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竜よ、竜よ! 其の二十五

シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 — ncode.syosetu.com · All chapters

竜よ、竜よ! 其の二十五

な゛が か゛っ゛た゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛! や゛っ゛と゛つ゛ぎ に゛す゛す゛め゛る゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛!!

最後まで後方でヘタれるよりかは数倍マシだが、相手が弱ったと見るや前へと出てくる森人族は一度精神を鍛え直した方がいい気がする。

だがそれはそれ、あの高い命中率は例え火力が低くても今この瞬間においては高い貢献を成せる。

ひっきりなしに放たれる矢はその殆どが弱点部位を晒した大口へと吸い込まれるように飛んで行き、確実に貪る大赤依を追い詰めつつある。

感情のない、しかし肉体の悲鳴を隠すこともできない奴の苦悶の叫びが何よりの証拠だ。

「行け行け行けゴーゴーゴー! 矢が尽きるまでぶちかませ!!」

先の一斉ブレスの硬直に加えて弱点に集中攻撃を食らうことでの怯み、今この瞬間が最大のチャンスだ。

「エムル! 撃って撃って撃ちまくれ!!」

「はいなーっ!!」

行けるか、削りきれるか? ダメだ、復帰する!!

「撃ち方やめ! 全員退避!!」

どうする、リキャストはまだ終わってない。再攻撃までどう凌ぐ?

「エムル、魔力は?」

「ち、ちょっち回復させて欲しいですわ……」

オーケー、今は役に立たないって事か。となれば……おぉそうかお前がやってくれるか、だったらそれを信じよう。

「トットリ」

「なんだ?」

「一応最高火力を用意しておいてくれ、もう一度奴を怯ませてくる」

「分かった…………なぁ、ディプスロさんは」

「奴さんなら死んだよ、あとで本人呼んで葬式でもやるか?」

「お、おう……おう?」

盛大なパレードにしような、まぁそれはいいとして……行くか。

貪る大赤依のリソースは尽きた、既に肉体の回復は叶わず今あるだけの身体で出来ることしか出来ない。

だがそれでも未だ奴は怪物たり得る、であれば非力な人間は何もかもを利用して勝利を掴む……であるならば、同じくあの真っ赤な怪物を打ち倒す事を望む怪物にだって手を貸すさ。

頭の一つから多量のダメージエフェクトを撒き散らしながら、されどこれまでの戦いの中で最高潮の怒りに燃える「傷だらけ」が突き進む。

貪る大赤依はそれを迎撃するべく首を荒ぶる三つ首へと向けるが、攻撃へと転ずる前にアラドヴァル・リビルド一本を握る俺の妨害に注意を逸らされる。

さらにどちらを倒すためにどちらを活かすべきかに気づいたのか、後方より放たれた頭の矢が貪る大赤依へと雨の如く突き立てられたことで怯んだ間隙を「傷だらけ」は見逃さなかった。

「「「ゴルルルルォォ!!」」」

「QeeaaaaaaaaaAAAAAA!!?」

驚異的な脚力で貪る大赤依が「傷だらけ」に踏みつけられる。拘束から逃れんとする貪る大赤依であったが、それよりも「傷だらけ」の方が速い。

踏みつけた己の足ごと貪る大赤依の背中が口から吐き出された粘ついた体液に塗れていく。溶かすわけではない、だがその液が決してただ不快感を与えるだけのものではないことを俺は知っている。

そしてそれは貪る大赤依も同様だ、数秒後に何が起こるのかを悟ったのか暴れる力を増してもがくが、「傷だらけ」は意地でも離さぬとばかりに足に込める力を強め、さらには俺という邪魔も入った事で脱出は絶望的となる。

なんだろうな、別にパーティ組んだわけでもフレンドってわけでもない。そもそもプレイヤーとモンスターという絶対的敵対関係だと言うのに……どうしてか、奇妙な信頼感がある。

背中を任せられるわけじゃない、ただ「こいつならやってくれる」という確信がある……だからこそ告げる言葉は簡潔に。

「ぶちかませ!!」

着火。

衝撃と熱量を伴った爆風が辺り一帯を波濤の如く蹂躙する。当然それに直撃した貪る大赤依は大ダメージを受け、足掻きもがいていた身体から力が抜ける。そして、直撃を食らった貪る大赤依そのものを傘がわりに爆風を防いでいた俺の目の前には、あまりに無防備に晒された赤い玉。

