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261.VS先遣隊 総力戦 その2

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261.VS先遣隊 総力戦 その2

大変お久しぶりです。更新再開します

前回のあらすじ

カズトが英雄賛歌を発動した

――第三結界にて。

「おい! オリオンッ! 出せ! ここから出せ、コラァッ!」

「ひぃ……す、すいません、すいません……無理です。ごめんなさいぃ……」

リベルは巨大な球体の中に閉じ込められていた。

「相変わらずウザったい能力ね……」

「もう少しだけこのままでいて下さい。すいません、すいません……」

「謝るくらいなら封印すんじゃねーっつの」

舌打ちをしながら、リベルは己を囲む三人を睨み付ける。

『聖櫃』のオリオン、『結界師』リジー、『封殺者』ナルス。

彼らこそ、リベルが以前言っていた必ず先遣隊に選ばれると言われていた三人だ。

その役目とは全霊を持ってリベルを封印する事。

ただそれだけ。

だがその効果は絶大。

何せ彼らにとっての脅威とはリベルだけであり、彼女を封印すれば後は脅威にはなりえないと考えていたからだ。

「うらぁああああ! 出せー! 私をこっから出せー!」

とはいえ、それはリベルにとっても想定内。

あえて派手に苛立ってキレ散らかしてはいるものの、頭の中は冷静だった。

(……さて、どうやってコイツらを始末するか……)

実際の所、既に封印の解析は済んでいた。

リベルは動こうと思えば、いつでも解除できるし動ける。

しかし、その後が問題だ。

(精々倒せるのは一人……。残る二人には逃げられるわね……)

ここに居る三人は向こうの世界における結界術・封印術のスペシャリストだ。

おそらくシュラムの張ったこの結界も解析を終えている。

その気になれば破る事も可能だろう。

(シュラムの結界を破らせることだけはさせちゃいけない……)

カズト達にとって最悪とは先遣隊がランドルの元に合流する事。

そうなればいかにリベルが居ようとも勝ち目はなくなる

だからこそ、リベルはあえて彼女達の封印を受け入れていた。

彼らの目を目の前の自分に向けさせる為に。

上手く隙を探り、三人同時に葬り去る為に。

(ランドルを除けば残る戦力は七人……)

最初の戦闘でシュリとグレンが戦闘不能になった。

ランドルはカズトが監視している。

自分を封印、監視するためにオリオン、リジー、ナルスの三人。

残る四人――槍使いベルトは兄であるアイヴァーと交戦中。

ガシュマシュ、リアルドは西野達と交戦中。

ボアという剣聖の元には、何やら見知らぬ女性が援軍に駆けつけている。

(アイヴァーはまだ生きている……。でも丸太のおっさんがヤバいわね……)

五所川原の必殺技『丸太落とし』によってベルドにかなりダメージを与えることが出来たようだが、代わりに五所川原が致命傷を受けた。

まだ死んではいないというだけで、放っておけば数分で死に至るだろう。

(この戦場であの傷を治療が出来るのは私かシュラムぐらい……)

だが自分はここから動けないし、シュラムも深手を負い動く事は出来ない。

(もどかしいわね……)

出来る事なら見殺しになどしたくない。

しかしここを動けば、確実により多くの犠牲者が出る。

必要な犠牲だと割り切れるなら、そもそもリベルはカズト達に協力なんてしていない。

(何か手はないかしら……? 何か……この状況を変える一手が……)

