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348話

裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚【コミカライズ】 — novelba.com · All chapters

348話

薬屋から出ると外は既に暗くなっていたから、飯をいらないとアリアに伝えておいたのは正解だったみたいだ。

このあとやっておかなきゃならないこともあるしな。出来ればリスミナに手伝ってもらいたいんだが…。

「「このあと……。」」

リスミナにまだ時間に余裕があるかの確認を取ろうとしたら、リスミナもちょうど声をかけてきたためにセリフが思いっきり被り、驚いて俺が言葉を止めるとリスミナも止めた。

俺の用事は大したことではないからリスミナの話を先に聞こうと思ったら、リスミナから「どうぞ」と先を促された。

まぁ俺の用事はすぐ終わるだろうし、そのあとリスミナも用があるならさっさと済ませて飯にすればいいか。もしかしたらリスミナはこのあととくに行くところがないなら帰りたい的なことをいおうとした可能性もあるから、リスミナが無理なら面倒だが諦めて自力で探すしかないが。

「悪いな。俺の用はたいしたことではないんだが、リスミナはこのあとまだ時間大丈夫か?」

「私は大丈夫だよ。明日もとくに予定を入れていたわけじゃないしね。どこか行きたいところがあったの?」

「ちょっと冒険者ギルドに寄ろうと思ってさ。」

「冒険者ギルド?やっぱり薬草を売ることにしたの?それならさっきのヨクアリクサはギルドじゃたいした金額にならないと思うし、買い戻すよ?」

リスミナが申し訳なさそうな顔をしてきたが、完全に勘違いだ。

それにもし、やっぱり売ろうと思ったとしても一度買い取ったものをやっぱりやめたっていって返品したりはしねぇよ。

「違う違う。忘れないうちに話をつけておいた方がいいかと思ってな。リスミナだったらオーブモだったか?さっきのやつらのバックについてるとかいうやつを知ってるかと思ってさ。探すのは面倒だから教えてくれたらありがたいなって。代わりに晩飯奢るから。」

「たしかに知ってるけど……話し合いってどの話し合い?」

どの話し合いってどういう意味だよ。

あいつら関係の話し合いなんてさっきのこと以外にないだろ。

「どういう意味?」

「えっと……言葉での話し合いなのか、武力での話し合いなのか、圧力的な話し合いなのかと思って……オーブモさんは悪い人じゃないから出来れば言葉での話し合いにしてもらえたら嬉しいな。それなら私も協力するから。」

困った笑顔を浮かべたリスミナを見るに俺はすぐに手が出るやつだと思われているみたいだな。まぁ否定はできないが、俺だって無駄に敵を増やす気はねぇし、害を加えた本人じゃねぇなら普通に会話で終わらせることだってある。

「心配すんな。そいつがまともなやつなら普通に言葉での話し合いだけで終わるし、今回は変装してるわけでもないのにギルド内で争ったら後々面倒なことになるから、よっぽどじゃなきゃ手は出さねぇよ。」

「さすがにリキくんでもあのくらいでオーブモさんを殺したりなんてしないよね。失礼なこといってごめんね。たぶんオーブモさんの指示でお店のものを盗んだとかではないと思うし、オーブモさんはちゃんと人の話を聞いてくれる人だから、話し合いで十分だと思うよ。」

「リスミナなら知ってるかもと思って聞いた俺がいうのもなんだけど、リスミナはオーブモと知り合いなのか?」

リスミナの話し方からして、オーブモの人となりとかを知っているっぽい。リスミナはアラフミナに来てまだ日が浅いはずなのに相手の人となりまで知ってるってことはもともとの知り合いなのか?だが、カテヒムロからの知り合いなのだとしたら、カテヒムロの冒険者に貶められたはずのリスミナがフォローする理由がわからん。

「知り合いだよ。といってもギルドで会ったら挨拶したり、軽く世間話しながら情報交換する程度だけどね。まだこの辺りだとほとんどの冒険者が私を避けてるから、たぶん気を使って声をかけてくれてるんだと思う。他にも新人冒険者だったり、仕事が上手くいってなさそうな冒険者の相談に乗ったりしてるみたいだよ。だから悪い人ではないんじゃないかなってくらいしか私もオーブモさんのことは知らないけどね。あと私が知ってるのはAランク冒険者で、ラフィリア支部のギルドから名指し依頼されるパーティーのリーダーってことくらいかな。二つ名はないけど、ラフィリアでは有名……それなりに有名な人だよ。」

