第785話 〈ファイトオブソードマン〉復活、最後の決戦!
第785話 〈ファイトオブソードマン〉復活、最後の決戦!
残り時間12分30秒のところで〈ファイトオブソードマン〉の本拠地、赤本拠地でギルドマスターが復活していた。
「カァーー! 負けた負けた! いや、マジで 強 ( つえ ) ぇな〈アークアルカディア〉はよぉ。1人も倒せなかったのは初めてだぜ。シャッハー!」
「ギルマス! お帰りなさい!」
「早速だが時間が無いぞギルマス。どうする?」
フェンサー男子とサブマスの戦士男子がギルマスの復活を待ちわびていた。
しかし、復活を喜ぶのは後回し、まずは今後の動きと情報共有だ。
特にギルマスを含む全員が戦闘不能になった西側の情報共有は必須だった。
また、相手にこちらを倒せるだけの強者がいることも含め、今後の試験官としての動きを聞いておかなくてはならない。
確認することが多すぎて時間はあまり無かった。
「シャッハー。ちまちま小城Pを集めるのも性にあわねぇ。目指すは本拠地陥落だろぉ!」
敗者のお部屋から戻ってきた5人と生き残った2人が合流して次の作戦を立てる。
いや、作戦と言っていいのだろうか?
しかし、実はそれが一番理にかなっている行為でもある。
〈ファイトオブソードマン〉はCランクギルドの時から戦闘主義だった。
ギルドバトルでも敵と正面からぶつかり合い、そして対人戦で下してきた。
まあ、絡め手に弱いしマッスラーズにも敗北したことがあるためCランクギルドより上へは登ったことが無いのだがそれはともかくだ。
元々は戦闘好きの集まりなのが〈ファイトオブソードマン〉だ。
ソードマンの宣言に誰も異存は無いようだ。
「久しぶりに総力戦本拠地アタック、全員が復活しだい行ってみようか! シャッハー!」
一度退場し、ステータスが90%にダウンしてなお、好戦的なソードマンは白本拠地へと攻め込む。
MPの関係から小城Pの獲得すら余裕の無い〈ファイトオブソードマン〉は、本拠地で全員が復活するまで情報共有に徹し、10人揃ったところで出撃した。
◇ ◇ ◇
「む! 来た! フィナ先輩の言ったとおり! 西!」
「! ユウカちゃんすぐにみんなに知らせて!」
「任せてくれ! 『魔弓・パワーショット』!」
ユウカの『警戒』に感あり。
サチの指示でユウカが1本の矢を真上に放った。
その矢は特殊な〈笛矢〉というアイテムで、矢を放つと矢に取り付けられた笛が鳴るだけのアイテムだが、こういう合図などに使うには便利だ。
これは全員集合の合図。
〈ファイトオブソードマン〉が仕掛けてきたため〈アークアルカディア〉が臨戦態勢を執る。
すぐに本拠地の近くにいたメンバーたちが集まってきた。
「ユウっちお待たせ! 数は?」
「それが……10人全員だと思う。全員西から来てる」
「全軍で攻めてきたの!」
真っ先に到着したのはエミとトモヨだ。
3人娘が揃ったため『魔装共鳴』の効果が発動してパワーアップする。
「トモヨ。いける?」
「もちろん。エリサ先輩とフィナ先輩もすぐに来るだろうからね」
「でもあれって撃っちゃってもいいのかな? あんなに固まってると範囲攻撃の餌食なんだけど?」
トモヨが早速先頭に立って進むとエミが少し動揺したように言う。
〈ファイトオブソードマン〉はソードマンを先頭に悠々と隊列を組んで走ってきていた。
中々様になった光景ではあるが、エミには範囲攻撃魔法を撃ち込んでくれと言っているようにしか思えなかった。
「うん、やっちゃおう! 『魔装全開放』! 『魔本・冷凍吹雪』!」
「続くよ『魔装全開放』! 『魔弓・シャワーアロー』!」
ということで撃ち込む。
白本拠地から西へ2マスの地点に〈ファイトオブソードマン〉が踏み込んだ直後、同じくそのマスに入った4人のうち、エミがいきなりの全力攻撃を放った。ユウカもそれに続き、コンビネーション攻撃だ。
「来たぞ! 防御を確保しろ! 『マジックガード』!」
「『アンガーシールド』!」
「そのまま突っ込むぞ! シャッハー! 行くぜ行くぜ! 『ワンブーストソードマン』!」
戦士男子とタンク男子が盾となり、『魔本・冷凍吹雪』から全メンバーを守ると、そのまま徐々に徐々に進んでいく。そこへ上から矢の雨が降り注いだ。
「来るぜ来るぜ! 負けるなよ! ポーション準備だ! シャッハー!」
「「「「応!!」」」」
〈ファイトオブソードマン〉は近接型の 職業 ( ジョブ ) が多いため遠距離攻撃は苦手だ。魔砲使い男子が牽制を放つがこれはトモヨに弾かれてエミとユウカには届かない。
故にそのまま突き進む。大盾を持つ男子は2人で後列を庇いつつ後ろから押してもらい、吹雪に逆らい進んでいく、上から来る矢の雨はポーションを飲んで凌ぐ構えだ。その歩みを止めず、吹雪を後方に漏れさせないことでなんとか攻撃を凌ぎながら前進する。
進めばいつかはたどり着ける。なら接近して斬ればいいをモットーに、〈ファイトオブソードマン〉はエミとユウカの全力攻撃をものともせずにズンズン前に進んでいった。
