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親衛隊

林檎転生 ~禁断の果実は今日もコロコロと無双する~ — novelup.plus · All chapters

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女王の前に並び立つ、5体のアリ。「あいつら、武装してますね……」 ダティルが言う通り、右から順番に、槍、斧、剣、槍、剣を持っている。 ……サイズが小さい事から察するに、殺した人間の武器を奪ったのだろう。『よくも……よくも、小さく弱きものの分際で、わらわのかわいい子どもたちを』「……お兄ちゃん、あの〝ぎちぎち〟も、何かお話をしているの?」 やっぱり、グリダには〝ギチギチ〟としか聞こえてないのか。 ああ。すごく怒ってる感じだぜ。『さあ、最強の戦士たち。兄弟の 仇 ( かたき ) をとってくるのです!』 最強の戦士……か。相当強いんだろうな…… 『嵐の夜・開かない箱・森の奥にすむ獣』 女王が、両手に持った杖をかざして、呪文を唱え始めた。『目は朽ちて・耳削がれ・鼻は元より土の下』 また、奇妙な言葉の羅列。 ……魔物が使う魔法は、なんか不穏な感じだ。『主なき城・朽ちたる門を閉ざす』 女王の杖の先にある赤い宝石が、じわじわと紫色に変わっていく。『闇の魔法・こうま』 女王から出た黒い霧が、5匹の戦士に注がれた。『さあ、これであなた達は無敵。存分に力を見せつけてやるのです!』『ギチギチ! ギチギチギチギチ!』 何らかの強化魔法か。厄介だな…… 「お兄ちゃん、まほう、うってみる?」 そうだな。アイツら戦士っぽいし、頭もあまり良さそうじゃない。魔法は効くだろう。 よし、まずはあの5匹に攻撃だ! 「うん! 〝3%〟で〝火のかせはずせたびびと〟」「ピロリン。呪文確認。複数対象に対して魔法を発動します。〝出力3%〟」  5つの燃えさかる炎が、アリたちを目掛けて飛ぶ。ナイスショット! ……なに?!「ピロピロピロ! 警告! [5]の対象物に、魔法効果をレジストされました」「リンゴ魔法が、効いてない?!」「今のは3パーセントの魔法よ? 何で効かないのぉ?」 俺が撃った時とグリダが撃った時の威力、見た目的にもぜんぜん違うのに、なんでパーセンテージを言い当てるんだ、フレッサ。「わたしのまほう、きかないのね……」 しょんぼりした声のグリダ。『ほう? 今の魔法は、なかなかの威力だな』 グリダ、女王が〝なかなかだ〟ってほめてるぞ「え、ほんと? うふふ、やったあ!」 それで喜ぶのも、どうかと思うが…… 『クックック。だが、わらわの魔法は、あらゆる攻撃魔法を無効化する! その程度の魔法、効きはせぬ!』 なるほど……さっきの魔法は、攻撃魔法を無効にするのか。いいな、それ! 覚えたいけど、どう考えても俺には使ってくれないだろうなあ。「……どういう理屈でリンゴ魔法が効かないのか知らないけど、それなら剣で倒すまで!」 剣を構え、数歩、歩み出るダティル。「……5匹はちょっとキツいけど」 ダティルは強い。普通のアリが5匹なら、そこそこに渡り合えるかもしれない。でもアイツらは、明らかに今までのアリとは違う。それならば…… 「……え? リンゴさん?」 フレッサの手を離れ、俺もダティルと並び立つ。 ……絵ヅラ的には、ただリンゴが、足元に転がってるだけにしか見えないだろうけど。「リンゴさんも、行ってくれるのか?」 チラリと、こちらを見るダティル。 ……もちろんだ。むしろ魔法より、こっちが本分だからな。「お兄ちゃん、気をつけてね?」 おう、任せとけ!「リンゴさん。 端 ( はし ) から行くぞ。俺……僕は右をやる!」 ……じゃあ、俺は左だな。 グリダ。危なくなったら、ダティルに水魔法を頼む。