リスミナはまだ悪意のある噂のせいで避けられてるのか……ん?もしかして俺とたまに一緒にいるのを見られてるせいって可能性もあるのか?いや、俺が嫌われてるからって俺と親しくしてるだけで嫌われるってことはないか。それなら肉串屋のおっちゃんのところに客がいなくなるはずだしな。

「話を聞く限りはオーブモってやつはまともそうなやつだし、それならさっきのやつらが勝手に名前を使っただけって可能性が高そうだな。まぁ確認すればいいだけか。俺はオーブモの見た目すら知らないから、オーブモ探しを手伝ってもらっていいか?探すといっても冒険者ギルドにいるかの確認だけだが。」

「話し合いのためならいいよ。たぶん今ならギルドにいると思うから、早く行こっか。」

リスミナはどことなく安心したような表情をし、ギルドに向かって歩き出したから、俺も隣に並んだ。

というか、オーブモの予定まで知ってるんだな。有名なやつって話だし、調べたのかね。

「ありがとう。お礼に晩飯奢るから、よろしくな。」

「出来たらなんだけど、お礼の代わりに私の買い物にも付き合ってもらえないかな?」

「べつに買い物に付き合うくらいはかまわないが、それなら先に買い物に行った方がいいんじゃないか?もう店が閉まり始めてる時間だと思うし。」

「ありがとう。私が行きたいのは城門通りのアクセサリー屋だから、もう少し遅くまでお店はやってたと思うし、選ぶのに時間がかかるかもしれないから後で大丈夫だよ。」

「リスミナがいいならいいんだが、何買うんだ?」

「どの加護にするかは値段と相談しなきゃだからまだ決めてないけど、鑑定対策用の加護を買うつもりだよ。城門通りのアクセサリー屋は私1人だと入れてもらえない可能性もあるから、リキくんに付き添いをお願いしようと思って。」

俺は指輪とかネックレスとかの種類を聞いたつもりだったんだが、予想と違う答えが返ってきた。

この世界ではアクセサリーを買うっていうより加護を買うって感覚なのか。いまだにアクセサリーって聞くと装飾品だと思っちまうな。いや、ローウィンスは加護のついてなさそうなアクセサリーもつけてるっぽいし、俺の認識が間違いってわけではないはずだ。

アリアたちだって加護のないネックレスをつけてるしな。アリアの場合は加護を後付けしてる可能性もあるが。

「たしかにスキルを取るなら早めの方がいいだろうし、その前に鑑定対策するつもりなら早く買った方がいいな。俺が付き添う意味があるのかはわからんけど、そんなんでオーブモ探しの礼になるなら付き合うよ。」

「ありがとう。そこは貴族向けのお店だから富豪や高ランク冒険者でもないと平民は入店拒否されるらしいんだよね。だからリキくんが一緒じゃないとまだCランクの私じゃたぶん入れてもらえないからさ。」

「ん?俺はFランクの平民冒険者だから、俺がついていったところで入れなくねぇか?」

「それは大丈夫だよ。リキくんはラフィリアでは有名だからね。小さなお店だと見た目と名前が一致してないことはあるかもだけど、大きなお店でリキくんを知らないところはないと思うな。」

俺が有名なのは悪い意味でだろうから、むしろ出禁になってるんじゃねぇか?

べつに店に迷惑かけたことは……あったわ。宝石屋の店主が騙そうとしてきたから圧をかけたことがあったな。まぁ悪いとは思っちゃいないが、その話が広がっていたら出禁にされてる可能性は十分にあるだろ。だが、情報収集をしているリスミナが大丈夫っていうってことは大丈夫なのか?

「よくわからないけど、わかった。」

俺のてきとうな返事にリスミナは苦笑してきた。

そんな話をしているうちに冒険者ギルドに到着し、俺が先に中へと入るとリスミナも後ろについてきた。

もうけっこう遅い時間だと思うんだが、ギルド内にはかなりの数の冒険者がいる。受付に並んでるやつらはわかるが、ここは食堂が併設されてるわけでもないのにテーブルに座っているやつらは帰らんのかね。

「…あっ……。」

俺が無駄にたむろっている冒険者を眺めていたら、後ろのリスミナが声を漏らしたのが聞こえた。

「どうした?」

「えっと……オーブモさんがいたよ。」

リスミナがなぜかいいづらそうに答えてきた。この時間ならオーブモがいると思うっていったのはリスミナのはずなのにその反応はなんなんだ?

