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277話

裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚【コミカライズ】 — novelba.com · All chapters

277話

リスミナをなんとか誤魔化せたところで、『使い魔契約』はジョブ固有スキルじゃなくてSPで取得したんだったと思い出した。

ただ、契約してるときにさっきの疑問を思い出されたら面倒だから、あとで2人が魔物の解体をしているときにでも、しれっと契約しておくかな。まぁいいタイミングがなければ本当に帰ってからでも問題ないだろうし。

そんなことを考えながら斜面を登っていくと、察知範囲に複数の気配が現れた。

「なんかけっこうな数の気配があるよ。」

「この辺りはスライムかポイッシャーしかいないはず。たまにアントラゴートやサーベージボアもいるけど、依頼分の素材は手に入れているから、襲われるほど近づかれていないのなら無視でいい。このまま山頂まで突っ切る。」

このまま進むといくつかの気配の近くを通ることになりそうだが、デュセスなら気づくだろうから任せればいいか。さすがに数が多いから、全てを教えるのは面倒だ。無視でいいなら、むしろ助かる。

しばらく進むと魔物っぽい気配の真横を通ることになりそうだが、デュセスが短剣を取り出したから気づいているみたいだな。

近づいたことで気配の存在の形がなんとなくわかった。たぶんだが、蛇系の魔物だろう。けっこう細くて小さく、草むらに隠れているから目視は出来ないが、向こうからは見えているのか敵意を向けられてる気がする。

あと少しで先頭のデュセスが魔物の気配の真横に到達するというところで、白い蛇のような魔物が左側の草むらから飛び出してきた。

デュセスは迷うことなく左手で蛇の頭を掴み、首を切断した。

「体はリスミナがあとで解体して。」

「え?あ、わかった。」

デュセスは立ち止まることなくリスミナに端的な指示だけして、切断した魔物の頭をウエストポーチから取り出した革の袋にしまい、袋の紐に手首を通した。

チラッと後ろを確認したら、頭がないのにまだ動いている魔物の体をリスミナが止まることなく地面から拾いあげ、そのまま手に持って走り続けている。

手に持っていたら邪魔じゃないのかと思いつつ、しばらくしてからもう一度後ろを見てみたら、さっきの魔物の体をアイテムボックスに放り込んでいた。

なんで少し時間をおいたんだ?

…もしかしたら、首を取った直後はまだ生きていて、アイテムボックスにしまえなかったのかもな。知らんけど。

走りながら蛇型の魔物に襲われ、デュセスが掴んで首チョンパという流れ作業を3度繰り返し、そこから少し進んだところで頂上へと到着したようだ。

登ってみたら思ったより小さな山だったな。まぁ外から見てもたいして大きくない山だったから、こんなものか。

頂上にも立派な木はいくつかあるが密集するほどではない。背の低い草が生い茂るだけの広いスペースがあったり、綺麗な水場もあるから休憩にはちょうど良さそうだな。

「予定通り、リスミナは昼食の準備をお願い。その泉の水は飲めるらしいから、私の水も補充しておいてほしい。」

「わかった。テキーラくんのも補充しておこうか?」

リスミナはデュセスから皮袋を受け取り、俺にも確認を取ってきた。

リスミナは完全に雑用係みたいになっているな。まぁ実力的に仕方ない部分もあるし、本人がいいならいいけど。

「いや、俺は自分でやるからいいよ。」

「テキーラには依頼を手伝ってもらうからこっち。今朝の話を忘れたの?」

俺がリスミナの方に歩き始めたら、デュセスに腕を掴まれた。

そういや昼は準備と魔物討伐に分かれるような話をしていた気がしなくもない。…ほとんど覚えてねぇけど。

「えっと…何をすればいいんだっけ?」

「………これからポイッシャーを呼び寄せるから、さっき私がやっていたように頭を掴んで首をはねて、首はこの革の袋に入れて。体は拾う余裕があるかわからないから、とりあえず放置でいい。余裕があればリスミナの方に投げて。」

