第2170話 今の学生って、こんなに強いのかー!?!?
第2170話 今の学生って、こんなに強いのかー!?!?
「な、なんじゃありゃーーーーー!?!?」
誰かが叫んだ。
「知らないのか? 今の学生だよ」
「うっそだろ!? 今の学生ってあんなの強いのか!? 〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉だぞ!? あの最強にして最凶! クマにして悪魔の〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉だぞ!?」
「俺、学生の時最初のダイビングクマクラッシュで即退場した」
「お、俺の年なんかそれで5000人居た最強の選手たちが2人にまで減ったからな!? あの絶望は今でも覚えてる」
「ちなみにその時生き残ってしまったのが、こいつと俺だ」
「あの伝説の年の生き残りかよ!?」
「それを……その〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉をだよ!? いくらボス補正無しとはいえ10人ちょいで倒すってどういうことだよ!!」
「実はそんなに強くない、とか? 10人でもやれるくらい?」
「俺、さっき〈バトルウルフ(最終形態)〉に50人で挑んで負けたんだけど、〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉に10人で勝てるかな?」
「いや無理だろ! 俺〈クラス対抗戦・カイエン杯〉見てたけど、あの〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉、〈バトルウルフ〉も〈ヘカトンケイル〉も〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉ですら粉砕してたからな! 連戦で!」
「ガチの頂点なんよ。〈バトルウルフ(最終形態)〉2体で囲っても負けてたクラスあった」
「〈バトルウルフ(最終形態)〉2体に囲まれても勝てる〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉を10人と少しで倒しちゃう、学生?」
「俺、学生ってなにか辞書で調べなおしてくるわ」
「俺も付き合うぜ」
シーンと静まったのも一瞬。
大きな爆発的ざわめきとしてアリーナ会場中に喧騒は広がっていった。
どうやら、俺たちは目的を果たせたらしい。
これで学生たちの前ではっちゃけたりする人は減るだろう。
治安が良くなっていくのを感じるぜ。(物理)
「もうゼフィルスったら良いところに参戦してきちゃって! かっこよかったわよ!」
あ、ラナが駆けて来た! どうやらさっきの俺たちの登場、途中参戦をとても気に入ってくれたらしい。ネタばらししちゃったリーナの言葉はどうやら聞こえていなかった模様だ。
「大丈夫でしたか、姫?」
「ふにゃ!?」
あ、さっきの勇者ロールを続けっぱなしで変なセリフが口から出た。
俺の前にまで来たラナのお手を拝借して勇者顔を決めてしまったぞ!?
ちなみにラナも変な声を出して真っ赤になった。
そしてあわわしながらきょろきょろとして、俺に向き直る。
「わ、私の勇者、助けに来てくれたのね」
あれ? ラナが乗ってきた?
これ、続ける感じ?
どうしようか思案していると、そこに待ったがかかる。
「お待ちくださいラナ殿下! それはずるいですわ!」
「私知っています! それはラナ殿下が好きな恋愛小説、勇者物語・聖女編の一節です! しかもラブシーンに突入する導入部分の王女のセリフです!」
「ちょ、リーナ!? アイギス!? 待って! 今いいところなの!」
「「許しません!」」
だがゼニスから降りて同じく駆けて来たリーナとアイギスがブロックしてあえなくロールプレイは終了になった。
「今日はわたくしたちのターンなんです! ラナ殿下は明日がありますでしょう!」
「明日に今みたいなシチュがあるとは限らないもの! それよりも今しかないの! お願い譲って! ちょっとだけでいいの!」
「いいえ今日は私たちの番です。これは譲れません!」
珍しくリーナとラナとアイギスがきゃあきゃあ言い合う。
内容から察するに、ラナの愛読書である恋愛小説のロールプレイに突入しかけていたらしい。あぶねぇ。俺それ読んでないから! 分からないから!
なんか明日やるみたいなこと言っているけど、気のせいだよね?