ちゃんと言葉の話し合いをするっていったはずなんだが、そんなに俺に会わせたくなかったのか?

「どいつだ?」

「あそこのテーブルにいる6人組の大剣を背負ってる人だよ。魔導師の女の人がいるところ。」

リスミナが指差す方を見ると、男4人と女2人の6人組がいた。その中に魔女っぽいといえなくない服装の女がいるし、その女は隣に立てかけた杖にいかにもって感じのとんがり帽子を被せているから、間違いないだろう。

その6人組の中で大剣を背負っている男がオーブモらしいんだが、どこにでもいそうな顔をしているからリスミナを連れてきて正解だったな。あんなん特徴を教えてもらったところで見つけられる自信がない。そもそも特徴という特徴がねぇしな。でも有名人なんだったか?俺は名前すら知らなかったが。

まぁいいかとオーブモに近づこうとしたら、リスミナが一瞬手を伸ばしてきたのが見えた。だが、リスミナは俺の腕や服を掴むわけでもなく空中で手を止めて引っ込めた。べつに喧嘩するつもりはないっていうのにマジで信用ねぇな。まぁ仕方ないとは思うが。

前に冒険者ギルド内で俺に攻撃してきたやつをリスミナの目の前で殺そうとしたことがあったしな。ジャンヌたちに止められたせいで殺してはいないけど。

その後はリスミナが止めようとはしてこなかったから、あらためてオーブモとかいうやつのところに向かった。

オーブモのテーブルに近づくと、魔女っぽい方じゃない、デュセスみたいな格好をした女が睨みつけてきた。睨むというか警戒といった感じか?

とくに敵意を向けられているというわけではなさそうだからとテーブルの隣まで行って立ち止まると、さすがに他のやつらも気づいたようで、全員が会話を止めて俺に顔を向けてきた。そして魔女っぽい女が顔を歪め、他の男たちは訝しんだ表情を向けてきた。

「オーブモってのはお前か?」

「あぁ、そうだが、『歩く災厄』が俺に何の用だ?」

「あんたの手下らしいやつらが俺の知り合いの店の商品を盗んだんだが、あんたの指示か?」

「…は?俺の手下?そんなのはいないんだが、何かの間違いじゃないのか?俺の仲間はここにいるし、この中の誰かのことか?」

あらためて6人組を見回したが、さっきのやつらはいないな。まぁ衛兵に連れていかれたんだから当たり前か。むしろここにあいつらがいたら今度は衛兵と話し合いをしなきゃならないしな。

「いや違う。名前は聞いてなかったが、チンピラみたいな男2人組だ。」

「チンピラ?」

チンピラが伝わらなかったようだが、魔女っぽい女は男2人組に心当たりがあったのか、わずかに反応した。

俺が女に視線を向けるとビクッと肩を跳ねさせて一瞬怯えた表情をしたが、すぐに睨みつけてきた。なんで睨みつけられてんのかはわからなかったが、とりあえず話を聞こうと声をかけようとしたら、リスミナが俺の隣に並び、俺が魔女っぽいやつに向けてる視線を塞ぐようにさらに少し前に出た。

「オーブモさんこんばんは。リキくんがいってる人たちはたしかズークとホアって人たちだったと思うけど、覚えてるかな?10日くらい前にラフィリアに来てた人たちだったと思うけど。」

「おぉ、リスミナもいたのか。ズークとホアはもちろん知ってるが、あいつらが盗みを働いたってのは本当なのか?」

「盗んだところを私たちが見たわけじゃないんだけど、最終的には本人が盗んだことを認めてたし、盗んだ品物もアイテムボックスから取り出していたから間違いないかな。」

「マジか…あいつらは今どこにいるかわかるか?」

「衛兵さんに連れていかれたから、今は牢屋にいると思うよ。罰金を払うお金があれば朝には出てこれると思うけど。」

「そうか、迷惑かけて悪いな。あいつらには俺からも説教しておくよ。教えてくれてありがとう。」

なんかリスミナとオーブモで話し始めたと思ったらそのまま終わりそうなんだが、俺のことは忘れてんのか?