デュセスからの説明を受けながら、大きめの革の袋を受け取った。

さっきの蛇型の魔物がポイッシャーだったのか。そういやこの辺はほとんどスライムかポイッシャーしかいないっていっていたのだから、気づくべきだったな。

邪魔になりそうなアントラゴートはリスミナの方に行くように指示して背中を叩いたら、歩いて向かっていった。

「何か注意点はある?」

「今朝は何を聞いていたの?」

少し不機嫌そうなジト目をデュセスに向けられた。さすがに聞き流していたとはいいづれぇな。

「もの忘れが酷くてさ。ごめんね。」

「……ポイッシャーはなぜか首しか狙ってこないから、飛び跳ねてきたところを掴めば簡単に捕まえられる。もし噛まれても毒が回るまでに時間がかかるから、慌てず解毒すれば問題ない。問題なのはポイッシャーの上位個体。」

「上位個体?」

「同じ大きさ同じ形の色違いで赤いのと紫のがいる。赤いのはハイポイッシャー。ハイポイッシャーは首以外も狙ってくるし、毒の回りも少し早い。でも、そこまで気にする必要はない。テキーラなら対処出来るだろうし、噛まれて毒が回ってからでも解毒すれば死にはしない。ただ、紫のデスポイッシャーは耐性がないと即死する危険がある。噛まれたらもちろんだけど、皮膚からも毒が回るから、デスポイッシャーは触れずに殺した方がいい。デスポイッシャーは素材も取らなくていい。今度は覚えた?」

白と赤はキャッチして首チョンパで、紫は触れずに殺す。…うん、大丈夫だろう。

若干嫌味をいわれたような気がするが、聞いてなかった俺が悪いからな。

「ありがとう。それでおびき寄せるってのは?」

「これを使う。」

デュセスはアニメに出てくるような小さな爆弾の形をしたものをウエストポーチから取り出した。

「何これ?」

「火をつければ、魔物を寄せ付ける煙が出る。この辺りにはスライムとポイッシャーしかいないから、問題ないはず。」

そういや花火コーナーにこんな形した煙玉ってのがあったな。まさにそんな感じか。

今のいい方だと、無差別に魔物を引き寄せるっぽいから、使い勝手はあんまり良さそうではねぇな。俺の『ダズルアトラクト』と同じようなものか。いや、この煙に魔物が寄っていくなら、逃げるときには使えるかもな。

「逃走用にも使えそうだね。」

「これは魔物を引き寄せるけど、視界に人間がいれば、魔物は人間を優先させるから、逃走用には使えないと思う。」

思ったより使えない道具みたいだ。まぁ、今回みたいな使い道では役に立つのだからいいか。レベル上げのためにも使えそうだな。

「どこに売ってるの?」

「大きい町ならどこにでも売っているはず。それより、お腹も空いてきたから、そろそろ始める。」

デュセスが会話を切り上げ、煙玉の導火線に火をつけて少し前の方に放った。

導火線の根元に火が到達したところで、パンッと小さな音を立てて爆発し、煙が周囲に広がりながら、空気に溶け込むように消えていった。

予想していた煙玉と違ったな。

だが、効果は絶大みたいで、俺の察知範囲内にいた気配のほとんどがこちらに向かってきた。

けっこうな量の気配があるが、大丈夫なのか?