「ゼフィルスお兄様!」
「お、ルル、それにシェリアも!」
「ゼフィルス殿、精霊王様を助けていただき、ありがとうございました。あそこで精霊王様が倒されていたらなにもできなくなっていましたから、とても助かりました」
「どうってことないさ」
ルルがててててーと言わんばかりのダッシュを見せて迫ってくる。大変可愛い。あ、でもおでこには気を付けてね。それ当たったら俺でもダウンしちゃうから。
シェリアは精霊王のことでお礼を言ってきたな。確かに、あのタイミング、〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉の必殺技の直撃を受けてしまえば精霊王とて一撃でお空の 星 ( 光 ) になっていたことだろう。
ちなみにこうなった経緯を聞いてみたところ。
「ルルは頼まれたのです!」
「はい。これも治安を確保する一環だと、〈秩序風紀委員会〉から依頼が舞い込んできたのです。ゼフィルス殿が呼ばれていなかったのは意外でしたが、途中参戦のためだったのですね」
いえ、それは俺たちのアドリブです。
なるほど、ルルたちもこの第一アリーナの警邏を担当している班だったのだが、〈秩序風紀委員会〉に今回のイベント(?)を依頼されて〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉をぶっ倒したらしい。
これで治安は確保できただろう。あとでご褒美をもらわないといけないな!
「ちなみに、2時間ごとに同じことをしてくれと頼まれています」
「今もお客さんがたーっくさん学園に来ているのです! ルルたちは2時間ごとにパフォーマンスして、治安を確保しないといけないのです!」
2時間ごとに〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉を張り倒す簡単なお仕事ですと言わんばかりのルルの発言に、俺はほっこりした。
「そっかぁ、なら仕方ないな」
「ちなみに、終わり次第休憩を取るよう言われています」
「あ、そうなのです! ゼフィルスお兄様はどうなのです?」
「なぬ? ちょっと確認してみる。――オペレーターさん。他のみんながこれで休憩らしいんだが、途中参戦した俺たちはどうすればいいんだ?」
「『こちらオペレーターです。ゼフィルス班も休憩を取っていただいて構いませんよ。時間は、1時間後に再開でどうでしょう?』」
「最高です!」
「『では今から1時間、休憩時間としますね。お疲れ様です』」
「そっちもな。オペレーター助かったぜ」
というわけで、今から休憩時間になった。とりあえず、1時間。
「ゼフィルスお兄様も休憩時間なのです!? ルルたちと一緒にご飯を食べ歩きに行くのです!」
「それはいいな! ――おーいリーナ、アイギス! 俺たちにも休憩が入ったぞー」
まだラナと騒いでいる2人にも今の通信内容と休憩に入ったことを教える。
あとルルから魅力的なお昼ご飯のお誘いの件も。
「な! ま、まさかの伏兵でしたわ」
「ル、ルルさんも3日目がありますでしょう? 今日は私たちの番ということで。どうでしょうシェリアさん?」
「そうですね。ルルと3日目には離れ離れになってしまうのです。そう考えれば、今のうちにルルをいっぱい摂取しておきたいというもの」
「やーなのです! ルルは3日目は多分ゼフィルスお兄様たちとは別々に食べるのです! シエラからも協力を依頼されたのです! なので、今一緒に食べたいのです!」
「「な!」」
「シエラさんと約束ですか? それはルルを私の班に合流させるという? なるほど」
「シエラさん、やりますわね。こっそりルルさんをシェリアさんに預けて自分はゼフィルスさんと2人になる気ですわ!」
「なんという巧妙な手口。このままでは、3日目のお昼はゼフィルスさんとシエラさんがデートということになりますよ。リーナさん?」
「こうなったら最後の手段ですわ。ゼフィルスさん、お手を拝借しても?」
「え? おお。リーナが欲しければ、もちろんかまわないさ」
「では私はこちらを」
なぜか両手をリーナとアイギスに掴まれたかと思うと、そのまま180度半回転。
「ルルさん、申し訳ありませんがわたくしたちは用事を思い出しましたので、これにてごめんあそばせ」
「ごめんなさいルルさん。この埋め合わせはまた今度」
「にゅ!?」
「おお??」
そうしてそのままダッシュ。俺はリーナたちに連れていかれてしまったのだった。
「おいおいゼフィルス! さっきのあれはなんだよ! 超かっこよかったじゃねぇかよ!」
「あ、ガルゼ先輩!」
なお途中でガルゼ先輩がさっきのかっこいい勇者登場について語りたそうにしていたのだが。
「ゼフィルスさん、こっちですわ」
「少々急いでおりますので、失礼します」
「ガルゼ先輩、また時間がある時にでもな~!」
俺は立ち止まることもできずにそのままさよならしたのだった。
「おい、あれってまさか勇者さんじゃ!」
「きゃー本物よー!」
「外に出る前にまた変装しますわよ」
「それがよさそうです」
なお、第一アリーナから外に出る前に変装するのも忘れない。
こうして俺はリーナとアイギスと手を繋いだまま、学園祭でわいわい盛り上がるメインストリートへと向かうことになったのだった。
さすがは学園祭。とっても賑やかなんだぜ。