第14話 アスタラビスタベイビー
第14話 アスタラビスタベイビー
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中心に12時から4時の方向にかけての一帯がポロリと床に落ちたのだ。 それを拾い上げて抱きしめると、「うわぁ〜〜〜〜〜ん!!」 大声で泣き叫ぶモリと、床に散らばった豚串を集めた皿と、一升瓶を抱えて31階に向かった。「イワタさん、こいつはどうも⋯」「うちにはこんなもんしか材料がないもんでな。」 欠けた部分はチタンだかアルミだかの金属の継ぎ接ぎで不恰好に補完されていた。「塗装すればまぁそれほど不自然にはならないはずだ。乾燥の時間も必要だから、二日後にまた来い。」 モリは首を振った。「そのままでいい。」 目を輝かせ、とても大切そうにそれを受け取ったモリは、黙ってその面を被り、親指を天に突き立てて言った。「アイルビーバック」 親指を突き立てたまま、ゆっくりとしゃがんでいる。 どうしたんだこいつは?「お前ら!教養が無さすぎるぞ!マッチョサイボーグの古典を読んだことがないのか!」 今夜は久しぶりに生きた心地がした。 好きなだけ酒を飲んで、気がつくと自分のベッドに寝かされている感覚も久しぶりだ。 そうだ。 途中でサカマタを呼んだら、ティラノダイナーの大将、マツナガさんも連れてきたんだ。 店が休みの時は二人で遊んでいることが多いと言っていたが、この二人は何を話すんだ?そもそもマツナガさんは言語を持ち合わせているのか? イワタさんに家中の止まった時計のことを聞いてみたりもしたが、「時間というものは本来動いておらず」だのなんだのと哲学の話をしだしたので直ちに話題を変えた。 モリの恐竜モノマネは傑作だった。上手いだの下手だのとみんなで野次を飛ばした。パキケファロサウルスなんて誰も見たことないのに。 いつの間にかイワタさんも居て―― 妙に布団が暑苦しいので寝返りを打とうとすると、隣に小さなサイボーグ天狗が丸まっていた。 鈍く光る金属の継ぎ接ぎがいかにも物騒な出で立ちだが、隙間から聞こえる寝息はただの子供のそれだ。 おそらく、クロサワさんはあと数日で計画を実行に移す。 そのためにこれまで恩を売り続けてきたのだ。 移し替える瞬間、装置の軸が微かに震え、部屋全体の重力が一瞬だけフッと軽くなるような錯覚に陥る。 目に見えない極小の粒が、文字通り世界を裏返そうと暴れているのだ。額から落ちた汗がデスクに落ちる音すら、今の僕には爆音に聞こえる。「クモコシぃ!!」 手が一瞬硬直し、身体中から冷や汗が吹き出した。 「馬鹿野郎!この部屋で作業してる時は集中させろって言ってるだろうが!」 反重力物質12粒のまとまりというのは、下手にバランスを崩せばこの周囲一体を消しとばす力がある。 ランドセルに使っている3粒程度なら大したことはないが、それを超えると指数関数的に反発力が跳ね上がる。実際、巨大な上層階モジュールの引越しに使われているのもたった6つの粒子でしかない。「今日は家での作業と言っていただろう。だから店を早く閉めた。久しぶりに一緒に飯を食うぞ。酒も持って来てやった。」 ドアを蹴破るような勢いとともに、山盛りの豚串が乗った皿を片手に、天狗面を被ったモリが現れた。 そういえばこのところ会話もまともにできていなかったからな。「あと一箱終わったらそっちに行くよ。」 そう返事するや否や、天狗はするりと僕の膝の上に潜り込んできて、勝手に箱を並べ出した。「このボタンを押すだけでよいのだろう。」「おいよせ!」――グンッ! 次の瞬間、僕は椅子ごと後ろに倒れ、モリはそのまま後ろの壁まで吹き飛んだ。 モリが乗せたのは通常ボックスではなく、ピンハネ用の3粒入り特製ボックスだった。「馬鹿お前、大丈夫か!」「イテテ。」 そう言いながらモリが立ち上がると、 カラン―― モリの左眼があらわになった。 鼻を中心に12時から4時の方向にかけての一帯がポロリと床に落ちたのだ。 それを拾い上げて抱きしめると、「うわぁ〜〜〜〜〜ん!!」 ランドセルに使っている3粒程度なら大したことはないが、それを超えると指数関数的に反発力が跳ね上がる。実際、巨大な上層階モジュールの引越しに使われているのもたった6つの粒子でしかない。「今日は家での作業と言っていただろう。だから店を早く閉めた。久しぶりに一緒に飯を食うぞ。酒も持って来てやった。」 ドアを蹴破るような勢いとともに、山盛りの豚串が乗った皿を片手に、天狗面を被ったモリが現れた。 そういえばこのところ会話もまともにできていなかったからな。「あと一箱終わったらそっちに行くよ。」 そう返事するや否や、天狗はするりと僕の膝の上に潜り込んできて、勝手に箱を並べ出した。「このボタンを押すだけでよいのだろう。」「おいよせ!」――グンッ! 次の瞬間、僕は椅子ごと後ろに倒れ、モリはそのまま後ろの壁まで吹き飛んだ。 モリが乗せたのは通常ボックスではなく、ピンハネ用の3粒入り特製ボックスだった。「馬鹿お前、大丈夫か!」「イテテ。」 そう言いながらモリが立ち上がると、 カラン―― モリの左眼があらわになった。 鼻を中心に12時から4時の方向にかけての一帯がポロリと床に落ちたのだ。 それを拾い上げて抱きしめると、「うわぁ〜〜〜〜〜ん!!」 大声で泣き叫ぶモリと、床に散らばった豚串を集めた皿と、一升瓶を抱えて31階に向かった。「イワタさん、こいつはどうも⋯」「うちにはこんなもんしか材料がないもんでな。」 欠けた部分はチタンだかアルミだかの金属の継ぎ接ぎで不恰好に補完されていた。「塗装すればまぁそれほど不自然にはならないはずだ。乾燥の時間も必要だから、二日後にまた来い。」 モリは首を振った。「そのままでいい。」 目を輝かせ、とても大切そうにそれを受け取ったモリは、黙ってその面を被り、親指を天に突き立てて言った。「アスタラビスタベイビー」一緒になって騒いでいたもんだから、豚串はすぐに無くなってしまった。 みんなで狭い狭いとイワタさんに文句を言っていたら追い出された。 うん。モリはよくやってる。あいつはちゃんとネットワークを築いている。 あとは何人かぶん殴ったり殴られたりしたような気もするがよく覚えていない。 結局みんなでティラノダイナーで飲み直していたらいつの間にかモリが呼び出した酒屋やら知らん金持ちやらその辺のチンピラまで一緒になって騒いでいたもんだから、豚串はすぐに無くなってしまった。 みんなで狭い狭いとイワタさんに文句を言っていたら追い出された。 うん。モリはよくやってる。あいつはちゃんとネットワークを築いている。 あとは
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