LNCrawler

龍よ、龍よ! 其の二十三

シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 — ncode.syosetu.com · All chapters

龍よ、龍よ! 其の二十三

どうも、この度ティターン硬梨菜になりました

◆

「おー、やっぱMvM、それもドラゴン同士となると映えるねぇ」

「それよりサンラク、ご家族が討伐されちゃったけど」

「に、にいさーん!!」

「ぷっ、ふっ、ふくくく……待って、許して、勘弁して……」

「すげぇ、モルドのやつ笑うという感情そのものに許しを乞うてる」

「……あの、秋津茜さん等も落ちてるような」

まぁ大丈夫だろう。秋津茜は幸運の代わりに魔力を高めてこそいるが俺と似たステータスビルドだ、であれば恐らくスキル「ヘルメスブート」あるいはそれに近いスキルは覚えているだろうし、宙に身投げしたとしてもルストがキャッチする。

「確認:個体名称:ルスト、個体名称:秋津茜を確保しました」

とりあえず二人は無事か、となれば問題は。

見上げた先、黒と金がひとかたまりとなって地面へと落ちてくる。

黒が金の喉元に食らいつき、金は黒の首に腕を回し、互いに互いを離さないように組み付きながら真っ直ぐ地面に落ちてくる。

そして、

「うわ、すげー音」

「生々しい音したけど……」

「べちーん! とぐしゃあっ! を混ぜたみたいな音だったねぇ……」

急ブレーキを踏まないチキンレースは要するに心中だと思うのだが、減速なしで地面に突っ込んだノワルリンドとジークヴルムがその巨体をバウンドさせて二度目の着地でようやく地に足ついた様子を離れた場所から眺めていた俺たちであったが、いつまでも観戦している訳にもいかない。

「ヘイ黒幕、次のオーダーは?」

「最早アドリブ進行だけど台本筒状に丸めてぶん殴るくらいの気持ちで行こっか! ジークヴルムぶっ叩いていこうぜ!!」

「成る程、シンプルで分かりやすいね」

「それに、そろそろ京極ちゃんにも動いてもらうかもしれないしぃ……んー、個別行動かな! 私は反ノワルリンド派の妨害、カッツォ君は適当にあの人辺りでも巻き込んでジークヴルムに喧嘩売って……」

「俺は?」

「そのだるだるモードなんとかしてきなさーい」

「やはり 死ぬ ( リフレッシュ ) か……?」

R.I.P.のバフ捨てるの地味にもったいねーんだよなぁ……いやしかし、スタミナゲージと空腹度一割固定は辛すぎる。じっとしてても死にそうになるし……

「ジークヴルムの重力圏的にもそれなりにかっこよく死んだ方がいいよな……」

「死因吟味?」

「こんな庶民的な死に方でこの俺を満足させられるとでもザマスですわぞだえ?」

「ギロチンでも持ってくる?」

おう持ってこれるもんなら持ってこいよ、いやそんなことはどうでもよくて。

んー……んんーー……んんんーーー………

よし。

「た、助かりましたぁ……」

「……割とヒヤヒヤした」

「あ、ちょうどいい。ルスト、ちょっと俺を上空まで連れてってくれね?」

「…………えー」

ほらほら面倒そうな声出さずちゃちゃっと、な? そうそう、落ちたら確実に死ぬ高さまで持ち上げてもらって……

「……どこに落とすの?」

「ジークヴルムも考えたけど、勝算無しで突っ込むとペナルティ食らいそうだからブライレイニェゴ方面で」

「えーい」

おい予告無しで手を離すな。

真っ逆さまに落ちていく俺であるが、無論自然落下でブライレイニェゴにぶつかるだけ、だなんて芸のない真似はしない。

「スタミナはカスだが、一歩踏みしめるくらいは出来るさ……!!」

臨界速 ( ブラディオン ) 起動! 空を踏みしめ、加速する一歩を!!

緩やかに加速していた俺の身体が一瞬で最高速に突入する。瞬く間に迫る地面と白色、空中でスタミナを回復させつつ身体を丸め、体勢を整えてぇ……見せてやろう、要塞蜘蛛や列車砲百足の巨体からダイブしまくった事で鍛え上げられた進化した飛び蹴りを!!