「イーラ、毒は平気か?」

「なんとかなると思うよ〜。毒になったら解毒するし、耐性あるから即死はしないと思うから〜。」

俺が念話でイーラに確認を取ると、気の抜けた声が返ってきた。まぁ暇なんだろうな。

アントラゴートのときも防御は任せたとかいっておいて、たいした攻撃をされなかったし。

「じゃあいざというときは頼むな。」

「は〜い。」

「テンコは?」

「じゃあ一応身体強化を頼む。」

「はい。」

2人との話を終え、デュセスから渡された革の袋を腰のベルトに結び、腰にある鋼の短剣を抜いて構えた。

今回は短剣の方が使いやすいだろうからな。

しばらくすると目視できる範囲に複数のポイッシャーが現れた。全部白だが、同時に飛びかかってきたらめんどくさそうだな。

向こうから向かってきてくれるみたいだから、こちらからは攻めずに待ちかまえていると、先頭のポイッシャーが俺に飛びかかってきた。だが、思ったより遅い。

左手で頭を掴み「グチャッ」……首を短剣でチョンパして、頭は革の袋の中へ。

「テンコ、すまんが今回は身体強化はなしだ。」

「…はい。」

ちょっと悲しんでいるのが直接伝わってきたが、思ったよりポイッシャーが脆かったから仕方がない。首を切るために押さえようと思って握ったら潰しちまったからな。

たぶん2、3回試せば感覚を掴めると思うが、こいつらは思った以上に雑魚っぽいから、そもそも身体強化が必要ない。

その後も飛んでくるポイッシャーを掴んで、切って、頭を革の袋に入れて体をリスミナの方へ放るという作業を繰り返す。

一度だけ赤いのが足に噛みつこうとしてきたが、屈んで手を伸ばせば簡単に捕まえられた。首も簡単に切れたし、屈む動作が追加されるだけで大差ない。

けっきょく紫が出ることなく、俺の範囲内にいた気配で俺らの方に向かってきていたものは全て消えた。

「まだ向かってきている魔物はいる?」

「俺の察知範囲内にはいないね。」

「ならお昼にしよう。食後の休憩中に残りのポイッシャーの体を私とリスミナで処理する。」

俺は首チョンパした後の体のほとんどをリスミナの方に投げていたから足もとには3体分しか残っていないが、デュセスの足もとには20体分近くありそうだな。

リスミナの方を見てみれば、そっちもまだ処理を終えていないのが残っていた。

…まぁとりあえず飯を食ってからでいいか。

俺は足もとの3体とデュセスの周りから持てるだけもってリスミナのもとへと行き、未処理のポイッシャーが置かれているところに置いた。

リスミナはポイッシャーの処理をしながら、スープまで作ってくれていたみたいだ。

…作ってくれたんだよな?

余裕で3人分はありそうだから勝手に俺の分も作ってくれたんだと思っちまったが、こういうのって普通は自分で用意するもんだろうし、もしかしたら全部自分で食うようかもしれん。

