第843話 ランクアップ後の6人のその後。練習風景!
第843話 ランクアップ後の6人のその後。練習風景!
あの後〈ディストピアサークル〉戦のあれこれはリーナとシエラが引き受けると言って行ってしまったので、俺は練習場へ向かう事にした。
練習場では先ほど〈 上級転職 ( ランクアップ ) 〉したメンバーたちがスキルや魔法の練習に勤しんでいたからだ。色々教えたい。
「ラクリッテ、行っくデース! 『三属性手裏剣乱舞』デース!」
「はい! 『フリーミラージュ』!」
「おお!? 私の手裏剣がすり抜けたデス!? 大成功デスね!」
パメラの攻撃は範囲攻撃クラスにパワーアップした手裏剣の連射。投げた手裏剣が巨大化し、〈火属性〉〈氷属性〉〈雷属性〉を纏うという器用なことをしながらラクリッテへと迫る。
対するラクリッテはリカも覚えているすり抜ける回避系の防御魔法を使って攻撃を完全に回避した。
効果時間は少ないし、すり抜けタイミングが合わないとクリティカルヒット、そしてダウンが取られやすくなる欠点があるが、もし上手く活用できれば相手の必殺技をノーダメージでやり過ごせるため非常に強力な魔法だ。しかも『フリーミラージュ』は、自分だけではなく味方にも掛けられるというのがとんでもない。
「パメラちゃんも行くよ! 『デスタッチ』!」
「即死はそんな軽く使うような魔法じゃないデスよ!? 回避するデース! 『忍法・身代わり反撃の術』!」
今度はラクリッテが攻撃を仕掛ける番のようだ。大きな両手盾から半透明な黒い手が一本伸び、パメラへと迫った。上手くいけば〈即死〉する恐怖の手だ。なお、〈即死〉は同レベルの相手には効かないので安全である。2人ともまだLV0だし。
とはいえ攻撃は攻撃、パメラは『忍法・身代わり』の上位スキル、『忍法・身代わり反撃の術』を選択。ラクリッテの攻撃がヒットしたときには丸太がそこにあり、パメラはいつの間にかラクリッテの側面に移動して攻撃していた。
まさに忍者の所業。というか傍から見ているとめちゃくちゃかっこいいな! これぞ忍者って感じだ!
「う、討ち取ったりー、ってわわデス!?」
「きゃわ!?」
しかし、側面に突如現れたパメラは加減が分からなかったのか、つんのめってラクリッテを巻き込んで盛大に転けてしまう。あ。
大丈夫かな?
「う~、ごめんデス、ラクリッテ。怪我無かったデスか?」
「大丈夫だよ、うちは頑丈だから」
「この術は視界がいきなり変わって相手の真横に出るのでビックリしてしまうのデス。要練習デス」
なるほど。『忍法・身代わり反撃の術』は上級忍者の十八番とも言えるスキルで俺もゲーム時代は多用していた。
相手の真横に強制移動するスキルなのでしっかり見極めないと事故を起こす。反撃だってもらいやすい。リアルではそれが自分の身に起こるのだ。
その辺、要練習と慣れが必要のようだな。
俺は続いてノエルとルルのいる場所へと向かう。
どうやら的への攻撃をするルルをノエルが支援している図のようだ。
「行っくよ~ルルちゃん――『リ・エール』!」
「とう、なのです! 『インフィニティソード』! 『インフィニティソード』!」
ノエルの応援が入るとルルの体がエフェクトに輝き、ルルが的に突撃、〈四ツリ〉の中でも非常に強力な単体斬撃スキルを的に放つと、切られたはずの的が粉みじんになった。
さらにルルの攻撃は続く、なんと今放った『インフィニティソード』をクールタイム無視してもう一度発動、二つ目の的も粉みじんにしてしまう。
このクールタイム無視はノエルの〈四ツリ〉スキル『リ・エール』の効果だ。
効果は、「味方1人が次に使う〈スキル〉・〈魔法〉のクールタイムをゼロにする」という非常に強力なスキルである。ユニークには使えないからそこ注意な。
さらに、
「『アンコール』行くよ~♪ 『リ・エール』!」
「とう! 『ディストラクションブレイカー』! 『ディストラクションブレイカー』!」
ノエル自身のクールタイムを無視して、今発動したスキルをもう一度使える『アンコール』を組み合わせて使えば、この通り。〈四ツリ〉の連続攻撃は可能である。強いぞ。
さてこの『リ・エール』は使いどころが難しい。しかし、主軸となる〈スキル〉〈魔法〉を連続で放てるというのはボス戦などでかなり有利になるだろう。
クールタイムが2分とかなり長いのがややネックだけどな。
ちなみにルルの『ディストラクションブレイカー』はブレイク系の中でも防御スキル破壊も出来るヒーローの強力な一撃だ。
それをルルは左と右の的両方に、ほとんど変わらないタイミングで放っていた。
超速い。これ絶対防御スキル間に合わない。防御破壊されて2回目攻撃でズドンだ。決着。
さすがはルルの『真・小回り剣技』。別名〈2回攻撃〉。強いぜ。
こっちはノリノリだなぁ。
よし、次はメルトとミサトの方を覗いてみるか。
こっちは中々に白熱したバトルを繰り広げていた。
「『コールドスリープ』!」
「それくらいじゃこの浮遊結界は破れないよメルト様! 『ミラーピアー』!」
「『ブラックホール』! ならば、反射できない魔法で攻めればいいだけのこと。『グラビティ・ヘヴィ』!」
「あ! それはヤバいかも! 『ミラークロスバリア』! う~うきゃー!?」
まさに一進一退。
最初に目に付くのは、ミサトの上空に浮かぶガラスの板のような結界たち。
これは結界だ。シエラの自在盾に似ているが、似て非なるもの。
―――『正方浮遊結界』。
常にミサトの周囲に浮かんでいる結界術だ。
これを発動中にミサトが〈四ツリ〉魔法を唱えると姿形が変化、鏡へ変化すると魔法攻撃を反射してしまう結界に早変わりする。
しかし、メルトも多彩な魔法で攻撃を放ち、パッシブスキルである『攻防デュアル』によって攻防同時に発動できる多彩な重力魔法によってミサトの攻撃を防ぎ、結界を抑え込み、結局この模擬戦はメルトの勝ちのようだ。
いくら反射すると言っても重力が増す『グラビティ・ヘヴィ』はさすがに反射できず、浮遊結界が全て落とされた。そこへメルトが杖を翳すことで決着。
メルトの周りに浮かぶ丸くて黒い物体がメルトの勝ちを祝福するようにその体の回りをクルクル回っている。
「あ~、負けちゃった~。というかブラックホールが強すぎるんだけど!? 重力は私と凄く相性が悪い気がするんだよ!?」
「継続は力だミサト。もう一度模擬戦をやるぞ。今度は『グラビティ・ヘヴィ』は使わないでやるから」
「ふあ~い。ん? あ、ゼフィルス君!」
もう一度模擬戦をしようとしたところでミサトが俺に気が付き、全員の視線がこっちに向く。
「みんな精が出るな。お疲れ様」
「「「お疲れ様~」」」
「どうしたんだゼフィルス。ゼフィルスも参加するか?」
「いや、練習も良いがそろそろレベルを上げた方が良いと思ってな。これから中級上位ダンジョンへいかないか?」
メルトの模擬戦の誘いに首を振って断り、俺はみんなにレベル上げを提案する。
防衛戦が始まるまで、もう少しだ。