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お盆にはかえります

林檎転生 ~禁断の果実は今日もコロコロと無双する~ — novelup.plus · All chapters

お盆にはかえります

『ピロリロリン! 合計11個の、詠唱者に対する悪意のあるオブジェクトが検出されました。修正しますか? Y/N』 なんか 不穏 ( ふおん ) な言葉がいっぱい出てきたような気がするけど、大丈夫かなあ。『……お兄ちゃん、11この、あくいって?』 うーん。たぶんだけど、さっきあのアリが使った呪文を、そのまま唱えようとすると、詠唱者が11回死ぬぐらいの〝罠〟が仕掛けられてるんだろうな。『ええー? ちょっとこわいね……』 ……たしかに不気味だけど、ここは〝魔術師のカード〟を信頼しよう。 〝イエス〟だ。 もしかしたら、いまの状況を 覆 ( くつが ) えせるかもしれない。『ピロリロリン! 登録に成功しました。使用者を〝フルツ〟及び〝グリダ〟に設定。デフォルト出力〝50%〟に設定。安全設定は〝使用者〟〝接触者〟〝登録リスト[002]名〟』 ……よし、登録完了だ。〝安全設定〟の2名は、フレッサとダティルだな。自動で登録されるのは便利だぜ。『ピロリロリン! 呪文の解析に成功しました。効率化、圧縮完了。圧縮後の呪文は〝闇は地の底より天を望む〟。効率化による威力増加のため、デフォルト出力を〝5%〟に変更しました』 圧縮後の呪文は原形を留めていない。その上、パーセンテージから察するに、威力は10倍なんだろう。 あとは、ちゃんと不具合が修正されているか……だな。『パッパラパパパパーン! おめでとうございます。〝未知の魔道系統〟の〝発見〟に対する、ボーナスが与えられます。詳細は〝能力の発現後〟にご説明致します』 マジか! いまのファンファーレっぽいのは、〝力のカード〟の時のボーナスと同じヤツじゃん!『やったね、お兄ちゃん!』 ああ、超ラッキーだぜ! 〝能力〟って何だろうなあ!「う、ん……? って、しまった! 寝ちまってた!」「……はっ?! リンゴさん? どこ?!」 おお?! フレッサたちが目を覚ました! 二人とも、起き上がって身構える。『フレッサさん! ダティルさんも! あぶなかったねぇ』 ……しかし、なんで急に目覚めたんだ? 呪文の効果時間が切れたのか?『何だと? もう起きたのか……早すぎるぞ』 そうでも無いみたいだな。『ふむ。〝加護〟か〝耐性持ち〟の人間だったか。ここまで入り込んで来れるだけの事はあるな』 〝加護〟か〝耐性〟……? ……そうか、もしかして? だとしたら〝魔術師のカード〟って、スゴいんですけど!『麦の根・雨音・星の海に紛れた三十六の鍵・山の主は居りませぬ・里の主は居りませぬ・奈落の壁に爪立てて、急ぎ来たれ・闇の主』 ……って唱えるの早いな! 早口言葉みたいだ。『お兄ちゃん! 感心してるばあいじゃないのよ! また眠らされちゃうの!』 アリの持つ杖の先に、またしても黒い煙が集まり始めた。さっきの魔法だ。 よしよし、実験にちょうどいいな。『えええ! お兄ちゃん?!』 まあ見てろって、グリダ。『闇の魔法・ねむり』 黒い波動が杖の先から放たれた。『お兄ちゃん! フレッサさんたち、また寝ちゃう……え、ええっ?!』 黒い波動は、フレッサとダティルの周囲を避けて通っている。「な?! これは一体……?」「うわぁ! これって〝レジスト〟じゃないですかぁ!」 ……ほら、やっぱりそうだ! 二人とも驚いてる驚いてる。『どういう事なの? なんでふたりは、へいきなの?』 たぶん〝安全設定〟の効果だ。俺やグリダが唱えた魔法に対しての〝設定〟だと思い込んでいたけど、そうじゃなかったんだ!『もしかして……だれが使ったまほうでも〝なし〟にしちゃうの?』 そうだぜ。〝安全設定〟は、その魔法を無条件で無効にするんだ。