リベルは必死に考えを巡らせる。

すると彼女の思考を遮るように少し離れたところで莫大な光が発生した。

「アレは……」

≪スキル英雄賛歌を発動します。パーティーメンバー全員の固有スキルが解放されました≫

俺の脳内に更にアナウンスが流れる。

≪パーティーメンバー モモ 固有スキル『漆黒走破』を取得しました≫

≪パーティーメンバー キキ 固有スキル『反射装甲』を取得しました≫

≪パーティーメンバー アカ 固有スキル『完全模倣』を取得しました≫

≪パーティーメンバー イチノセナツ 固有スキル『流星直撃』を取得しました≫

≪パーティーメンバー ソラ 固有スキル『蒼鱗竜王』を取得しました≫

≪パーティーメンバー シロ 固有スキル『白竜皇女』を取得しました≫

≪パーティーメンバー スイ 固有スキル『緑皇領域』を取得しました≫

パーティーメンバー全員の固有スキル取得を告げるアナウンス。

同時にステータスが上昇。とてつもない全能感が肉体を支配する。

俺の変化を感じ取ったのだろう。

ランドルの表情が変わった。

「……ほぅ、随分と力を上げたね。これ程のスキルを隠していたか」

それでもランドルの余裕は崩れていない。

所詮は『その程度』の認識なのだろう。

だがそれで構わない。これはお前を『倒す』ためのスキルじゃないのだから。

『……ついに使ったのかい。やっぱり思い返すも忌々しい力だね』

「お前、起きてたのか?」

『君の雷遁の所為でずっと痺れてたんだよっ。全く私を何だと思ってるんだ』

何って武器ですが、何か?

というか、そんな事はどうでもいい。

西野君の作戦通りなら、この後またアナウンスが流れるはずだ。

≪パーティーメンバーの申請があります≫

≪パーティーメンバーの申請があります≫

≪パーティーメンバーの申請があります≫

≪パーティーメンバーの申請があります≫

≪パーティーメンバーの申請があります≫

≪パーティーメンバーの申請があります≫

≪パーティーメンバーの申請があります≫

≪パーティーメンバーの申請があります≫

≪パーティーメンバーの申請があります≫

≪パーティーメンバーの申請が――

――来た。

更に再びの大量のアナウンス。

ここからは賭けだ。

これが成功すれば、状況は一気に逆転する。

(モモ、キキ、アカ……ごめんな)

俺はパーティーメンバーからモモ達を外す。

次に申請が来ていた西野君、六花ちゃん、大野君をパーティーメンバーに入れる。

――その瞬間、もう一度アナウンスが流れた。

思わず笑みを浮かべる。

どうやら最初の賭けは成功のようだ。

第二結界にて――

≪パーティーメンバーの申請が受理されました≫

≪パーティーメンバー アイサカ リッカ 固有スキル『羅刹天女』を取得しました≫

≪パーティーメンバー ニシノ キョウヤ 固有スキル『絶対遵守』を取得しました≫

≪パーティーメンバー オオノ ケイタ  固有スキル『劣化大罪』を取得しました≫

そのアナウンスを聞いて、彼らは笑みを浮かべた。

次の瞬間、溢れんばかりのエネルギーが肉体を包み込む。

全能感とでもいうべき圧倒的な力の奔流。

「うはー! 凄いね固有スキルって! どんどん力が溢れてくるよ!」

「わ、わぁ……凄い。僕、他の大罪スキルも使えるみたいです」

「これが英雄賛歌の力か……。これ程とはな……」

『英雄賛歌』はカズトのパーティーメンバーに固有スキルを与え、爆発的にステータスを高めるスキルだ。

そう――『パーティーメンバー』に固有スキルを与える。

つまりカズトが『英雄賛歌』発動中にパーティーメンバーを入れ変えれば、新たに加入したメンバーにはそれに見合った固有スキルが与えられるのだ。

――しかしそれが本当に可能がどうか、カズトはまだ試した事はまだ無かった。

理由は『英雄賛歌』のリスクの高さ、インターバルの長さだ。

『英雄賛歌』は一度発動すれば解除できないうえ、次の発動までに三日間のインターバルを要する。おまけに解除後はカズトは急激な疲労と筋肉痛で半日以上は強制的に気絶してしまう。

だから本来はリベルとの修業にある程度の目途がついてから、メンバーの入れ替えが可能かどうか、成功の場合は各々にどんな固有スキルが発現するのか検証する予定だった。

これはカズトの『質問権』を使っても調べることが出来なかったし、リベルにとっても誰にどんな固有スキルが発現するかまでは分からない。

だがこれ以上の犠牲を出さないためにカズトは決断した。

現時点でカズトの『英雄賛歌』発動時間は四十分。

それは奇しくも結界が解除されるのとほぼ同じ時間。

(問題はタイミングだ……。それぞれの結界の戦況を見極めてカズトさんの『英雄賛歌』の力を配分しなければ……)

今はここ――第二結界に戦力を集中させているが、タイミングを見て他の結界のメンバーにも『固有スキル』を与える必要があるだろう。

(カズトさん以外のパーティーメンバーの枠は七名……。カズトさんが動けない以上、俺が彼の眼になって戦場を見極める……!)

西野には戦う力はない。

だが『指揮官』として仲間に指令を出す力は一級品だ。

全てを賭けて最後の四十分の攻防が始まった。

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