第638話 金曜日、ゼフィルス先生の二学期講師始動!
第638話 金曜日、ゼフィルス先生の二学期講師始動!
翌日、今日は金曜日だ。
金曜日とは選択授業のある日である。
二学期からの部、最初の選択授業だ。
本日は第三週目の金曜日なので本来なら3回目の授業のはずだが、第一週目はどこの選択授業を履修するかの期間に当てられ、第二週目にはクラス対抗戦があったため、本日が初授業となっている。
そして俺は、学園長からの直接お話があったように、一学期に続いて臨時講師をすることになっていた。
選択科目はもちろん〈育成論〉。
月末近くには大規模な〈転職制度〉が発令され、一気に学生が転職する。
その後テスト期間に突入、クラス替えは一斉転職の約10日後を予定しているとのことだ。
この制度で〈転職〉できるのは〈下級転職チケット〉の数の問題から基本的に高位職に〈転職〉する者のみだが、世界中の研究所が躍起になって発現条件を調べているためにチラホラ高位職の条件が判明しつつある、とミストン所長から話を聞いている。おかげで高位職に〈転職〉できる条件が揃った者はそれなりに多いらしい。うむうむ、いいことだな!
ということでこの学園ではクラス対抗戦の後から〈転職制度〉を利用したい学生の応募を開始した。すでに相当数の希望者がおり、高位職の〈転職内定者〉、つまり高位職に発現している者が現在の段階で1000人を軽く超えているとのことだ。
実際に一斉転職させる月末にはいったい何千人になっているのか、予想がつかないらしい。すげぇぜ。
そこで問題になるのが〈転職〉するとLVがリセットされLVゼロからやり直しになること。
一学期それなりに育成論を広めていた俺だが、やはり全体に浸透するにはまだまだ時間が足りず、理解が追いついていない学生が多いのが現状だ。
ただLVゼロになるだけで育成の仕方が分からないのであれば弱いままである。それはいくらなんでも勿体無い。
彼ら彼女らの目標は高い。
〈転職〉希望者は我先にと育成論を学びたがっているとのことだ。
そこで一学期で臨時教師をやめる予定だった俺に再び声が掛かった、というわけだな。
「ゼフィルス様、準備が整いました」
「ありがとうセレスタン。……俺が言うのもなんだが、セレスタンは二学期も俺の補佐でいいのか? 授業内容が一学期の頃と半分以上変わらないと思うぞ?」
「構いません。僕は勇者の従者ですから」
「そうか。んじゃ、今期もよろしくな、セレスタン」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
セレスタンが優雅に一礼する。
会話の内容どおり、セレスタンは二学期になったにも関わらず俺の臨時講師についてきた。おかしいな、まだ何も伝えていなかったはずなんだけどな、どこで知ったんだろうな?
「よし、んじゃ行くか」
さて行くかと気合を入れて控え室から出たところで、
「きゃ!」
「おおっと?」
バッタリ遭遇した子どもとぶつかりそうになった。子どもがよろけて倒れそうになる。
――――瞬間『直感』と『超反応』が発動。
子どもの背中に手を回す形で転倒を阻止する。なぜか抱きとめるような格好になってしまった。しかし相手は子どもなのでセーフである。
「ふう。あぶなかったな。悪かったな。大丈夫か?」
「え? あれ? ここ天国? 私いつの間に天国に召されたんだっけ?」
どうやら子どもはひどく混乱しているようだ。
「姉さま、生きてますよ」
「お?」
「あれ?」
その声に俺と腕の中の子が同時に横を見ると、腕の中の子と瓜二つの子どもがそこに立っていた。
10歳くらいか? ファンタジーの絵本から飛び出してきたと言われても納得してしまうような見事な金髪碧眼の美少女がそこにいた。学園の制服を着ているところからここの学生のようだが。見た目がマリー先輩よりも幼い。でも〈幼子化〉のルルよりは断然大きい。これは……。
「姉さま、いつまでそうしているのですか。早く立ってください、迷惑ですから」
「…………ちょっと待って今いいところだからもう少しこのままで――痛いっ!」
いいチョップだ。
どうやらこのそっくり少女たちは姉妹らしい。むっちゃ似てるな。
妹と思われる子が半目で促すと、我に帰った姉と思われる腕の中の少女が今の状況を確認して……、キリッとした表情で妹ちゃんに返したところで妹ちゃんのチョップが脳天にヒットした。
「教官、姉さまが失礼しました。そのまま捨ててくださって結構ですから」
「フィナちゃんひどい!」
「教官?」
「ゼフィルス様、そのお二方は〈育成論〉の受講者ですよ」
「俺の生徒か!」
姉のほうを優しく立ち上がらせてあげてると、キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴る。
「あ、姉さま早く行きますよ。このままでは遅刻してしまいます」
「ああ、待ってよフィナちゃーん!」
チャイムの音に急いだ妹ちゃんは俺に向かって一礼し、姉を置いて教室へと入っていった。姉のほうも慌てて一礼して追いかけていく。
騒がしい姉妹だった。
「どうやら、今回の〈育成論〉の生徒も面白そうな子が揃っているみたいだな」
俺は立ち上がって身だしなみを整えながらそう呟いた。
今回の生徒は一学期とは 全 ( ぜん ) とっかえらしい。
つまりは一学期俺の授業に参加していた人は、二学期の〈育成論〉を受けられないのだ。
まあそうだろうな。一学期は 職業 ( ジョブ ) に就いたばかりの一年生が対象だった。今回は〈転職制度〉を受け入れた上級生がメイン対象だ。チェンジである。
一部学生が血の涙を流さんばかりに抵抗して俺の授業を受けたがっていたらしいが、残念ながら 全 ( ぜん ) とっかえは 為 ( な ) されたらしい。
そんなに俺の授業が気に入ってくれたのかと嬉しく思う。自信がつくな!
