総最終話
総最終話
冬休みが明けて、俺と木野崎の補習も終わり、冬を越えてバレンタインが間近に迫り出した。「バレンタインデーつって、気、早すぎ!まだ一月だぞ」 木野崎がSNSを見ながら呟く。「正月終わったら特にイベント無いもんな」「俺ら3が日以降フツーに学校だったから正月も大して盛り上がんなかったけどな」 話に乗っかる俺と赤城。 ちなみに俺は正月は木野崎の家で姫はじめを無事に遂行し、ヤりすぎて疲れたので二人ともお参りにはいかなかった。「俺達Ωの為に働いてくれる先生方の偉いことよ……」「それなーっ」 しみじみ言う木野崎に赤城が同意する。「でもバレンタインにヒートが被ってたら、絶対盛り上がるのに」 俺の一言に、木野崎が答える。「俺らはヒート、3月だろ」「俺は4月」 赤城は1月にヒートが終わったばかりだった。次は2年に入ってからだ。「アーシはバレンタインとヒート、被るわ」 涼華がなんともないように言う。「えっ……お前あの怖い彼氏に、バレンタインのプレゼントはアタシ……をやるのか!?」 俺がサッと青ざめながら聞くと、「フツーにチョコやるに決まってんだろが」と足を蹴られた。 うららはヒートがまだ来ていないので、大人しく話を聞いている。「でも俺、バレンタインがヒートだったら無理矢理にでも1週間木野崎の家に泊まりに行くのに」「えっ、なんで?光輝の家になんかあんの?」 赤城が反応する。「ううん……俺達、付き合ってるからさ。俺をあげるの」「バレンタインがヒートじゃなくて残念だったな」 パコンと教科書で木野崎が俺の頭を叩く。「えっ……ツキアッテルカラサ??」「うん」 赤城が呂律の回っていない口で変な音程で俺のセリフを反復する。「ツキアッテル?」「うん」「誰と誰が?」「俺と木野崎が」「またまたぁ~」「マジだけどな」 木野崎が赤城に言った。「っえええ~~~~!!」「声がでけえよ!」 叫ぶ赤城を木野崎が教科書で叩いた。「えっ涼華……っ、うらら……っ!知ってた?気付いてた??」「全然」「ううん、知らなかった」 今度は涼華とうららに動揺をぶつけだす。 涼華とうららは初めて知ったという割に物凄く落ち着いている。「αどもに知られたかねぇから、誰にも言うなよ」 木野崎が3人に釘を刺す。「OK」「うん、わかった」 涼華とうららが二つ返事でオーケーする。「えっお前ら……俺を差し置いて二人で……!?」「お前は何に衝撃を受けてんだよ」 ショックを受ける赤城に、木野崎が呆れたようにツッコむ。「俺も混ぜてよ!」「お前はαの女が待ってんだろ」「ハッ!そうだった……!」 同性の友達3人のうち一人だけあぶれているみたいで疎外感を感じるのだろう。 涼華もうららもΩの同性だが、男女の性別が違う分赤城とは感じ方も違うだろう。「えっえっ、いつから?」「1学期から」「そんな前から!?……でも、にしてはそんな素振りすら見せなかったじゃん。名前だって、苗字で呼んでるくせに」「名前ぐらいいつも呼んでるよ」「いつ?」「セッ」 俺の頭を再度、木野崎が教科書で叩く。 痛い。 こいつはヤるとなれば滅茶苦茶するくせに、人前ではガードが堅いのだ。俺のことを淫獣だなんだと呼ぶくせに、自分はムッツリなのである。「はー……」 魂が抜けたような赤城をよそに、涼華が口を開いた。「どっちが上でどっちが下なの?」「ん?」「アーシら女Ωと違ってアンタらは両方いけんじゃん」 当然のように聞く涼華。 俺と木野崎は目を見合わせ、ニヤッと笑った。「「どっちだと思う?」」 答え:両方! でもこれは、俺らだけの秘密。