよな? これから仕事だ、って話だよな?

「いやよ♡」

「…………」

あ、あ、あ、シエラのつり上がった目が急ににっこりに……!

シエラの顔が笑顔に大変身した。俺は怖くてたまりません!

「ふふ、冗談よ。ゼフィルスさんはシエラさんに返すわね」

「……別に私に返さなくてもいいけれど。ゼフィルスは預かるわ」

そうして引き渡される俺。

暖かかった腕のぬくもりが無くなってしまって、ちょっと悲しいと思ったのは厳重な秘密にしておくんだぜ。

なお、シエラは引き渡された俺を見ると、ちょこんと袖を摘まんだんだ。

い、いじらしくてこういうのも良い!

「残念ね。私ももう〈攻略先生委員会〉へ行かなくちゃいけない時間だわ。それじゃ、シエラさん、ゼフィルスさん、またね」

「タバサ先生、お仕事頑張ってね」

「タバサ先生、またな」

そう、手を振って急ぎ歩いていくタバサ先生を見送る。

そういえばタバサ先生は〈攻略先生委員会〉の総隊長。

ハンナと同じく、早めに出勤しないといけない立場だったのかもしれない。

残念ながらここでお別れだった。

「はぁ。ゼフィルス」

「おう。俺たちも行こうか」

時間を見れば、俺たちもそろそろ〈秩序風紀委員会〉に向かうには良い時間。

そう思ってシエラを誘うと、にっこり顔のシエラが俺に向く。

「説明、してくれるわよね? なんでタバサ先生とデートをしていたの?」

俺は〈秩序風紀委員会〉のギルドハウスに向かう道中。

洗いざらいタバサ先生と偶然出会ったいきさつを語ったのだった。

なんかこの前もこういうのあった気がする……!