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第687話 朝の登校時、新メンバーが続々集結すごい偶然!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第687話 朝の登校時、新メンバーが続々集結すごい偶然!

楽しかった土日のダンジョンアタックが終わって翌日の月曜日。

「今日はいよいよクラス替えだな。さびしいとワクワクを兼ね備えた刺激的な日だ」

「刺激的な日?」

いつも通り朝の登校時、俺がグッと拳を握りしめて言うとハンナは理解出来ないのかハテナマークを浮かべた。

そういえばハンナの〈錬金術課〉は1クラスしかなかったっけ。クラス替えが起こりようも無かった。

「今まで一緒のクラスだった人が別のクラスに行ってしまって寂しいのと、新たにクラスメイトになって気の合う友達が増えて嬉しいとか、そういう別れと出会いが重なるという意味で刺激的な一日だな。見ろ、周りの人たち、結構そわそわしてるだろ?」

「あ、本当だー」

「まあ、そわそわしているのは自分が何組にインするのか気になっているだけかもしれないけどな」

この迷宮学園は実力主義。

実力が高い者ほど若いクラスに在籍させ、その実力にあった高いカリキュラムを教えるスタイルだ。

本来ならクラス替えは1年に一回、進級の時だけのハズだった。しかし色々と改革した結果10月に一度クラス替えをすることになって学生たちはそわそわしっぱなしなわけだ。

「でも、上級生の人たちは落ち着いている人多いね。そわそわしてるのは一年生の子ばっかりな気が」

「いい目の付け所だなハンナ」

ハンナの指摘は半分正解だ。

「今回のクラス替えの理由となった〈転職制度〉、それを利用したのは主に上級生だったからな。〈転職制度〉で高位職に〈転職〉出来た者は〈新学年〉になってやり直すためにその学年から抜けた。つまりは繰り上がりが発生するんだ。今まで下位クラスに居た人たちは自動的に若いクラスに入る事が出来る」