「 隕星落蹴 ( メテオフォール ) 改めぇ……三桁スキル!!」

『───なん』

両脚をぴったりと揃えて曲げ、膝を前へと突き出した外せば即死の 双膝の衝撃 ( ツイン・インパクト ) !!

「(俺)諸共に死ねぇ!!」

『ほぐぼぁ!?』

その名も「 爆心膝撃 ( グラウゼロ・スマイト ) 」! 敵以外に当たると反動で大ダメージを自分が食らうデメリットは無視できないが、命中さえすれば広範囲に物理衝撃によるダメージを発生させることが出来る。

何やらブレスっぽいモーションの予備動作で仰け反っていたブライレイニェゴの横っ面に俺の膝がめり込み、クリティカルの入ったイイ感触を堪能する暇もなくインパクトの反動で俺の身体が弾き飛ばされた。

うん、そうだね。さっきから体力1だったし、そもそも臨界速の効果適用がまだ四歩残ってるから……

「むっ」

両足で踏みしめた地面、真下から突き上げられる衝撃はまるでロケット発射の如く俺の身体を吹き飛ばし、制御を失った身体が結構なスピンをしながら宙を舞う。

「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁあ……………あぁぁぁぁぁぁ!!?」

ゴィン!! と頭頂部に衝撃、天地真逆で地面に突き刺さるが如く墜落した俺に、 着弾点 ( グラウンドゼロ ) 付近の者たちに沈黙の帳が降りる。

っつーかジークヴルムじゃん。

「……ここカットで」

『人間の一般として下着を露出するのはどうなのだ?』

「え? あっ、そっすね。いやーん」

ユニークモンスターにモラルを説かれるとは思わんかったわ。

天地逆さまであるがためにドロワーズおっぴろげで俺は死んだのだった。

あとリスポーンしたら「一定時間VIT大幅ダウン」のデバフが付いてたんだけど服着ろってこと? 残念ながら当方、元よりゴミVIT故。

◇

「サンラク君、自分でオチてくからずるいわー」

「アルファベットの「h」みたいなルートで吹き飛んでたねぇ……あ、小文字の方」

とはいえ、少なくとも散り様としては凡庸なものではない。本人の望んだものかどうかは別として当初の目的は果たせているだろう。

「さーて、ノワルリンドまで落っこちてきたのはちと都合が悪いけど、ここからが本番だよ皆? 覚悟は出来てる?」

「今更だなぁ」

「再確認は大事でしょ? エムルちゃんも大丈夫? サンラク君派手に散ったけど」

「蜘蛛に砲弾代わりにされたり百足の関節に挟まって死ぬよかマシてますわ、それにアタシだけでも戦えるですわっ!」

「んなモンスターとどこで戦ってたのか私知りたいなぁ……まぁいいや、サイナちゃんはサンラクのリスポンに引っ張られていっちゃったし……とりあえずこの場にいる全員でジークヴルムに喧嘩売っていこうぜ!!」

応、と旅する狼達の応える声が響き、状況が動き出す。

◇◇

「笑みリー! お客さんが降りてきたよ! どうする!? やっちゃう!?」

「まだ、まだ様子を見ましょう。ブライレイニェゴの方面にもバフを配らないと物量で戦線が崩れかねません」

「本音を言うと?」

「スカルアヅチへ本格的に攻撃兵器を搭載する計画が間に合わなかったのが悔やまれる」

「ヒューッ! 親友 ( ダチ ) がウォーモンガーになっちまったけど私は地獄まで付いてくよーっ!」

◇◇◇

「むむっ! 秋津茜殿も降りてきたで御座るか……? ええい初対面で御座るが蜥蜴の衆! 秋津茜殿の許へ馳せ参じるで御座る!!」

◇◇◇◇

「あっははははは! ぷふふっ、ひーお腹痛い、予想の斜め上に第三宇宙速度で飛んでかれたよサンラクくぅん……! やっぱり君は最高だよ!!」

「とはいえ……妙だねぇ、使ってるスキルが 少なすぎる ( ・・・・・ ) 。サンラク君はもっとスキルを多用してた筈だけど……使わなかった? それとも使えなかった?」

「…………ふぅん?」

◇◇◇◇◇

「暇だー……」

某所のランキングにランクインしたらしく、まさか拙作が勇者王と同じ項目に並ぶ日が来るとはこの海の硬梨菜の目をしても