(39)統べる者として
(39)統べる者として
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宿題のように思えた。王妃からリベリオへ課された課題。次代の王となるものへの。英知の書の閲覧権に絡む王位継承権について、リベリオは神言が聞こえないため一番遠くにあると言ったが、実質的にはそうではないのだろうと感じた。そして、この問題はこれで留め置かれた。とりあえず、実務的には魔力供給管の修繕で改善するのだろう。王宮側の供給管の点検も必要だ。ニキがまた動員されると思う。「そこな白相の者」「はい」王妃からフィアに声が掛けられた。「其方達が始末したが、それを以てサモシエルは処罰したとする。私用で人命を消費した罪である」「畏まりました」魔造体を精製したことについては棚上げされたが、差し当たってこれが落とし所なのだろう。少し、胸がすいた気がする。そして、――気付いてしまった魔造体を精製したことを罪とするならば、生まれてきた魔造体の意義とは何だろうか。そんな問題に直面することになる。はたして、王妃はそれを加味したのか分からない。あえて聞くこともないだろう。腹を痛めて産んだあなたを失えば悲しみを覚えます」「あ? は、あ……」「ですが、国家のために命を散らした兵達へ、悲しみは覚えません」「う……、ぐ」「あなたも、戦場へ兵を送ったでしょう?」「ぐ……っ」喉が詰まりそうだった。なんという問答だろうか。この王妃に畏怖を覚えてやまない。「いや、そもそも……! 魔力供給管が故障していて無駄な徴集をずっとしていただろうが! 改められるところがあっただろ!」ニキが興味本位で修理した魔力供給管のことがここで生きた。場違いそうに視線が泳いでいたニキがその話に反応し、肩を上げていた。「確かに。魔具を点検・修繕し魔力効率を見直すという観点は必要でした」王妃がそう、構造の問題について触れる。それはそうなのだが、俺でも背が寒くなってきた。リベリオは多分……キレる。「そういうんじゃねえ!! 人の命を何だと思ってる!!」……キレた。リベリオの拳から微量に電流が放出されている。「私は、己の腹を痛めて産んだあなたを失えば悲しみを覚えます」「あ? は、あ……」「ですが、国家のために命を散らした兵達へ、悲しみは覚えません」「う……、ぐ」「あなたも、戦場へ兵を送ったでしょう?」「ぐ……っ」喉が詰まりそうだった。なんという問答だろうか。この王妃に畏怖を覚えてやまない。「いや、覚悟を以て戦場へ征った者と生まれを選べない者を並べるな……!」それも正論だ。リベリオは真っ向から反論し食らい付き続ける。「あなたの暮らしはどうやって成り立ってきたか、存じているのですか?」「な……っ」「王族として、贅を為すということは、そういうことです」リベリオは口を閉ざし己の胸に手を当て、王妃の言葉を反芻する。そう見えた。そう言われてみると、王族として良い身なりをしているその姿が罪のように思えてしまう。きっと、それを思うのだろう。「……考えなさい。王になるということを」それは宿題のように思えた。王妃からリベリオへ課された課題。次代の王となるものへの。英知の 含めなかった。これはリベリオが詰めるだろうと思ったからだ。「魔造体、という言葉はご存じですか?」俺も思わず息を飲んでしまった。いよいよそれについて踏み込もうとし、緊張感が走る。「白相の者たちのことか」「存じているのですね」国王は目を伏せ、若干俯きながらそう答えた。「元々、有事の際にその者たちから魔力を徴集していたのは存じていました。これまでそうして国を守る戦いをしてきたのも承知しています」「ああ」「だが、その者たちがどのように生まれてきたのかは知らなかった。どうして、その者たちを生み出すのかも知らなかった」リベリオの拳がきつく握られている。肩が上がってきた。「元はサモシエルが精霊契約という栄誉を為すために、己の欲望のために生み出したものだ! サモシエルは罰された。だが、それは英知の書の中身の吸い上げを罪とした罰だ。魔造体を生み出したことは罪に問うてない……!」それは告発だった。王家が包み隠してきた真実。それを耳にした王女が眉を下げ顔色を悪くし、両手で口を塞いだ。「魔造体に関することを罪に問えば、有事の際の魔力徴集も罪となる。だから触れられずにきた」核心に触れる。王家にとって都合の悪い事実だ。「オレ達はラディクトに殺されても仕方がなかった……!」「リベリオ」激昂したリベリオに対し、王妃の圧がぶつかる。王妃は為政者の理屈を冷徹に投げかけてきた。「いや、覚悟を以て戦場へ征った者と生まれを選べない者を並べるな……!」それも正論だ。リベリオは真っ向から反論し食らい付き続ける。