LNCrawler

2話

Ω×Ω(オメガ・オメガ) — fujossy.jp · All chapters

2話

夏休みを終えると、友達が大人に変貌を遂げていた。「見ろよっうららちゃんの広告っ」「モデルだってさ!凄いよな~」 クラスメイトがスマホの画面を俺たちに見せる。 体育の時間。うららは涼華と一緒に身長を測る列に並んでいる。女子が先に測るから、その間俺たちは暇だ。Ωという種族は女子の方が人数が多いので、男女別れてやるときは、暇な時間が多くなる。「……うららからなんも、聞いてないけど」「マジじゃん。カラーの超大手ブランド……」「うららってやっぱ、可愛いんだな~」 俺と木野崎と赤城はスマホをまじまじと見つめる。 新学期に入ると、うららが芸能人になっていたのだ。 デビューと同時に、カラーのブランドの公式モデルに就任したらしい。 カラーはΩのみが着けるアイテムだ。Ωだからこそできる仕事なのだろう。「コラ、授業中に携帯触んなっ没収するぞっ」 体育教師の注意を受けて、「ヤベー」とクラスメイトがスマホをポケットに入れる。 そこに身長を測り終えたうららと涼華が戻ってくる。「私、167㎝だったっ……」「アーシは156」「中学の頃から身長、伸びないね」「しゃーねーわ。女子は成長期来んの早いから、もう伸びねーっしょ」 喋りながらこちらに向かってくる二人に声をかける。「うらら、モデルデビューしたんだって?」「あっ……そうなの。中学の頃からずっとスカウトしてくれてた事務所が、高校入ってからでもまだ遅くないって後押ししてくれて、モデルから始めたの。女優も頑張ることになるみたい。オーディション受けたりして」「ハーッ……すげぇな。高校生で働いて、って。もう大人じゃん」 赤城の言葉にうんうんと俺たちは頷く。「親友からしちゃ、マジ自慢だわ」 涼華が自慢そうにふふんと笑う。「次、男子!出席番号順に並べ!」 教師の掛け声に、俺達は身長測定に並びだした。 俺は出席番号1番なので、当然のように先頭に並ぶ。「相浦……170㎝」「うおお~っ5センチも伸びてる!」 喜ぶ俺に、体育教師が言う。「お前らはまだ成長期来るからな。これよりも伸びるぞ」「マジすか!楽しみ~っ」 測定器を降りる俺に続いて赤城が乗る。 体育教師が「赤城、175㎝」と記録する。 暫くして出席番号の早い木野崎もすぐに戻ってきた。「木野崎、何センチ?」「171」「うえーっ!1センチ負けた!」「はっはっはー俺の勝ちだ」 木野崎が仁王立ちで勝ち誇る。「なあお前ら、これから身長どんだけ伸びると思う?」 俺の質問に女子二人は「もう伸びない」と答える。「俺は180近くまでは行くだろうけど、もうそんなに伸びねーだろーな。成長期も終わって頭打ちって感じ」 赤城が答える。「俺は175は欲しい……まだ成長期来てねーか、今来てる最中だからワンチャンある」 木野崎が願望を口にする。「俺も……うち父親いねーからどんくらい伸びるか目安もねーけど」 俺も木野崎に同調する。 Ωは総じてそんなに高身長にはならない。赤城のような育ちの良い個体も存在するが、180㎝を越えるのが当然の男αや170㎝より上が平均身長の男βとはちょっと違う。 女の場合も、170㎝を越える女αがごろごろいるのに対して、Ωは140~150㎝代の女子が多い。涼華ぐらいのサイズ感がΩという感じだ。「次シャトルランするぞ!男女別れて、女子から先だ」 体育教師の声に、ぞろぞろと俺たちは移動する。「体育の時のシャトルラン、木野崎最後まで残ってて凄かったな」終業のチャイムの音を聞きながら、放課後、カバンにノートや筆箱を片して俺たちは帰る準備をする。「Ωクラスじゃ運動は木野崎が一番だな」「まあ体育は、得意だから」 答える木野崎に赤城が机に突っ伏する。「え~っ。俺なんか最初の十回でもうヘロヘロだったのに。光輝やべぇ~」 俺は木野崎に「帰ろうぜ」と呼びかけ、席を立つ。「赤城は?」「俺?補習。夏休みにヒート来たから」「じゃあ、また明日な」「じゃねー」 赤城が手を振る。 夏休みとヒートが被っていたのに補習に出なければいけないというのも可哀想だが、Ωは夏休み中も学校があるので仕方がない。Ωは勉強はできなくても良いが、しなくては生きて行けないように学校の制度ができているのだ。