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奥義 VS 秘技

林檎転生 ~禁断の果実は今日もコロコロと無双する~ — novelup.plus · All chapters

奥義 VS 秘技

バレた? こんなにあっさりと?! マズいぞ。せっかくの芝居が台無しだ!『お兄ちゃん……どうしよう!』 そうだなグリダ。もしダティルの〝若返り〟が 公 ( おおやけ ) になれば、俺やダティルだけじゃなく〝呪縛のカード〟で魂を繋ぎ合わせられている、グリダやフレッサまで、大変な目に 遭 ( あ ) ってしまうだろう。 ……仕方がない。こうなったら、ここの人たちを全員、魔法で眠らせて逃げるぞ! 〝闇は地の底より天を…… 「若いな。もしや、それが理由か……?」 あれ?「いや、言葉にする必要はないぞ。お前なら分かるだろう?」「パステーク……さん!」 このパステークという男、ダティルの正体がホルマーだと気付いている。 ……気付いてなお、ダティルを深く知ろうとしているのか?!「堂々と、お前の剣で語れ!」「……はいっ!」 ダティルの構えが変わった。本来のスタイルで挑むつもりか。「ははは! そうだ! そうでなければ、私に真実を伝える事はできん!」「やはり、 敵 ( かな ) いませんね……」 笑い合うパステークとダティル。『お兄ちゃん……? どうしてふたりとも、笑ってるの?』 そうだな。二人はきっと、普通に会話をしているかのように、剣と剣で語り合っているんだ。いまの笑いは、ダティルがついた 嘘 ( うそ ) に、パステークがツッコミを入れた……みたいな感じじゃないかな?『うーん。むずかしいのね』 そうだな。実は俺だってよく分かっていない。 ……いや、この感覚は、実際に剣を交えている二人にしか理解できないだろう。「では、詳しく聞かせてもらおうか。どれ、まずは軽く……せえいっ!」 ふおおおっ?! ……軽くなもんか! ものすごい風がここまで来たぞ? パステークが二歩目を踏み込んだ時点で、ダティルも一歩踏み出し、真っ向から剣同士をかち合わせる。 ゴン! という音を聞いて、二人の手に握られているのが〝訓練用の木剣〟だった事を思い出す。すさまじいスピードと剣筋の鋭さのせいで、金属製の剣で打ち合っているように見えてしまっていた。「ほほう? 何があったのか知らないが、強いな」 〝強いな〟と言ったのは、ギャラリーがいるからだ。もし下手に〝強くなったな〟とか言ってしまったら〝パステークがダティルの事を知っていた〟と、記録係のノートに書き記されてしまう。「ダティル、お前の力を! 技を見せてくれ! 私を納得させられるのは、お前の迷い無き一撃だ!」 ……あくまで、パステークはダティルを〝初めて出会った記憶喪失の剣士〟として扱うつもりのようだ。「せいやああっ!」「ははっ、そうか! 分かってきたぞ! もっと来い! そうだ、まだまだっ!」 ダティルの猛攻を、少し高みから見下ろすように、紙一重でかわしてゆくパステーク。 観客席からは、感嘆の声が漏れる。「……なるほど。そうか。大体の経緯は分かった」 マジで?! 今ので分かったの?!「……分かりはしたが、私も立場上〝はいそうですか〟と、お前たちを見逃すわけにもいかん」 そりゃそうだ。そんなヤツは、ギルドマスターになっちゃいけない。「だから……もっとだ! お前の強さの奥に〝得体の知れない何か〟があるのだ!」 〝呪縛のカード〟の力で得た〝 細胞操作 ( さいぼうそうさ ) 〟により、一時的にではあるが、ダティルは人間ばなれした能力を発揮する事ができる。「何もかも、お見通しですか……」 苦笑するダティル。 パステークは、あの女王アリとすら互角に戦える〝 細胞操作 ( さいぼうそうさ ) 〟の事まで、見透かしているのか?「すべてを投げ捨てると決めた、お前のその覚悟、私にも見せてもらうぞ」「パステークさん……」「……次の一撃を受けて、立っている事ができれば、約束通り〝ギルド員証〟を発行した上で、もう一つ〝オマケ〟をつけてやる」 ニヤリと笑って、木剣を片手で上段に構えるパステーク。