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第707話 〈エデン〉訪問のマリー先輩!!(初)

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第707話 〈エデン〉訪問のマリー先輩!!(初)

「ここだ」

「うーん、なんちゅうか、普通な外見やな」

「まあ、改装前のスタンダードだからな」

マリー先輩を連れて〈エデン〉のギルドハウスに来た所、その建物を見てマリー先輩の口から普通の言葉が飛び出した。

まあ、俺も普通の外見だなぁと思ってたよ。まだ改装してないしな。

「ここは夏休み前まで〈ファイトオブソードマン〉っていうギルドが使ってたらしいんだが、〈サクセスブレーン〉との〈ランク戦〉に負けて所有ギルドが変わり、続いて夏休み後にCランクギルドの〈サクセスブレーン〉が当時Bランクギルドだった〈テンプルセイバー〉との〈ランク戦〉に勝ってまた所有ギルドが入れ替わり、そしてこの前〈エデン〉が当時Cランクギルドだった〈テンプルセイバー〉に勝ってまた所有ギルドが変わってと、この短期間に3回も所有ギルドが変わってるんだ」

「そりゃ改装している余裕なんてないやろなぁ~」

学園のギルド部屋やギルドハウスは、規定の範囲内で好きにギルドハウスを改装しても良いと校則で認められている。部屋の改造はもちろん、Cランクギルド以上のギルドハウスからは外見も変更可能だし、店に改造して商売する事も可能になる。何その校則、マジゲームだぜ。

そのため〈ダン活〉にはインテリア系の 職業 ( ジョブ ) や、物を売り買いするための専用 職業 ( ジョブ ) などもあって面白みが深かった。マリアの【マーチャント】や、メリーナ先輩の【秘書】、サトルの【ハードワーカー】なんかも本来はこのために用意された 職業 ( ジョブ ) 群だな。

インテリア系だと【ぬいぐるみ職人】や【インテリア技能師】、【コーディネイター】なんかがあってダンジョンそっちのけで壁紙やら店構えをイジりまくって画像投稿しているプレイヤーもいたな。

だけど、上級ダンジョン、最上級ダンジョンと進むにつれ、壁紙レシピなんかも豪華になっていき、最後は宇宙空間とか、海底神殿か? という改装もできるようになって、それを後日知ったダンジョンそっちのけにしてた人が「3年生12月、現在攻略階層 中級上位 ( チュウジョウ ) で終わった……」とか呟いててむっちゃ嘆いていたんだよな、懐かしいぜ。

「改装すんのはええけど、元に戻すときなんかの工費とかは大丈夫なんか兄さん?」

マリー先輩が問うてくる。

ちなみにいくら改装してもギルドハウスが変われば元に戻す仕様で、今の〈エデン〉のギルドハウスが普通なのはスタンダードな形だからだ。

元に戻すときの工費は当然そのギルド持ちなので注意な。もし払えなかった場合はボランティアで奉仕活動が待ってる。

改装した途端〈ランク戦〉に負けて終わった……、ということもあるのでギルドハウスを改装するタイミングはよく考えてからにしましょう。

「もちろんだ。それに時期的にも今がちょうど良いからな」

「ギルドバトルが禁止されとるかんなぁ」

そう、実は現在、学園からギルドバトルの禁止令が出されている。

これは例の〈転職制度〉の影響だ。

〈転職制度〉では学園の約3分の1に当たる学生が〈転職〉しLVがリセットされた。

これを機に4月、5月にあったという〈ランク戦〉祭りが行なわれるのか、と思いきや、ここで学園が待ったを掛けた。

理由は高位職が負けまくるという、所謂負のイメージを抱かせたくなかったためだと言われている。いくらギルドバトルではLVが低くてもやり方次第で勝負ができるとはいえ、さすがに三段階目ツリーも開放していない高位職では戦力にならない。

