8日目
8日目
⚠️注意⚠️
・オリキャラが出てくるよ!
・ハデス夢!
・口調おかしい時があるかも!
いい人はどうぞ!
【苛立ち】
ヴァゼルは怒っている。その理由はハデスにあった。ハデスは(前からだが)仕事が忙しい。忙しすぎて最近はハデスが部屋から出たのを見ていない程だった。何回自分が代わると言っても「これ終わったら」と言ってそのまま何時間も続けることになってしまう。神なので死んだりとかはないと思うが、やっぱり精神面が気になるヴァゼルはずっと落ち着きがなかった。足をトントンと鳴らし、どこかを睨みつけてはたまに舌打ちをする。それを見たメガラは面倒くさそうにペインとパニックに耳打ちした。2人は渋っていたが、やがて恐る恐る話しかけた。
「あ〜、ヴァゼル?」
話しかけられたヴァゼルは2人を見てからまたどこかを睨んで低く「なんだ」とだけ言った。
「アンタがいつまでも不機嫌だからこっちも迷惑なの。」
怯えて何も言わないペインとパニックにしびれを切らしたメガラが強めに言った。それを聞いたヴァゼルは一瞬顔をしかめた。メガラは続ける。
「言いたいことがあるなら言えばいいじゃない。なんでそんなに」
「わかってる」
メガラの言葉を遮るようにヴァゼルは言った。その顔は怒りと心配が混じったものだった。メガラはそれを見て大きすぎるようなため息をついてヴァゼルの手を引いた。ギョッとして手を振りほどこうとするヴァゼルのことは知らんぷりでそのまま歩くメガラ。気がつくとハデスの仕事部屋の前にいた。メガラは爪をいじりながら言った。
「アンタがどうしようが知らないわよ。でも、その不機嫌はさっさと直して。」
その不器用な励まし方に少し安心しながらヴァゼルは扉を開けた。
【休んでください】
中に入るとハデスは眉間に皺を寄せながら書類を見ている。まるでにらめっこだ。そんなハデスはヴァゼルに気がつくと声をかけた。
「お〜、ヴァゼルちゃん。どしたの?」
自覚のないような言葉に少しイラッとしたヴァゼル。やがて少し息を整えてから言った。
「休んでください、ボス。」
「…は?」
ヴァゼルから出てきた言葉を聞いてハデスは困った顔をした。ほぼワンオペで冥界の仕事をしているハデスにとって、休みは死も同然だったからだ。だが話したヴァゼルの声はいつもよりずっと低く、なによりも意思を感じた。
「あの〜ヴァゼルちゃん。一応聞くけどさ、怒ってたり…」
「はい。」
「ヤッパソウダヨネ」
どうしたものかと頭を悩ませるハデスを見てヴァゼルは付け足した。
「仕事がまだあるのなら代わりますし、ボスの休憩時間も心配です。無礼なのは分かっていますが…」
「お願いします」
そうはっきり言うとヴァゼルは頭を下げた。ハデスはうーんと唸ったあとに折れたように頭を掻いた。
「わかった。仮眠5分だけな?」
「30分」
「……………じゃあ30分経ったら起こして」
そう言うとハデスはグッとイスにもたれかかった。ハデスが寝息をたてはじめるとヴァゼルは静かにガッツポーズをした。そしてハデスを起こさないように机の上を整理して書類を片付けた。ハデスに代わって仕事をするヴァゼルは嬉しそうに羽を揺らしていた。
【魔法】
目覚めた時ハデスは目を疑った。さっきまでごちゃごちゃだった机は綺麗に整頓されており、最優先なものや書名が必要なものがまとめて置いてあった。ハデスはそれに目を丸くして「え〜…?」と声を漏らす。たった30分休んだだけでこの美しさはもう魔法の域だった。仮眠をとったハデスは頭が冴えたような感覚に陥った。そこでハデスは初めて自分が限界間際だったことを自覚した。辺りを見渡すと部屋の隅で書類を全てまとめた後に力尽きたヴァゼルがいた。何故力尽きてるのか不思議に思い、時間を見た。そして思わず頭を抱えた。なんと3日も寝てたのだ。「30分だっただろ!」と怒りたくなったが自分は多分何週間も起きていたので怒ることができなかった。ヴァゼルが生きてることを確認するとハデスは寝ているヴァゼルの頭を軽く撫でる。言葉代わりの感謝だった。それからすぐにスッと立ち上がり、ハデスはまた仕事に取り組むのであった。