LNCrawler

2話

Ω×Ω(オメガ・オメガ) — fujossy.jp · All chapters

2話

「ッヒート……」 うららを見る。 うららは、初ヒートがまだだったはずだ。 ヒートが来る予感もまだ感じ取ることができない。 それに、定期的なヒートと違って、初ヒートはいつどこで発症するかわからないのだ。「うららっ……」「お前か」「キャッ」 葛飾がうららの腕を掴み、教卓に押し倒す。「おいッやめろ!」 俺は咄嗟に葛飾をうららから引き離そうとするが、びくともしない。 αの力は、Ωよりも数段強い。 力では、αに敵わない。「カラー……こんなもん、付けやがって……」 葛飾がうららの首に口を寄せる。 噛みたくて、仕方が無いのだろう。「や、やだっ」 うららの目が涙で潤っていく。 多分、葛飾も京本も、Ωのヒートを目の当たりにしたのは初めてだったのだろう。 それでなくとも俺たちは、保育園や幼稚園の頃からα、β、Ωのクラスに分けて育てられる。 バースの垣根を越えて交流するようになる年頃には、大抵のΩは初ヒートを終えていて、ヒートの時には休暇を取ってαの前から姿を消す生活を送っている。 αの前でヒートになるΩなんか、滅多に居ないのだ。 しかし、おかしい。 何かが違う。小さな違和感が胸の奥につっかえる。「……いや、ちがう。これ、うららのフェロモンじゃねぇ」 俺の口からこぼれた言葉を、京本が聞き取った。「っ委員長……!」 そうだ。これは、委員長のフェロモンだ。 探した時には、委員長は逃げ出していた。 初めてのヒートに息を荒げながら、講堂の入り口に向かって、こけてはヨタヨタと走っていく。 委員長の後を追いかけようとした京本を木野崎が捕まえた。「行かせねーよ」「離せ!Ωが、逃げるだろうがっ」 京本が腕を振りほどこうとするが、木野崎はなぜか互角に張り合っている。 前から運動神経が良いだけでなく若干怪力だとは思っていたが、まさかαと同等の力を持っているとは。「葛飾!うららから、離れろ……!」 俺は全身で葛飾にぶつかり、ドッと葛飾を押し倒す。 葛飾の拘束が解かれたうららがその場にへたり込んだ。「お前ら抑制剤、飲んでんだろ!ラットは、起きてねえはずだ。目え覚ませっ」 俺は叫ぶ。「……今更、おせえっ!Ωのフェロモン……嗅いだだけで、こんなっ……」 京本が腕に縋りついていた木野崎の両腕を捕まえて床に引き倒した。 葛飾を捕まえていた俺も、動きを徐々に抑えられて、葛飾が俺に馬乗りになった。「……逃げたあいつじゃなくても良い。俺らは、このままヤれるなら文句ねぇよ」 京本が木野崎の腕をギリギリと締め上げる。「やだっやめてっ」 うららの泣き声が響く。「……、……それはマズい。京本、そいつと交換しろ」 葛飾が変なことを言う。「いくらなんでも近親相姦は、ヤれねぇ」 葛飾が、俺の目を見てはっきりそう言った。「オイ!!そこで何やってんだ!!」 講堂の入り口から、怒鳴り声がした。「篠原……!」 αクラスの担任、篠原だ。「相浦!!木野崎!!」 俺達の担任、春崎も続いて登場する。 篠原と春崎がこちらに向かって走ってくるのがわかる。 篠原も春崎も、βだ。αの力には、敵わない。 それでも男4人で抵抗すれば、いくらαでもこちらが勝つ。 取り押さえられた葛飾と京本は、教師たちによって保健室へ行くことになった 両腕を後ろ手に拘束されたまま二人は連行されていく。 俺と木野崎とうららは、そのまま講義を受けることになった。 泣き止まないうららが合流した涼華に抱き着く。 事情を知らない赤城と涼華は、目を白黒させていた。