LNCrawler

第370話 【竜騎姫】はおとぎ話じゃ無い実在する上級職!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第370話 【竜騎姫】はおとぎ話じゃ無い実在する上級職!

【竜騎姫】。

「騎士爵」のカテゴリーが就くことが出来る 職業 ( ジョブ ) の中でも最高峰の一角であり、主に 竜 ( ・ ) 系統のモンスターに騎乗して戦う 上級職 ( ・・・ ) である。

エステルが就いている【姫騎士】から〈 上級転職 ( ランクアップ ) 〉出来る4つの〈上級姫職〉の1つだ。

〈上級姫職〉は〈姫職〉からしか 上級転職 ( ランクアップ ) 出来ないうえ、さらに特殊な条件も加わるのだから就くための難易度が非常に高い設定だった。

だからだろう、フレックDさんが「実在するかも分からない」なんて言ったのは。

この世界ではそもそも 上級職 ( ・・・ ) へ就いている人が少ないんだ。

その中でも〈上級姫職〉という、〈ダン活〉でも頂点に君臨する 職業 ( ジョブ ) 群へたどり着けた人物は、皆無とは言わないがそれにほぼ近い人数であるはずだ。

発見されていない 職業 ( ジョブ ) なんてとんでもなく多いだろうというのも予想出来る。

おそらく【竜騎姫】に就けた人物も歴史上一人とかで、そもそも上級職という情報すら失われてしまったほど過去の事である、とかそんな感じなのではなかろうか。

しかしだ。【竜騎姫】は実在する。

それも〈ダン活〉ではアタッカーとして非常に強力で人気の 職業 ( ジョブ ) だった。

常に変動し続けた〈上級部門・公式 最強職業 ( トップオブジョブ ) ランキング〉では毎回一桁台に名を連ね続けた最強職の一つでもある。

【竜騎姫】になりたい。非常に素晴らしいと思う。

よかろう!

この俺が、しっかり【竜騎姫】に就かせてあげようではないか!

アイギスさん。俺はもう君を逃さないぜ。

「採用で!」

「ふえ?」

フレックDさんの説明の途中で採用宣言した俺に、アイギスさんから変な声が漏れた。

見れば皆変な顔をしていた。

採用と言ったのがそんなにおかしかっただろうか。

「えっとぉ?」

「アイギスさんは採用と言ったんだよ。うちの下部 組織 ( ギルド ) でよければ是非加入して欲しい。もちろん〈育成論〉だって教える、何せ【竜騎姫】だからな」

「いやいやちゃんと聞いていたのか? 【竜騎姫】はただのおとぎ話の類いなんだって。本当は存在しない空想の 職業 ( ジョブ ) なんだ。そもそも竜がいないんだから竜に乗って戦う【竜騎姫】が存在するわけがないんだって」

説明の途中で固まっていたフレックDさんが俺の言葉を聞いて慌てて勘違いを正そうとするが。

「竜がいないなんてどうして分かるんだ? まだ 上級下位 ( ジョーカー ) しか攻略されたことがないのに」

「それは……」

俺の言葉にフレックDさんが詰まる。

そう、今の世界の人たちには 上級中位 ( ジョーチュウ ) 以上のダンジョンの生息は分からない。

フレックDさんが「竜がいない」と言ったのも、所詮は 上級下位 ( ジョーカー ) 以下のダンジョンの話に過ぎないのだ。

そして俺は知っている。

上級中位ダンジョンの一つ〈 爬翔 ( ハショウ ) の火山ダンジョン〉の下層では、〈ワイバーン〉や〈ヒュドラ〉、〈オロチ〉などの亜竜が登場するのを。

そして、その先では様々なイベントで本物の竜が登場してくるのを。

【竜騎姫】の発現条件には確かに〈竜種のテイム〉というものがある。

〈テイム〉とは【魔物使い】や【テイマー】系の 職業 ( ジョブ ) などが主に使うもので、要はモンスターのスカウトだ。モンスターをキャラの代わりに戦わせることができるスキルである。

【ナイト】系も、騎乗出来る一部のモンスター限定だが、テイムすることができるスキルを持つ。

それを使い〈竜種〉を〈テイム〉できれば【竜騎姫】転職の道が開かれるという寸法だ。

ちなみに〈ダン活〉では〈丘陵の恐竜ダンジョン〉に登場した恐竜や、他のダンジョンにも登場する首長竜、翼竜の類いは厳密には竜種ではなく、恐竜種というトカゲモンスターに近い扱いとなっている。

〈ワイバーン〉相手には〈滅恐竜剣〉の『恐竜キラーLV5』は特効効果が無いので注意が必要だ。

とはいえだ。さすがに今の俺が 上級中位 ( ジョーチュウ ) のモンスターを把握しているのは問題ありなので、少しごまかしておこう。

「〈エデン〉は上級の攻略も視野に入れている。もしかしたらその過程で〈竜種〉も発見出来るかもしれない」

「上級を!? しかし、〈キングアブソリュート〉ですらまだ上層で手こずっているという話だが!」

「そ、そうです。さすがに上級ダンジョンの攻略は難しいのではありませんか?」

フレックDさんとアイギスさんが驚愕しているが、そんなもの〈上級転職チケット〉が足りていれば問題ない。

〈エデン〉はすでに〈上級転職チケット〉を3つ確保している。

中級上位 ( チュウジョウ ) に行く頃にはあと2つくらい確保出来ているだろう。

上級へ挑む準備は着々と進んでいる。問題は、無い。無いんだよ。

「難しいだけだ。無理では無いさ。目標というのは高ければ高いほど良いだろう? だから【竜騎姫】に就くことを諦める必要は無いさ」

俺がそう言い切ると、アイギスさんはカチューシャ型の兜を外し、ぎゅっと胸に抱えた。

「私は、本当に〈エデン〉へ移籍させていただけるのですね?」

「もちろんだ。下部 組織 ( ギルド ) で悪いけどな」

アイギスさんは首を振る。

「十分すぎます。〈転職〉し、LVがリセットとなる身でありますが、よろしくお願いいたします」

「おうよ。【竜騎姫】に就けるまで何度も挑戦すればいい。〈エデン〉は強くなりたい人を歓迎する」

「はい」

アイギスさんはこれから〈エデン〉の下部 組織 ( ギルド ) に移籍する。

まずはエステルと同じく【姫騎士】に就かせるところから始めよう。

LVは0からやり直しだろうが、〈攻略者の証〉は持っている。〈道場〉を使えばすぐにLVは上がる。

俺はアイギスさんの今後の育成に思いを馳せるのだった。

「あの、ゼフィルスさん。俺は?」

……フレックDさんが俺の肩をちょんちょんと指先で突きながらそう聞いてきた。

すまん。フレックDさんは、〈不合格〉なんだ。