「へ? あ~、でもそれって別に実力は上がってないんだよね?」

「そうだな。上にいた人がいなくなったからそのポジションに収まっただけの話だ。だが、下位クラスの者にとってはそれでも十分吉報みたいだけどな」

「そんなものかなぁ~」

ハンナには繰り上がったから嬉しいというのはよく理解出来ないようだ。

まあな。組数は上がっても全体からすればポジションは変わらんのだし。ちょっと楽しみな程度だろう。その証拠に。

「まあ、そうでも思わないとやってられないという意味でもある。ほれ、周りをよく見て見ろ。本当に上級生は落ち着いているだけか?」

「? ええっと、あ、これ落ち着いてるんじゃなくて、落ち込んでる?」

そういうことだ。

一見落ち着いているように見えているこの上級生の人たち、クラス何組まで上がったかなぁと夢想している者たちはつまり、〈転職制度〉で高位職になれなかった者たちだ。

うん。簡単に言えば現実逃避である。強く生きてほしい。

ハンナとそんなたわいない話をしながら進んでいると、いつもの分かれ道にたどり着いた。

「またなハンナ、そっちはあんまり変わらないかもしれないがガンバレよ~」

「うん。ゼフィルス君もクラス替え頑張ってね!」

「おう」

頑張ることはすでに終わってるかもしれないが、俺はハンナの応援に親指を立てて答えたのだった。

ハンナと別れ、〈戦闘課〉の校舎〈戦闘3号館〉へ向かっていると、偶然新メンバーと出会った。

「あ! ゼフィルス君だ!」

「ゼフィルスさん! おはようございます! 朝からゼフィルスさんに会えるなんて今日は良い一日になりそうですわ」

「ゼフィルスさんの指導のおかげで 職業 ( ジョブ ) の馴染みが良い気がします。これからはギルドでお世話になりますが、よろしくお願いします!」

やってきたのは「犬人」のフラーミナ、「侯爵」のカタリナ、「騎士爵」のロゼッタ、リーナの友達3人だった。

面接以来、勉強を見るという名目で少し会う機会があり、新しく就いた 職業 ( ジョブ ) とスラリポマラソンという〈ダン活〉の基礎を教えてあげていたのだ。

うむうむ、みんなよく勉強しているようだな。3人ともスラリポマラソンのおかげでLV6まで上がったそうだ。

せっかくリセットされた 職業 ( ジョブ ) のステータスを変に振られたらたまらないので、しっかり〈育成論〉を教え込んでおいた。

そして当然ながらそれは彼女たちだけでは無い。

「あ、ゼフィルス君~おはよう~」

「ん? おお、シャロンか、おはよう~」

次に声を掛けてきたのは無事【姫城主】に就いたシャロンだ。

あの元気が萎みきった姿から一転、励ましまくったら明るく元気な女の子に戻っていた。

やっぱり元気が一番だよ。シャロンが掌を向けてくるので思わずハイタッチで応える。

「イエーイ!」

「イェーイ!」

すると他の3人にもねだられてしまったので、3人にもハイタッチした。

「はわわわ、ゼフィルスさんの手に触れてしまいましたわ! これはいいのでしょうか!?」

「何が!? カタリナ落ち着いて。普通の挨拶だったから、良いも悪いも無いから!」

「そうですよ。でもちょっとくらいはしゃがせてもらっても良いでしょう。嬉しいです」

「クラス替えの日だって言うのにみんな元気だな~」

みんな何の気負いもなさそうだ。これはテストは自信有りということかな?

他の新メンバーはどうだっただろうか?

そんなことを考えていると、ハイタッチを待つ手がもう一つあることに気付いた。

「私もおりますわよゼフィルスさん」

「んお! オリヒメさんか、おはよう~。というかイェーイ?」

「おはようございます、ゼフィルスさん」

どうやらシャロンと一緒にオリヒメさんもいたらしい。

にっこりと微笑んで朝の挨拶をしてくれる。一応イェーイしておいたが、オリヒメさんからの反応は普通におはようございますだった。イェーイは?

ちなみにだが、実はシャロンとオリヒメさんは前から知り合いで、共に転職し、〈エデン〉に内定したこの機会にメルト、そしてレグラムとも一緒に4人で勉強会をしたらしく、すっかり仲良くなったそうだ。

そうして5人になった新メンバーと歩いていると、突然『直感』が発動。しかしなぜか『超反応』がしーんとして発動せず、次の瞬間には腰に小さな衝撃が走った。

「どーん! あなたのエリサちゃんの登場よ! 今日も逞しいわねご主人様!」

「おお~」

背中から【ナイトメア】のエリサが抱きついてきたのだと遅れて気がつく。

エリサはスキンシップ度が上がったなぁ。なんだかご主人様呼びとこの体躯で全部許してしまうんだ。

広い心でどーん歓迎。

「――んぎゃ!?」

しかし、そんなエリサに迫る影がその脳天にチョップを入れた。

「姉さま、公共の場でなにをしているのですか。もう少し声を抑えて、さりげなくこうやって密着するのです」

「あれ!? フィナちゃんもくっついてるよ!? なんで私チョップされたの!?」

影の正体はエリサの妹にして【アークエンジェル】に就くフィナだ。そしてなぜかチョップでエリサが額を両手で押さえている隙にすすすっと近づいてピトッとくっついてきた。なるほど、これは可愛らしすぎる! 自分の体躯の強みを十全に使った、なんて効果的なくっつき術。

これは全国の男子がデレッとしてしまうぞ。しかし俺はみんなの手前、鋼の精神力で耐えきった。

だれか褒めて?