これからは上級生、つまり年上に授業をしなくてはならなかったが、そうまで〈育成論〉を愛してくれる学生もいるのだと思えばプレッシャーも軽くなるというものだ。
そういえば最初からプレッシャーは感じていなかったかもしれないが、気のせいということにしておく。
「やあ、みんなおはよう」
ドアを開き、教室に入る。ちなみにドアを開いてくれたのはセレスタンだ。俺はそれを堂々と進む。
すると教室でざわめきと、少し黄色い声が聞こえた気がした。
「キター!!」
「本物よ!」
「きゃ! 今目が合ったかも!」
「私たち、ツイてるわ!」
やたら女子が多い気がするな。気のせいかな?
まあ〈ダン活〉は女子の方が強い 職業 ( ジョブ ) に就きやすい。だから、だろうか?
あ、後ろのほうの席にさっきの姉妹もチラッと見えた。
「抽選に何とか勝ち上がってこれたが」
「ああ、これが勇者ファンの結束」
「いったいどんな手を使ったんだ?」
あ、男子もいるな。なぜか後ろのほうと教室の端に集中しているようだ。まったく男子はシャイでいけない。
「今回も多いな。これ何人くらいいるんだ?」
教室自体は一学期の頃と同じだ。席数も同じなはずだが、なぜか前回より多く感じる。
「応募が殺到し、急遽椅子と机を手配したようです。今いるのは412名ですね」
「100人近く増えてるのか」
前回の一学期の学生数は300人前後だった気がするのでそりゃあ多いはずだ。
しかし以前も結構限界まで教室に入れていた気がするのだが、どうやってさらに増やしたのだろう?
そう思って良く見たら、結構ぎゅうぎゅう詰めの席幅だった。あれって荷物の置き場も無いんじゃ?
「荷物類は嵩張るのでロッカーに預け、筆記用具とノートのみ持参してもらうことで席数を増やしているようです」
セレスタンに心を読まれた気がする。
なるほど、学園長、思い切ったことをするな。
これ以上大きな教室だとさすがに講義が行き渡らない。故に教室ギリギリまで学生を入れるという行動に出たようだ。
そんな会話をしながら壇上まで上がり身体をみんなの方へ向けると、ざわめきは自然と小さくなった。
「では〈育成論〉の授業を始める! まずは自己紹介からしよう。ギルド〈エデン〉のゼフィルスという、よろしくな」
まずは挨拶。
続いてセレスタンを紹介した後、二学期の授業を開始した。
内容は前回の一学期とそうは変わらない。育成論の基礎の基礎から始める。
全とっかえだからな。初めからやり直しと同じだ。
ただ、一学期の時は途中で人数が増えたためにやり直しが何回かあった。
今回は途中参加は無いらしいので、上級職の話題もチラッとくらい出せるかな?
「ではまず、〈育成論〉の基礎、育成の考え方から始めようか」
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後書き失礼いたします! お知らせ!
本日24時、
6月4日午前0時から〈ダン活〉の小説第02巻がブックウォーカー様から全国先行配信されます!
ついに02巻の配信が始まります!
限定SSについて、
・電子書籍版SS、
タイトル「新メンバー歓迎会。ハンナはカルアとリカと仲良くなる」
ハンナ視点で新しいメンバーになったカルアとリカと親睦会です!
・ブックウォーカー様限定SS、
タイトル「初級ダンジョン、リカとカルアの迷走道中」
リカ視点でゼフィルスのいないダンジョン回!
・TOブックスオンラインストアSS、
タイトル「大浴場のお誘い発生。皆でお風呂に入りましょう(女子のみ)」
シエラ視点で貴族舎の大浴場で女子だけお風呂回!
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