「止まらない!」
「一度見せたのが仇になったのかな!?」
「2人とも、すぐに魔装を纏って!」
「モチ!」
「「『魔装武装』!」」
1回で全ての魔装を使い果たしたエミとユウカが再び魔装を纏う。
攻撃が止み〈ファイトオブソードマン〉の速度が上がった。
「シャッハー! 対人戦の時間だぜ!」
「ソードマンさん、ここは通らせないんだからね!」
「トモヨさんが来るか! なんの、押し通るぜ! シャッハー!」
そうして前に出たトモヨが盾を翳して受ける体勢の中、〈ファイトオブソードマン〉が突っ込んでいき、ぶつかる直前、ロリっ子ボイスが戦場に響いた。
「全員眠っちゃえ! 『ナイトメア・大睡吸』! 『睡魔の砂時計』!」
「『気合』だーー!! 全員、来たぞ気をしっかり持ちやがれ! シャッハー!」
「ギルマス! 6人ほど眠りましたが3人まで復活しました!」
「思ったより寝たな!? お前ら気合が足りてねぇぞ! 『投剣』!」
「今度はやらせはしません! 『エルガード』!」
やって来たのはエリサだった。
トモヨや3人娘の後ろに隠れるようにしてマスへと入り込み、不意打ちでユニークスキルを使ったのだ。
しかし〈ファイトオブソードマン〉が最も警戒していたために4名はレジストに成功した。だがこれによって威勢のよかった6人が〈睡眠〉状態へになってしまう。とはいえそれは向こうも分かっていたこと。
すぐに近くで無事だったメンバーが叩き起こしエリサが続けざまに砂時計を浮かべるまでに3人の〈睡眠〉が解かれてしまうのだった。
しかし残り3人が眠ったままなのには変わりなし。エリサは相手のかなりの戦力を奪うことに成功していた。
〈ファイトオブソードマン〉にヒーラーが不足していたのが悔しいところだろう。
即、ギルマスが『投剣』で砂時計を攻撃したが、これはフィナリナに防がれてしまう。
しかし、それでも〈ファイトオブソードマン〉は多少の混乱だけですぐにトモヨへの攻撃を開始する。
同じくしてサチ、エミ、ユウカの攻撃も始まり二つのギルドが正面からぶつかり合った。
だが、それでも〈ファイトオブソードマン〉7人対〈アークアルカディア〉6人。
数の上で負けている上に上級職のいる相手に徐々に〈アークアルカディア〉が苦戦していく。
「シャッハー! 続けていくぜ! 『ツーブーストソードマン』!」
「くっ! まだまだー!」
すでにソードマンの強化が二段階目に突入していた。
このブーストスキルは特殊で、ギアを一つずつ上げていかなければならないうえに、次のブーストスキルを使うには敵へ一定数攻撃しなければならない条件がある。相手を攻撃するほどゲージが溜まり、上限に達したら次のブーストが出来るという、ゲームではお馴染みの仕様だ。ギアが上がるごとにその回数が増えるため、ファイブまで行くことが難しく、ソードマンはこうしてタンク相手に攻撃しまくって効率良くギアを上げる戦術を編み出していた。
残りの〈ファイトオブソードマン〉はトモヨを避けるように他のメンバーと交戦し、トモヨだけがソードマンの相手をつとめている、というこの状況はそうして出来ていた。
だが、忘れてはいけない。
〈アークアルカディア〉には、まだまだメンバーが残されているのだ。
「『箱結界』! 『五重封印』!」
「ぐっ!? 結界が!?」
「ユニークスキルで脱出しろ!」
「おおう! ユニークスキル『農士・渾身の一撃』!」
「当然それは読んでいました。ユニークスキルを使うと硬直時間が長い、隙ありです。『セブンスレイド』!」
「な! ぐおおお!?!?」
「新手か!?」
【戦う農士】が結界に囚われ、ユニークスキルで破壊したところ、その隙を狙われてロゼッタから強撃を受けてダウンしてしまう。
さらに、
「あの悪魔っ娘を狙う!」
「砂時計を破壊するぞ!」
「そうはさせません。チェンジ――『大天使フォーム』!」
「何!? あれは、天使!?」
「か、可愛い、まちがいねぇ、あれは天使だ!」
「隙あり! 『ダークバインド』!」
「うお!? あの腕だ! 斬れ斬れ!」
「上がお留守ですね。『ソニックエルソード』! 『エルライトブレイカー』! 『エルライトブレイカー』!」
「うおおおお!? 上下からの攻撃とか有りかよーーー!?」
「今度は私が相手だよ! チーちゃん、行くよ! 『ファーストモンスターGO』!」
「あ、あれがモチッコライダー! あいつの相手だけは俺がする! 食らえ『マジックバスター』!」
「プルプルー!」
「やったなー! 『サンダーレイ』!」
「アバババババ!?」
「みなさん、回復いたしますね。『全体回復の歌』!」
フィナリナとフラーミナによってエリサへの攻撃は防がれ、オリヒメによって3人娘やトモヨを始め、ダメージを受けた者が回復し、戦場は乱戦となっていく。
しかし、〈アークアルカディア〉の狙いはただ1点、トモヨが押さえ込んでいるソードマンだけだ。
ある程度場を乱したところで、〈アークアルカディア〉のメンバーが一斉に動いた。