この双子姉妹だが、あの「悪魔」と「天使」の発現条件を満たす作業から、だんだんスキンシップ度が上がってきている気がする。いつか鋼の精神力でも耐えられない時が来るかもしれないと密かに震えているのは内緒。

「おはようございます教官」

「おはようフィナ」

「ちょ! 出遅れた!? おはようご主人様、私にも挨拶プリーズ」

「おはようエリサ。新しい髪色、とても似合ってるな」

「え、えへへ~」

「む」

実はエリサは【ナイトメア】に就くにあたってイメチェンをしていた。

〈天魔のぬいぐるみ〉の悪魔っ娘みたいに髪色を紫系に染め、瞳には赤系のカラコンを付けている。

ゲーム〈ダン活〉にも後からイメチェンで髪型を変えたり髪色を変えたり瞳の色を変えたり出来るお店があったのだが、この世界でも当然あるよな。

しかし悪魔っ娘に寄せるとは徹底しているなぁと言ったら「クリソツの双子だし、こっちの方がエリサちゃんってすぐ分かるでしょ?」とアピールしてきた。確かに一目で分かるのはありがたいな。以前は後ろ姿とか全然分からなかったし。前を向けばフィナの瞼が若干下がっているので見分けられるのだが。

ちなみにフィナの方は何も変えず金髪碧眼のままだ。そして実はこれで〈天魔のぬいぐるみ〉の天使とそっくりというのだからすごい偶然。ちなみに今のエリサは〈天魔のぬいぐるみ〉の悪魔にそっくりな見た目をしている。

ルルに2人を見せたらぬいぐるみが擬人化して会いに来たんだと勘違いしてしまわないか心配だ。いや、いっそ擬人化して会いに来たと紹介しようか? 反応が楽しみすぎる!

「というかフィナちゃんいつまで抱きついてるの!? ずるい! そろそろ替わって!」

「嫌です。姉さまだけ髪を褒められてずるいではないですか」

「こらこら上級生」

見た目が幼いからか言動もやや幼い(?)。

俺はルルで見慣れているので慣れているが、他の5人は何事だと俺の背中に注目していた。

一応これでもこの子たちは18歳なんだけどな。

「そこまでよ~ファンの掟を忘れちゃったのかな?」

「ピッ!」

「!!」

しかし、さらに後ろから近づいてきた人物の声に2人はビックリして今度は俺の前へ回りこんだ。

俺は顔だけ振り返り人物を確認する。そこにいたのは【堅固盾士】に就くトモヨだった。

首だけ振り返った姿で悪いが挨拶する。

「あ、おはようトモヨ」

「!! あ、あ、あ、はい! おはようございます!」

「そんなに緊張しなくていいのに」

なんだかすっごい緊張した言葉が返ってきた。さっきは落ち着いて上級生を窘めていたはずなのに。いや、そういえば元上級生か? 〈新学年〉に入ったら元3年生は〈新3学生〉と名を改めるらしいが。これは同級生になるのか? それとも上級生?

まあ先輩であることには変わりないので困ったら先輩とでも呼んでおけば問題無しだろう。

それとファンとはなんだろう? なんだかちょくちょく聞く名前だが、詳しい実態は不明。なぜかユミキ先輩でも教えてくれないのだ。

改めてエリサとフィナに手を離してもらいトモヨに向き直る。

トモヨは身長の高い女子だ。そして度胸と実力を兼ね備え、俺の〈育成論〉を十全に吸収して成長した一人で、授業ではそれなりに話した事もあって俺からすれば友達に近い知り合いだ。

あと、いつもは元気よくみんなを引っ張っていくリーダー的存在だが、俺の前だとこうして緊張してしまうクセがある。俺が教師だったからかな? 授業中はそうでも無かった気がするんだが。

そして気がつけば大面接で採用した新メンバーが全員集結しているという偶然。

ちょっと面白かったのでこのまま新メンバー同士を紹介しながら校舎へ向かうことにした。

〈戦闘課1年生〉の〈戦闘3号館〉と、新設された〈戦闘課新学年〉の〈戦闘4号館〉は近い、というより渡り廊下で繋がっており併設して建っているのだ。