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龍よ、龍よ! 其の四十六

シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 — ncode.syosetu.com · All chapters

龍よ、龍よ! 其の四十六

まぁ少なくとも四話で終わらせるのは無理ですね(極めて冷静な判断力)

◆

「友よ、ひどい顔をしているぞ……大丈夫なのか?」

「まぁよゆーよゆー……うぐぅ」

「空元気と言うには気力が足りてないぞ……で、どっちだ?」

「あっちー」

偶然遭遇したアラバに肩を貸された状態で俺はとある場所を目指して突き進む。魚人族も決戦フェーズに参加していたらしく、どうやら主に後方支援に回っていたようだ。まぁアラバはバリッバリに前線に出ていたらしいが。

あークソ、二徹して作業周回してた時並みのダルさだ。あの時は武田氏に割とガチな説教食らったっけ、今となっては懐かしいものよ……だって、乱数が悪いんだもん仕方ないじゃないか。「んなもん一回電源切ってテーブル切り替えろで御座る!」と胡散臭い解決法を提示してきた武田氏も武田氏だったが。

「……何かしら突拍子も無い事をするだろう確信はあるが……何をするつもりだ?」

「んー………ちょいと呼び出しをな」

「???」

ここら辺だったかな、おーおー鳴ってる鳴ってる。

「というか、なんなのだそれは? 武器か?」

「───笛、かな」

◇

タイムリミットは近い、盛大な自爆宣言を行った事でもはやプレイヤーのほとんどがジークヴルムへと攻撃を試みる。

だが斬られ、突かれ、焼かれ、穿たれようともジークヴルムは屈しない。倒されることを望みながらも、 倒してみろ ( ・・・・・ ) と挑発するかのように堂々たる姿を晒し、己が全てを注ぎ込んだ光の球体は今や太陽の輝きにも劣らぬ程に膨れ上がりつつあった。

「───逆鱗です」

『逆鱗だと?』

「私がこの顔の傷を受けた時……本当に偶然、ジークヴルムさんの逆鱗に攻撃が当たって……その時、ジークヴルムさん自身が言ったんです」

曰く、我が逆鱗は流動する魔力の要。穿たれたところで死にこそしないが全身の魔力流動が一時的に 止まる ( ・・・ ) 、のだと。

『そうか……だがどうする? あれを潜り抜けて肉薄できるか? お前に、だ』

「それは……その、気合いで……」

『いずれ出来たとしても今出来んのならそれはどう足掻いたとて出来んのだ、流石に諦めろ』

「でも……」

正論ではある、だがそれでも「諦め られ ( たく ) ない」のが秋津茜という人物なのだ。俯く秋津茜をノワルリンドはじっと見つめ……そして、提案する。

『今の俺でならば、お前の アレ ( ・・ ) が使えるのではないか?』

「え?」

『アレだアレ、使うための条件がよくわからんと泣き言を言っておったやつだ』

「使い方……あっ! アレですね!」

それは秋津茜の代名詞となりつつある【竜息吹】と同じく、 刃隠心得 ( にんじゅつ ) において「奥義」の名を冠する魔法。

レベル上限を解放した際、忍者として所有していた「秘解・虎の巻」なるアイテムに出現した新たな奥義。

心を同調するに至った人ならざるモノと、奥義の使い手を心身一体とする極限の…… 変化 ( へんげ ) の術。

「でもアレは……あれ? え? 使える!? なんで!!?」

それは、ただモンスターと仲良くすればいいというわけではない。

それは、隠されたパラメータ……モンスターに対する自身の 影響度 ( ・・・ ) を示す野生値を要求する。

故にこそ、それは実戦の中でこそアンロックされる「切り札」なのだ。

「えと……やっちゃっていいんですか?」

『悩む程に奴の自爆が近づくぞ』

「わ、そうだった……じゃあ、行きます!!」

刃隠心得に詠唱はない。 対象 ( ノワルリンド ) に触れ、人差し指と中指だけを立てた簡単な印を結んで叫ぶ、ただそれだけでその術は発動する。

「刃隠心得……奥義!!」

偶然か、必然か。その時ジークヴルムの作り出す光の球体からレーザーが秋津茜達の元へと放たれる。駆け抜ける奇妙な一人と一体に道を譲っていたプレイヤー達も直撃しては堪らないと回避する中で、逃げることなくその場に突っ立っている秋津茜達を目撃し……