「あなたの暮らしはどうやって成り立ってきたか、存じているのですか?」「な……っ」「王族として、贅を為すということは、そういうことです」リベリオは口を閉ざし己の胸に手を当て、王妃の言葉を反芻する。そう見えた。そう言われてみると、王族として良い身なりをしているその姿が罪のように思えてしまう。きっと、それを思うのだろう。「……父上」「なんだ、リベリオ」俺の報告が終わったところで、リベリオが発言する。空気が重くなる。俺はあえて魔造体に関することは報告に含めなかった。これはリベリオが詰めるだろうと思ったからだ。「魔造体、という言葉はご存じですか?」俺も思わず息を飲んでしまった。いよいよそれについて踏み込もうとし、緊張感が走る。「白相の者たちのことか」「存じているのですね」国王は目を伏せ、 そして、この問題はこれで留め置かれた。とりあえず、実務的には魔力供給管の修繕で改善するのだろう。王宮側の供給管の点検も必要だ。ニキがまた動員されると思う。「そこな白相の者」「はい」王妃からフィアに声が掛けられた。「其方達が始末したが、それを以てサモシエルは処罰したとする。私用で人命を消費した罪である」「畏まりました」魔造体を精製したことについては棚上げされたが、差し当たってこれが落とし所なのだろう。少し、胸がすいた気がする。そして、――気付いてしまった魔造体を精製したことを罪とするならば、生まれてきた魔造体の意義とは何だろうか。そんな問題に直面することになる。はたして、王妃はそれを加味したのか分からない。あえて聞くこともないだろう。命を散らした兵達へ、悲しみは覚えません」「う……、ぐ」「あなたも、戦場へ兵を送ったでしょう?」「ぐ……っ」喉が詰まりそうだった。なんという問答だろうか。この王妃に畏怖を覚えてやまない。「いや、覚悟を以て戦場へ征った者と生まれを選べない者を並べるな……!」それも正論だ。リベリオは真っ向から反論し食らい付き続ける。「あなたの暮らしはどうやって成り立ってきたか、存じているのですか?」「な……っ」「王族として、贅を為すということは、そういうことです」リベリオは口を閉ざし己の胸に手を当て、王妃の言葉を反芻する。そう見えた。そう言われてみると、王族として良い身なりをしているその姿が罪のように思えてしまう。きっと、それを思うのだろう。「……考えなさい。王になるということを」それは宿題のように思えた。王妃からリベリオへ課された課題。次代の王となるものへの。英知の書の閲覧権に絡む王位継承権について、リベリオは神言が聞こえないため一番遠くにあると言ったが、実質的にはそうではないのだろうと感じた。そして、この問題はこれで留め置かれた。とりあえず、実務的には魔力供給管の修繕で改善するのだろう。王宮側の供給管の点検も必要だ。ニキがまた動員されると思う。「そこな白相の者」「はい」王妃からフィアに声が掛けられた。「其方達が始末したが、それを以てサモシエルは処罰したとする。私用で人命を消費した罪である」「畏まりました」魔造体を精製したことについては棚上げされたが、差し当たってこれが落とし所なのだろう。少し、胸がすいた気がする。そして、――気付いてしまった魔造体を精製したことを罪とするならば、生まれてきた魔造体の意義とは何だろうか。そんな問題に直面することになる。はたして、王妃はそれを加味したのか分からない。あえて聞くこともないだろう。問えば、有事の際の魔力徴集も罪となる。だから触れられずにきた」核心に触れる。王家にとって都合の悪い事実だ。「オレ達はラディクトに殺されても仕方がなかった……!」「リベリオ」激昂したリベリオに対し、王妃の圧がぶつかる。王妃は為政者の理屈を冷徹に投げかけてきた。「いや、覚悟を以て戦場へ征った者と生まれを選べない者を並べるな……!」それも正論だ。リベリオは真っ向から反論し食らい付き続ける。「あなたの暮らしはどうやって成り立ってきたか、存じているのですか?」「な……っ」「王族として、贅を為すということは、そういうことです」リベリオは口を閉ざし己の胸に手を当て、王妃の言葉を反芻する。そう見えた。そう言われてみると、王族として良い身なりをしているその姿が罪のように思えてしまう。きっと、それを思うのだろう。「……考えなさい。王になるということを」それは宿題のように思えた。王妃からリベリオへ課された課題。次代の王となるものへの。英知の書の閲覧権に絡む王位継承権について、リベリオは神言が聞こえないため一番遠くにあると言ったが、実質的にはそうではないのだろうと感じた。そして、この問題はこれで留め置かれた。
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