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216 やがて至る者

世界最速のレベルアップ ~無能スキル【ダンジョン内転移】が覚醒した結果、俺だけダンジョンのルールに縛られず最強になった~ — ncode.syosetu.com · All chapters

216 やがて至る者

後書きに【大切なお願い】がございますので、もしよろしければそちらの確認もお願いいたします!

斎藤たち【ミューテーション】の面々が、死を覚悟する数分前。

天音 凛は本日18回目のボス討伐を終え、ラストとなる19回目の攻略を行おうとしていた。

なぜラストかと言えば、不思議なことに先日の海龍ダンジョン以降、凛は踏破を達成するタイミングが直感的に分かるようになっていた。

昨日の21回と合わせ、計40回。それだけの攻略を終えればこの合獣ダンジョンを踏破できると確信する。

どうしてこんなことが可能になったかまでは分からないが、利用できるものは全て利用するのが凛の性格だった。

しかしそんな凛のもとに、想定外の事態が訪れる。

「――ッ、なんだ?」

転移を繰り返し最下層に移動している最中、突如としてダンジョン全体が激しく揺れ始めたのだ。

迷宮崩壊 ( ダンジョン・カラプス ) によく似た、それでいてどことなく違和感のある揺れ。

ただならぬ事態であると判断した凛はすぐさま索敵を発動した。

そして見つける。

10人以上からなる冒険者の集団が、強力な魔物の群れと戦っているのを。

反射的に凛は転移を発動し、すぐさまその現場へと向かった。

そこには想定外の光景が広がっていた。

冒険者たちが魔物の群れと向かい合っているのは索敵で見た通りだが、問題はその相手。

今朝、出会ったばかりの斎藤 遼一をはじめとする【ミューテーション】の一団は、レベル60000を超えるエクストラボス――イクシード・キマイラの群れに襲われていた。

中でも、大広間の中心に佇む存在――イクシード・キマイラの進化固体であるジオ・イクシードの放つ威圧感は、その他の魔物を大いに凌駕していた。

それもそのはず。この中で唯一、ジオ・イクシードのレベルは 10万 ( Sランク ) に達していたのだから。

三つの頭といい、体を覆う鱗といい、偶然にも凛がこれまでに戦ってきた強敵たちを彷彿とさせるフォルムだった。

(それにしても、どいつもこいつもエクストラボスってことは……もしかして、 尾形 ( アイツ ) らが何かしでかしたのか?)

尾形たちがギミックを独占していたことからも、そう考えるのが自然だろう。

とはいえ、具体的な原因は考えたところで分からない。

いま重要なのは、彼らがピンチであるという事実だけ。本来であれば獲物の横取りはタブーだが、この状況で文句は言ってこないだろう。

ここまでの思考を一秒足らずで終えた凛は、すぐさま次の行動を決定する。

「 瞬間転移 ( タイム・ゼロ ) 」

次の行動とはつまり、ここにいる魔物たちの殲滅。

「来い―― 無名剣 ( ネームレス ) 、 吸血剣 ( ブラッディ ) 」

長剣と短剣の変則二刀流、および連続転移から繰り出される神速剣技が次々とイクシード・キマイラの首を落としていく。

現在、凛のレベルは70000弱。自分より高レベルの相手には 無名剣 ( ネームレス ) を、低い相手には 吸血剣 ( ブラッディ ) を用いて蹂躙していく。

余裕のある相手には吸血剣を使うことで、ここまでの20回弱にも及ぶ攻略で失ったMPを補填することができた。

かくして、大広間に到着してから約10秒。

全てのイクシード・キマイラを地に落とし、HP・MPともに万全の状態を整えた凛は、改めてこの場に君臨する最強の敵を見据える。

ジオ・イクシード。

10万レベルに対する最強の敵。

レベルこそこれまでに戦ってきたイフリートやケルベロスと同じだが、纏う気配はそれらより一段と濃く、肌に鋭い殺気が突き刺さる。

それだけに、倒せば大量の経験値が獲得できることだろう。

「 瞬間転移 ( タイム・ゼロ ) 」

これだけの強敵に、連続転移から手振りだけの攻撃は通じない。

天井に足裏を付けられるだけの高さに移動した凛は、頭上からその強敵を見下ろし不敵に笑い、改めて混乱の中にいる斎藤たちに宣言する。

「どういう状況かは知らないが――アレ、俺が貰ってもいいんだよな?」

全身のバネを躍動させるかのように、全ての力を足元に伝え天井を蹴り出した。

重力をも利用し、凛は際限なく加速する。

それはさながら、かつて戦った強敵――ハイ・オーク戦を彷彿とさせる落下斬撃。

音速を超え、一筋の流星と化した凛の一振りが、そのままジオ・イクシードに降り注ぎ――

「ガルルゥゥゥゥゥ!」

――咆哮と共に曝け出された鋭く頑丈な牙によって、その一撃は食い止められるに至った。

牙だけで防がれたとは思えない硬い感触。

どうやら何重にも魔力障壁が張られていたようだ。

凛はその結果を視界に収め、「チッ」と小さく舌打ちした。

「さすがに、そんな簡単にいく相手じゃないか――「「ガルゥァァァ!」」――おっと、 瞬間転移 ( タイム・ゼロ ) 」

残る2つの頭による攻撃を転移で回避した凛は、一度地上に降り立ち、改めてジオ・イクシードを見上げる。

先の魔力障壁といい、キマイラ種が持つもともとの特徴といい、どうやらこの魔物にはまだまだ隠し玉がありそうだと冷静に分析を重ねる。

だが、その程度で凛が歩みを止めることはない。

これ以上の絶望なら、これまでに幾度となく乗り越えていた。

「嘘、だろ……? 君は今朝、顔を合わせたソロの……どうして、その若さでこれだけの力を……」

背後では斎藤が、突如として現れた救世主に戸惑いの声を上げているが、それは凛の耳には届かない。

その思考は既に、目の前の強敵をどう喰らうかだけに費やされていた。

「さあ――いくぞ」

かくして、 現 ( ・ ) 代 ( ・ ) 最 ( ・ ) 強 ( ・ ) と ( ・ ) 謳 ( ・ ) わ ( ・ ) れ ( ・ ) る ( ・ ) 冒 ( ・ ) 険 ( ・ ) 者 ( ・ ) が君臨するギルドに所属する 斎藤たち ( かれら ) は――やがて 最強の座 ( その場所 ) に至らんとする、青年の輝きを目に焼き付けることとなった。