第662話 〈決闘戦〉終了。Cランクギルドハウスゲット!
第662話 〈決闘戦〉終了。Cランクギルドハウスゲット!
〈決闘戦〉は〈エデン〉の勝利という形で終わった。
そうなると報酬の授与だ。
今回はどうしてこうなったのか学園長とユーリ先輩が公証人的な立ち位置にいるのでスムーズに、かつ円滑に行なわれた。
とはいえすぐにこのアリーナで行なわれるわけではない。
しっかり〈決闘戦〉の勝者は〈エデン〉ですよ、〈テンプルセイバー〉から賭け物が譲渡されます的なことがスクリーンを通し、審判の声で宣言されて周知され、俺たち選手はすぐに撤収だ。
アリーナは予約制なので次に使いたい人が待っているからだ。
受け渡しは別のところで行なわれる。
「ゼフィルス様!」
と、アリーナ会場の控え室から出たところで人影がぶつかってきた。というか抱きついてきた。
「んお? あれ? タバサ先輩か?」
ちょっとビックリ。
それはシスター装備のタバサ先輩だった。
今のギルドバトルの事を振り返っていたから一瞬誰か分からなかったぜ。
「あの、ゼフィルス様、今回は本当にありがとうございました」
正面から抱きつくタバサ先輩が上目遣いで俺を見上げてくる。
なんだこの状況? 何が起こってんの? ただのお礼だよな? 後ろの女性陣の視線がなんか突き刺さるのを感じる気がする。気のせいであってほしい。
しかし、ん? ゼフィルス様? あれ、様呼びだったっけ?
まあいい。とりあえずなんだかこのままではマズい気がするのでお礼を受け取って早々に切り上げよう。
「どういたしまして。これでタバサ先輩も〈エデン〉の仲間だ。これから宜しく頼む」
「はい。こちらこそ。誠心誠意、ゼフィルス様に忠誠を誓います」
「いや、忠誠は別にいらないんだが」
そういえばタバサ先輩も騎士家の出だったと聞いたな。
エステルと同じく、なんだか忠誠の視線を感じる!
「あと、そろそろ離れてくれるかタバサ先輩。歩けない」
あと後ろの視線が怖い。
「あら。失礼したわ。私、あまりの感動に我を忘れてしまいまして」
「(……羨ましいわね)」
「(まったくゼフィルスは、デレデレしてるわ)」
タバサ先輩はそう言ってすぐに離れてくれたが、後ろから何やらブツブツ聞こえた気がした。聞き取れなかったが、なんだかヤバい気がする。
とりあえず進むとしよう。
「こほん。これから〈テンプルセイバー〉と〈決闘戦〉報酬の受け渡しがある。タバサ先輩も同行してくれるか?」
「喜んで行かせてもらいます。こちらこそよろしくお願いします」
そう言ってタバサ先輩は両手を胸の前で組んで畏まった礼をする。気品あるなぁ。
そうして再び歩き出し、とはいえ場所はそんなに遠くない。
アリーナに隣接している専用の建物だ。
普段の〈決闘戦〉ではこの建物に賭けの品が持ち込まれることになっている。
今回そこへ向かうのはギルドメンバー全員、といきたいところだが代表者3名までだ。
あまり数が多すぎると良くないらしい。
特に負けた側の数が多くなると色々あるようなので、原則3人までと決まっているとのことだ。
ということでメンバーは俺、シエラ、アイギスが参加する。
セレスタンは何か別の用があるらしくて不参加。
リーナでも良かったのだが、すでに交渉は終わっているし、賞品の受け渡しだけだ。シエラがいれば問題は無い。
代表は誰がなってもいいということで、アイギスが名乗りを上げた。
〈テンプルセイバー〉の最後と言うのもあるが、〈ホワイトセイバー〉の面々との入れ替わりもある。元メンバーのアイギスとしては見届けたいだろうと許可した形だ。