これだと俺が最初にした質問に答えていないのは嘘をつかずにやり過ごすためなのか、ただ単に俺がリスミナの付き添いと思われてんのかわかんねぇな。

「なに他人事みたいに話してんだ?俺の最初の質問の意味がわかってねぇのか?」

何も解決しないまま話が終わりそうだったから口を挟んだら、オーブモが訝しむ顔を向けてきた。

「たしかにあいつらの面倒をみたこともあるが、あんたにそんな目を向けられる意味がわからないんだが。あんたの知り合いが被害にあって怒るのはわかるが、犯人の知り合い全員を制裁するつもりなのか?そんな暴れたいために難癖をつけられても付き合ってやるつもりはないぞ。」

俺の確認が喧嘩を売ってるように聞こえたのか、オーブモが少し不快そうな表情で答えた。

リスミナが俺より先にそれに答えようとしたのが見えたから、その前に手を上げて止めた。

「俺がお前の名前を知ってる時点でお前を疑ってきてるとわかるもんだと思うが……そういやお前はこの辺では有名なんだったか、それじゃあ名前を知られていて当然と思ってても仕方ねぇか。」

「どういう意味だ?」

「さっきいったお前の手下が俺の知り合いの店の物を盗んだときに店員が指摘したら逆ギレしやがってな。そんで俺が仲裁に入ったんだが、盗んだことを認めねぇから武力に出たらお前の名前を出してきたんだよ。オーブモってやつが俺に報復しにくるってな。最終的には嘘がわかるスキルの話をしたら大人しくなったが、お前の手下の1人を蹴り飛ばしたのは事実だからな。あとで難癖つけて報復しにこられても面倒だから先に俺から出向いたんだよ。それで、最初の質問なんだが、お前があいつらに指示したのか?」

少しイラついてきていたせいか威圧が乗ってしまったみたいで、視界内にいた別のテーブルの若い冒険者の何人かが顔色を悪くしたのが見えた。

さすがに関係ないやつに不快な思いをさせるのは悪いと思える程度には冷静になれたから、意識的に威圧を引っ込めた。

「あいつら、責任を逃れるために俺の名前を使ったのか……。」

オーブモが顔を歪めて呟いた。悔しそうな表情をしているが、また俺の質問には答えないつもりか?

「さっきから俺の質問に答えないのは嘘を見抜くスキルを警戒してか?そろそろ面倒だから、最後にもう一度だけ聞く。お前があいつらに指示したのか?」

オーブモに質問しながら腰につけていたガントレットを装備し始めたらギルド内の空気が変わった。

初めから装備したまま入ってくるならとくに何もないんだろうが、わざわざ中で装備するってのはこれから使うって意味だから警戒されるのは当たり前か。

視界の隅でリスミナも驚いているし、話が違うって思ってるんだろうな。だが、俺はちゃんと言葉での話し合いで終わらせるつもりだった。だが、こいつが敵対するなら話し合いなんて不可能だろ。

オーブモもいきなり目の前で装備をつけ始めた俺に驚いているのか、すぐに返事をしてこなかった。

ここまで質問をはぐらかしてくるってことはこいつは黒だろ。

「だからいったじゃない!あいつらは改心するようなやつじゃないって!」

こいつらを敵として対処しようとしたところで、魔女っぽい女が急に立ち上がってオーブモに向かって叫び出した。

大声を出すことで意識を向けさせて隙を狙う作戦かと警戒しながら女に視線を向けると本気で怒っているようだった。オーブモも驚いて完全に魔女っぽい女の方を見てるし、演技ではないか?

