260.VS先遣隊 総力戦 その1
260.VS先遣隊 総力戦 その1
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活動報告を更新しました
前回のあらすじ
五所川原さんがヤバい
戦況めっちゃ不利
各結界で激戦が繰り広げられている中、俺はずっとランドルから目を離さずにいた。
ランドルは結界の中で動かない。
それどころかただのんびりと胡坐をかいてあくびまでしている。
「……お互い待つだけというのも退屈だな、クドウカズトよ」
「……」
返答はしない。
するとランドルはおかしそうに笑う。
「随分と表情に余裕がないな。それとも君の仲間の気配が一つ、消えて動揺しているのかな?」
「……黙れ」
「気配が消えたのはベルドの居る方角だ。誰が死んだ? 信じた仲間が一人死んで心が揺らいだのか? それともそういう演技をしているのか? どちらにしろ、私に仲間の力を信じていると言い放った顔にはとても見えないな」
「黙れ!」
そんな事、とっくに気付いてるさ。
ああ、気付いてないはずがないだろうが。
消えた気配は五所川原さんだ。あの人の気配が消えた。
何かあったのは明白だ。
――せめて癒しの宝珠さえ残っていれば……。
そう思わずにはいられない。
どんな傷でも治す事が出来る癒しの宝珠があれば、五所川原さんを助ける事も出来た。
だが俺がシュリとの戦いで癒しの宝珠を使ってしまった。
二条や他の仲間が持つ治癒スキルでは治す事は出来ない。
……五所川原さんはもう助からない。
握りしめた拳には血がにじんでいた。
震える俺を、ランドルは楽しそうに見つめてくる。
「仲間の死は辛いものだ、クドウカズト。私もすでに二人、仲間を失っている。他ならぬ君たちの手によってね」
「ふざけるな! グレンとかいう奴の死はお前の仕業だろうが!」
「ああ、その通りだ。だがあれは必要な犠牲だ。なにせ海王シュラムと当代の狼王を討てるまたとない好機だったのだからね。我々に勝てる可能性があるこの二体をグレン一人の犠牲で排除できるのであれば安いくらいだ」
「我々……? お前、の間違いだろうが」
今ハッキリと分かった。
コイツは自分以外を駒としか思っていない。
リベルさんの言う通りクソ野郎だ。
「そうとも言える。だが兵をどう使うかは王である私が決める事だ。そして兵の仕事は王の為に命を懸けて尽くす事。私の采配が正しかったからこそ、君たちはこうして窮地に立っている。どれだけ犠牲を払おうと最終的に我々が勝つならそれでいいのだよ」
「ッ……!」
もう話したくもない。
コイツとはどこまで行っても平行線だ。
たとえどんなことがあっても、コイツと分かり合うなんて未来だけはあり得ない。
絶対に。
そして忌々しいが、ランドルの言い分は正しい。
俺達が不利だ、という点に関しては。
このままでは結界が解除されるまでに、ランドル以外の先遣隊を倒す事は出来ない。
俺が動けば話は別だろうが、その場合はランドルから目を離すことになる。
システム介入のマスターキーを持つランドルを野放しにするのは余りに危険だ。
たった一度だけだが同等の管理者権限を発動できる俺が目を光らせていなければ、何をするか分からない。
だがこのままでは戦力差は覆らない。
どうすればいい……どうすれば……。
≪――メールを受信しました≫
「ん?」
不意に頭にアナウンスが響く。
一瞬、一之瀬さんかと思ったが違う。
送り主は西野くんだった。
そもそも一之瀬さんは通知がうるさすぎるので普段はマナーモードに設定してるからアナウンスは鳴らない。鳴らなくても既に百通近いメールが溜まってる。流石に、一之瀬さんも決戦の最中は自重してくれているようだ。いつもなら、この百倍は溜まってるからな。
俺はランドルから目を離さずに、指でステータス画面を操作し、内容を確認する。
(これは……)
そこには西野君たちの現状と、それを打開する為の作戦が表示されていた。
俺はその作戦を見て、思わず息を吞む。
(こんな事……本当に可能なのか?)
もし可能なのであれば、この絶望的な状況は好転するかもしれない。
五所川原さんも助けられるかもしれない。
だが失敗すれば、間違いなく敗北するだろう。
勝つか、全てを失うか。
そんな大博打の作戦だった。
(全くとんでもない作戦を考えてくれたもんだな……)
西野君、君が仲間で本当に良かった。
俺なんかよりもずっと優秀だ。
「……乗るに決まってるだろうが」
残り時間はあと四十五分ほど。
その時間に全てを賭けなければ到底コイツらに勝つ事など出来ないだろう。
俺は西野君に返事を送る。
しばらくして『とあるアナウンス』が大量に脳内に響いた。
向こうでもすぐに動けるように準備していたらしい。
俺はすぐにステータス画面を操作する。
「……ふぅー……」
覚悟を決めた。
この戦いを終わらせよう。
全てを賭けて。
みんなで生き延びる為に。
持てる全てを出し尽くそう。
「――『英雄賛歌』」
次の瞬間、まばゆい光が俺を包み込んだ。
読んで頂きありがとうございます
外伝の方も更新してますのでよろしくお願いします。
あと宣伝になります。
3月15日頃に本作書籍版6巻が発売となります
ほぼ完全書き下ろしとなっております
是非読んで欲しいのでよろしくお願いします
表紙はこんな感じです。……リベルさんでっけぇ
