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第751話 1組、2組、3組、クラス合同授業。模擬戦開始。

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第751話 1組、2組、3組、クラス合同授業。模擬戦開始。

最初に呼ばれて前に出た人たちを見て俺は唸った。

なんと「熊人」同士の模擬戦だったのだ。

「熊人」と言えば力に優れ、近接戦闘と物理系に特化したカテゴリーで、「エルフ」の真逆に来るようなポジションとなる。

武器は大物が多く、大剣、ハンマー、大盾、ランス、大斧、などを得意としているな。

とても優秀な物理特化型アタッカーだ。

まず2組から登場したのは熊人の女子。

言われなければ見逃して仕舞いそうな小さな耳が髪から少し出ている、ちょっとロリ気味な体格なのに不釣合いな巨大ハンマーを肩に担いでいる、【森の主】に就く少女アディ。

クラス対抗戦では俺と戦ったことのある相手だが、なんとなく「アホバカマヌケー」と叫ぶ声だけ強く印象に残っていたりする。

それと弓使いのレミとの連携がとても強かったっけ。今回は単身だが、どうなるのだろう?

対するは3組から出てきたナイヴスと呼ばれていた男子。

全身に甲冑を装着している全身鎧の大男だ。片手に大盾、片手に斧を持ち一目で重戦士型のタンクだと分かる出で立ちだ。同い年とは思えない厳つい顔付きが目立つ。

「相手は元15組のナイヴスだね。アディ行ける?」

「問題無い。 これ ( ハンマー ) で鎧の上から叩く」

おっと2組ではレミがセコンドみたいなポジションでアディと会話している様子だ。

「ナイヴス、相手は斬り込み隊長のアディだ、手強いぞ」

「ああ。今の俺がどこまでやれるのか、見定める。コブロウ、情報を頼む」

そしてこっちにもセコンドが?

む? あれは忍者か?

ナイヴスの後ろに黒ずくめの忍者のような装備を着た人物が付いた。なんだろう、セコンドが流行っているのか? そんなルールは無かったはず。

そんなことを考えているとラダベナ先生が審判の位置に付いて全員に聞こえる声で言う。

「ルールは簡単だよ。戦闘不能か、後は私が止めるまで戦闘続行さね。終わったら【ドクター】シトラス先生に回復してもらいな。今の自分が対人でどこまでできるか、試す場でもある。気張りなよ、準備はいいかい?」

「無論」

「こちらも構わん」

ラダベナ先生の声に、巨大ハンマーを持ったアディと、大盾に斧を持ったナイヴスが答えると、全員が集中する中、模擬戦が始まった。

「模擬戦、開始!」

「ふっ、『大ジャンプ』!」

「速い!? 『剛防盾』!」

速攻でアディが仕掛けた。

まだ距離があるのにハンマーを振りかぶったと思ったらスキルを発動し、ナイヴスの間合いでハンマーを振るっていた。とても速い。これは装備、〈ジャンプポジシューズ〉の『大ジャンプ』を使い、前に跳躍した結果だろう。

おお! ゲームでは上にしかジャンプできなかったが、リアルだとこんな使い方が!?