「……いや、俺だって昔はあんなだったじゃないか。きっかけがあれば誰だって変われるはずだ。」

「あなたは生きるためにそうなるしかなかっただけで、あいつらとは違うのよ!あいつらは根が腐ってるのに手を差し伸べたところでどうにかなるわけないじゃない!」

「そんなこと…。」

「あるわよ!体格に恵まれていて既に装備を揃えるお金だってあるのに楽だからって人から奪うことを当たり前に行うやつらが言葉だけで改心出来るわけないでしょう!実際またやっているのにまだ認めないの!?そのせいで今私たちは死にかけてるのよ!?」

「…。」

「おい、お前だって最終的にオーブモに賛同したのに今になってそんなことをいうのはどうかと思うぞ。」

「…えぇ、本当はわかってるわ。……わかってるのよ。でもまだ死にたくないのよ…。せっかくAランクになれて、パーティーランクだってもうすぐSになれそうでこれからだったのに、なんであいつらのせいで……。」

なんかわからんが、パーティー内で揉め始めたぞ。

こいつらが敵対するなら殺すつもりだったが、なんでこの女は反抗せずに死ぬ気なんだよ。そもそも敵対しないならべつに殺す気はねぇんだが。

「……すまない。俺のエゴに巻き込んで。」

「私こそごめんなさい。人に手を差し伸べられるあなたを尊敬しているし、私も救われたというのに……気が動転していたからって酷いことをいって本当にごめんなさい。……うん、覚悟は決めたわ。あなたが『歩く災厄』と敵対するというなら私も付き合うわ。」

おかしい。俺は指示したのかを聞いてるだけなんだが、敵対するかどうかの話になっている。もしかしてオーブモはマジで指示してたってことか?

リスミナの話を聞く限りでは万引き犯が勝手にいってる可能性が高いかと思っていたが、わからないもんだな。

「待って待って!オーブモさんはズークとホアに指示をしたのかを聞かれてるだけだから、まずはそれに答えてくれればいいだけだから!このままだとリキくんと敵対することになるし、そうなると犯罪を認めたことになって、生き残れても犯罪者として扱われちゃうよ!?オーブモさんが答えられないのって本当に指示を出したからなの?」

どうやら話の流れがおかしくなっているとリスミナも思ったのか、焦ったようにオーブモに話しかけた。

リスミナの話を聞いたオーブモ以外の5人はオーブモが俺の質問をさっきからはぐらかしていることに今気づいたのか、驚いた顔でオーブモを見た。

オーブモは全員に見られてビクッと反応してからリスミナを見て、俺を見た。

「いや、俺はあいつらに盗みを働くようになんて指示は出していない。そもそもあいつらの面倒を少しみてやったことがあるだけで、手下でもないし、俺は冒険者になってからは犯罪に関わるような真似はしていない。」

慌てたようにオーブモが答えたが、識別で確認しても嘘ではないようだ。ならなんで今まで答えなかったんだよ。紛らわしいな。

「そうか。疑って悪かったな。リスミナはあんたがそんなことするはずないっていってたんだが、ずっと質問をはぐらかすから表と裏を使い分けるやつなのかと思っちまった。じゃあ、あんたは俺に報復するつもりも敵対するつもりもないってことでいいんだな?」

「あぁ。『歩く災厄』と関わるつもりなんて最初からないさ。ラフィリアを拠点にしてるから全く関わらないのは無理かもしれないが、少なくとも敵対するつもりは一切ない。」

これも嘘ではないみたいだ。なら問題なさそうだな。

「わかった。あんたが人に手を差し伸べられる人間なのは凄いと思うが、あんたが助けたやつには俺の知り合いに害を与えないように伝えておいてくれると助かる。いちいちあんたに確認にくるのは面倒だからな。」

「そうだな。これからはアラフミナで関わっちゃならない三大人物についてはちゃんといい聞かせておくよ。こっちこそ中途半端に面倒をみたせいで迷惑をかけて悪かった。」

とりあえず話はついたようだったから右手を差し出したら、意図が伝わったようで握手を返された。

魔女っぽい女はあからさまにホッとしたのが見えたが、デュセスみたいな格好をしている女はまだ俺を警戒しているようだ。でも、リーダーが絡まれていたのに何もしてこなかったし、もしかしたらこの顔と気配がデフォルトなのか?

話は終わったからとオーブモたちに背を向け、念のため気配察知をギルド内全体を範囲としながらギルドの出口に向かうと、リスミナはオーブモたちにペコリと頭を下げてからついてきた。

背中を向けたら攻撃してくる可能性もあるかと一応警戒していたんだが、特に何もなくギルドから出られた。オーブモたちは途中まで俺らを見ていたようだが、そのあとは話し合いを再開したようだったから、警戒する必要はなかったみたいだな。