ちなみにタバサ先輩は賞品扱いなのでカウント外である。
他のメンバーに見送られて受け渡し部屋に到着すると、すでに〈テンプルセイバー〉の3人。レナンドル先輩、カサンド先輩。そして女子の先輩が座っていた。確かルーシェと呼ばれていた先輩だ。
〈テンプルセイバー〉の3人はあまり顔色が良くない。カサンド先輩なんて青を通り越して白くなっている。
そして〈ホワイトセイバー〉からも3人。ギルドマスターのダイアス先輩、サブマスターのニソガロン先輩、そしてもう1人、巌のような顔をした男の先輩、確か一度会った事があるな。あの時は自己紹介はされなかったが、アイギスが名前を教えてくれた。あれはダン先輩というそうだ。
こちらはむしろ胸を張っている。とても明るい印象を抱いた。そりゃそうだ。
そして学園長とユーリ先輩。
忙しい中こんな所にいていいのだろうか。
俺たちが〈テンプルセイバー〉の向かい側に立ったところでユーリ先輩が頷いて発言する。
「全員揃ったところで受け渡しを始めよう。両ギルドとも素晴らしいギルドバトルだった。良いギルドバトルを見させてもらった。〈テンプルセイバー〉もよく健闘した。そしてそれを打ち破った〈エデン〉はまさに精強と言えるだろう。一年生が多く在籍するギルドとはとても思えない、目覚ましい戦い振りだった」
うむうむ。そうだろうそうだろう。
俺も中々良い戦い振りだったと思っている。
こっちも〈城取り〉で初の退場者が出たが、相手は上級職の多い対人特化ギルドということで戦ったメンバーにとっては良い経験になっただろう。これで〈エデン〉はまた一つ強くなったはずだ。
「では事前に決めてあったとおり、〈テンプルセイバー〉は受け渡しを行ないなさい」
学園長がそう指令を出すと〈テンプルセイバー〉のギルドマスターレナンドル先輩がフラフラと〈ホワイトセイバー〉のギルドマスターダイアス先輩に鍵と書類を渡した。
これにより〈ホワイトセイバー〉のメンバーに主導権が移る。
「ではここからは我々〈ホワイトセイバー〉が親ギルドとして務めます。まず目録の確認から願います。また品に関しては非常に数が多いためギルドハウスに品がございます、ギルドハウスごと受け渡す形となります」
「うむ」
ダイアス先輩の言葉に学園長が了承を告げることで、たった今〈ホワイトセイバー〉が親ギルドに、〈テンプルセイバー〉が下部 組織 ( ギルド ) に入れ替わった。
レナンドル先輩たちはその後ピクリとも動かない。
〈テンプルセイバー〉の栄光は消え、下部 組織 ( ギルド ) となってしまったのだ。
さもあろう。
ちなみにだが、〈テンプルセイバー〉と〈ホワイトセイバー〉で試合前に入れ替わったヒーラー3人と騎士たちだが、最初の話し合いをした時のメンバーへと戻されている。これも決めてあった通りだ。
今後はダイアス先輩ら、今来ている3人が主導でギルドの体制を整えていくだろう。
シエラとアイギスが〈ホワイトセイバー〉の幹部たちと目録を確認しているうちに学園長が〈テンプルセイバー〉の方々に呼びかけていた。
学生をフォローしているのだ。これから〈テンプルセイバー〉がどうなるのかは分からない。学園長は袂を分かつのも一つの道として新たな出発を目指すよう、挫けぬよう説いているようだ。先のギルドバトルは学園長にも響いた様子だ。
レナンドル先輩やルーシェ先輩はその言葉を真摯に受け止めていた。
カサンド先輩は、よく分からない。あれ魂が抜け出てないか? エクトプラズムが見えるかのようだが?