「【 超転身 ( ちょうてんしん ) 】!!!」

爆発。

「直撃……!?」

「いや、ギリギリ横に逸れてたと、思う」

「どちらにせよ死んでるんじゃ……」

「いや、待て!」

土煙が渦を巻く。いいや違う、それは最早竜巻と言えるまでに勢いを増し、黒い花びらのようなものが混じり……内側から爆ぜるように解き放たれる。

『…………』

そこにいたのは、一人の少女…… だったもの ( ・・・・・ ) 。

肌は青白いどころか青そのもので、四肢や胸部を鎧のように鱗が覆っている。胸元や臍、太ももの一部だけ肌が露出している点には何者かの邪念を感じずにはいられないが、少なくとも普通の人間は鱗など生えないだろう。

そしてそれ以上に、漆黒の「尾」に「翼」……果ては「角」までもが生え、明らかに人ならざる存在感を周囲へと撒き散らす。

『…………』

ゆっくりと開かれた目は、白目と瞳の色が反転したかのようなものとなり、開かれた口からは全ての歯が変化したのだろう「牙」と先端が割れた「舌」がのぞいていた。

まぁ、つまり、要するに。

『………あ、飛べませんねこれ!』

女性としての人間味を残した「竜人」とでも言うべき存在が、しかして秋津茜というプレイヤーネームを掲げてそこに立っていた。

『えーと……あ、ウィンドウあるんだ…………うーん、実際に動いて覚えましょうか!!』

しばらく虚空に指を向けてなにやら操作していた秋津茜であったが、最終的に実戦学習を選択したのか、ダン! と地を蹴りつけ翼をはためかせて凄まじい勢いで「 跳躍 ( 飛翔 ) 」して行った。

「……なんだったんだ今の」

「変身魔法? いや、融合魔法?」

◇◇

身体が軽い、リアルでも平均以上の脚力を持つ秋津茜ではあるが、もはや飛翔と言えるほどの跳躍を絡めた走りは走り幅跳びでもそうは味わえない風を感じさせた。

『す、すいませーん! そこ通ります!!』

「な、なんだぁ!?」

「ほう、黒白目青肌魔族系竜娘とはな……」

「お前よくそんな詳細に見えたな……」

「ほら、ティーアスたんに比べたら遅いくらいだし」

「…………、っげぇ!? こいつ着せ替え隊じゃねーか!」

「わはは首も命も落としてけぇ!!」

なにやら騒々しい人混みの空白に着地し、再び跳躍。一気にジークヴルムまでの距離を縮めていく。

『わ、空中ジャンプもできるんですね!』

それに返される答えはない、その事に秋津茜は少しだけ寂しさを感じて……

『───いるぞ』

『口が勝手に!?』

第三者が見れば、人格そのものが変わったかのような「小生意気な」表情になった秋津茜の口が勝手に言葉を形作る。

その言葉はまさしくノワルリンドのもので……

『主導権はお前にあるようだ、お前が気を緩めた時にようやく俺も口を出せた』

『あの、私の喉だけ疲れるので喋らない感じで会話できませんか?』

(できるか!!)

出来た。

刃隠心得奥義【超転身】を会話可能なモンスターと行った場合、その気になれば会話も可能である事を秋津茜は今知った。

『出来ましたね!』

(ぬぐぐ……そんなことよりもだ! さっさと彼奴の逆鱗を穿つぞ! この姿とていつまでも続くわけではあるまい!)

それは事実である。【超転身】は発動者と「合身」したモンスターの強さに応じて制限時間が設定される。だが……

『でもこれ、十分くらい戦えますよ?』

(……十、それは長いのか?)

『えと、結構』

その秘密は、ノワルリンドの姿にあった。

本来は複数体生成した分身をコアが次々に乗り移る事で撹乱する「 無影感情 ( リモートエモート ) 」はその性質上、剥き出しのコアを最低限の細胞で作った肉体で行動させる。

つまりこの手の「移動する本体」にありがちな脆弱性を保有しているという事。

レイドモンスターとしての格を維持しつつもステータスそのものは低い、この矛盾が「黒竜ノワルリンド」と合身して尚十分という戦闘時間を可能としたのだった。

『そろそろジークヴルムさんに声が届きそうですね、何か言うことありますか? 代わります?』

(む……そうだな……)

「え、もしかして秋津茜ちゃん? なにそれ! 変身? おねーさん初耳なんだけ──」

『……あ゛? なんだ貴様』

「ひょえっ」

アーサー・ペンシルゴン、割とマジのビビリであった。

マニアックな方面に光を照らす系後輩(ちょっと黒くなった)

隠しパラメータ「野生値」は好感度とはまた別口のパラメータ、大体サンラクと" 緋色の傷 ( スカーレッド ) "みたいな関係性が野生値が高まってる状態。

イメージ的には超融合より忍法 超変化の術に近い。