「テキーラくんはけっこう食べると思ったから多めに作ったんだけど、多すぎたかな?」

俺がスープをずっと見ていたせいで変な勘違いさせちまったみたいだ。

それにしてもわざわざ他人の分まで用意するなんて凄えな。しかも相手の食う量まで気を使えるとか、リスミナはいい嫁になりそうだな。

「いや、そんなことないよ。俺の分まで作ってくれてありがとね。」

「お礼はデュセスにいってね。材料はデュセスが用意してくれたものだから。」

あまりにも意外すぎてデュセスの方に振り向くと、話を聞いていなかったのか、俺の視線に気づいてキョトンとした顔をしたあとに首を傾げた。

「何?」

「いや、気遣いが出来るタイプだとは思ってなくて…ありがとね。」

「なんのことをいっているのかわからないけど、失礼なことをいわれているのはわかった。」

お礼をいったのにデュセスが唇を尖らせて不機嫌を表してきた。

暗殺者のくせにずいぶん気が緩んでやがるな。まぁそれだけ心許してくれてるのかもしれんけど。

「悪い悪い。スープありがとね。」

「多めに依頼料をもらうのだから、そのくらいはかまわない。」

一応機嫌を直したっぽいデュセスが地面に座ると、リスミナがスープを器によそってデュセスに渡した。…完全に雑用係だな。いや、女子力高いと思っておこう。

俺もてきとうに座るとリスミナがスープをくれた。

「ありがとう。」

スープは野菜と肉片が入った、わりとアッサリ目の塩味だった。

味だけみれば特別美味しいというわけではないが、外で一仕事終えたあとに温かいスープを食べるのはいいな。プラスアルファの美味しさを感じる気がする。

アントラゴートが暇そうにしているからアイテムボックスから固形の携行食を取り出して食べさせ、イーラにも食べさせた。

魔物は飯を食わなくても問題ないらしいが、なんか飯抜きにするのも悪い気がするからな。ただ、テンコは外に出すわけにいかないから、すまんと心の中で謝った。

俺がゆっくりとスープを味わっていたら、デュセスとリスミナはさっさと食べて、残りのポイッシャーの処理を始めた。

俺1人だけゆっくり飯を食って2人に働かせているのはなんか悪い気がしてくるな。

「2人も休んだら?俺も食べ終わったら手伝うし。」

「素材回収は私たちがやる約束だから、テキーラは気にしなくていい。それにポイッシャーの処理はたいした手間ではないから、休憩しているようなもの。」

デュセスは答えながらも流れるように処理している。

未処理の首なしポイッシャーを取り、首側から体に縦にナイフで切れ目を入れ、ナイフで肉を押さえて皮を引っ張って一息に剥いてから皮と肉に分けて盥に投げ入れたら次の未処理の首なしポイッシャーを手に取った。

たしかに見た感じだと簡単そうだ。

リスミナはデュセスほど手際が良くはないが、それでもそこまで手間取ることもなく処理を終えているから、本当にそこまで手間ではない処理なのかもな。

「スープ余ってももったいないから、食べれそうなら全部食べちゃっていいからね。」

俺が遠慮してると勘違いしたのか、リスミナが声をかけてきた。

「ありがとう。それじゃあ解体は任せて俺は残ったスープをもらっちゃうね。」

鍋に残ったスープを器に移し、飯を再開した。

2人の処理を見ていて思ったが、それらを見ながら飯が食える俺ってだいぶこの世界に馴染んだんだな。

処理中にほとんど血が出ていないからというのもあるかもしれないが、皮を剥がれた肉はわりと生々しいのに、そこまで気持ち悪いとは思わなくなっている。

そういや蛇の肉ってけっこう美味いって聞いたことある気がするな。

「ポイッシャーの肉って食べれるの?」

「食べられる。ただ、精力が衰えた男の人は好んで食べる人もいるけど、骨が多いから一般的にはあまり食されてはいない。味は良くも悪くもない。テキーラは必要?」

その聞き方をされたら、食べてみたいから少し欲しいとはいいづれぇな。べつに精力は衰えちゃいねぇし。

「特別欲しいわけではないな。」

「そういえば、テキーラが倒した中にいたハイポイッシャーの肉は男性のものを大きくすると聞いたことある。納品部位は頭と皮だけだから、テキーラが欲しいなら持っていけばいい。ただ、ハイポイッシャーの肉は苦いらしいから気をつけて。」