「学園長、目録の確認が終わりました。これらは全て〈エデン〉のものです」
「うむ。承認する」
ダイアス先輩の言葉にシエラ、アイギス、そしてタバサ先輩がやってくる。
タバサ先輩は今まで部屋の隅にいたのだが、許可が出ると早足で俺の元までやってくる。
なんだかまた抱きつかれそうな勢いなんだけど? あれ? これ受け止めた方が良いのか? どうなの? と思った辺りで二つの手が俺の正面を塞いだ。
「そこまでですタバサ先輩」
「いくら先輩でもこれ以上はいけません」
シエラとアイギスの手だった。
まるで通せんぼうするみたいにシエラの右手とアイギスの左手が交差してタバサ先輩の進行を止める。
「……むう、アイギス?」
「ダメです」
「シエラさん?」
「タバサ先輩、前にも言いましたがうちのギルドマスターを誘惑しないでもらえるかしら?」
「むう……!」
あ、タバサ先輩が膨れた。
それとなんだか生暖かい視線が突き刺さっているので場所を変えてくれないかな?
「はっはっは。ゼフィルス殿はよほど信頼を勝ち取った様子だな」
「ダイアス先輩、からかうなよ」
「良いではないか。我らもタバサの事情は聞き及んでいる。良いギルドに入れて良かったなタバサ」
「うん。ダイアスたちにも世話になったわ」
そう言ってタバサ先輩が嬉しそうに頷いたのがとても印象的だった。
今回の〈決闘戦〉、一番の目的はやはりタバサ先輩の移籍だった。
タバサ先輩自身が嬉しくないと締まらない。これからも彼女の嬉しそうな笑顔を曇らせないよう頑張らないとな。
それと、他の目録。いやあ、結構な物が色々と手に入った。
〈テンプルセイバー〉は元Aランクギルドということもあって色々と貯め込んでいたのだ。
特に〈レアモンの笛(ボス用)〉が2つ手に入ったのは大きい。〈オカリナ〉も2つあったし、激レアアイテムもいくつか持っていた。レシピ解読用アイテム〈レシ見ちゃん〉まであった。さすが元Aランクギルド、良い物あるなぁ。
他にもレシピ各種! 中級の物から数点上級のも混じってる! いいね。
タバサ先輩の装備のレシピもあったぞ。
ふむ、一応タバサ先輩は現在装備している物そのままに移籍ということにしてあったが、装備のステータス値が弱い。これ下級職の生産職で作ったな?
上級職の生産職に作り直して貰おう。そのときこのレシピは有用になるだろう。
さらには騎士では使えないとして結構色々と有用な装備も存在していた。
これ、いいな。〈エデン〉の皆の装備が多少充実するぞ。ひと段落したら振り分けるか。
あとで〈助っ人〉組のマリアとメリーナ先輩、それとサトルを巻き込んで選別しておこう。
そして最後に最大の成果物が〈エデン〉に送られた。
「それではゼフィルス君、こちらを〈ギルド申請受付所〉に持っていきなさい。今から〈エデン〉はCランクギルドじゃ。そしてそのギルドハウスが〈エデン〉の物じゃ」
「ありがとうございます学園長」
それは巻物。
そう、〈エデン〉はとうとうCランクに上がったのだ。
Cランクからはギルド部屋ではなく、ギルドハウスが贈られる。
一つの大きな店を構えることが出来るのだ。
ギルドの上限人数は変わらないが、ギルドハウスを持てたことはとても大きい。
ハンナは喜んでくれるかな?
ギルドハウスは今〈テンプルセイバー〉が使っているので、彼らが引っ越し後に拠点を移すことになる。大体一週間後には〈エデン〉のギルド部屋ともお別れだな。
少し寂しくなるぜ。
これにて〈決闘戦〉は終了。
タバサ先輩は〈エデン〉へと正式に加入し、〈エデン〉はCランクギルドになった。
第十二章 -完-
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あとがき失礼いたします。
近況ノートに次章予告を貼り付けました!
次章ちょっと気になる方はどうぞ!
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