そのまま中腰になり、反対の手を地面にベッタリとつけた。 ……独特な構えだな。「あ、ああっ! そんな?!」 急に、ザンバラウが騒ぎ始めた。 ……そういえば居たな、お前。「あれは〝 玄武流剣術 ( げんぶりゅうけんじゅつ ) 〟の奥義〝 天地双滅斬 ( てんちそうめつざん ) 〟の構え?! こんな狭い所で……いや、町中で撃ったりしたら、大変なことになるぞ!」 なんかスゴそうな技がクルー?! いや、それ以前に、ザンバラウの知識がパネェ!「人間を相手にこの技を使うのは……10年ぶりぐらいだったかな?」「……ふふ。勘弁して下さいよ」 口角を上げながらも、ダティルの頬に冷や汗が 伝 ( つた ) う。 ……それ、10年前に撃たれたの、お前だろ、ダティル?!「では私も、全力でお応えします」「そうしてくれ。でなければ町が半分消し飛ぶ」 サラッと何言ってんだこの人?! やめろ! やっぱあんた、ギルドマスターとかやっちゃダメだわ!「行きますよ! 〝 細胞操作 ( さいぼうそうさ ) 〟」『ピロリン! 〝細胞操作〟を発動しました。残り、59、58、57……』 細胞操作を発動したダティルを見て、満面の笑みを浮かべるパステーク。「そうか! そこまでなのか、いいぞ! 実にいいな!!」 ……怖い! なんか怖いよ、この人! パステークは、上段に構えた木剣の切っ先を真下に向け、そのまま地面に向けて振り下ろした。「行くぞ! 〝天地双滅斬〟ッ!」 木剣は、サクッと垂直に突き刺さった。硬いはずの地面が、まるで新雪のようだ。 右足を大きく前に踏み込み、そのまま、地面に置いた手を軸に、地面を切り裂くように、ダティルに向けて、まっすぐ木剣を振り抜くパステーク。「ゴゴゴゴゴ……ドグォオオオオ!!」 腹に響くような轟音。そして、地響きとともに、スゴい速度で地割れがダティルに伸びていく。 ……なんだよこれ! 人間ワザじゃないだろ?!「今の僕なら……使えるはずだ。行くぞ! 〝青龍は常に我らと共に在る〟」 目を閉じ、何かを 呟 ( つぶや ) いたダティル。 カッと目を見開くと、両手で木剣を持ち〝突き〟を放つ。「ああっ?! あれは……すでに失われたはずの流派〝青龍剣〟秘技中の秘技では!」 驚いた顔で、ザンバラウが叫ぶ。 ……ちょっと待った。なんでお前が、その失われた流派の秘技を知ってるんだよ?! 正面に突き出された木剣の先に、青い光の 球 ( たま ) が集まっていく。「青龍剣〝 滴 ( しずく ) 〟」 どこからともなく、水のせせらぐ音が聞こえ、ダティルが突き出した木剣から、青い光が広がる!「ズウォッ! ドッパアアアアァアアン!」 逆巻く濁流のような音が響き渡り、ダティルの居た場所から、ダムの放水を思わせるほどの水が吹き出した!『ええ?! お兄ちゃん、お水が!』 どちらもすごい技だな! まるで災害だ! ダティルの作り出した激流と、パステークの地を裂く斬撃がぶつかり合い、共に消えてゆく…… 『あ、あれ……お水、きえちゃった?』 ああ。確かに一瞬、 鉄砲水 ( てっぽうみず ) のような物が見えたよな! けど、どうやら目の錯覚だったらしい。 ……信じられない事に、ダティルが放った、驚くべき速さの〝無数の突き〟が、大量の水の流れのように見えたんだ。「うむ! 見事だ、ダティル。私の技を 相殺 ( そうさい ) するとは……!」「有難うございます、パステークさん!」 にっこり笑い合う二人。 いやいや、握手とかいいから! もうちょっと町に優しく戦ってくれよな?「それでは約束通り、キミには〝ギルド員証〟を用意する。あと、もうひとつ……オマケの方だが。ちょっと耳を貸したまえ」 ダティルにそっと耳打ちされた、パステークからの言葉は、驚愕の〝アドバイス〟だった。 σ  σ  σ  σ  σ  σ  σ  σ  σ  σ  σ 【この世界における 5つの〝力〟 設定資料】 28d2b246de2e346c10dfca15c35f7857.jpg