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第717話 レアボスの笛よ! 我にレアボスを与えたまえ!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第717話 レアボスの笛よ! 我にレアボスを与えたまえ!

俺たちはそれからも46層から49層までの道のりで採集をしまくりながら進み、最下層へ到着すると、取り出したるは〈笛〉。

レアボスを呼び出すための〈レアモンの笛(ボス用)〉だった。

「今回は私が吹くわ! やらせて!」

「そうだな! ラナなら引きが良いから一発ツモも出来るかもしれないしな!」

俺は今回、素直にラナへと〈笛〉を渡す。

今日は金曜日。放課後の時間としてはあまり多くはなく、採集しながらの最下層進出に加えて途中徘徊型ボスとも戦ったからな。要は時間が無い。

夕日ももう沈みそうで、ボス戦も1回しか出来なさそうな雰囲気だ。

レアボスをツモる確率は70%。

一発ツモを狙うには、心許ない確率だ。ここは引きの良いラナに任せてレアボスを狙うぜ!

「行くわよ! すぅぅ、ピィーーー」

ラナが思いっきり息を吸い込み、そして力一杯笛を吹く。

盛大に音が響き、相変わらずホイッスルのような音が木霊した。

「そんなに力入れなくても効果があるぞ」

ちょっとうるさかったので思わずラナに注意してしまうと、ラナから思わぬ言葉が返ってきた。

「甘いわねゼフィルス、〈笛〉の鑑定文には「レアボスを目覚めさせる笛」とあるわ。ならレアボスが起きるように大きい音で呼び覚ました方が、ちゃんと起きると思うのよ!」

「な、なんだってー!?」

ラナの言葉に俺は度肝を抜かれた。

そんなまさか。

しかし、筋は通っているように感じる。大きい音の方がそりゃあ飛び起きるだろう。

ゲーム〈ダン活〉時代は〈笛〉の音量操作なんてできなかった。出来るのは使うか否かだ。

故に俺は固定観念にすっかりこり固まってしまっていたのかもしれない!?

「盲点だった。その可能性はありうるな!」

「でしょ!」

〈笛〉の確率が増える。それは〈ダン活〉プレイヤーの切望。

〈ダン活〉プレイヤーであれば「レアボス100%ください!」「〈笛〉の回数を無制限に!」などとは一度は考えるものだ。

――それがリアル〈ダン活〉であればもしや叶えうる?

これは検証しなければならない!!

最優先だ!

「こうしちゃいられないぜ。ボス部屋に突入だ! 俺に続け!」

「レアボス〈王樹・エスター〉、覚悟しなさい!」

「って先に入るのは私でしょ、ゼフィルス、待ちなさい!」

シエラの待ったが掛かるが今の俺たちは止められない。

俺は鉄扉を押し破る気持ちでドカンと開いて突入した、そしてそこには。

―――通常ボスの〈エルダーリンウッズ〉がいた。

「レアボスじゃねぇぇぇぇ!?」

「ふぉーーーーー」

「Fo――! じゃねーー!!」

失敗してる! 〈レアモンの笛(ボス用)〉失敗してるじゃん!?

どういうこと!?

俺がラナの方を振り返るとラナは冷や汗をかきながら明後日の方を向いた。

くっ、ちょっと目を逸らしているのが若干可愛い。

「ほらゼフィルス下がって、『オーラポイント』! 私が前に出るわ」

全体ヘイトを取りながらシエラが前へ出る。

むむむ、俺も気持ちを切り替えねば。

「通常ボスだったのは仕方ない。〈エルダーリンウッズ〉の対処法は以前話したとおりだ。基本的に10層ボスの〈リンウッズ〉の上位互換と思えば良い。魔法で攻めてくるぞ! 一網打尽にされないよう、散開だ!」

「わかったわ!」

ラナとの話は後回しだ。今はボス戦に集中する。

〈エルダーリンウッズ〉は長寿の〈リンウッズ〉。

幹は太く立派で大人が十人いて手を広げても囲めないほど大きい、また他の〈リンウッズ〉系と同じくハニワのような目と口の 洞 ( うろ ) を持ちそこから 髭 ( ひげ ) っぽく 蘖 ( ひこばえ ) が生えている。

