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第2172話 ユーリ王太子!ゼフィルスとパレードで一緒!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第2172話 ユーリ王太子!ゼフィルスとパレードで一緒!

「ユーリ様、こちらへ、パレード車のうちの1つをご用意しております」

「ありがとう。本当は学生がメインの行事に卒業生が我が物顔で参加するなんて、あまりしたくはないんだけどね」

「そうは言いましても、今や学園は国のトップLVを走り続けています。そして今年は特に国中から賓客がやってきているのです。これ以上の場は中々用意できません」

「分かっているさ。少し心苦しいだけだよ――さあ、行こうか」

そう言ってバサッとマントを靡かせて進み出るのは、この国の王太子、ユーリである。

控えるのはソトナ。元〈キングアブソリュート〉でサブマスターだ。

ソトナは卒業後、学園の教員として経験を積んだ後、ユーリの側近として召し抱えられ、常にユーリの側にいる立場となってここにいる。

今日は目的があった。

学園に来る目的が。

例の〈新・迷宮防衛大戦〉ももちろん目的の1つだが、メインは違う。もっと大事なことがいくつもあった。

そのうち最も大きいものが、ゼフィルスである。

ゼフィルスは昨今話題の中心人物だ。

数々の未踏破ダンジョンの攻略に加え、誰もが知らない超アイテムをいくつもいくつも持ち帰っている。

さらには前人未到、そしてその頂きと呼ばれていたLV100に人類で初めてたどり着いたのだ。(本当はハンナが最初だが、公式記録ではゼフィルスたち〈エデン〉となっている)

「連絡がありました。ゼフィルスさんをパレードに護衛として依頼されたとのことです」

「ははは。それは最高の護衛だね。そっか、久しぶりだなぁ。元気していたかな。ちなみにラナは?」

「ラナ殿下は別行動で第一アリーナで警邏をしているとのことです」

「そっか。ゼフィルス君と共に行動しているのではないんだね」

そんなやり取りをしていると、ついにパレードの団体が目の前を通過する時間になった。ユーリを乗せたパレード車は、ここで合流し、約1周、学園都市を回ることになっている。

さらに待ち人も来る。

「こんにちは~、〈秩序風紀委員会〉、ゼフィルス班到着しました」

「やあ、ゼフィルス君」

「ユーリ先輩! 久しぶりですね!」

そう、ゼフィルスだ。

ユーリは学生の頃、ゼフィルスに大変世話になった。

いや、世話になったというか、世話になったのは事実なのだが、もっとこう、それだけではなく。ご指導賜ったとか、力添えをいただいたとか、ものすごい頂きから支えてもらった師匠的な感じなのだ。