せっかく学園が新しい風を吹き入れたのに最初で躓かせるなんて愚の骨頂。ということで〈転職制度〉が成されて1ヶ月間、10月末まではギルドバトルを禁止した。

そんなわけで、現在10月15日火曜日、クラス替えや新メンバー加入のバタバタも落ち着いてきたし、今が改装するチャンスなのだ。

「マリー先輩には熟練者としてアドバイスを頼みたいんだ、店構えとか」

「うちも勉強になるから問題無いで、ほな、早速中見せてな」

「いらっしゃい~」

俺はドアを開け、マリー先輩を中に案内する。

いつもみんなが集まる奥の大部屋にたどり着くと、まずハンナが近寄って来た。

「あ! マリー先輩、いらっしゃいませ。なんだか久しぶりですね」

「ハンナはんも元気そうやなぁ。兄さんから聞いたで、なんや店構えるらしいやんか」

「はい。あの、生産職のパーティで今まで〈マート〉などで販売していたのですが、やっぱりマリー先輩たちみたいに店を持ちたいという希望がありまして」

「ええでええで。生産職なら自分の店を持ちたい言うんは当然の夢や。それに生産職で特別賞貰ったハンナはんなら実力もばっちしや。C道でも品質に引けは取らん、むしろ上回るまである」

ハンナが言う〈マート〉とは所謂フリーマーケットのような個人販売所だ。学生なら無料で出店出来る。

ハンナも生産専攻の学生たちとパーティを組んでそこで自分たちが採ってきて作った生産品を売っているというのは知っていた。

マリー先輩の言うC道でも引けを取らないというのはそのままの意味で、ここはCランクギルドが集まる通り、当然生産特化ギルドも店を構えていてそういうところはレベルが段違いに高い。戦闘ギルドに所属している生産職では、その生産力や品質で敵わないことが多い。1年生なら特にだ。

つまりは〈マート〉=初級者。〈C道〉=中級者・上級者。

みたいな感じだ。ちなみにハンナは上級者だろう。上級職だしな。

「マリー姉、おひさ~」

続いて駆け寄ってきたのはドワーフのアルルだ。

「おひさや。どや、〈エデン〉には慣れたかいな?」

「じゃんじゃん 中級上位 ( チュウジョウ ) のボス素材納品されて悲鳴上げてるわ」

「あ~、わかるわ~」

「な~」

なんだか2人で「あ~」してる。2人とも仲が良いな~。

「そういやアルル、 中級上位 ( チュウジョウ ) のボス素材大量納品されてる言うことは、LVはどないや?」

「もうビックリするくらい上がりまくりでなぁ。もうLV73や!」

「!! マジかいな!」

アルルのLVを知ってマリー先輩が驚愕に目を見開いた。

うむうむ、そうだろうそうだろう。アルルの成長が目覚ましい。

生産職がLVを上げるには生産をする事が必要だが、どんな素材でも経験値を得られるのかというと、そうではない。

戦闘職と同じくダンジョン素材を使ったとき、その素材の等級や価値なんかで経験値が変動する。

例えば 中級下位 ( チュカ ) であれば戦闘職は最大LV65までLVを上げる事が出来る。

生産職も同じく 中級下位 ( チュカ ) の素材を使えば同等の経験値を得られる、というわけだ。

しかしボス素材だけは例外だ、実は生産職はどんなボスの素材でも使えば経験値になる。最弱の〈クマアリクイ〉素材を使い続けてもカンストまでレベル上げが出来るのが生産職だ。

これは戦闘職とは違い、生産職はレシピで作れるものが決まるという、経験値稼ぎに運要素があるための救済措置と言われていた。

ボス素材は経験値の量が豊富で、ボスの素材を使いまくれば生産職は良いレベリングになるのだ。

最近は 中級上位 ( チュウジョウ ) の〈 鎧獣 ( よろいじゅう ) の 鉄野 ( てつの ) ダンジョン〉レアボス〈 鉄嶽獣 ( てったけじゅう ) ・ドンコンガ〉の素材をアルルに渡しまくってたからな。

ガンガンレベリングしてもうカンスト間近だ。〈上級転職チケット〉を使う日は近いな。

そうすれば上級の鎧系や武器も作製できるようになる。くっくっく、夢が広がるぜ。

「なんや、兄さんが悪い顔しとる」

「そんなことは無い。俺はアルルを上級職にしたときの事を考えているだけだ」

「生産職を上級職にしようって発想がもうな……」

マリー先輩がなぜか呆れた目をして俺を見ていた。解せない。