だからさっき〝安全設定〟をした途端に、二人とも目を覚ましただろ?『スゴい! お兄ちゃんスゴいのよ! だって、それって……』 よく気付いたな、さすがだグリダ。 つまり、俺が覚えた魔法は〝すべて〟あの二人に効かなくなるんだ。ちょっと無いだろ、こんな間接チート能力。『な、何だコイツら?! 先程効いた魔法が、なぜ効かん!』 あっちも驚いてる驚いてる。 ……そして、若くみえるけど40歳超えの経験値を持つダティルに、その隙は命とりだぜ!「がっ……ガかッギぎッ」 いつの間にか、ダティルはアリの脊椎に剣を突き立てていた。それを引き抜いた勢いで、脳天にももう一撃。アリはその場に倒れ込んで、動かなくなった。やっぱ強いわ、ダティル。「……ふぅ。一時はどうなる事かと思ったぜ……思いましたよ」「アリの魔法使いが居るなんて……!」 あー。魔法使いも驚いたけど、俺、もっとスゴいワードを聞いちゃってるんだよなぁ。『すごい、わあど?』 グリダ、覚えてるか? ……石碑にも書いてあったから、居るとは思ってたんだけどさ。この魔法使いアリ、さっき〝女王様〟に報告する。とか何とか言ってたんだぜ。『じょうおうさま? ……女王アリさんがいるのね』 そうだな。この巣のボスだ。 ……きっと、こんな下っ端なんかとは比べ物にならないくらい、強いんだろうなあ。『ピロン。間もなく〝魔術師のカード〟からのボーナスが実装され、能力が発現します。3、2、1、実装完了』 お、来た来たー! ボーナス能力!『わぁ! 楽しみねえ、お兄ちゃん!』『能力が発現しました。説明をいますぐお聞きになりますか? Y/N』 フレッサもダティルも、装備の点検とかを始めたし、説明を聞いておこう。 ……イエスだ。『ピロン。今回のボーナス能力は〝 覆水可収 ( ふくすいかしゅう ) 〟。直前に使った魔法によって起きた事を〝死〟以外、完全に〝無かった事〟にします』『まほうによって、おきた事を?』 無かった事に? どういう事だ?『ピロン。例1:火の系統の魔法で、4人が住まう家を攻撃した場合』 例えが怖すぎるんですけど……?『……攻撃終了直後〝 覆水可収 ( ふくすいかしゅう ) 〟を宣言すると、焼失した家、家財、周辺への影響など、すべてが元通りに戻り……』 なんと! それは便利な能力だなあ……!『……4人は無傷の死体となります』 怖えーよ! もっとやんわりと説明出来ないのかよ!『ピロン。例2』 お、続きがあるのか。『……天変地異系の魔法で、10万人が住まう市街を攻撃した場合』 悪化しとるがな! 俺、そんな事しないよ?!『……攻撃終了直後〝 覆水可収 ( ふくすいかしゅう ) 〟を宣言すると、焼失した市街、自然、周辺への影響など、すべてが元通りに戻り……』 聞きたくない! 聞きたくない! 聞きたくない!『……10万人は無傷の死体となります』 やっぱそうですよねー?『ピロン。例3』 もういいって! どんだけ俺を大量殺人犯に仕立て上げたいんだよ!『水の系統の魔法で、瀕死の人を回復し、その人が、さらに別の瀕死の人を回復した場合』 なんでそんなに瀕死の人多いの?!『……〝 覆水可収 ( ふくすいかしゅう ) 〟を宣言すると、2人とも瀕死の状態まで戻り、2人とも死亡します』 やめてえええ! もうやめてあげてええ!『お兄ちゃん……ヒドい……』 いや、待ってくれグリダ! これは例であって、俺がやった犯罪の記録じゃないからね?!『じょうだんよ? うふふ。お兄ちゃんかわいい!』 ……からかわれちまった。『ピロン。以上のように、〝 覆水可収 ( ふくすいかしゅう ) 〟をお使い頂きますと、ご自身が放った魔法で成された、〝死〟を除く〝すべての事象〟は、連鎖的に起こったものも含め、すべて〝無かった事〟になります』『……死んじゃったら、元には戻せないのね』 そうだな。でもこの能力は、慎重に使えば、色々と応用がききそうだぞ。