第671話 大面接~カタリナ、フラーミナ、ロゼッタの番~
第671話 大面接~カタリナ、フラーミナ、ロゼッタの番~
「お、あの子たちはリーナのクラスの子たちじゃないか」
「ゼフィルス君が間近にいますよ! ゼフィルス君~!」
「ちょ、ちょっとはしゃがないの! 気持ちは分かるけど、というか私もはしゃぎたいけれど、はしたないと思われたらどうするの!」
「はわ、ゼフィルスさんがこっちを向いたわ。私を見ているわ」
「そりゃ次はカタリナの番だからね! というか猫が剥がれてるよ?」
そこにいたのは〈51組〉のロゼッタ、フラーミナ、カタリナの3人だ。
相変わらずちょっと騒がしくも明るい子たちだな。
やっぱ第一選抜グループは知り合いが多いな。今面接中の【魔法兵】が発現している女子も俺の生徒の第一期生の子だし。
【兵士】系統は物理から魔法、工作から妨害、衛生から支援まで様々な分野で活躍する多種多様な 職業 ( ジョブ ) 系統だ。
その【魔法兵】となればアタッカー、ヒーラー、バッファー、デバッファー、斥候までこなすことの出来る優良職。純粋な魔法使いみたいな特化型ではないぶん火力面での性能こそ落ちるが、痒いところに手が届くみたいなありがたみのある、パーティに1人いると中々に便利な 職業 ( ジョブ ) だ。
生存率やダンジョン攻略の安定率が格段に増す。
その代わり多用に活躍する分MPの消費が激しいのと、火力に乏しいので戦闘はちょっと長引くことが多くなるけどな。まあ、そこはパーティの組み合わせだろう。
第一期生のメンバーなので実力も中々だ。
さて、悩ましいな。
「続いてナンバー4番、カタリナさん、どうぞ」
「ゼフィルスさんと一緒のギルドに入り、一緒にパーティを組みたいです。そして返しきれないご恩を少しでも返したいわ」
そう言って俺に一礼するカタリナはお嬢様というよりもお姫様。
白のドレス風装備がとても映える、背筋はピンと伸び、背中に流された長い黒髪は夜空のように煌いている。
おお、さすがは「侯爵」の「姫」。背筋に一本の芯が入っているようなピンとして美しくキレイな佇まい。庭にカタリナ1人いればそれだけで劇場と見間違えてしまいそうだ。
「いい調子です、カタリナ、その調子です」
「そのまま落ち着いて、清楚にいくの」
後ろで応援するロゼッタとフラーミナのおかげで見間違えることはないけどな。
というか、清楚で、ってダンジョン関係ないぞ? まあ清楚が嫌いな男児はいないが。
うむ、友達を応援する光景、実に尊いじゃないか。
俺も気合を入れて見定める。
「いきます」
空中に浮かぶ本がパラパラと捲れる、あれがカタリナの武器だな。
そしてカタリナ本人は両の掌をピンと立たせ、掌を合わせるように近づけると、掌と掌の間に箱のような光る物体が現れた。
あれが【箱入り娘】や【深窓の令嬢】が箱使いと呼ばれているゆえんだ。
魔法を発動するときは、なぜか掌の間から小さな箱型の結界が現れるんだ。
「『箱結界』!」
そして魔法発動。練習場にある的を囲むようにして立方体の結界が囲った。【箱入り娘】のスタンダードな結界魔法だ。相手を囲み、行動を制限させてしまう。
さらに、
「『拘束結界術』!」
その結界がねじれるようにして細くなり、対象に纏わりつく。これが成功すると相手は〈麻痺〉と同じ体外状態異常の〈拘束〉状態になり、スキルも魔法も封じられてしまうのだ。
ミサトの『プリズン』に似ているな。
ただこちらは箱結界の特化型。ここからさらに続きや変化がある。
「『電撃結界』!」
瞬間、的に電撃が走った。防御不可状態の結界内で電撃が発生したのだ。
これも【箱入り娘】の攻撃方法の一つ、結界で囲った者へ確定ヒットの攻撃を食らわせる、恐ろしい攻撃だ。
「よし、次は防御を見てみたい、ミサト、頼む」
「分かったよ。カタリナさん行くよー『ホーリースパイク』!」
「構いませんよ――『箱結界』!」
結界と言えばやはり防御は欠かせない。
カタリナは先ほども使った『箱結界』を使って自分を囲むようにして立方体の結界で防御した。【箱入り娘】の結界は攻撃にも防御にも使えるのだ。