「なんでそんなことを知ってるの?」

「ポイッシャーは食べたことがあるから知っているけど、ハイポイッシャーが苦いというのは先輩がいっていた。」

味のことじゃねぇよ。

いや、深く聞くようなことじゃねぇからもういいや。

デュセスは淡々と答えながら、解体速度は変わらず、どんどんと処理を終えていく。

チラッとリスミナに視線を向ければ、黙々と作業をしているけど、微妙に頰が赤くなっていた。

淡々と喋るデュセスはどうかと思うが、リスミナはずいぶんと初々しい反応をするんだな。

「でも、実際に大きくなったのかは確認していないからわからない。」

デュセスがどうでもいい補足を加えてきた。

「俺は味が気になっただけだから、付加効果はどうでもいいよ。」

「そう。もし不能になったのなら、肉よりもポイッシャーの毒から作る薬の方がいい。」

俺が話を終わらせようとしたのにデュセスがさらに続けてきた。

「もしかして今回集めた頭はその薬用なの?」

「そこまではわからない。他にも毒消し丸や抗麻痺丸の素材としても使えるけど、1番高く売れる加工品は不能改善薬だから、ほとんどはそうなるとは思う。」

この世界のどうでもいい知識を教えられたな。まぁ俺も男だから知っていて損ではないから一応覚えておくか。

「デュセスは物知りなんだな。」

「先輩から覚えさせられた。いざという時に生死を分けるのは情報だと教えられた。…これで全ての解体は終わった。私は肉はいらないから、2人が欲しいなら好きに持っていっていい。皮をしまうときは頭を入れてあるこの袋も一緒にしまってほしい。私は手を洗ってくる。」

話しながら全ての処理を終えたデュセスは後片付けをリスミナに任せて、さっさと泉の方に歩いていっちまった。

「えっと…テキーラくんはポイッシャーの肉はいる?」

「…いや、いらないかな。」

「ハイポイッシャーの肉は?」

なんでわざわざ別で確認を取ってきた?

どうせ小さいんだから食っておけよ(笑)って意味か?俺のを見たことないよな?…まぁ深い意味がないのはわかってるけどさ。

「美味しくもなくて金にもならないなら俺はいいや。」

「じゃあ捨てちゃうね。」

さっきから目を合わせないリスミナが盥に入った肉を捨てる確認を取ってきたら、アントラゴートが頭をこすりつけてきた。

いきなりなんだ?と思ったら、この肉を食べたそうにしているのがなぜかわかった。

「なんかアントラゴートが食べたいらしいからあげてもいい?」

「そうなの?どうぞ。」

リスミナが肉だけ入った盥をアントラゴートの前に置くと、アントラゴートは骨ごと肉を食べ始めた。

ヤギみたいな顔した動物が蛇を食ってるのは不思議な気分だ。

「イーラの分は?」

アントラゴートが勢いよく食べているのを見ていたら、イーラが話しかけてきた。

たしかにアントラゴートの食べっぷりを見てたらちょっと食べてみたくなる気持ちはわからなくもないが…そうだな。

「リスミナも手を洗ってきなよ。この盥はアントラゴートが食べ終わったら洗っておくからさ。」

「そう?じゃあお言葉に甘えて先に洗ってくるね。」

リスミナは既にアイテムボックスに皮をしまい終えていて空になっている盥と鍋や器を持って泉の方に走っていった。

その盥とかも置いてって俺についでに洗わせるように仕向ければいいのに真面目だな。

「ほら、今のうちに食いたきゃ食え。」

「やったー!」

俺が屈んで盥の中に手を伸ばすと、イーラがアントラゴートと張り合うように食べ始めた。ただ、イーラが参戦したらあっという間に肉がなくなったが。

イーラが本気を出すとマジで早いな。

アントラゴートは急に飯を奪われることになったんだが、とくに機嫌は損ねてないみたいだな。心が広いようでなによりだ。

約束通り空になった盥を『上級魔法:水』で綺麗にし、ついでに『上級魔法:風』で乾かし終えたあたりでデュセスとリスミナが戻ってきた。

「休憩はまだ必要?」

「俺は大丈夫だよ。」

「私も休憩は必要ないかな。」

リスミナに綺麗にした盥を渡したら、デュセスが確認してきたが、スープしか食ってないからすぐに動いても問題ないだろう。

「それなら最後の依頼を片付けに行く。次の場所は少し離れているから走るけど、リスミナはキツかったら声をかけて。」

「わかった。」

リスミナに名指しで声をかけていたから、俺にも何かあるのかと思ったんだが、リスミナの返事を聞いたデュセスは登ってきたのと反対側に向かって走っていき、その後ろをリスミナがついていった。

俺にはなんもねぇんだな。

まぁリスミナが走れる距離を俺が走れないってことはないだろうから、聞くまでもないってことか。

「アントラゴート、行くぞ。」

アントラゴートの頭をひと撫でしてから、デュセスとリスミナを追いかけた。