紅茶
紅茶
亜子はお湯を沸かして、カップに注ぎ、温めていた。
そして、お湯を捨て、充分に蒸らした紅茶を注ぐ。
「できました!」
食後の片づけを終えた釧路家の面々に亜子は眩しい笑顔で言う。
ふわりと香る紅茶の匂いを嗅ぎ、真弓は笑顔で言った。
「まぁ、いい香り」
真菜も上機嫌で席に座る。
「やったー! 亜子お姉様のお茶だー!!!」
真幸も紅茶の事は詳しくないが、香りから絶対に美味いであろうことは理解した。
「亜子お嬢様のお茶。良い匂いだ……」
皆は席に着いて、目の前のお茶を見る。
「皆さん、お砂糖はいかがですか?」
真菜は元気いっぱいに言う。
「亜子お姉様! たくさん入れてください!」
そんな真菜に真幸はやれやれと諭す。
「おこちゃまだな真菜。こういう紅茶は紅茶本来の味を楽しむために砂糖は入れないもんだぜ?」
そう言われ、亜子はもじもじとしながら上目遣いで真幸に言った。
「あの。私、自分の分にお砂糖入れちゃって……」
「ですよねぇ!? 砂糖って言ったら人類のエネルギー源! 文明の象徴!! そりゃもう、ガバガバ入れて、ガバナンスでなんぼですよねぇ!?」
真幸は焦りながらそんな事を口走り、フォローを入れた。
亜子はクスクスと笑う。
「それじゃ、私もいっぱい入れてください!」
「うん、真菜ちゃん!」
そう言って亜子は砂糖を三杯いれてやる。
「これぐらいで良いかな?」
「はい! ありがとうございます! 亜子お姉様!」
次に、亜子は真弓と真幸を見た。
「お二人は?」
真弓は笑顔で答える。
「じゃあ、少しだけ頂こうかしら」
真幸も答えた。
「あ、俺は大丈夫です!」
テーブルの上には紅茶と茶菓子、そんなこんなでお茶会が始まる。
釧路家の面々は紅茶に口を付けて、その味に驚く。
真幸は亜子を見て言った。
「亜子お嬢様、紅茶ってこんなに美味しいモノだったんですね!」
亜子は照れながら返す。
「そんな、大袈裟だよー」
真菜も亜子に感想を告げた。
「本当に美味しい! 亜子お嬢様が淹れてくれたから美味しい!」
真弓もうんうんと頷く。
「えぇ、本当に良い香りとお味」
亜子は赤面し、俯いていた。
そんな亜子に真菜は尋ねる。
「お姉様お姉様! このなんだか高級そうなお菓子食べても良いですか!?」
「えぇ、どうぞ! 本当はケーキみたいな生菓子を用意したかったんだけど。用意していなくて……」
「わーい! いただきまーす!」
個包装されているクッキーに真菜は手を伸ばし、包みを開けて食べる。
「うわっ、うまっ!! このクッキーめちゃうま!!」
真幸は呆れながら真菜に言う。
「真菜、下品だぞ」
そんな真幸に亜子は菓子を進めた。
「真幸くんも、真弓さんも食べてください!」
言われ、真幸はお菓子に手を伸ばす。
「そうですか、それじゃ遠慮なく……。うわっ、何だこのクッキー!! めっちゃうま!!」
真弓も子供達に笑顔を向けたまま、クッキーを一つ食べた。