第681話 改めて面接。見た目10歳の双子姉妹登場!
第681話 改めて面接。見た目10歳の双子姉妹登場!
翌日、土曜日の朝。
俺とミサトとセレスタンは例の双子姉妹とラウンジで待ち合わせをしていた。
「おはようございます! あなたを支えるキューティな双子姉妹の姉、エリサです!」
「おはようございます。妹のフィナリナです。今日はよろしくお願いします、教官」
そんな言葉で挨拶は始まった。
双子姉妹は見た目はそっくりだが性格はまったく違う様子だな。
二人共長い金色の髪に瞳は蒼系の見事な金髪碧眼だ。
そしてその見た目、やはり10歳ほどの体躯だ。ルルよりだいぶお姉さんという印象を持つ。マリー先輩には及ばないが。
しかし、双子の外見は同じでも表情と性格は違うらしく、結構見分けが付く。
姉のエリサは嬉しいを全面に出した活発な少女という印象。
笑顔が満面でとてもいい。声もハキハキしていて明るい性格をしていると一目で分かるようだ。
言葉遣いは、うん。背伸びしている感じがしていいのではないだろうか?
妹のフィナリナは反対に大人しい印象。カルアのように少し落ちた瞼。表情はあまり動かず控えめな笑み。姉に元気を吸い取られたかのようなクールな妹だった。
言葉遣いは、うん。真面目だ。
教官呼びか~。新しくていいかもしれない。うむ。
第一印象はそんな感じ。
そんな自己紹介の2人にミサトが言う。
「あ、2人に言っておくけれどゼフィルス君を軽い気持ちで誘惑しちゃダメだよ? 後で怖いことになるかもだからね?」
待ってミサト、怖いことになるってなんだ?
「はい! それは本気なら良いということでしょうか!?」
「本気だともっと怖いことになるよ?」
姉のエリサの質問をミサトが巧みに撥ね退けていた。
そんなやり取りの横から妹のフィナリナがバッサリと言い切る。
「姉さまの意見は無視していいですよ。どうぞ先に進めてください」
「あ、フィナちゃん酷い! フィナちゃんだって気になるくせに!」
「姉さま、私たちの未来が掛かってるのですよ。真面目にしてください」
「だからこうして私の魅力で離れたくても離れられないようにアピールしているんじゃない」
「……私たちの体じゃ魅了するのは無理だと思いますけど」
「ふぐっ!? そ、そんなこと私と同じ体で言わないで! 悲しくなっちゃうじゃない……」
妹のフィナリナがなぜか自分の胸に両手をペタペタしながら言うと、姉のエリサが言葉の槍に刺されたかのように「ふぐっ」と胸を押さえた。
仲の良い姉妹らしい。
「で、でも大丈夫よ! これから〈転職〉して【ロリータ】から脱却すれば私だって成長の可能性があるもの! これからよ!」
「……そうですね。では話は纏まったので進めましょう。いい加減教官の前でこんな話は恥ずかしいですから」
どうやら2人の会話は済んだようだ。
妹のフィナリナがこっちを向いて話をどうぞ進めてくださいと目で伝えてきたので、俺は一度仕切り直す意味で自分の自己紹介から始めた。
「じゃあ次にこっちの自己紹介な。〈エデン〉のギルドマスターをしているゼフィルスだ。今日はよろしくな」
「同じく〈エデン〉のミサトだよ。メンバーのスカウトなんかを担当してるよ。よろしくね」
「〈エデン〉の下部 組織 ( ギルド ) 〈アークアルカディア〉のギルドマスター、セレスタンと申します。以後お見知りおきください」
「「よろしくお願いします」」
おお、息ぴったりの返事が来た。さすが双子姉妹。性格は違うが仕草はそっくりのようだ。
「さて、早速聞きたいんだが、チャットでミサトから連絡が行っていると思うけど【天使】系と【悪魔】系の 職業 ( ジョブ ) に〈転職〉する件だが、前向きに話を聞きたいと伺っている。確認するが【ヒーロー】系に就けなくても大丈夫か? もちろん【天使】系【悪魔】系の 職業 ( ジョブ ) に〈転職〉するためのアイテム等は 全て ( ・・ ) こちらで用意するから安心してほしい」