一瞬で距離を詰められたナイヴスは大盾を翳し、防御スキルを発動するが、それは悪手だった。

アディは振りかぶったハンマーから片手を離し、掌底のポーズで大盾の横からナイヴスの身体に攻撃したのだ。

「はい、終わり。『 熊掌 ( ゆうしょう ) の肉スタンプ』!」

「な!? ぐはああああ!?」

「ナイヴス!?」

「ここからはずっと私のターン。『インパクトガオー』! 『パワーストライク』!」

「ば、バカなああああ、こんな簡単に!? 防御スキルが、発動しない!?」

「ここでダウンを取る。『クラッシュプレゼント』!」

「がはっ!?」

「はい、そこまでだよ」

「「「「「おおー」」」」」

勝負は一瞬だった。

ラダベナ先生がすぐさま模擬戦終了を宣言する。

吹っ飛んでダウンしたナイヴスはHPこそまだ半分近く残っているものの、ダウン復帰までは持たないと判断されたのだろう。

模擬戦はここまでとされた。

ポイントはアディが使った『 熊掌 ( ゆうしょう ) の肉スタンプ』。

職業 ( ジョブ ) 【森の主】の三段階目ツリーで、直撃すると相手はしばらく防御スキルを発動出来なくなるという、タンク殺しのスキルだ。

とはいえ武器から手を離し、超近距離での掌底を直撃させなくてはいけないために、その能力の強さと引き換えに微妙な使い勝手となっている。

アディはハンマーの振りかぶりで気を逸らせてこれを見事に初撃でヒットさせたのだ。

ナイヴスが急に飛び込んで来たアディに焦り、うっかり防御スキルを発動して硬直した隙を突いた形だ。スゲえな。

「ブイ」

「やったねアディちゃん!」

「さっすがアディさん!」

「男子相手でも怯まず突撃、憧れるわ~」

「さっすが対男子の斬り込み隊長!」

アディが2組へ戻るとそんな歓声が聞こえてきた。

アディはかなり有名人みたいだ。人気者だな。

「グフ、無念」

「ナイヴス、ドンマイだ」

逆にこっちのやられてしまったナイヴスは意気消沈の顔だ。

何しろほとんど何もさせてもらえずに負けたからな。そりゃ無念だろうさ。

「いいかいボーイズ&ガールズ、今のようにこちらが当てた者同士で模擬戦してもらうからね。あと2組と3組は上級職と戦える機会なんて滅多にないんだから気後れするんじゃないよ!」

ラダベナ先生の言葉に俺たちは頷く、そしていつの間にかやってきていた研究員たちが凄まじい勢いでメモをしていた。

「あとこいつらは気にしなくて良いよ。ただの記録係さね」

本当かな? 妙に目が血走っていますけど?

「んじゃ、どんどん行くよ。それとクラス間の交流は忘れないようにしな。1組は2組や3組と話しなよ。あまり自分たちのクラスだけで話し込まないようにね」

無茶を言いなさる。

しかし、願ったりなのは間違いないので俺は早速2組へと足を進ませたのだった。

「次の模擬戦をやるよ。2組のジェイ対3組のゴウ。2組のカジマル対3組のコブロウ。1組のキール対2組のレミ。1組のハク対3組のハイウド――」

「呼ばれた人たちからこの練習場に散った研究員さんの元で模擬戦をしてもらってくださいね」

ラダベナ先生がリストのような紙を持って言うとフィリス先生が学生を案内する。

「――1組ラナ対2組のエイローゼル」

「私の番ね!」

「お、ラナが呼ばれた。相手は、誰だ? ラナ、俺も付いて行って良いか? 俺は今回呼ばれなかったみたいでさ」

「構わないわよ!」

模擬戦で呼ばれたラナが元気の良い返事でウキウキと出ていくのを見て、俺もやっぱりそっちに付いていくことにした。俺はまだ呼ばれていないようだからな。

各人、ばらける。

ある人は模擬戦を見に行き、ある者は交流をメインにするようだ。

だが、やはり授業が模擬戦なので、どこかしらの見学に向かう人が多いな。

〈エデン〉からはラナだけしか呼ばれなかった事もあり、俺たちは集団でラナの応援へと向かう。

すると、やはり上級職であり聖女のラナが気になるのだろう。

結構な数の人が見学に集まってきた。

ラナが前へと出ると、模擬戦の相手も前に出る、相手は、

「エルフ?」

「はい。私の遠縁にあたる親戚ですね」

その声に反応して振り向けば、そこには【精霊術師】のシェリアが立っていた。

近くにはエステルもいる。

「ローゼルですか、小さい頃会って以来ですが、大きくなりましたね」

「それはお互い様ですよエステル」

そういえばエステルとシェリアって幼馴染なんだっけ、確か家同士の繋がりがあるみたいなことを聞いた覚えがある。そしてあの 男子 ( ・・ ) も知り合いのようだ。

出てきたのはエルフ男子。

シェリアと同じような黄緑色の長髪を一つにまとめて後ろに流していて、まるで龍の角のような頭装備を身に着けている。あと顔が美形。すごく美形。さすがエルフ。服装はゆったりとした民族衣装で、どこかエルフの長老が着ているような趣のある雰囲気がする装備だ。

これはアレだな、あの系統の装備だ。

俺は期待を込めてシェリアを見る。紹介して?

「ふう。本当はもっとどこか別のところで紹介したかったのですが、紹介しておきます。彼は私の氏族の長老の孫で、ポジションはヒーラー。 職業 ( ジョブ ) 【アルフの守り手】に就いている、私が〈エデン〉にヒーラーとして紹介したかったエルフです。断られてしまいましたけど」

以前あった〈エデン〉大面接。

あの時圧倒的にヒーラーが足らず、また男子も足りていなかった。

その時ギルドメンバーにお願いしたことがあった。いい人いたら紹介して欲しいと。

シェリアは心当たりがいるので当たってみますと言っていたはずだ。

あれから1ヶ月。

まあ無理かぁ~、と諦めていたのだが、なるほど。

例の話は彼のことだったのか。