見た感じは大きくておじいちゃんな〈リンウッズ〉という姿だ。

しかし、そのステータスはかなり高い。物理と魔法を両方使うのだ。

バランスの良いタンクが求められる。

「来るぞ! シエラは守陣形からカバー! ラナは耐魔と守護!」

「『 守陣形 ( しゅじんけい ) 四聖盾 ( しせいたて ) 』! 『カバーシールド』!」

「『耐魔の大加護』! 『守護の大加護』!」

「ふぉおおおー!!」

「って何これ火の玉!?」

「! 大きい」

「カルア、油断なく駆け抜けますよ!」

「ヤー!」

〈エルダーリンウッズ〉の初手は範囲攻撃、巨大な炎の塊を七つ飛ばしてくる『セブンフレアバースト』だった。

当然、〈リンウッズ〉と同じくこいつも〈火属性〉魔法を使ってくる。規模は段違いだけどな。

範囲攻撃の中心地からエステルとカルアは駆け抜け、俺とラナはシエラがカバーしてくれる。

シエラ自身も自在盾で防御しているためダメージは大きくない。

「行けるわね。『シールドフォース』! 『ガードスタンス』!」

シエラは防御したときの感触を掴むと距離を保ちながらヘイトを稼ぎ始めた。

〈エルダーリンウッズ〉は枝を振るい、今度は火の粉を浴びせるように放ってくる。ただし、火の粉の大きさはハンナの『ファイヤーボール』と同じくらいの大きさだ。

「全体攻撃よ!」

「シエラ、これはダメージが少ない、インダクションカバーは温存しておけ、『シャインライトニング』!」

「わかったわ! 『ファイヤガード』!」

俺はシエラに助言をしながら範囲攻撃の電撃で火の粉を薙ぎ払いつつ、〈エルダーリンウッズ〉に攻撃する。しかし、やっぱり木のモンスターに〈雷属性〉は効きにくい。

「『属性剣・火』! 『ソニックソード』! 『 勇者の剣 ( ブレイブスラッシュ ) 』!」

〈火属性〉に切り替えて斬撃スキルで攻撃する。

「行きます! ――『騎槍突撃』!」

「『フォースソニック』!」

そこへエステルとカルアが攻撃に加わった。

取り付かれたと判断したのだろう、今まで範囲攻撃の魔法を撃ちまくっていた〈エルダーリンウッズ〉が攻撃方法を変えてきた。

「ヴォオオオオーー!!」

なんと幹が回転したのだ。

「それ回転しちゃって良いの!?」「胴体ねじ切れちゃうよ!?」というツッコミを幾度も受けた攻撃が始まる。

木の枝が降ってきて共に回転し、薙ぎ払いにも似た周囲範囲攻撃(物理)を繰り出す『枝キロロ』だ。要は回転切りである。

いや、待てさらに変化が、いきなりそっちか!

『枝キロロ』を俺たちがバックステップで避け離れると、〈エルダーリンウッズ〉はそれを追うように、幹を 寝かせた ( ・・・・ ) のだ。

これが〈エルダーリンウッズ〉の大技。

倒れたぶっとい幹が根っこを起点としてぐるんと一周してぶつけてくる、否、吹っ飛ばしてくる物理攻撃『バッターウッズ』だ。

直撃すればホームランは免れない。超ノックバック吹き飛ばし攻撃。

10メートルを超える樹木が倒れてグルンと一周するのだ。もう全体攻撃みたいなものである。まあ、ラナはそれを見越してかなり後方に居るので攻撃は当たらないが。

そしてこれは逆に大チャンスでもある。

「シエラ! ここにディバインを!」

「ここね――『ディバインシールド』!」

シエラの一番強力な防御スキル『ディバインシールド』。

シエラは4枚の小盾がクロスするように合体して展開し、〈エルダーリンウッズ〉の超巨大幹を受け止めたのだ。否、弾き飛ばしたのだ。これは防御勝ち。

見紛う事無くパリィであった。

リアルで見るとすっごく信じられねぇ! あの巨体を弾き飛ばした!?

〈エルダーリンウッズ〉は衝撃でノックバックし、幹が超仰け反っている。あの幹柔らかいな!

「シエラナイス! 『ハヤブサストライク』! 『聖剣』!」

「『 64 ( ろくじゅうよん ) フォース』!」

「『 戦槍 ( せんそう ) 乱舞』!」

「『聖光の耀剣』!」

「ふぉぉぉぉ―――!?」

ノックバックした状態で大ダメージを受けるとダウンする。

〈エルダーリンウッズ〉は俺たちの攻撃を受け、大ダメージを受けてダウンした。

脱力するように枝がへんにゃりしている。大チャンス!

「総攻撃だ! これがラストバトルだからMPの残量を気にするな! 全力をもって攻撃だ! 『 勇気 ( ブレイブハート ) 』!」

「はい! これでガンガン攻めます、『姫騎士覚醒』!」

容赦なし。

レアボスを期待させておいての通常ボスという大きな落胆の八つ当たりをするように、俺たちはMP残量を気にしない大技を連打で打ち込みまくった。

「フォオォォォ―――――!?」

そうして〈エルダーリンウッズ〉は信じられないものを見たと言わんばかりに叫び声を上げながら大ダメージを受ける。

まだまだこんなんじゃ終わらないぞ!

その後も『子分リンウッズ召喚』という〈リンウッズ〉よりかなり小さくなった眷属を召喚したり、『 丸太 ( リンウッズ ) 落とし』というリンウッズ流のボディプレスでペチャンコにしようとしてきたり、フサフサの葉っぱを全体へばらまき火を付けてボカンッする『 爆葉 ( ばくは ) 』でパーティが中々のダメージを受けるなど、油断ならない攻撃をしてきたが、エステルの猛攻でたちまち伐採されたり、ラナにすぐ回復されたりして乗り切った。

途中『惑いの踊り』や『毒リンゴ爆弾』など状態異常にしてくる攻撃も挟んできたが、みんな状態異常には掛からず、〈エルダーリンウッズ〉はあまり良いところ無しで進み、最後はラナの『大聖光の四宝剣』が〈エルダーリンウッズ〉の目っぽい空洞に突き刺さってHPがゼロとなり、エフェクトの海に沈んで消えたのだった。

そしてその場に残ったのは――〈木箱〉。

「ノォォ――――!!」

「あんまりだわー!!」

こうして〈芳醇の林檎ダンジョン〉の攻略は完了したのだった。