まずは確認からだ。これがないと始まらないからな。
もし断られても彼女たちは「子爵」のカテゴリー持ちだ。他の高位職を紹介し、行く行くは〈エデン〉に勧誘するのも有りである。
だが今のところ【天使】と【悪魔】に就いてくれる候補が双子姉妹、エリサとフィナリナしかいないので、出来れば【天使】系、【悪魔】系に就いてもらいたい気持ちが強い。
実はあの後、ミサトに改めて何十人かの候補を出して打診してもらったのだが、――熱意がありやる気があってもセレスタンからの合格が出なかったり、――合格は出たけれど未知の 職業 ( ジョブ ) の先駆者になるのは断られたり、――努力して発現した 職業 ( ジョブ ) 以外に就くことを提案した時点で嫌がられたりして、結局全滅してしまった。
ちなみに最後の理由が一番多かったらしく、目指している 職業 ( ジョブ ) を、替えてくれるならギルドに加入してもいいよ、というのはやはり抵抗が強いようだ。
そうだよなぁ。
その点、この双子姉妹は最初から就く 職業 ( ジョブ ) をこちらにお任せという稀有な事例だった。【ヒーロー】系にしないのはもったいないかもしれないが、この稀有な 事例 ( お任せ ) の方がさらに貴重だ。
じゃないと【天使】と【悪魔】に就くことすら了承してもらえない。
これほどアグレッシブな人材は中々いないようだと初めて知ったよ。ここは【ヒーロー】系を諦めてでも子爵姉妹を【天使】か【悪魔】にするほうが重要だと、俺は腹をくくった。
まず姉のエリサが背筋を伸ばし、返答する。
「もちろん構わないですわ。こんな光栄でありがたいお話は他にありません。わたくしたちが 職業 ( ジョブ ) に就いた暁には、いついかなる時も、卒業まで〈エデン〉へ忠義を尽くしますことをお約束いたします」
意外な話し方すぎて少しビックリした。
その立ち振る舞いは気品に満ちしっかりとした気構えがあったのだ。
というか姉さん、普通にちゃんとすることも出来るんだな。心のメモ帳にメモしておこう。
続いて妹のフィナリナも答える。
「私たちは〈エデン〉へ尽くし共に歩むと誓います。未知なる 職業 ( ジョブ ) に就こうとも、ギルドにふさわしい傑物になれるよう努力を怠らず、励みましょう」
妹のフィナリナの声は若干小さかったが、その言葉には中々の重みを感じた。
二人共、覚悟してここに来たようだ。
「今一度聞くけど、本当に良いんだな? 使用するアイテムはかなりお高い。使ってからさよならはできないし、相当努力が必要になる。最低でもBランクレベルまで実力を高めてもらうことが前提になるぞ?」
「構いませんわ。むしろSランクの実力を手に入れるレベルで頑張ります!」
「私も同じ、覚悟の上です」
2人の決意は硬いようだ。ありがたい。本当にありがたい。
よし、ならばいいだろう。見たところ問題も無いし。
努力さえ怠らなければ強くなれるのだ。これ以上言って彼女たちのやる気を削ぐことも無い。
俺は彼女たち姉妹に〈天魔のぬいぐるみ〉を使い【天使】系と【悪魔】系の 職業 ( ジョブ ) に就いてもらうことを決めたのだった。
「採用だ!」
「「!! ありがとうございます!」」
俺の宣言に、2人は息ぴったりの礼をした。
顔を上げた時、姉のエリサは喜びを噛みしめるように頬を赤らめて口をもにゅもにゅしていた。妹のフィナリナも今日一番の笑みを浮かべている。
うん。いいな。すごくいい。何が、と言われると言葉に詰まるのだが、なんとなく尊いと感じるのだ。
俺が2人の表情を見てほっこりしていると、控えていたミサトが緊張の一言を放った。
「それで、どっちが【天使】になって、どっちが【悪魔】に就くの?」
それは、ちょっと究極の選択かもしれないな。