ユーリとしては足を向けて寝られないくらいにはゼフィルスに感謝していたりする。

そんな、師匠たる人物との約1年半ぶりの再会だ。

ユーリの気分が高揚する。

「久しぶりだね。元気そうで何よりだよ」

「ユーリ先輩も。なんだか忙しいって聞いてたから少し心配してたんだ」

「ははは」

ちなみに忙しかったことの8割くらいはゼフィルス由来だったりするので、ユーリは軽く笑い飛ばした。

「ゼフィルスさん、お久しぶりです」

「ソトナ先輩も、改めて王太子の側近就任、おめでとうございます」

「ありがとうございます。積もる話はあるかと思いますが、まずはユーリ様をお披露目しなくてはなりません。行けますか?」

「「「もちろんです」」」

「では――ユーリ様」

「分かったよ。――ごめんね、今ソトナは外向きモードなんだ」

「やっぱり、そうなんじゃないかって思ったよ」

側近がだらしないと、主までだらしなく見られる。

故にソトナは学園についてからバリバリの外向きお仕事モードになっていた。

学生時代ならばもうちょっと可愛らしく、ユーリ殿下♪、と呼んでくれていたのだが、まあ仕方なし。

ユーリはソトナに促されるままパレード車の天辺に乗り込み、ゼフィルス、リーナ、アイギスは装備姿でパレードの周囲を囲った。ゼニスもバッグから出てきて準備完了。

「では、出発しますね。――3、2、1、発進です」

バサッと仮設巨大テントの壁が取り払われると、中にあった豪華なパレード車が動き出す。

この世界には〈 空間収納鞄 ( アイテムバッグ ) 〉があるので、巨大テントとの併用でいきなり車両が登場することがよくあるのだ。

「おお! あっちから車両が合流するぞ!」

「な、あれを見ろ! ユーリ王太子殿下だ!」

「ユーリ王太子様!?」

「勇者ゼフィルス氏もいるぞ!?」

「すっげぇぇぇぇぇぇぇ!!」

パレードを見に来ていた見物客もさすがに王太子が出てきて度肝を抜かれてざわざわする。しかも護衛をしているのは、勇者ゼフィルスなのだ。

一気に歓声が上がり、パレードは大盛り上がり。

パレードの中央部分に割って入ることになったユーリ王太子を乗せたパレード車。

その情報は一気に拡散され、多くの人がパレードを一目見ようと集まってきた。

学園1周回るのに3時間の予定が少し遅れて4時間になったくらいにはすごい人だかりになったのだ。ユーリは笑顔で手を振りっぱなしになった。

盛り上がりすぎた影響か、途中〈真・マッスルドッキング〉で一躍名を上げた〈ガンゴレ〉を神輿のように担いだ筋肉たちがパレードにゲリラ参加してくるハプニングもあったが、それ以外は特にトラブルもなく進んだ。担がれていた本物のマッスルが銅像と同じスマイルをしていて観客がポカンとしていたが、多分盛り上がってた。

そんなこんなでユーリはほぼ1周したところで途中離脱。ここでも仮設巨大テントが大活躍。

テントの中に入ったパレード車はそのまま〈 空間収納鞄 ( アイテムバッグ ) 〉入りになって、ユーリたちは無事解放されたのだった。

「はぁ、お疲れ様みんな。長い間拘束して悪かったね」

「いいえ。予想以上の反響に私共も嬉しく思っています」

「はい。それに勇者ゼフィルスさんとユーリ王太子殿下の仲が良好なのは、しっかり国民にも周知できたと思いますわ」

「はは。さすがはサウンレイク公爵家の令嬢には見抜かれてしまうか」

ちなみにサウンレイク公爵家とはヘカテリーナの家の名前である。

ユーリの目的の1つ、〈エデン〉のギルドマスターであり、数々の偉業を達成して名声がすごいことになっている勇者ゼフィルスと、王太子ユーリの良好な仲を国中に見せる、というものがあった。

この試みはまず成功と言っていいだろう。途中、ユーリの護衛にパレード車にゼフィルスを上げたりして、仲良く会話したりもする光景を演出したのだ。

まあ、ゼフィルスは素だったが。

「ではここで解散しよう。〈秩序風紀委員会〉からも、今日は解散でいいと連絡を受けている。――それでゼフィルス君は少し話がしたいんだ。17時から少し時間を貰えないかい?」

「もちろん構いませんとも」

「「んな!?」」

「…………ユーリ様。せめて18時くらいからがよろしいかと」

「そうかい? では18時にしよう。19時には解散できると思うよ」

「そういうことでしたら」

「はい。ソトナ先輩、ご配慮感謝いたしますわ」

現在16時30分。

17時なんて言ったらほとんど時間はない。

リーナとアイギスは、予想以上にゼフィルスといる時間が少なかったのだ。

ここでなんとか挽回しておきたいという時にゼフィルスを持っていかれてはたまらない。だが、ここでソトナが見抜き、なんとか18時からにしてくれた。

1時間30分あれば、それなりに楽しめるはず。

「では、私たちはこれにて」

「失礼いたしますわ」

「ユーリ先輩。また後でーーー」

「ああ、うん。ゼフィルス君も頑張ってね」

ユーリの前で引きずられて持ち去られるゼフィルスを見送り、ユーリはソトナと一緒にゆっくり18時まで、身分を隠し変装しながら楽しんだのだった。

「まるで学生の時に戻った気分だよ」

「良かったです」

「ソトナはどうだい?」

「私も、最近は特にユーリが忙しそうでしたから、構ってもらえなくて寂しかったんですよ? 今日はもうちょっとサービスしてもらわないといけません」

「そうか。ソトナにも苦労を掛ける。僕の今の時間はソトナのものだ。君が行きたい場所、経験したいこと、やってみたいことを教えてくれないか?」

「はい。私のしたいことは、ユーリと一緒に楽しむことです」

「はは、そうか。それじゃ、全力で楽しまないとね」

「はい!」

ちなみに余談だが、ソトナとユーリの距離は近い。

この世界では、国母に求められるのは身分の高さではなく、実力主義だ。

王族は強くあらねばならない。未踏破ダンジョンを攻略できるくらいに。

故に、上級下位ダンジョンで未踏破だったランク2、〈霧ダン〉や、ランク6の〈岩ダン〉の初攻略者であるソトナは、ユーリに一番近いところに居たりする。

そうして各自学園祭を楽しんで、1時間半後。

キリッとした姿で顔を合わせるユーリとゼフィルスが居た。

「ゼフィルス君に頼みがあるんだ」

「聞きましょう」

「……いっぱいあるんだ」

「……聞きましょう」

ユーリとゼフィルスの会談がこうして始まった。