「貪る大赤依……いや、 貪る大赤依 ( エルドランザ ) ……これで終わりだ!」

今使える有りっ丈の強化スキルを込めた【タチキリワカチ】の光を帯びたアラドヴァルが赤い玉を捉える。

みっちりと中身の詰まったゴムのような、硬さと柔らかさがどちらも含まれているかのような質感の球体を灼熱の剣がチーズの如く切り裂いて行く。

天誅……ではないな、これは人による人のための敵討ち、であるならばこう締めくくるべきか。

「人誅!!」

空気を読んだのか、炎の軌跡を描くアラドヴァルをぴっ、と振り払い決めポーズ。

決まった、これは間違いなくラストアタックを取っ

「QeeaaaaaaaaaoooooOOOOAAAAAAAAAA!!!」

「ゔぇっ」

仕留めきれなかった? 違う、奴はもう死んでいる。であればこれは最後の足掻き、死を迎える寸前の痙攣、最後の断末魔。

死に体のどこにそんな力があったのか、全霊の力を込めて後脚のみで立ち上がった貪る大赤依がそのまま前へ……つまり俺を下敷きにする挙動で倒れかかってくる。

「まぁこの程……んどぉ!?」

あ、足首を挫きましたァ!? この盤面で渾身のドジ!? おのれ運命という名の 乱 ( らん ) す……あっこれ終わったですわぁ?

その時、ヒュンッ! と風切り音が一つ。

「ま、まさか舐めプの尻拭いをさせられるとは……」

致命的な亀裂の入った赤い玉に矢が突き立つ。そしてそれは一瞬の静寂の後……「 傷だらけ ( スカー ) 」のナパームブレスに負けず劣らぬ大爆発を起こし、物理演算に従って倒れゆく貪る大赤依の赤い玉を完全に破壊し尽くし……

「Q、Qoooo……」

それが貪る大赤依……レイドモンスターの最期の叫びであった。

まるで空間に固定されたかのように貪る大赤依の身体がピタリと止まり、その身体を形成する赤が端から粉にでもなったかのようにボロボロと崩れていく。

ふとそれを掌で受け止めてみれば、その正体は…… 飛蝗 ( バッタ ) であった。だがそれも掌の上で黒ずんだ赤い粉末にまで崩れると、風に吹かれても消えてしまう。

『赤き血の狂乱はここに伐された、しかして血脈は途切れることなく……』

『モンスター 急襲 ( レイド ) …… 討伐 ( クリア ) !』

『討伐対象: 貪 ( むさぼ ) る 大赤依 ( だいせきい ) 』

『レイドバトルが終了しました』

『参加人数:3/45』

『次レイド開始:ワールドクエストの進行に伴い解放されます』

曰く聖書だったか何かでは、飛蝗による蝗害を獅子の牙と例えたとかなんとか。このゲームでは竜の牙であったわけだが……さて、レイドモンスターである以上まさか再戦できないということもあるまい。

はてさてこの化け物が次は何に化けて出て来るのやら。正直ダルすぎたので今度は人伝てで知れればそれでいいや。

「ヘイ勇者、ラストアタックを取ったなら勝鬨も頼むわ」

「お、俺!? え、えーと……我々の勝利だ!!」

「シミュゲーかよ」

ポツリと漏らした言葉は歓声に溶けて消え、わざわざ再度主張するまでもない戯言なので繰り返すこともなく、頭の上でわぁわぁとはしゃぐエムル同様に森人族達の歓喜に追随するのだった。

………と、ここで終われば凡百のハッピーエンドだったわけだが、森人族諸君は大事な事を忘れていないだろうか?

気づいてないなら俺が指摘してやるよ。「 傷だらけ ( スカー ) 」がなんか身体を丸めてぷるぷる震えてるんだが……

ていうか、そのですね……なんかこう、溜め込んだ力を何かこうランクアップ的な事に使いそうな……

バリッ

「あっ」

「えっ」

「ですわっ!?」

だ、脱皮したぁ!?

おや ? スカー の ようすが …… ?

調子こいて決めポーズまでやってたけど決めポーズが確定必殺になるのはリボルケインだけだから……ちなみにトットリ君が放ったのは着弾時に大爆発を起こす弓系魔法「 衝撃の一矢 ( インパクト・アロー ) 」と魔法の威力を飛躍的に高める森人族の切り札「奇跡の鏃」の合わせ技

・設定げろげろコーナー

赤玉の正体はエルドランザのコア、色竜は菌糸類系生命体なのでコアさえ残っていれば何度でも復活するので自らコアだけ吐き出して逃げることもある。が、逆に言えばこれを破壊されるとその代の色竜は死ぬことになる。火山の蓋さんはぺしゃんこにされた時にコアが潰れて死亡、エルドランザはよりにもよってピンポイントでコアを撃ち抜かれたので死亡