「うん、まかせて!」 ……よし、行くぞ。 コロコロコロコロ!「うぉりゃあああっ!」 雄叫びと共に、すごいスピードで飛び出したダティル。おお? 俺のコロコロに、ついて来れるとはな!『ギチギチギチギチ!』 5体のアリも、一斉にダティルに襲いかかる。 ……俺はノーマークかよ。「お、お兄ちゃん、小さいから」 励ましてくれてありがとな。けど、雄叫びを上げて走ってくる冒険者と、コロコロ転がってくるリンゴなら、どう考えてもリンゴはスルーだぜ。「そ、そんなことない! お兄ちゃんは、小さいの! ふつうの人よりすごく小さいのよ!」 ……何だろう? 不思議な精神的ダメージがボディーブローのように来るぞ?「……どうしたの? お兄ちゃん、だいじょうぶ?」 大丈夫だ……大丈夫。たぶん大丈夫。こんな事で妙な気分になっている場合じゃない。 ダティルは、最初に斬り掛かったアリに弾かれた先で、もう一匹のアリの攻撃を受けようとしている。「ダティル! 気をつけて! うしろよぉ!」 囲まれないようにと動くダティル。さすがに素速いが……アリの動きはもっと速い。「やっぱりお兄ちゃんの方には、いっぴきも来ない!」 それで良いんだグリダ。アリどもは、俺には気づいているが、警戒しているのはダティルだけ。 ……だから、これは逆にチャンスだ! 狙うは一番左のアリの……頭! くらえ!「パアン!」 狙い通り、アリの頭が弾け飛ん……でない! ガードされたのか?!  とっさに 庇 ( かば ) ったのか、左手が 千切 ( ちぎ ) れて、転がっている。 ……あと2本あるけどな、左手。「お兄ちゃん! 危ない!」 しまった! 別のヤツが?! 真横からの攻撃……剣だ! まともに食らったら、輪切りになっちまう。 俺は、剣が命中するであろう部分に精神を集中させて、細胞を増やせるだけ増やし、ガードした。「ゴイン!」 痛ってえええっ! 畜生、やっぱり強いぜ! 剣が当たった部分が、えぐれたようにヘコんじまった。「お兄ちゃん! かいふくまほうを……!」 いやいやグリダ、俺は大丈夫だ。〝祝福のカード〟があるからな。 ……ブクブクと、えぐれた部分が泡立ち、一瞬にして元に戻る。な? これぐらいなら、すぐに元通りだ。『急かす子・涸れ井戸・長い足・穀尽き・肉尽き・長い息・永らえさせよ・魂の獄』 ……女王の声?! 魔法か!『闇の魔法・いやし』 左手を失くしていたアリを、黒い霧が包み込むと、なかったはずの左手がどこからともなく現れた。 ……回復魔法か?! しかも、失った手が生えるなんて!「水のまほうより、スゴいね!」 ……スゴいけど、あの気味の悪い〝呪文〟で回復されたくないなあ。 おっと、感心してる場合じゃないな。「ダティル! 一旦下がって!」「クソっ! こいつら、下手な人間より、上手く武器を使いこなしている!」 最強というだけの事はあるな……! しかも、ダメージを与えても、すぐに回復されてしまう。 そして極めつけは…… 「バシィィッ!」 ……な? こんなふうに、俺の〝頭を狙った体当たり〟は、ことごとくガードされて、気を付けないとカウンターが来る。「お兄ちゃん。むちゃはしないでね」 ああ。すまないグリダ。『おーっほっほっほ! 他愛もない! さあ、八つ裂きにするのです!』 このままだと八方塞がりだぜ。 女王の回復魔法が、ダティルと俺の与えるダメージを、一瞬で癒やしてしまうし、グリダの魔法は弾かれちまう。 思い切って、威力をあげてみるか? 魔法さえ効けば、あんな奴ら!「……あれ? お兄ちゃん、なんだかおかしいね?」 ん?「女王アリさんの、まほうのせいで、わたしのまほう、きかないのよ?」 そうだな。「女王アリさんの、まほうのせいで、お兄ちゃんがこうげきしても、なおっちゃうのよ?」 そうだな。 ……あれ? なんかおかしいな。