ミサトの〈聖属性〉の攻撃が箱に命中するが、問題なく防ぎきったな。
RES値が高いのだろう。それに『箱結界』自体のLVも高い様子だ。
当然この『箱結界』は自分や敵だけではなく、味方にも付与することが可能だ。当然一つだけでなく、複数も可。魔法タンク強い。
基本は出来ている。戦術面に関してはここでは見れないが以前相対した感じだと対人戦での動きは出来ている印象だ。
とりあえず、見るべきものは見れたな。
「よし、そこまで」
やはりいいな箱入り魔法使いは。
【深窓の令嬢】は是非欲しかった 職業 ( ジョブ ) だった。
カタリナも例のあれで〈エデン〉へ入りたい熱意もすごいし、これは確定かもしれないな。
続いてフラーミナ、そしてロゼッタの順に面接する。
フラーミナは以前クラス対抗戦で見たときに予想したとおり、【群れの長】だった。
そして高位職、高の上である【犬力者】が発現している。自力で発現とかすごいな。
【群れの長】と【犬力者】は共に【テイマー】系統。
テイマーとはモンスターを自分の 配下 ( 仲間 ) として戦わせることの出来る 職業 ( ジョブ ) 群のことだ。
サモナーと呼ばれる【召喚術師】や【人形使い】、【死霊使い】とも少し違うが、似た系統だな。
【犬力者】はモンスターを テイム ( 捕縛 ) して 配下 ( 仲間 ) にする。
テイムして仲間にしたモンスターは、アイギスの ダンディ ( 馬 ) 君と同じく〈連れて歩く〉という扱いになる。学園にはモンスターを預かるモンスター牧場のような施設が存在し、そこに預けてあるモンスターなどを連れ歩けるというわけだ。
ただ、送り迎えがちょっと面倒か。
ちなみにタバサ先輩の【メサイア】は【召喚術師】系、サモナーだな。モンスターを連れ歩かなくても〈召喚〉して顕現させることが出来る。こっちの方が連れ歩く手間が無くて便利な側面がある一方、その代わり召喚時間に制限があり、効果時間やMPが切れると自動で〈送還〉されて足手まといになってしまうこともある。
【テイマー】系統はモンスターがやられない限りずっと居続けてくれるのでそういう心配はない。両方とも一長一短だな。
そしてフラーミナは今回〈ウルフ〉系の〈リーダーウルフ〉二体を連れていた。普段5人パーティの時に戦わせられるモンスターは二体までなんだ。
しかし、〈ウルフ〉系とはお目が高い。
【召喚術師】系は〈金箱〉産の〈召喚盤〉によりボスすら短時間召喚が可能だが、【テイマー】系の場合はその下位グループのモンスターを育成し、進化させなければならない。
ボスはテイム出来ないからな。
ちなみに〈リーダーウルフ〉の進化先が〈バトルウルフ(第一形態)〉である。
〈ウルフ〉系は進化ツリーが長く、最上級ダンジョンに登場するモンスターまで進化するので愛着度としてはピカイチ。最初からずっと一緒に育てたい系のプレイヤーに人気のモンスターだった。「最初は最底辺の〈ウルフ〉だったんですが、今は最上級の〈バトルウルフ(最終形態)〉まで育って無双中です~」なんてコメントとスクショは後を絶たなかったな。
ちなみに〈バトルウルフ(最終形態)〉の本来の大きさは30メートルを超すが、テイムされると3分の1くらいまで抑制され縮んでしまったりする。レイドボスだったがステータスもお察しだ。なお、当然その抑制を解き放っちゃうユニークスキルもあって。
まあ、これは今度話そうか。
うむ、どうやらフラーミナは一緒に育てたい系らしいな。メモしておかないと。
続いて騎士のロゼッタだ。現在彼女は【神殿騎士】。
【聖騎士】の下部に当たる 職業 ( ジョブ ) だ。
当然ながら発現しているのは【聖騎士】である、あるのだが、せっかくの「姫」だよ?
勿体なくない?
ということで成績よくタンクをこなしたロゼッタに面接の後、こう話を持ちかけた。
「ロゼッタは【姫騎士】でタンクをする気は無いか? 上級職【天守護の騎士姫】に就く気があるなら〈アークアルカディア〉の即加入を約束しよう」
だって「騎士爵」「姫」のカテゴリー持ちってロゼッタしか応募してこなかったんだよ。
仕方ないよな?