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17話 約束

裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚【コミカライズ】 — novelba.com · All chapters

17話 約束

残りの邪魔な防具やアクセサリー。あとは冒険者ギルドに兜を売り終わった。

金額的には全部で金貨3枚と銀貨80枚と銅貨25枚だった。

さて、とうとうこの時がきてしまったが、思いの外早すぎて、神薬を買ってやれるほど金が貯まらなかったな。

そもそも冒険者は思ってたほど金にならないしな。

今は奴隷屋に向かって歩いている。

アリアとの約束を果たすためだ。

アリアはこの道を覚えているからなのか、奴隷屋に近づくにつれて不安そうな顔になる。

「…リキ様。どこに向かわれていますか?」

不安に耐えきれなくなったように声をかけてきた。

何がそんなに不安なんだ?

「奴隷屋だ。」

アリアの顔から血の気が引いたのがハッキリとわかった。

まぁあそこにはいい思い出がないだろうしな。

「…売るのですか?」

頭の上のイーラが震えた。

ん?あぁ、そういう勘違いをしていたのね。

「勘違いするな。売りに行くのではない。アリアとの約束を果たしに行くだけだ。」

「…約束?」

なんだその反応は?

「忘れたのか?」

「…ごめんなさい。」

べつにアリアが忘れる分にはなんの問題もない約束なんだが、俺はそれを理由にして約束をなかったことにするのは好きじゃないからな。

「アリアが金貨3枚以上の働きをしたら奴隷解放してやるという約束だ。今回のマリナ救出はアリアがいなければ金貨10枚は手に入らなかった。だから少なくとも半分はアリアの働きだ。つまりアリアはもう既に金貨5枚分の働きをした。だから解放してやる。」

アリアが立ち止まって俯く。

それに合わせて俺も立ち止まった。

何か悩んでいるようだが、何を悩む?自由になれるんだぞ?

でも本当に自由になると人間は幸せになれないとかなんとか前にテレビでやってたな。限られた中での自由だから好きにできるのであって、本当の自由だと全部自分でやらなければならなくなり、余計に大変になるとかなんとかだったか?

よく覚えてないけど、アリアは賢いからその辺を理解しているのかもしれない。

でもアリアはもう十分冒険者としてやっていけるだろうから、誰かとパーティーでも組めば幸せになれるだろう。

「…リキ様は奴隷でなくなったわたしとパーティーを組んでくれますか?」

ん?何をいってるんだ?

「アリアは何度も聞いてると思うが、俺は奴隷以外とパーティーを組むつもりはない。」

「…ならわたしはリキ様の奴隷のままでいたいです。」

「何をいってるんだ?せっかく自由になれるチャンスなんだぞ?このチャンスを逃したら一生俺の奴隷として戦わされ続けるぞ?」

「…わたしはやっぱり邪魔でしょうか?せっかく強くしていただいたのに役に立てませんでしたか?」

「いや、さっきもいったが、役に立ったからの解放だ。それにここまで強くなってくれたのに邪魔なわけがない。できれば手放したくはないが、俺は約束は守る主義だ。」

だから守りたくない約束はしない主義だ。

「それなら!これからも奴隷でいさせてください。わたしを救っていただいた恩を返させてください。」

いつも若干反応の遅いアリアが俺のジャケットを掴んで体を近づけ、俺の返答に食いついてきた。

そこまでして俺といるメリットはもうない気がするがな。

「何度もいうが、アリアに使った金額分は働きで返してもらったぞ?それにアリアを助けたのは気まぐれだ。所持金でどうにもならなければ見捨てただろうしな。それでもか?」

「それでもです!わたしはわたしの意志でリキ様とともにいたいと思っています。だから、迷惑でなかったらお願いします。」

迷惑なわけがないんだが…まぁ俺としては願ったりかなったりではあるが、あとでやっぱりとかいわれたら面倒だからな。

「なら約束してもらう。今後一生何があっても、俺の気が変わらない限りは奴隷であり続け、奴隷をやめたいと口にしたり、素振りを見せないと誓え。もし約束を違えたなら、奴隷商に売る。」

「今後一生何があっても、リキ様の気が変わろうとも奴隷であり続け、奴隷をやめたいと口にしたり、素振りを見せたり、思うことすらないことを誓います。」

ん?なんか違ったぞ?

流したらいけないことだと直感が告げているが、何が違った?

思い出せ……。

「…わたしは心からリキ様を尊敬しています。だから、これからもそばで見続けることをお許しください。」

今頑張ってさっきの違和感を探してるのにさらに話しかけられたら思い出せなくなる。

ってか尊敬されるようなことをした記憶がない。

ダメだ。別のことを考えたせいで何に違和感を覚えたかが完全にわからなくなった。

もういいや。

俺に損はないだろうしな。

「そこまでいうなら好きにしろ。だが、奴隷であることはわきまえろよ。」

防具のジャケットが千切れるんじゃないかって勢いで引っ張られていたが、やっと解放された。

「ありがとうございます!」

今までにないほどの笑顔をアリアが見せた。