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第5話 奴隷から奴隷 2020年5月8日 公開

クラス最安値で売られた俺は、実は最強パラメーター — kakuyomu.jp · All chapters

第5話 奴隷から奴隷 2020年5月8日 公開

「あっ……開いたぞ……」

「ちょ……ちょっとあんた……あんたが開けたのかい?」

「ああ、少し触れただけで開いたぞ?」

「あんた、ルーディア値はいくつなんだい?」

「2だ」

「……だったら担当が閉め忘れたんだね……」

閉め忘れか……しかし、扉が開いたのは事実だ……これは逃げ出す絶好のチャンスなのでは……

「逃れそうだな……見張もいないし……」

ここへ来る時は鎖で繋がれていたが、今はそれも外されている……

「そこにはいないけど、入り口に見張りがいるよ……」

「そうか……だったら裏の山からなら逃れないかな……」

「どうかね……夜の山は危険だからね……」

「それでもここにいるよりいいよな……俺は逃げるよ……」

「そうかい……」

不思議なことに、俺以外にはそこから逃げようとする者はいなかった……ここの生活に慣れきってるんだ……そう感じた……だけど……一人だけ俺に付いてきたそうにしていた……

「ナナミ……くるか?」

「……うん……勇太に付いていく……」

どうもナナミは俺のことを兄か何かと思ってくれてるようだ……この子の為にもなんとか逃げ出さないと……

確かに入り口には見張りが二人いた……だけど裏山の方には誰も見張りがいない……それだけ山が危険かもしれないけど……俺は迷わず山の方へと向かった……

採掘場から山に入ると、険しい藪を掻き分けて進んだ……勉強は苦手だけど、運動は比較的得意な方だ……体力的には問題ないように思えたが……ナナミにはやはり辛い道なのか苦しそうだ……

「よし、ナナミ、俺がおぶってやるよ」

「おぶる?」

「こうするんだよ」

そう言って強引にナナミを担いだ……

「勇太……」

ナナミは背中から俺をギュッと抱きしめてきた……家族に売られるような生活をしてたから、人におぶられる経験もないのだろう……

俺たちは一晩かけて山を越えた……危険と言われてるのはたぶん、そう思わせて逃亡させないようにする為の嘘だったようだ……辛かったがなんとか無事に山を越えれた……

そして山の向こうにあったのは大きな街だった……

「ここなら仕事が何かあるかもしれないな……待ってろよナナミ、働いて稼いで、何か食べさせてやるからな」

ナナミは大きく頷いた……

しかし……仕事のありそうなところで働きたいと言うと、決まってこう聞かれた……

「ルーディア値はいくつだ?」

俺が2と答えると相手にしてくれなくなる……どうやらこの世界ではルーディア値が高くないと仕事にもありつけないようだ……

しかし、働かないと食べ物も買えない……頑張って探して、ようやくルーディア値関係なく働かせてもらえる場所を見つけた……

「ヘヘヘッ……いいぜ、働かしてやるよ……そっちの女の子もか?」

「働くのは俺だけでいい」

「そうか……まあ、仕事は簡単だ、船のモーターを回す仕事だ」

「モーター?」

「船の動力だよ、簡単な仕事だから誰でもできる……飯は一日二回、給金は週に3ゴルドだ、それでいいか?」

「構わない……」

3ゴルドが高いのか安いのかわからなかったけど、俺に選ぶ権利などなかった……

俺とナナミが連れていかれたのは大きな船だった……

「この中が仕事場だ……寝泊まりもできるから安心しろ」

寝泊まりって……

「ほら、入れ……」

そう言われて中に入ると、ガタッと扉を閉められた……ナナミが不安そうに俺の手を握る……

奥に進むと、人が大勢いた……みんなみすぼらしい格好をしている……

「新入りか……名前はなんて言うんだ」

そう声をかけてきたのは白髪の老人だった……

「勇太です……こっちはナナミ……」

「そうかい、で、ルーディア値はいくつだ」

「2です……」

俺がそう言うと、周りからは落胆の吐息が聞こえてくる……

「まあ、いないよりマシだろ……ここの仕事の説明をするぞ、あれを見ろ」

老人の言う方向を見ると、大きな風車を横にしたような丸い歯車が見えた……

「あれを動かすのが俺たちの仕事だ……あの持ち手をみんなで持って、グルグル回すんだ……ルーディア値が高ければ高いほど楽に回せるんだが、ここにいる連中はみな100以下の最下層の連中ばかりだからな……重いのなんのってな……覚悟していな……」

「はい……わかりました……それより……寝泊まりできるって聞いたのですけど……部屋はどこですか?」

「部屋……ここがそうだよ……ここで寝て、ここで食って、ここで働く、それが俺たちの生活だ」

「外には出れないんですか?」

「当たり前だろ、自分をなんだと思ってるんだ、舟奴隷だぞ」

騙された……どうやらここは奴隷の働く場所のようである……

「まあ、今は船が動いてないから楽なもんだ、慣れればそんなに悪いとこじゃないから安心しな」

奴隷から奴隷……なんとも運の悪いことか……ナナミ……ごめん……