LNCrawler

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青と空と君と。 — fujossy.jp · All chapters

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「あ、じゃあさ、俺と付き合っちゃおうよ」「へ?」出雲はそれまでと表情を変えることなく唐突にそう言った。俺は突然の言葉に内容が理解できず、変な声を出してしまった。それでも脳の処理が追いつかなくて、パチパチと瞬きをしながら必死に出雲の言葉を処理しようとした。つきあう?付き合うって俺の思っている付き合うであっているのか、もしかしなくても突き合うとか物理攻撃なわけがないだろうし。必死に考えていると出雲は笑みを深めて、俺の頭を撫でてくる。その表情は少し八雲に似ていて苦しくなる。何も今、そんな表情をしなくてもいいじゃないか。「アホ面も可愛いな、拓矢は。そのまんまの意味だよ、俺と付き合ってよ。恋人になろうって意味」「え、あ、なんで?出雲って俺のこと好きだったの?」俺の考えている付き合うで合っていた、合ってはいたが理解が出来ない。これはいわゆるキャパオーバーというやつだ。ただでさえ脳みその容量が多い方ではないのだから、あまり混乱させないで欲しい。俺を混乱させて食べるつもりなのか、いや、その変な意味ではなくて。「恋愛的な意味で好きかって言ったら多分違うけど、俺今フリーだし、拓矢のためと思って」「俺のため……?」「そう、だって俺、顔は八雲とそっくりじゃん?中身は全然だけど」八雲と違い普段あまり表情を変えることのない出雲が、まるで八雲のような笑みを浮かべながらそう言った。出雲の真意がわからないけど、きっと出雲なりに俺のことを励まそうと思ってのことなのだろう。出雲は八雲のことが嫌いなのに、どうして俺のために八雲の代わりになろうとしてくれているのかわからないが、俺は代わりでもいいから、とにかく八雲のことを忘れたいと思っていた。だからきっと選択を間違えたんだと思う。もしかしたら俺の選択はずっと間違っていたのかもしれない。「でも、俺はそれだと出雲のこと八雲の代わりにしか思えないよ?」言いながら最低だと思った。大切な幼なじみを身代わりにしようとしているのだ。でも心のどこかで出雲も本気ではないだろうと思っていたからこそ、こんな提案を受け入れたのだ。多分お互いに家族のようにしか思っていないけど、この時の俺たちにはお互いに支えが必要だったのだろう。出雲は特定の相手を作らないが、きっと拠り所が欲しかったのだろう。「ま、大丈夫、俺がそのうちメロメロにさせてあげるから」「メロメロって……。でもいいのか?そんな身代わりみたいなこと」「いいよ、最初は八雲の身代わりで。いやまぁ八雲の身代わりってのは癪だけど、拓矢が笑顔になれるならそれで」「わかった、じゃあ付き合う。でも、出雲のこと本気で好きになれるかは出雲次第だよ?」そう言うと出雲は拓矢のくせに生意気だな、なんて言いながら俺を小突いた。出雲と付き合えば、いつかきっと八雲のことを忘れられる、この時の俺は本気でそう思っていた。だからきっとこうして周りが見えなくなって、何を大事にしなくちゃいけないのか、少しずつ見失っていったんだと思う。「よし、じゃあ次の6限からは授業に戻れそう?それとも最後までサボっちゃう?」「あ、次の授業は出るよ。俺、出雲と違って一応真面目だから」「とか言ってどうせ寝るくせに」「うるさいよ」軽口を叩きつつも出雲ことだから、泣いて腫れてしまった俺の目を心配してくれているのだろう。そのまま教室に戻ったら酷いぞと素直に言われたって大丈夫だ、なぜなら今、自分の目が腫れている自覚があるからだ。だけど昨日徹夜したことになってるし、授業に出ても寝てしまう俺は机に突っ伏して顔を隠してしまえば問題はないはずだ。問題なのは、八雲のいる教室に戻ることなのだから。「あ、八雲に言う?」「何を?」「俺と拓矢が付き合い出したってこと」「い、言わない……、そもそも八雲は俺がゲイだってことすら知らないし」そっか、わかったと言いながら俺の頭をポンポンと撫でて微笑みかけてくれる優しい出雲。多分、俺が八雲にゲイと知られて嫌われたくないという気持ちを察してくれたのだろう。八雲に恋人ができて振られる、というのは想定の範囲内だったけど(それでも大ダメージだったが)、八雲にゲイだとバレて嫌われることだけは絶対に避けたかった。八雲のことだからそんなことで俺のことを嫌いになったりはしないだろうけど、それでも言いたくはなかったのだ。八雲のことを幼なじみで、親友とも思っている。だけど、俺は八雲に隠していることがあまりに多すぎるのだ。「じゃ、そろそろ5限も終わるし戻るか」「うん」何も言わずに察して、優しく接してくれる出雲は本当に優しい。俺は弱いからこの優しさに甘えることしか出来なかった。俺にこの優しさに甘えずにいられるだけの強さがあればよかったのに。